研究計画書
YANG YUCHEN
コンパクトシティ構築が地方財政に与えた影響の分析
目次:
はじめに
第1章コンパクトシティと立地適正化計画の概要
第2章先行研究及びデータについての説明
2.1先行研究
2.2データについて説明
第3章コンパクトシティ構築が地方財政歳出に与えた影響の分析
3.3分析手法
3.4分析結果
おわりに
研究動機と目的:
近年の日本においては高齢化社会の人口減少により過疎化問題が現れる。過疎化問題により警察、消防や医療保健など公的な施設の運営と維持が極めて困難になっている。この問題に対してはコンパクトシティの構築が有効な対策だと考えられる。コンパクトシティとは、都市の中心部に各種の機能を集約した都市のことである。都市のコンパクト化により行政サービスの効率化が可能になることによって、地方財政収支の改善も期待できる。
本研究の目的はコンパクトシティの構築が地方財政に与える影響を明らかにすること。そのために、本稿では差の差の分析を使って分析を行う。差の差の分析とは、政策を受けるサンプルを処置群とし、政策を受けず、処置群と似たようなサンプルの統計データを対照群とする。処置群が政策を受ける前後の差から対照群が政策実施前後の差を引いて、政策効果を明らかにする手法である。本稿が使うデータとしては、立地適正化計画のモデル都市のなかで和歌山県和歌山市、山口県周南市、福岡県飯塚市、石川県金沢市、青森県弘前市を五つ選出し、それを処置群とする。対照群は類似市町村である神奈川県横須賀市、山口県宇部市、千葉県木更津市、香川県高松市、北海道釧路市を選出した。立地適正化計画とは、人口が急激に減少するという背景の下で政府が財政面で持続可能な都市経営のため公表した計画であり、類似市町村とは国勢調査により人口や産業構造の二つの要素を基準として分類し、同じ分類である市町村を指すこと。
先行研究:
コンパクトシティが都市財政に対する影響に関しては、沓澤(2016)が地域メッシュの人口にウェイトを付けて、平均した座標を中心点とし、その中心点から地域メッシュまで距離を人口数のウェイトを付けて算出した「標準距離」という指標を使用して、都市のコンパクト化の状況を計測し、コンパクトシティの構築が地方財政に与える影響を分析した。その結果がコンパクトシティの構築は財政支出額を抑制することが分かった。
差の差の分析手法については尾藤(2023)が北九州市2017年に立地適正化計画において居住誘導区域設定や政策の開始を処置群と定義し、傾向スコア・マッチングによって処置群と似たような所を対照群と選出された。その結果が計画開始2年以降で2.2%地価が上昇し、4年で4.2%だけ地価上昇することが解明した。
研究方法:
選出した市町村データに基づき分析する予定である
① は差の差の分析を使って、処置群とする立地適正化計画のモデル都市が計画を公表した年と現時点の公債費を除いて一人当たり歳出や一人当たり教育費の差を対照群とする類似市町村の同じ時点の公債費を除いて一人当たり歳出や一人当たり教育費の差を引いて、コンパクトシティの構築が地方財政に与える影響を明らかにすること。
② は回帰分析分析を使って、コンパクトシティが説明変数である行政コストをどのような関係をはっきりすること。
文献リスト:
日本語
今井 照(2017)『地方自治講義』ちくま新書
沓澤隆司(2015)「コンパクトシティが都市財政に与える影響一標準距離による検証一」『都市住宅学』第95号
齊藤愼・本間正明(2001)『地方財政改革』有斐閣
中井英雄・齊藤愼・堀場勇夫・戸谷裕之(2020)『新しい地方財政論『新版』』有斐閣
橋本恭之・鈴木善充(2016)『租税政策論』清文社
林 宜嗣・林 亮輔等(2021)『地域データ分析入門 すぐに役に立つEBPM実践ガイドブック』日本評論社