第4章 わが国の法人課税
1.法人のとらえ方−法人実在説と法人擬制説
(1)法人実在説:独立の法的人格を認められた実体として捉え、経営者によって運営される独立の意思決定単位であり、法人自体が担税力をもつという考え方
→法人にも累進税率表を適用すべき?
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※ アメリカの「地方税」は、カリフォルニア州の例である。 |
(注)1 | .日本の実効税率は、法人事業税が損金算入されることを調整した上で、「法人税」「法人住民税」「法人事業税」の税率を合計したものである。 |
2 | .アメリカの「地方税」は、カリフォルニア州(州法人税)の例である。なお、一部の市では市法人税が課税される場合があり、例えばニューヨーク市では連邦税・州税(7.5%、付加税[税額の17%])・市税(8.85%)をあわせた実効税率は45.95%となる。このほか、一部の州・市では、法人所得課税のほか、支払給与額等に対して課税される場合もある。 |
3 | .ドイツの実効税率は、付加税(法人税額の5.5%)を含めたものである。なお、ドイツの「国税」は、連邦と州の共有税(50:50)であり、「地方税」は、営業収益を課税標準とする営業税である。 |
4 | .フランスの実効税率は、付加税(法人税額の6%)を含めたものである。また、法人利益社会税(法人税額の3.3%)を含めると実効税率は36.43%となる。 (ただし、法人利益社会税の算定においては、法人税額より500万フランの控除が行われるが、実効税率の計算にあたり当該控除は勘案されていない。) なお、フランスでは、法人所得課税のほか、職業税(地方税)が課税される。 |
5 | .諸外国については、2001年7月現在の税制に基づく |
平成11年度改正
法人税の税率を次のように引き下げ、法人の平成11年4月1日以後に開始する事業年度について適用する
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4.法人課税の問題
(平成6年度 末残高) |
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企業規模 |
福利費 計 |
関する 費用 |
保健に関 する費用 |
関する 費用 |
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5,000人以上 1,000〜4,999人 300〜 999人 100〜 299人 30〜 99人 |
23,601 17,439 11,317 8,069 6,907 |
11,708 9,442 5,864 2,724 1,342 |
1,875 819 396 381 228 |
2,315 1,644 1,182 1,026 1,023 |
1,910 1,236 888 802 977 |
765 1,181 1,051 1,177 1,551 |
95 102 233 318 403 |
629 644 367 321 334 |
1,408 570 346 197 91 |
2,897 1,801 989 1,123 959 |
ラリア |
非営利団体等の 被用者で老人や 障害者の看護を 住み込みで行う 場合は非課税 |
購入価額が 最低市場価 格の75%以上 の場合は非 課税 |
業務遂行 に用いた 割合に相 当する部 分は非課 税 |
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ジーランド |
(個人段階で課税) |
(個人段階で課税) |
業務遂行に 用いた割合 に相 当する 部 分は非課 税 |
項目 |
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A株式保有割合25%以上 の特定株式等に係る配当 は全額益金不参入 |
20%未満・・・70% 20%以上80%未満・・・80% 80%以上・・100% |
受取配当額とそ の1/2を課税所得 に算入し、受取 配当額の1/2を算 出税額から控除 する。 |
受取配当額とその 1/2を課税所得に 算入し、受取配当 額の1/2を算出税 額から控除する。 A子会社から受け取る配当については益金不算入 |
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配当税額控除方式より、 所得税と法人税の調整 を部分的に行う。 |
所得税から、配当 に係る法人税は全 く控除せず。 |
インピューテーション方式 により、所得税と 法人税の調整を部 分的に行う。 |
インピューテーション方式に より、所得税と法 人税の調整をすべ て控除。 |
インピューテーション方式に より、所得税と法 人税の調整をすべ て控除。 |
1)生産物価格への転嫁 消費者に前転
2)賃金の切り下げ 従業員に後転
3)配当の減少 株主へ後転
古典的な見解−企業が短期的な利潤を最大化する場合
価格転嫁なし:課税前に利潤を最大化する価格が設定されているなら
法人税を転嫁しようと価格を引き上げることは
利潤の減少につながる
利潤最大化ではなく売上高最大化行動をとる場合には
価格転嫁の可能性あり
実証分析:結論えられず