第1節 課税と労働供給
p99
図5-1 課税と労働供給
消費者の予算制約
Y=w(24−X)
消費者の効用関数
U=XY
L=XY+λ(Y−w(24−X))
LX=Y+λw=0
(1)
LY=x+λ=0 (2)
Lλ=Y−w(24−X)
(3)
(1)(2)より
Y/w=X=−λ
(3)に代入すると
Y=w(24−Y/w)
Y=24w−Y
Y=12w
X=12W/W=12
t%の比例所得税 T=tw(24−X)
消費者の予算制約 Y=w(24−X)−T=(1−t)w(24−X)
L=XY+λ(Y−(1-t)w(24−X))
LX=Y+λ(1-t)w=0
(1)
LY=x+λ=0 (2)
Lλ=Y−(1-t)w(24−X)
(3)
(1)(2)より
Y/(1-t)w=X=−λ
(3)に代入すると
Y=(1-t)w(24−Y/(1-t)w)
Y=24(1-t)w−Y
Y=12(1-t)w
X=12(1-t)W/(1-t)W=12
税収はT=tw(24−12)=12tw
定額税
T(労働時間に依存しない)
消費者の予算制約 Y=w(24−X)−T
L=XY+λ(Y−w(24−X)+T)
LX=Y+λw=0
(1)
LY=x+λ=0 (2)
Lλ=Y−w(24−X)+T
(3)
(1)(2)より
Y/w=X=−λ
(3)に代入すると
Y=w(24−Y/w)-T
Y=24w−Y−T
Y=(24w−T)/2
X={(24w−T)/2}/w
比例税と同じ効用水準を達成する定額税
比例税の効用水準は
u=12*6000=72000
定額税の場合の効用水準
U=XY={(24w−T)/2}/w × (24w−T)/2
72000={(24w−T)/2}/w × (24w−T)/2
両辺に4Wを乗じると
72000×4W=(24w−T)(24w−T)
w=1000円より
288,000,000=(24000−T)2
√288,000,000=(24000−T)
T=24000-√288,000,000=24000-16970.56275=7029.43725
同じ効用水準を達成するような定額税の税収は7029.43725となり、比例税の税収よりも多くなる
p101
図5-2 社会保障給付による予算制約の屈曲
社会保障給付の水準が高いと端点解が生じる可能性が高くなる
→労働供給ゼロ
第2節 最適所得税論
マーリースによる数値計算:効用関数をコブダグラス型に特定化した場合の最適な税率表は線型
(1)最適線形所得税論
Stern(1976) 所得税の税率構造については線型に限定したうえで、最適な限界税率と人頭補助金の組み合わせを探る研究
p106 図5−4 線形所得税
税額をT、所得をY、限界税率をt、課税最低限をDとおくと
T=t(Y−D)
=tY−tD
となる。ここで-tDは、一人当たり同額の補助金である人頭補助金であり、これをGとおくと
T=tY−G
となる。
線型所得税は、比例税とは違い累進性の定義を満たしている。
累進性の定義:Musgrave and Thin(1948)の4つの定義
@平均税率が課税前の所得が増加するにつれて上昇する。(平均税率累進性)
A課税前所得の変化率に対する税負担額の変化率の比率が1以上。(税負担累進性)
B課税前所得の変化率に対する税引き後所得の変化率が1以下。(残余所得累進性)
C限界税率が課税前所得の所得が増加するにつれて上昇する。(限界税率累進性)
→線形所得税は限界税率累進性以外の定義を満たす。
P106
図5−5 線形所得税と平均税率
p107
図5−6 等税収曲線と社会的無差別曲線
最適税率は等税収曲線の左側→ラッファーカーブ
分配を重視するなら最適税率は高くなる
労働供給が非弾力的なら最適税率は高くなる
(2) 最適非線形所得税論
能力に上限が存在しないケース: 最適な最高税率は100%
能力に上限と下限が存在するケース
p109 図5−7
最適な税率表はs 字型最低所得と最高所得で限界税率ゼロ
(3)新しい最適所得税論
Diamond(1998):能力分布をより現実的なものに想定することで、最適な税率表はS字型にはならない
Saez(2001)
「アメリカの実証研究のおいてあきらかにされた労働供給の弾力性などを参考にすると、アメリカの最高限界税率は50%以下にすべきではなく、80%程度とすべきかもしれない」