2011年合格体験記    13期生 小林知弘

この度、国税専門官名古屋国税局より内定をいただきました、橋本ゼミ13期生の小林です。僕が、書かせていただく合格体験記では、僕が実践していた1次試験対策や論文試験対策も書かせていただきますが、主に2次試験以降のことを自分の経験を踏まえて書かせていただきます。これを読んでモチベーションを上げていただけるようでしたら感極まる思いです。

1次試験・論文試験対策
 僕は、2回生の頃からリードセンターに通い始め、公務員試験の勉強をスタートしました。時間経過とともに書いてしまうと長々となってしまいますので単刀直入に言いますと、1次試験対策は過去問を繰り返すことに尽きると思います。既にリードセンターや予備校に通っている方は講師の先生方から聞かされていると思いますが、公務員試験は過去問と良く似た形式で出題されることが多いので、僕自身ひたすら過去問を繰り返し回していました。これもよく耳にされることだとは思うのですが、たくさんの教材に手を出しすぎると逆に失敗するということもあり、僕も専門科目はリードセンターで使用する問題集、教養科目は実務教育出版のスーパー過去問ゼミをひたすら回していました。時には、分かりにくかったり、理解しづらい部分も出てきたりするのですが、そこで時間をかけ過ぎずにまずは1つの問題集を1周回すこと、これがとても大切だと思います。僕自身、経済原論や憲法などの主要な科目は問題集を10周以上回しましたし、回数を重ねるごとに問題の解き方を掴んでいったように思います。また、僕は大学入試の際にセンター試験を受験していなかったこともあり、教養科目でかなり時間を取られてしまいました。試験が近づいてくると時間もなくなってきますので余裕がある時期から少しずつ、手をつけ始めることをお勧めします。
 論文試験対策では、自分でもそこまで力をいれていなかったように思うのですが、論文試験で出題されそうなテーマについては自分なりに、意見をまとめて答案例を準備していました。また、毎日、新聞を読むようにして、特に新聞の社説についてはかかさず読んでいました。
 僕はリードセンターの先生に、最後まで勉強を続けることができたら絶対に合格することができるから、と言われながら勉強を続けていました。試験は4回生の5月頃から始まっていくのですが、僕自身直前期には1日14、5時間勉強していましたが、1次試験の成績は思い通りには上がりませんでした。もちろん僕の能力の問題もありますし、勉強方法が悪いんちゃうか、と思われてしまうかもしれませんが近年では公務員志望者も増加し倍率もとても高く、険しい道のりとなっています。絶対に合格してやるという強い気持ちをもって地道に毎日勉強して下さい。先生は軽く「最後まで」とおっしゃっていましたが僕にとってはすごく必死こいての「最後まで」でした。根性論のようになってしまいましたが、僕はそうやって合格を掴みました。

2次試験対策
 2次試験対策(ほとんどが面接対策ですが)は1次試験が終わってから始めました。リードセンターの面接対策講座で面接カードを書いたり、模擬面接の練習などを行ってはいたのですが、どうしてもやりたい仕事などの実感が湧かずに、この時期までは本腰を入れることができませんでした。もし、早めから面接対策を行えるのであれば早めに準備しておくに越したことはないと思いますのでじっくり準備をしていって欲しいと思います。
 僕が行った面接対策は、友人達とひたすら何回も模擬面接を行うというものでした。この対策の良いところは、友人の面接相手をするときに面接官役をすることができるというところです。面接官役を経験することによって、どのように話せば印象が良いか、どのような仕草が気になるか、など様々なことを発見でき、回数を重ねる度に上達していることを実感することができました。面接内容は実際に使用する面接カードを利用するのももちろん良いですし、その人が今まで経験してきたことについてなど何気ない質問でもいいと思います。同じような質問や自己PRなど同じことを何回も答えることになりますが、何回も話すことによって自分が伝えたいことが定着し始め、棒読みにならずに話すことができるようになると思います。僕達は、第二学舎の自習室や食堂を利用してよく練習していました。この面接対策の際に是非とも用意してもらいたいのが、確か年明け後の5月頃に発売だったと思うのですが「受験ジャーナルvol.7」です。これには、昨年の公務員試験で実際に聞かれた質問事項が細かく載っているので、とても役に立つと思います。面接対策なんて何していいかわからんって思われている方も多いと思うのですが、面接対策は本番で焦らなくていいようにいかに事前準備をしておくか、だと思います。僕は、受験ジャーナルvol.7に載っている自分が面接を受ける職種の質問事項は自分なりの答え方をノートに軽くまとめるようにしていました。公務員試験の面接は、民間の面接と比較して、質問できる内容に制限があるらしく質問事項がかなりパターン化され、昨年聞かれた質問が今年になっても聞かれるということがよくあるらしいです。志望動機や自己PRが最重要なのは民間と変わりませんが、その他の質問についても受験ジャーナルに載っているものは全て答えられるように準備をしておくべきです。
 このあとは、僕が実際に面接を受け、内定まで漕ぎ着けた東京都世田谷区と国税専門官について詳しく書かせていただこうと思います。

東京都特別区(世田谷区)
 特別区の2次試験は個別面接が2回あります。この2回の面接は同日ではなく、2回に分けて行われるので、2回も東京に行かなくてはなりません。交通費半端ねーです。そして、この2回の面接と1次試験の成績を合わせた結果、合格すると合格者名簿に掲載されます。この合格者名簿をもとに東京23区の各区から電話がかかり、電話のあった区役所で区面接を受けて合格することで内定となります。特別区の面接はかなり人物重視の面接らしく、面接の時期も早いため僕はとても良い経験になりました。志望順位が低くても経験になるので積極的に受験されることをお勧めします。

特別区採用面接1回目
 1回目の面接カードの内容は以下のものでした。
・今までに最も力をいれて取り組んだことは何ですか?
・今までに最も大きなプレッシャーを感じた出来事について教えてください。
 特別区の面接は、大きな体育館のような場所で行われ、個室ではなく、パネルで仕切られたブースが数多くあり、多くの面接者の面接が一斉に始まります。当然、隣の面接の声が聞こえてくることもあり集中しづらい環境での面接でした。
 ブースに入ると男性の面接官が2人いて、20分程の面接がスタートしました。面接は面接カードに沿って行われ、やはり、どのような人物なのかということを知るための面接だという印象を受けました。周囲の音に負けないように大きな声を心がけ、穏やかに笑いもありながらの面接でなかなかの手ごたえを感じ始めていたそのときに一人の面接官が「少し時間が余ったようなので特別区の志望理由を教えてくれますか」と言ってきました。東京に全く馴染みのなかった僕はそこまで強烈な志望動機を準備することができずに受験してしまっていたので、このままやり過ごせるか?と思い始めていた矢先の大打撃でした。いやいや、あんたわざと時間余らせたんでしょ!なんて思いながらも一応準備しておいた志望動機である福祉・健康問題の話をして、このような先進的で独自の政策をやりたいから、と言いました。すると面接官は「大阪でもできるよね?」と。僕は、確かにね。なんて思いながらも、東京は日本の首都であり、まずはその首都から先進的な政策を発信していくべきなんです。などと東京はすごいんだ的なアピールをしまくって面接を終えてきました。志望動機やべーな、なんて不安いっぱいながらも初めての面接を終えた安堵感いっぱいで帰りの新幹線は人いっぱいでした。

特別区採用面接2回目
 2回目の面接カードの内容は以下のものでした。
・自己PR
・特別区を志望した動機
・あなたが今までに得た知識、経験を、今後どのように活かしていきたいですか?
・今までに、チームで協力して成し遂げた出来事について教えてください。
 今回の面接を受ける前に僕が悩んでいたのはやはり志望動機でした。そこで志望動機について橋本先生に相談させていただきました。これから就職活動を行っていく皆さんもせっかく橋本ゼミに所属しているのですから、目一杯、橋本先生にアドバイスをいただき、模擬面接などをしてもらうといいと思います。僕も橋本先生からのアドバイスを携え、東京に乗り込みました。
 特別区の2回目の面接も1回目と同じ会場で行われるのですが、面接官が3人で面接時間が30分となります。今回も、前回と同じように元気よくブースに入室すると、右から、女性、男性、男性の並びで面接官が座っていました。女性の方は上品そうなおばさん、真ん中の男性の方は普通のおじさん、だったのですが、一番左の男性の方は姿勢の悪い人相の悪い色つきメガネをかけたおっちゃんでした。入室した瞬間に圧迫係だと分かりました。
 とにかくそんなメンバーで面接がスタートしました。右側二人からの質問は面接カードからの質問ばかりで笑顔混じりのいい雰囲気だったのですが、ついに一番左の面接官に回ってきました。質問内容は予想通りの志望動機、本当に東京に来る気があるのか、でした。僕は1回目で話した内容と同じく、福祉・健康問題の話をしてからこのような先進的で独自の政策をやりたいから、と言いました。すると、面接官は「大阪でも地元でもできますよね?」と言ってきました。1回目ならばあたふたしていたところですが、ここからが橋本先生のアドバイスです。僕は、「大阪や地元と東京は財政状況が違います。無駄遣いをしていいというわけではありませんが、ネガティブな話題の多い大阪よりも、東京で働く方がより独創的な政策をすることができると思います。」と言いました。すると、面接官は「東京の財政状況はどう良いの?」と聞いてきました。僕は、東京や世田谷区の財政データをありったけ調べていったので、他の地域と比較しながら財政力指数や経常収支比率の具体的な数値を挙げて説明しました。すると、面接官はよく調べているね。と感心してくれたのですが、最後に悪そうな顔をしながら「東京の財政状況が良好なのは分かったけど、東京がどれくらい公債に頼っているかは知ってるの?」と聞いてきました。僕は、ここぞとばかりに切り札の実質公債費比率を言い放ってやりました。勝ちました。こうして、合格者名簿に掲載されました。

世田谷区採用面接
 世田谷区採用面接の面接カードの内容は以下のものでした。
・世田谷区を希望した理由
・区職員としてやりたい仕事
・最近関心を持ったこと
・趣味、スポーツ、特技について
・自己PR
 そんなこんなで特別区最後の試験である区面接までやってきました。この区面接は東京23区の各区役所で行われ、面接に合格すると内定、不合格だとまた合格者名簿に逆戻りで別の区役所からの電話待ちというシステムになっています。
 面接は会議室のような個室で行われ、面接官は男性、男性、女性の3人、面接時間は20分程でした。今回の面接はこれまでの面接の中でも一番和やかで面接官もみんなニコニコしながら質問してくれましたので僕もニコニコしておきました。質問内容もほとんどが面接カードからの質問で特別区の3回の面接の中でびっくりするほどの想定外の質問というのはなかったように思います。もちろん全ての質問に対して完璧な返答をしていたわけではなく、難しい意見を求められているような質問に対しては素直に「わかりません。」と言う場面もありました。ですが、このような場面で無理に答えにいってしまい、さらに深く掘り下げられて最終的に「勉強不足でした。すいません。」なんて答えるよりは、厳しい質問に対して早い段階で正直にわからないと言い、じゃあ入ってから学んでいってくださいね?はい!という流れにして嫌な質問をできるだけ短くパスしてしまうのも一つのテクニックではないかなと僕は思います。
 特別区の面接を経て、僕は面接っていうのはとても緊張するものだけれど、本質的には面接官との会話なんだなと思いました。自分のことをうまく伝えなくてはならないけれど、自分一人が長々と話していてもダメ。どこで笑顔を見せればいいだろうかと考えても結局はぎこちない笑顔になってしまってダメ。丁寧な口調で、聞き取りやすい声の大きさで一生懸命自分を伝え、相手が話しているときはしっかりと頷きながら耳を傾け、おもしろいことがあったら、何も我慢せずに笑って答える。そういった自然な会話を成立させることが良い印象を与えるのではないかなと思いました。えらそーですけどそう思いました。

国税専門官
 次は国税専門官の面接について書かせていただきたいと思います。国税専門官は2次試験としての面接は1回のみで、2次試験を突破すると、最終的には自分が志望する管轄の国税局に採用面接を受けに行き、それを突破することで内定になります。
 国税専門官の面接は、拘束時間がやたらと長いことや、身体検査、尿検査などがあることなど、触れたい部分はたくさんあるのですが話が逸れてしまいますので、今回は省略させていただき、面接の場面のみにさせていただきたいと思います。とりあえず、文庫本だけ持ってって下さい。

国税専門官2次試験面接
 国税専門官2次試験面接の面接カードの内容は以下のものでした。
・志望動機、受験動機
・専攻した分野、得意とする分野
・最近関心や興味をもったことがら
・印象深かったこれまでの体験
・趣味、特技など
・自己PR
 国税専門官の面接試験は圧迫面接が多いという噂をよく聞くと思います。また、体育会系の人を好むとも聞くことがあると思います。そういったこともあり、僕は精一杯元気よく面接に臨もうと面接室の前の椅子で意気込みながら自分の順番を待っていると、面接室から凄まじい怒鳴り声が聞こえてきました。完全に1つ前の順番の子が怒られています。うわぁ〜外れくじを引いてしまったなと思いながらも僕の順番がやってきました。
 室内はとても広く、面接官は男性、男性、女性の3人でした。一番左の人のくちびるは紫色でした。僕はもうどうにでもなれと思い、いつになく大きな声で挨拶をし、きびきびと動くことを意識しながら面接官の前まで行きました。すると、真ん中の面接官が口を開きました。その第一声は「君は見るからにスポーツマンだね。」でした。「勝った」と思いました。その後の質問もハキハキと答え特別な圧迫もなく、面接は10分少々で終わりました。
 当たり前のことかもしれませんが、面接では、第一印象がすごく大切だなと今回の面接で再確認させられました。もし、最初に悪い印象を与えてしまうと、それからの数十分だけの時間でそれを挽回するのはとても難しいことだと思います。何も奇抜なことをして目立たなければいけないと言っているのではなく、面接官の方に、この子と一緒に働きたいと思わせるための工夫が必要だと思います。

名古屋国税局採用面接
 今回は、採用面接と言っても、実質的には意向調査のようなもので持参する面接カードなどもなく、人事の方も試験ではないからリラックスしてくれていいと言っていました。なので、ここでは手短に書かせていただきます。
 内容は短い面接を3回行うというもので、1回目は就職活動状況などを含めた意向確認、2回目、3回目は普通の短めの面接という感じでした。これといって準備していかなければならないことや、気をつけなければならないことはなかったように思うのですが、あえて言うならば、志望順位をしっかりと考えていくことです。意向確認の際に僕はもちろん、国税専門官が第一志望で絶対に行きます、と言いましたが、僕の1つ前の人は、国税専門官は第三志望です、と言っていました。こんな風に言ってしまっては、せっかく内定間近まで来ているのに後悔する結果になってしまう可能性もあります。確実に行かないことが決まっている場合はいいのですが、他の職種と迷っている場合には、うまい言い回しを考えてからいくのが良いのではないでしょうか。
 こうした結果、僕は3回目の面接の際に面接官の方に、目の前で書類に「内々定」のスタンプを押していただくことができました。どれほどの人達が採用面接の際に内々定をもらっているかはわかりませんが、うまくいくと内定通知を待たずに採用面接の際に内々定をいただくことができます。僕は、今でもあのときの「ガチャン」という内々定の音は忘れられません。

最後に
 公務員試験は、長く険しい道のりだと思いますが、それは民間であれ、なんであれ、同じことだと思います。自分が社会人となり、しっかりとした一人前になるためには精一杯努力して掴み取った納得のいく就職が必要だと思います。自分が最大限頑張ったことは、絶対に大きな充実感とともに返ってくると思いますので、皆さんもどうか最後まで粘り強く頑張ってください。僕も早く一人前の大人になるために一生懸命努力しますので一緒に上を目指していきましょう。応援しています。