ワーホリを終えて 

 イギリスから戻って、はや一月半がたとうとしています。
 結果的に滞在していたのは、9ヶ月。MEにとっては、初めての外国での長期滞在経験でした。人によって感想は色々でしょうが、わたしは日本という国を客観的に見る、かつてない好機だったような気がします。
 9ヶ月の間の日本にとっての大きかった事件といえば、小泉内閣成立、同時多発テロ、池田小の殺人事件、愛子さまご誕生(これらはイギリスのニュースでも知れたことですが)といったものなどでしょうか。そして、イギリスで話題になるようなこと、社会の機能の仕方などを見ていると、それまでは悪いことしか見えず、毛嫌いしていたような自分の国を、やっぱり好きだと思えたこと、そして(好きであろうとなかろうと)自分が本来、生きていく国は日本しかないのだということを、改めて認識できたことは、わたしの生きる基盤を強くしてくれたように思います。
 もっとも、これは人によって様々だと思います。15くらいでイギリスに 行っていたら、もう日本に帰りたくないと思っていたかもしれない。けれど、今のわたしが、住み慣れた国とイギリスとを比較して、前者をより好むと言えるのはやはり幸せなのではないかと思います。
 戻ってきて、イギリスのほうがよかった、と思うところはもちろんあります。ただ総体的に見て、MEは日本のほうが、いいという意味です。ささいなことで言うと、ドアを開けて待っている習慣。いつのまにか自分にも人を待つ癖ができていました。ただ、日本でそれがないのは、思いやりがない、とかでな く、単純に、日本人の体格に合わせた仕様になっているからか、ドアが軽くできているから女性でも他人に開けてもらわないといけないほど、重労働でもないのではないかという気もします。いいと思ったら、「イギリスはこう だったのに・・・・」とかでなく、自分だけでも、そういうことをできる人間になっていたら、それでいいのではないかと思うのです。ここは日本なのですから。
 MEとしては、ずっと仕事でも留学でも、理由は何でもいいから、一度海外(ヨーロッパ)に住んでみたいという希望があり、幸いにもビザが出て、イギリスに行けました。この希望もかない、その間に仕事をしていた間は忙しすぎて行けなかったヨーロッパ旅行もとりあえず満足するくらいには行けて、見たかった美術館なども堪能し・・・・と自分の夢の一部がかなったような気がします。人によって、大事なことはもちろん違うので、誰でも行くべきだ、なんてことは思いませんが、わたしにとっては、人生で必要なステップだったと将来言えるような時期になっていくのではないか、という気がします。不思議と、帰国してからは、イギリスのことなんて、あまり思い出さないのですが、あからさまなものでなく、ささいな考え方の変化などは明らかに英国滞在の影響を受けているんでしょうし。
 実はイギリスから戻って、一番面倒だな、と思っているのは、立ち食い・歩き食いが日本では行儀の悪い行為と見なされているということ!行儀は悪くても、急いでいる時などは時間を節約できる部分もあったりしたので、たまに不自由を感じます。
 留学などで行かれる方で、3日くらいでホームシックになって帰ってくる方もいるというような話も聞きます。ただ、イギリスは他の外国とも比べてもかなり日本語のサービス、日本の物が手に入りやすい国かと思います。ダメだ、と思っても野垂れ死ぬことはないと思うので、踏ん張ってがんばってみてください。それだけでも、違う自分を見つけることができるようになるのではないかと思います。
 ME自身が、9ヶ月で戻ってきたのは、ホームシックとかになったわけではなく、色々なことが自分の中で整理がついたと思えるようになったからです。イギリスには、また行くつもりです。何年後になるかはわかりませんが、大家さんに会って、コヴェントガーデンでまた素敵なオペラを楽しむために!ロンドンという町の性格のせいか、海外で過ごしたという意識はそう強くないですが、その時には、また今回の英国滞在の新たなる意味を発見するかもしれません。
 これからイギリスに行く方も、たくさんの楽しい思い出が作れますように!!



BACK