-cinema diary-

2003年2月の映画日記(その2)


 

2003.2.8 な、長い……(笑)

「モスラ対ゴジラ」

監督:本多猪四郎
特技監督:円谷英二
脚本:関沢新一
音楽:伊福部昭
出演:宝田明、星由里子、小泉博、ザ・ピーナッツ、他


「フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ」

監督:本多猪四郎
脚本:馬淵薫、本多猪四郎
特技監督:円谷英二
音楽:伊福部昭
主演:ラス・タンブリン、水野久美、佐原健二、他

鑑賞日:2002.11.14


 えーと、全国的にそうなのかどうかは分かりませんが、ASDの地元のワーナーマイカルでは、毎年11月にゴジラ&東宝特撮映画の旧作のリバイバル上映会をやっているそうです。
 そうです、っていうのはASDは今年初めて見に行ったからなんですけどね。
 この映画日記でも「ゴジラ」は2本ほど取り上げてますし、特撮オタク的な発言もこの映画日記では散見しているASDですが……ええそうですともこういうの確かに嫌いじゃありませんとも(笑)
 で、今回マイカル御経塚にて、二本立てを鑑賞してきました。どちらの作品もいままでビデオとかでも未見だったので、そういう意味では非常に嬉しい組み合わせだったんですが……。
 えーとですね。それはいいとして、2本ぶっつづけで見るのはさすがに疲れますね(笑)
 せめて合間に5分くらい休憩が欲しいところなんですけどねぇ……。シネコン系の映画館って基本的に完全入れ替え制なので、2本立ての作品でもぶっつづけでやるのは珍しくもなんともないのですが。
 それでも一応、入場前に係員の人に確認をとるASDでした(笑) いやー、だって休憩あるのかないのか、あらかじめ覚悟を決めておいた方がいいんじゃないかと思いまして(笑)
 一応その時の説明では「エンドロールなんかの合間に一休みしていただくという形で……」という事でしたが。
 あのー、この時代の邦画って、エンドロール無いんですけど……(爆)
 まぁ別にトイレが近かったわけでもないんですけど、余韻に浸る間もなかった、ってのはやはりチト辛かったです(笑) 何せ一本目の映画に「終」マークが出たかと思ったら、5秒と待たずに東宝マークが出てくるんですよ(笑) 余韻にひたる間もありゃしませんでした……(笑)


    *    *    *


 気を取り直して感想。まず「モスラ対ゴジラ」です。その前にあらすじを。


 台風に乗って漂着した巨大な卵。新聞記者の酒井(宝田明)と純子(星百合子)は取材に当たる中で、インファント島から卵を取り戻しにやってきた双子の妖精・小美人(ザ・ピーナッツ)と偶然に出会う。卵は興行主の熊山(田島義文)の手にあり、彼は卵を見世物にする事で大儲けを企んでおり、返却を求める小美人にも応じようとしなかった。失意の中、小美人はインファント島へと帰っていく。
 そんな折、台風の被害を受けた干拓地にゴジラが出現し、街を蹂躙し始める。防衛隊の作戦が次々に失敗に終わる中、酒井らはモスラの助力を求めてインファント島に渡るが、卵を産んだ後の成虫モスラはすでに余命いくばくもない状態だった……。


 さてさて。
 この頃のゴジラはまだ「ゴジラシリーズ」ではなしに、どっちかってぇと「モスラ」「ゴジラ」の二大スター怪獣激突、というノリだったんじゃないかなー、と思います。モスラはモスラで、単独主演?の前作がありましたので本作はその続編というニュアンス。ゴジラはこれの前に「キングコング対ゴジラ」という作品がありましたので、そういう異種格闘技路線再び、という感じでしょうか。
 まぁ要するにこの時代の怪獣映画は、怪獣が単独で暴れるのが普通なのであって、それらの怪獣が作品の枠を飛び越えて激突する、ってのがスペシャルイベントだったんでしょうなぁ。今だと怪獣が戦わないとお話として成り立たない、というフシがありますので、その辺り時代の違いを感じてしまいます。
 昭和39年の作品とあって、特撮はやっぱりかなりショボかったです(笑) 破壊される街並みとかはともかく、戦車やジープが明らかにミニチュア、というかラジコンなのが何ともほほえましくてねぇ……(笑) まぁそういう意味では、かなりおおらかなノリだったんじゃないかなと思います。
 そもそも本作の場合、肝心のゴジラがあんまり脅威には見えないのがなんとも……(汗) 前作のキンゴジは着ぐるみのデザインがかなりマッチョなスタイルでしたが、本作はかなりスマートな意匠になってて、重量感に乏しいんですよね。実際のアクション自体も、しっぽが引っかかったり、ちょっとした段差でコケたり……そもそも台風で干拓地に流されてきた、という登場の仕方からして何かショボいですし(爆) そういう意味では、モスラに比べるとちょっと割を食っていたかなぁ、という気はします。
 一方のモスラに関しては、意外に頑張ってましたねぇ。もちろんピアノ線による操演で動かされているわけですが、平成モスラよりもちゃんと「飛んでいる」ように見える動きをしてたんじゃないでしょうか。旧作の方が、職人芸的な魅力は強いような気がします。
 余談ながら、ひとつ引っかかることがあるんですけど……モスラの幼虫って、糸を吐いて攻撃するじゃないですか。でもああいう幼虫の場合、糸ってようするにさなぎの外皮のために吐くものだと思いますので、生まれたての幼虫がいきなり糸を吐けるってのはなんか違うような気もしないでもないんですけど……(笑)
 まぁそういう所に文句をつけちゃいけないんでしょうけどね(笑)


 ……とまぁ、文句もいろいろ付けてきましたが、全体的には製作年次なりの大型エンタテインメントになっていたんじゃないでしょうか。怪獣映画とか、子供向け映画とか、そういう括りではなくて、SFXスペクタクル大作を撮ってるんだぞ、という熱意の伝わってくる映画だったんじゃないかと思います。
 技術的には確かにショボイんですけど、冒頭の台風シーンの、波の泡立ちのダイナミックなこと……!


    *    *    *


 続きましては「サンダ対ガイラ」です。こちらもまずはあらすじから。


 フランケンシュタインの怪物の騒動から数年後、船舶が次々と謎の怪物に襲われるという事件が発生し、かつて怪物の研究に携わっていたスチュアート博士(ラス・タンブリン)と助手のアケミ(水野久美)は調査を開始する。やがて陸に姿を現した海の怪物は、防衛隊によって追い立てられ山を目指す。
 やがて海の怪物は山岳地帯で、自分と同じもう一体の怪物と遭遇する。彼らこそ、驚異的な生命力を持つフランケンシュタインの細胞から、別々に甦った2つの個体だった。人を襲う凶暴な海の怪物ガイラと、大人しく育った山の怪物サンダ。凶暴なガイラを止めようとするサンダだったが、防衛隊は両者を同じく脅威を見なし、区別なく追い立てるのだった……。



 ……とまぁあらすじの通り、どうやらこの作品はフランケンシュタインの怪物と「大怪獣総攻撃」でも奮闘を見せたバラゴンとが対決を果たした「フランケンシュタイン対地底怪獣」の続編であるらしいです。そっちを未見のままこちらを見てしまったASDですが、まぁ見ていなくても展開が分からない、ってことはまずないと思います(笑) こちらは41年の作品ですが、フィルムの退色やキズの状態はモスゴジよりは良さそうな感じでした。
 あと、モスゴジは本編に怪獣がなかなか登場してこなくてやきもきさせられましたけど、本作では怪獣がオープニングからいきなり出てきてましたね(笑) わずか2年の間に、怪獣映画も微妙におこちゃま化してしまっていた様子です……?(笑)
 通常?のゴジラシリーズの場合、怪獣は50メートル前後の大きさがあるわけですが、本作の怪獣たちはその半分くらい。でっかいビルを壊すような華やかなのはゴジラに任せて、こちらはリアル感を重視する……という路線なんだろうと思います。街並みは実景再現というわけにはいかなかったようですが、古き良き昭和の街並みを舞台にした立ち回りは結構カッコよかったかも。あと、人間型の怪獣ということで、非人間型では意外に難しい格闘戦の魅力も出せていたんじゃないでしょうか。
 ……あと、本作を見ていると何となく平成ガメラのルーツを見いだせたりしてちょっと面白かったかも知れません(笑) ガイラが人間をバクバク食べて人間社会を脅かしたり、というくだりが何となくギャオスを彷彿とさせたり……大抵の作品では単なるやられ役に過ぎない防衛隊も、この「サンダ対ガイラ」ではある程度立派に怪獣に対抗出来る組織として描かれているんですよね。これも結構平成ガメラの自衛隊の描写を彷彿とさせるものがありました。



 ……以上、2本立てを3時間ぶっつづけで見たわけですが、さすがにキツかったですね(笑) でもこれで1000円は安かった!
 って、そう言えばUボートの時も、リバイバル上映で入場料が500円でした。安い入場料でガンコに長い映画を見る、というパターンが何故か続いているような……(笑)
 もひとつ余談。「独り言」でもネタにしましたけど、この上映会のさいにアンケートに回答したところ、後日ワーナーマイカルから無料招待券が送られてきました。うわーいヤッター! ちなみにそのアンケートのさい、次回上映希望作品として「怪獣大戦争」「地球防衛軍」と書いてきたのは何を隠そうASDです(笑) 2003年も頼むぜワーナーマイカルさん!(笑)



オススメ度:測定不能(笑) 怪獣映画がお好きなら止めません(笑)




2003.2.8 深く静かに潜行せよ

「Uボート・ディレクターズカット版」

監督:ウォルフガング・ペーターゼン
出演:ユルゲン・プロホノフ ヘルベルト・グレーネマイヤー クラウス・ヴェンネマン、他

鑑賞日:2002.11.8


 1941年、フランスのラ・ロシュル港を出発したUボート部隊は北大西洋の海で、敵であるイギリス軍の艦船を求めて航海を続ける。戦局がすでにドイツ不利に傾き始める中、Uボートの乗組員達は潜水艦の中という密閉された空間での、辛い航海をひたすらに続ける。彼らは果たして、無事に帰還出来るのか……。


    *    *    *


 リバイバル上映されていたので、見に行きました。
 「エアフォース・ワン」「パーフェクト・ストーム」で、いまやすっかりハリウッド的娯楽大作の監督として欠かせない人物となったウォルフガング・ペーターゼン。その彼がドイツにいたころの作品で、ハリウッド進出のきっかけとなった一作です。
 1981年の作品ですが、今回鑑賞したのは1996年のディレクターズ・カット版。なんと上映時間3時間半という超大作でした(爆) 一応このバージョンでは音響が潜水艦映画らしく(笑)こだわりのサラウンドにリニューアルされております。
 ちなみにこのバージョンもかなりの長尺ですが、ドイツ本国では劇場版の他にTVのミニシリーズも同時に作られているんだそうです(笑) 別個の作品ではなく、同じ作品を別々に編集して2バージョン作った、という感じらしいです。確かディレクターズカット版がLD化されたときに、このTV版もLDになってたように記憶しております。全6話ぐらいじゃなかったですかねぇ……つまりはもっと長大なんですな(笑)
 内容ですが、実際のところドイツのUボート部隊が、延々作戦行動を繰り返して、帰還するまでのお話です。……ホント、それだけの話なんですよ(笑) 3時間半の間、Uボートが淡々と海をさまよっているだけの映画と言っても差し支えないかも知れませんねぇ(爆)
 一応戦争映画のはずなんですけど、実は勇壮に戦うシーンというのはほとんど無かったりします。何せ3時間半の劇中で、Uボートが放った魚雷はたった3発だけ!(爆)
 ……そう、本作は確かに戦争映画ではありますが、彼らが戦っているのは実は連合軍ではないのですね。
 狭い密閉空間である潜水艦は、ただ乗り組んで日常生活を送るだけでも息苦しい、居心地の悪い場所なわけですが……何日も無為に海をさまよい、そういう閉息感にずっと耐え続けなければならないのです。そんな中で敵に遭遇したとして、先手必勝で魚雷を撃てればいいんですけど、外したり先に向こうに発見されたりしようものなら、容赦なく爆雷攻撃にさらされるばかり。その爆雷に直撃されれば一巻の終わりですし、かと言ってそれを避けるために深く深く潜行すれば、今度は水圧が彼らを押し潰そうとするわけです。
 彼らはそういう直接の危機、ないしは婉曲的な不安に、ひたすら耐える一方なのですね。もちろん、そういう状況を彼らに強要する、戦争という状況への憤りもあるでしょう。
 この作品で描かれているのは、そういうひしひしと迫る見えない恐怖や不安や絶望との、終わりなき戦いなのではないか……という風に思いました。
 映画はこの終わりなき戦いを、3時間半という長尺で描いているわけです。見ている観客にも全く終わりは見えてきません(笑) そのうちに「いつになったら終わるんだよー」とかいう風にいい加減イライラしてくるわけですが、考えてみれば作中の乗組員だって、「いつになったら陸に上がれるんだよ!」という風にイライラしているわけで、それどころか映画のクライマックスではもうダメか、というくらいに深く深く潜行してそのまんま浮かび上がれないかも、という状況に陥っているわけで……3時間半の長尺は、まさに彼ら乗組員の心情を追体験するためなんじゃなかろうか、という風に思えるのでありました。



 ちなみに……ネタバレ宣言してないので敢えて書きませんけど、ラストシーンは結構有名ですよねぇ。このシニカルな顛末を見て、ASDは何げに同じペーターゼン監督の「パーフェクト・ストーム」を思い出してしまいました。結構散々な意見の聞かれる作品ですが(笑)、延々と襲いかかる暴風雨、それと戦い続ける漁師達を待っていた結末……という辺りのシニカルさが、意外と「Uボート」に似ていなくもないなぁ、と思ってみたり。
 ま、だから面白いとかつまらないとかいうコメントは敢えて避けさせていただきますけどね(爆)



オススメ度:☆☆☆(サラウンド化された音声もなかなか良好でした)



 


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