『ヒメオオ採集リベンジ編』
『また必ずヒメオオの棲むブナの森に行こう。』
・・・・・前回の採集記で、こういい残してから、約1年と2ヶ月。
再び、その言葉通り道南に行く日がやって来た。
去年は見事、ヒメオオの姿を見る事なく玉砕…
わが町から道南までは余りにも遠い道のり。
今回採れなければ、また一年間、悶々と過ごす事になる。
半ば悲壮感を持ちながら、道南ヒメオオの里へ往復1100キロのリベンジ採集行が始まった。
8月29日(金) 曇り時々雨 夜間気温18度
何日も前から、この日の天気が気になっていたんだけど、どうやら今夜は道南方面に雨雲が
広がっているようだ。
去年も出発当日は道南に入る頃は雨だったなぁ。
嫌な予感が頭をよぎる。
イカンイカン!余計な事は考えないようにしよう。
気持ちは既に道南に飛んでいるので、仕事に身が入らないが何とか仕事を終わらせ、
予定時間の午後5時より若干早く、待ち合わせ場所のKOBAさん宅に到着しました。
今年もKOBAさん、蛇メタさんと共に行く事になっているんだけど、今回はもう一人、元気一杯の
DEMさんも一緒と言う事で、なにやら賑やかな旅になりそうだなぁ。
全員揃ったところで、いよいよ出発!
もの凄い勢いでDEMさんの愛車が走り出した。
ヒャ〜、このスピードで走って生きて帰れるのだろうか?
・・・・・・・・。
と、びびりながらも何とか、お隣の日高管内に入りました。
この辺は台風10号の通過で、甚大な被害を受けた地帯です。
ザックリえぐれた川岸や、おびただしい量の流木など、台風の爪あとが残ってました。
ホントに日が暮れるのが早くなりました。
午後6時、まずは腹ごしらえと言う事で入った日高管内、某町のドライブインです。
店の名前を冠した丼があったので、さぞ美味しかろうとDEMさん以外の3人がそれを頼んだんだけど、ハァ〜、イマイチ…。
隣りでDEMさんが食ってるハヤシライスが実に美味そうに見える。ドライブインで見たテレビの気象情報では雨雲は渡島半島にかかっている。
その前線も段々、東に移動しているようだけど、灯火採集が心配だな。
腹も膨れた所で、再び出発。
猛烈なスピードで高速をひた走る。
DEMさん、早いぞぉ〜早すぎる〜。(冷汗)
その後の車内での会話はとても公表できないので、大幅にカットしてっと、、、(笑)
フゥ〜、運転もしてないのに車に乗っててこんなに疲れたのは初めてかも…。
そんな事を感じながら、道南は桧山管内に無事トウチャク〜。
途中、天気図の通りに雨が降ったり止んだりしていたが、最初の灯火ポイントに着いた午前0時頃は
路面の濡れ方からして、ちょっと前に雨も通り過ぎた後のようです。
そんな天気の上に、気温も低い割りには、蛾がかなり飛び交ってる様子を見ると、さすがに虫が濃いって感じがします。
キツネのしわざか、バラバラにされて頭だけが残っているミヤマの残骸や、車に轢かれた、まだ新しい
死体があったりして、クワガタは間違いなくきているようです。
しかし、気温のせいかクワの姿は中々見えず…です。
見かけるのは… こんな方々、 ばかり(-_-;)
そう簡単ではないと解かっていても、一縷の望みがある限り、やはり狙いはオオクワなのであります。
彼等の習性から、灯かりに飛んで来ても、すぐに暗い物陰に隠れてしまうはず。
光源から離れた場所や、自販機の下、ゴミ箱の隅など懐中電灯で探します。
そうこうしているうちに、アカアシ♂がみつかりました。
ヒャッホ〜!
こちらに来てから初めてご対面したクワガタに嬉しさの余り、
ピンボケになってしまった。(な、訳ないか)
その後も、数は少ないとはいえ各灯火ポイントで、ミヤマ、ノコ、アカアシを採集できました。
こうやって仲間が一緒だから心強いけど、深夜に不慣れな道を昨年の記憶を頼りに、迷いながら走るなんて、
一人じゃやる気にはなれないなぁ。
だって、いかにも〜な廃校なんかがある小さな集落なんて一人じゃコワイっすぅ。
深夜になって、疲れと眠気の山を一山越えると何故かハイな気分になって、小さな商店の看板などを
見て、その商店名に大笑いしたり、くだらない事にオオウケする4人でした。
さて、時間もかなり過ぎたので、「もう止めようか」と言う事で、今晩車中泊する予定のパーキングエリアへと向かいました。
パーキングエリアに着いたのは午前2時半位だったかな。
汗と夜露でべたつく手や顔、首筋をそばにある公衆トイレの手洗い場で洗い、出すもの出してスッキリして
フゥっと一服点けて、ふと見上げた夜空…。
うわぁ、見事な星空だぁ!
満天の星とはこの事だな。
見渡す限りの、星、ホシ、★
あんなにはっきりと天の川を見たのは、多分始めてかもな〜。
しばし4人で、その美しさに見とれていました。
時折、流れ星がスっと流れます。
「何か、お願いした?」
「お願いする前に消えちゃいますよ〜。」
いいオヤジをこんな乙女チックな会話にさせる…そんな素晴らしい星空でした。
雲ひとつない夜空に明日の晴天を確信しつつ、午前3時過ぎクワ馬鹿な4人は眠りにつくのでした。
待ってろよ、ヒメオオ。ムニャムニャ…zzz
8月30日(土) 晴れ! 採集地気温23度
アっという間にあさ〜。
午前6時です。
ほとんで寝てましぇん。
DEMさんの車は大きいけど、さすがに車内に大の大人が4人では寝苦しかったなぁ。
余り寝てないけど、この天気に眠気も覚めて気分も盛り上がってきましたよ。
朝食も食べずに顔を洗って早速出発!
と言うか、夕べは灯火採集に夢中になってて、今朝のご飯の事など考えていませんでした。
それに、深夜遅くにコンビニで腹ごしらえしたんで、そんなに腹もすいてないし、午前6時半、採集地に向けてGO!です。
7時頃、去年入った林道に到着。
懐かしいなぁ。
あの時は雨だったけど、今日は絶好のコンディション。
高度計は180m程を表示しています。
開けた場所に車を停めて、はやる気持ちを抑えてゆっくりと歩いて行きます。
丁寧にブナやヤナギを見ていきました。
新しいと思われる食痕はあるものの、ヒメの姿は見られません。
気温もまあまあだし、案外早く第1号がみつかるだろうと楽観視していただけに、この状況に去年の苦い思い出が頭をよぎります。
同じ事を考えているのか、全員無言で黙々と枝先を見たり、木の根元をチェックしています。
どれ位時間が経ったかなぁ。
鳥の鳴き声だけがよく響き渡る中、蛇メタさんの「いたっ!」の声が!
「えっ、ほんとに!」網を持っておれは走りましたよ〜!
うわっうわ!
見上げる先にいるのは確かにヒ、ヒメオオだ!
しかもペアッ!
この瞬間、この光景をどれだけ待ったことか。
逃がしてなるものか。「よしよし、ジッとしておれよ〜。」
おれのただならぬ気配に殺気を感じたのか、網を伸ばそうとした瞬間、ひゃ〜!♀がキュっと足を縮めて落ちちゃったぞ〜!
みんなのア〜〜と言う声…
♂も我々に気付いたようで、オオアゴを開いて威嚇ポーズを取ってます。
こいつまで下に落としちゃ、あまりにもダメージがでか過ぎる。
ドキドキしながら、慎重に叩き棒を使ってネット内に落とそうとするも、ガッチリしがみついて落ちてこない。
ヒヤヒヤしながらも、やっと第1号ネットイン〜!!
この後、足場の悪い根元を掻き分け落下した♀を探すも、ついに見つかりませんでした。(涙)
クワ全般に言えるけど、動きもそれほど速くなく、瞬時に飛べないクワガタにとって、外敵から
逃れる最良の方法は木から落下する事な訳です。
しかも、落下した後すぐに堆積した枯葉や腐葉土の中に潜り込んでいくので、草の生い茂った中
それをみつけるのは容易ではありません。
嬉しいね〜。
記念すべき1頭目は中型な♂。
よくぞ、いてくれたなぁ。ヒィ〜ン(嬉し涙)
勢いに乗って行きたい所だったが、その後は丹念に見て歩くも、ヒメオオの姿は見られませんでした。
ん〜〜、なんでだろ〜。
重役出勤のヒメオオは9時過ぎくらいから出てくると聞いた事もあるから、まだ時間帯が早いんだろうか?
枝先にしがみ付いてる影が見えたので、網を伸ばして採ってみるとセミでした。ハァ かなり腐朽した倒木があったんで、何かいないか見てみると…
オッ、黒光りする立派な甲虫が付いてるぞ。
オオキノコムシだぁ。
温帯のブナ林など極所的に見られる虫で胸のオレンジがキレイ。
ヒメオオの姿がみつからないので、この林道は時間に余裕があれば、帰りにもう一度寄ってみようと言う事で、見切りを
つけて、次のポイントに移動する事にしました。
♂1頭では寂しいぞ。
これでは、まだまだリベンジを果たしたとは言えない。
何日か前に、道南にヒメ採りに入ったクワ友がボウズだったと聞くし、やはりヒメへの道は道南までの距離のように遠く、
余り期待はできないのか。
午前9時頃、次のポイントに入りました。
気温も上がってきて標高200m近くでも23℃程あります。
狭い林道をゆっくり走りながら車内からルッキングしていきます。
それらしい影が見えると飛び出してみるけれど、ヒメオオではありません。
途中からは車から降りて丹念に見て歩く事にしました。
あのカーブを曲がったら、もしかしたら熊と出くわすかもしれない…。
ヒメオオのいる所、必ず熊がいると言っていいのです。
万全の注意を払わなければならないけど、カンカンの日差しの中、4人でいると恐怖感も薄れるというもんです。
この徒歩で探す方法がよかったんだろうか。
ヒメオオが活動を開始する時間帯、気温だったのだろうか、歩き初めてすぐに少し先を行くKOBAさん、蛇メタさんが
見つけたようです。
「デカイぞ!」
採集作戦決行です。
題して 『おれが網を伸ばし獲物の下にあてがい、蛇メタさんが棒でつついて網へと落とす作戦』です。>長すぎ(^_^;)
「よし、届いたぞ。」 「ソっとだぞ。」 「あ、ぁ〜、裏に回ってく〜!」 「早くすれ〜!」 「ホレホレ」
ツンツン…ポトッ… 「よっしゃ〜!!」
♂♀仲良くネットインです!
やったね〜、時間が止まり、全てを忘れる無上の瞬間だな。
嬉しい〜!楽しい〜!
これだから、採集はやめられないなぁ。
その後もいいペースで採集する事ができました。
8月下旬ともなると、♀が産卵行動に入るのか、ほとんど姿を見せなくなると聞いた事があるけど、
今年は冷夏の影響か、ほとんどがつがいで木に付いてます。
ホストとなる樹種はブナやヤナギはもちろん、ハンノキ、タラの木、カンバなどでしたが、調べてみると、
ヤマブドウなどのツル植物、イタヤカエデ、ハンゴウソウ、ノリウツギなどなど多岐に渡るようです。
最初のうち、採集経験のあるKOBAさん、蛇メタさんが見つける事が多かったんだけど、
どうも要領を得ないでいたおれとDEMさんも、段々みつける事ができるようになってきました。
そして何となく、ヒメがどんな木に付いているかの傾向性みたいなものが解かってきました。
わりと開けた、日当たりのいい場所の木にいる事、斜面側よりは片面が谷になっている側の木にいる事、
見上げるような大木ではなく、比較的若い木にいる事、細い枝の中間当たりにいる事が多いなど…です。
経験豊富な方なら、まだポイントがあるのかもしれません。
こ〜んな感じで… 付いてます。
この♂は、かなりカメラを寄せても気付かずに夢中で吸汁してました。
飛んでくるハチをオオアゴで追い払ってました。
途中で、他の木とどこがどう違うのか解からないんだけど、ご神木みたいな木があって、いることいること。
ウヒョ〜。
この木だけで、これだけ採れました。と、思ったら別の木にはスジクワが「スジなり」、いや違った「スズなり」に付いてます。
内歯の確認できる大き目の♂をパチリ。しばらく行くと、林道脇に横たわる苔むすブナの、大きな倒木を発見しました。
何かいないかなぁ。オォ、オニクワだぁ!
図鑑に書いてる通りのシチュエーションの場所にいるんだね〜。
中々、カッコイイ。
この時点で、もう充分満足。
昨年のリベンジを果たし、なおかつお釣りがくるほどの成果です。
ちょっと一服タイム。
それにしても、素晴らしい天気だなぁ。日差しも眩しい。 トンボも日向ぼっこ。
お目当てのヒメオオも採れて、気持ちに余裕が出てくると、いろんな虫に目がいきます。
カエデの葉っぱの裏側にカミキリが止まってました。
写真を撮ってるうちに逃げられたらたまらないので、葉っぱごとわし掴みにすると…
コバネカミキリでした〜!
板のように平たい後ろ足が高速で飛び回るのに都合よさそう。
おれの住んでる道東にはいない種なんで、チョーウレシイ!時折、目の前を横切る光り輝く虫が気になってしょうがない。
網を一振り!
アオカナブンだぁ。
ン〜、キレイ。
その他にも、ゴミムシやオサムシなんかがいたりして、もう少し早い時期に
クワ以外の甲虫狙いで来るのも楽しいだろうなぁ。
その後、しばらく採集を続けヒメオオを追加した後、帰りの時間も迫ってきたので、そろそろ切上げる事にしました。
充分な成果に大満足の4人でした。
こうして、ヒメオオ採集は無事に大成功のもと終了したのでした。
なんとも言えない達成感に心も軽く、悔しい想いで帰ってきた昨年が遠い昔の事のようです。
改めて虫採りの楽しさ、醍醐味を実感できました。
50mm♂ 24mm♂
町まで出てきて、気が緩んだとたんに空腹感をおぼえて、コンビニで弁当を購入。
食べ終わって、走る車窓から見た日本海があんまり綺麗だったんで、車を停めました。
真っ青な空ときらめく海。
そして吹く潮風。
あぁ…来てよかった。
来年またここに来るかどうかは未定だけど、今度の狙いは長いレンズを持って来てヒメオオの自然の姿を
たくさん撮ってみたい。
そして、夢にまで見た道産オオクワの採集だなぁ。
帰りは疲れているにも関わらず、若干遠回りになるけれど、これまた虫の濃い某町に立ち寄る事にしました。
ホント、クワ馬鹿な4人です。
灯火採集にて、クワガタと言うよりカミキリ、ダイコクコガネ狙いだったけど、時期が遅かった事と気温が低かったせいで
見つける事はできませんでした。
でもこの町で食べた夕食のラーメンが美味かったんで、よしとします。
午後9時頃、無事帰宅しました。
真っ先に「採れた!?」と聞いてくる子供達に鼻高々でヒメオオを見せてやりました。
今回もお世話になったKOBAさん、蛇メタさん、ありがとう。
ずっと長い道のりを運転してくれたDEMさん、ありがとう。
よき仲間に感謝。
そしてヒメオオの棲む道南の大自然に感謝。
2003年9月7日
こたに
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