むしむしフェスティバルとブナの森 in 厚沢部町


北海道の南部、渡島半島の日本海側にある厚沢部(あっさぶ)町。

総面積の82%を豊かな森林が占めている。
人口五千人程の静かな町である。


伝統文化「鹿子舞」や天然記念物に指定されている「鶉川五葉松」の自生北限地帯でもある。

そしてヒメオオが棲むブナの森が広がる、まさに「くわがたの里」と呼ぶにふさわしい町なのである。





〓 御 礼 〓

今回、昨年に引き続きこの厚沢部町で「むしむしフェスティバル」が行われると言う事で、TBFメンバー6人で二組に分かれて行ってまいりました。

普段、中々お会いできない方達との交流やクワガタ採集と、アっという間の楽しいひと時を過ごす事ができました。

到着した夜には美味しいお弁当を用意して頂き、夜もビールなどをご馳走になったりして、すっかり御好意に甘えっ放しで何のお手伝いも後片付けもせずに帰ってきてしまいました。
ろくにお礼も言えなかったような気がして、この場をお借りしてお礼申し上げます。

地元厚沢部の皆さん、札幌「ヘラクレス・ヘラクレス」を始めクワ仲間のみなさん、
函館方面のみなさん、御心使いありがとうございました。



〓 一日目 〓

7月6日、いよいよ待ちに待った厚沢部へ行く日がやってきた!
前日は二日間留守にする事を考えて、クワ達に餌を与えたりヤボ用を片付けたりして慌しい一日を過ごした。
明日に備え早めに寝ようと思っていたけど、結局いつもどうりの時間に布団に入った。
布団の中で、あれこれ楽しげな事が思い浮かんでくる。
ただひとつ・・・天候が心配だ。
台風5号が北上している。何とか終わるまで天気がもってくれればいいんだけど。

出発当日、朝7時に目が覚めた。
すぐにカーテンを開けると、うす曇りだけど雨は降ってない。よしよし。
少しノンビリしてから、出発の準備を始めた。
タオルに寝袋に〜、軍手、懐中電灯。おっ、そうだ、虫よけスプレーも入れとこう。
支度の手伝いをするかみさんも、あれはこれはと、いやに親切だな・・。
二日間、おれがいないのが嬉しいなんて事はないだろうけどね〜。 ( ̄。 ̄;)
夫婦円満ちゅう事だな。ハハ・・。

今回はKOBAさん、蛇メタさんの車に乗せて頂く事になっているので、KOBAさん宅に午後1時少し前に到着した。
まだ蛇メタさんが来てないと言う事で雑談しながら待っていると、前日に出発しているFMさんから電話が入った。
天候が悪い事や時期的な事から結果は思わしくなかったようだが、ヒメオオをゲットしたらしい。
何やら期待感がムクムクと膨らんだ。
問題の天気だが、向こうは小雨と言う事だった。今後、天候が悪化しそうなので会場も変更になるらしいという事だ。
やはり台風が来るのか〜。
膨らんだ期待感がショボショボ〜としぼんでいった。

しばらくすると蛇メタさんも来たので、いよいよシュッパ〜ツ!
途中コンビニで昼ご飯を買う。
ついでに虫のオモチャが入ってるお菓子を、占い代わりにひとつ買ってみた。
オオクワでも出ればメチャ縁起がいいんだけどなぁ。
中を開けると入っていたのは、、、ゴ、ゴホンヅノカブト。
こいつは我が家では羽化不全で★になったんだよな〜。は〜・・(′O`)〜3

車は走る。
道東自動車道から道央道へ乗り換え厚沢部へ向けて突っ走る。
6時間の長い道中。途中からは雨もフロントガラスを叩くけど、車内の会話は明るく、楽しい。
まだ今の所は元気な三人であった。





出発してから約5時間。
左手に太平洋の景色を見ながら
午後6時過ぎに八雲町に入った。
雨は弱くなったり強くなったりしながら降り続いている。
途中FMさんからの電話で会場がやはり変更になったと言う事であった。
指示どうり落部から厚沢部へと向かう。
外はかなり薄暗くなってきた。
山あいの細い舗道を走るとポツリポツリと農家の灯りが見えて、水田があったりする。
の両側に迫るように山が連なっている。
雨で霞んでいるのと薄暗さの為、余計に森の深さを感じる。
おれの住んでる十勝とは何となく景色が違うような気がする。
とにかく木の密度が濃い感じがする。


予想していた時間通り午後7時頃に今回会場となる厚沢部町総合体育館に到着した。
立派な建物だなぁ。
体育館の中に入ると、あっさぶの蕎麦屋さんを始めとする、地元の商工会青年部のみなさんがセッセと当日の準備をされていました。
会場の奥の方に目をやると、いましたいました!
札幌からやってきた、ヘラヘラのマスターにドルクスーFさん、ひでさんにM−zooさん。
釣り人さんにけーじんさんもいらっしゃいましたね。
箱の中から虫を一頭づつ取り出しては種類別にテーブルの上に並べていったりと忙しそうに仕事をしております。
こう見えても意外にシャイなおれは、このクワガタの達人達に中々声をかけられないんだけど、あちらの方から気さくに声をかけていただき、前日からこちらに来ている帯広のクワ友、FMさん、ラオウさん、青ちんさんの顔も見えたりして気持ちはすぐにほぐれました。
並べられた虫達をあれやこれやと見ながら、話しをしていたんだけど、準備の邪魔だったかも・・・。すいましぇんでした。




本当なら、今夜は灯火採集に繰り出して特大のミヤマなぞをゲットする腹づもりでいたのだが、雨と風でやむなく断念。
体育館の中で過ごす事となりました。






でも、こんなミヤマを見せ付けられると、採りに行きて〜!
いつも思うんだけど、道南のミヤマはデカイうえに幅があるように思うな〜。
道東方面にも70mmを越えるような奴はきっと少なくはないと思うんだけど、滅多にお目にかかれないなぁ。
まるとみさんがバックホーで掘り返すとデカイミヤマの死骸がたくさん出て来たと言ってたように思うけど、シバレのきつい道東ではかなり深い場所に蛹室を作ってしまうので、
その為に特に大きい個体は地上に脱出できないで力つきちゃうのかなぁ?

我々がブラブラしている間に準備もひとだんらくしたと言う事で、今夜宿泊させていただく道の駅の横に建っている会館に移動しました。
去年はここで虫の即売会を開いたそうです。

酒を飲みながら楽しい一夜でしたね〜。
十勝からやってきた我々6人に、林原さんご夫婦、magoさんご夫婦、まさのりさん、M−zooさん、けーじんさん、ドルクスーFさん、ひでさん、、、。
あ、そうそう!林原さん、まさのりさん、magoさんの未来のクワ馬鹿予備軍の男の子も4人参加してたね〜。
ガキンチョ、いやいや子供さん達が走り回り、我々の笑い声が飛び交う中、何故かミヤマクワガタも部屋の中をブンブン飛んでたな〜!
さすが、クワ馬鹿の飲み会だけの事はあるな。
何だかワヤな夜でした。
一応横にはなったけど、あんまり
寝たという感じがしないまま朝になるのでした。
朦朧とした意識の中で、actaeon♀さんの笑い声が頭の中に響き渡っている。
あれは夢だったのか、現実だったのか・・・。



〓 二日目 〓

うぅ〜〜、眠い・・・。
午前5時、隣りに寝てたKOBAさんがおれの足をくすぐった。
「雨、降ってないよ。採集行くかい?」
灯火採集に行けなかった前の日から、明日は雨が降ってなかったら、イベントが始まる前にヒメオオのポイントに行こうと言う話しになっていたのである。
ほとんど、寝てないような状態だったけど、今行かなければ今回ここに来た意味がない。
蛇メタさんと3人で、周りを起こさないように静かに身支度を始めた。
子供達はすでに起きていて、何やらカードゲームをしている。
夜もかなり遅くまで騒いでいたのに、子供のパワーにはびっくりする。

おれの横で、FMさんが唐草模様の風呂敷を大きな腹の上にかけてイビキをかいている。 ( ̄。 ̄)〜zzz
寝顔は中々無邪気でカワイイ・・・。ふふふ。

厚沢部の西側に向かって走って行くと日本海の海岸線に出た。
浜の町の朝は早い。
5時半くらいだと思うが、漁師のおかみさんらしき人が道路に出ていたり、加工場の電気が点いてたりしている。
ポイントに向かう途中、ジリのような雨も止んで空は明るくなってきた。
窓から見える朝の海岸の景色は綺麗だったな〜。
この景色を写真に収めてくるだけでも、ここまで来た甲斐があると言うものだ。
一眼レフでも持ってくればよかったな。
なんだか気持ちも明るくなって眠気も覚めてきた。
運がよければ、雨上がりにブナの木を這い上がって行くヒメを見れるかもしれない。

そんな期待を抱きながら、出発してから1時間程で、最初のポイントに入った。
林道を山の上に向かって走って行くが、途中で行き止まりになってるので、車を止めて長靴を履いて徒歩で更に上に向かう。
蛇メタさんの腰につけた熊除けの鈴がカランカラン鳴っている。
十勝では見られないブナの木が道の両側にたくさん見えてきた。

ヒメオオのメスが残した独特の食痕が幹や枝に残っている。
雨で木が濡れているので、新しい物かどうか解からないが、そんな木は特に一本一本念入りにルッキングする。
根元の土もシャベルで除けてみたりする。足元が滑って危なっかしい。
そんな事を何ヶ所かやってみるが、見つからない。
そうこうしてるうちに、少し降り出していた雨が強くなってきたなと思う間もなくスコールのような降りになった。
もう続行不可能だ〜!
ずぶ濡れになって車にたどり着いた。





しかし、ここでめげていてはクワ馬鹿とは言えない。
と言うか午前5時にクワ採りに山に入る事自体、一般の人から見れば、充分馬鹿というか常軌を逸していると思うに違いないけど。

二ヶ所目のポイントからは、雨は小降りになったとはいえ、降っているので、車の窓からゆっくりと林道沿いに生えたブナを見て回った。
それらしい物が見えると、「いた!」とばかりに外に飛び出すのだが、何かの見間違えが続いた。

最後に入った林道も何も見つからないまま、終わろうとした時、おれはブナの木の幹をゆっくりと上がっていく黒い物体を見たね!
間違いない、クワガタだ!急いで車から飛び降りてその木に寄ってみた。
「ありゃ〜、なんじゃ〜。」クワガタだと思ったその虫は・・・
エゾマイマイカブリだだだ・・・ ( ̄□ ̄;)!!






一応持って帰ったが、誰も欲しい人がいない。
magoさんまで、いらんとな・・。

残念ながら、やはり天候が悪かったし時期的にも少し早かったのかもしれない。
ヒメは採る事ができなかったけど、ヒメの棲むブナの森を歩いて採集を体験できた事はホントに有意義だった。
山の中で採集すると言う、あの現場の「空気」を体感できただけでも、いい体験ができたと思っている。

後ろ髪を引かれながら、むしむしフェスティバルの開始も迫っていたので、帰路に着いた。
途中コンビニで朝食を食う。
熱いお湯を入れて食べたシジミの味噌汁が美味かったな〜!

函館のタイソンさんから、電話が入った。
新しくクワ友になったNIRAさん家族と一緒に厚沢部のイベント会場に向かっているとの事。
再開が楽しみだな。
車中で、「この雨じゃ、人出が心配だな。」などと話していたが会場に着いてみると、杞憂に過ぎない事が解かった。
凄い人である。ゾロゾロと人が会場に入って行く。
最初に車を停めていた場所も塞がってしまって、誘導にしたがって少し離れた所に車を停めた。




この雨の中、場所が変更になったにも関わらず大盛況である。
クワカブ人気恐るべし!
クワガタコーナーは親子連れのお客さんで混み合っている。
ニコニコしながら虫の入ったケースを下げて帰って行く子供達の姿が印象的でありました。
販売のお手伝いや飼育相談をされているクワ仲間のみなさんが一生懸命に仕事をされていました。
準備の時も含めて、大成功の影にこうしたみなさんの労をいとまない姿があるんですね。

しかし、凄い人だったな。少し人の動きも落ち着いた所で密かに狙っていたラゴダールはあるかなと行ってみると、案の定、売れちまっていました。
ま、いっか。(^-^)
ちなみに4000人の方が来られたそうです。こりゃ、クワガタなくなる訳だわ。

会場では函館から来たタイソンさんと久し振りに会い、NIRAさんとも始めて会う事ができました。
二人共、函館でクワにドップリはまってる様子を話してくれました。
会う人みんな楽しそうにニコニコしてお祭りっていいね。

今回、もう一人お会いしたかった人がいたんです。
11時頃、電話がなりました。
会場で会う約束をしていたんです。
おれがグランの飼育を始める時にこの方のサイトを参考にさせてもらってメールでも色々とお話しさせてもらっていた道南にお住まいの「おやGさん」です。
メールの文面からも優しい人柄がにじみ出ていたけど、実際お会いするとイメージ通りの方でした。
お土産にと極太の立派なグランのペアを頂いてしまいました。
その御心使いに感激してしまいました。
あまりお話できなかったけど、僅かな時間でもその人の印象というのはずっと残るもんです。

そんな楽しい時間もアッという間に過ぎて帰る時間になってしまいました。
みなさんにご挨拶した後、帰りは6人一緒に会場を後にしました。
しか〜し、このまま黙って家に帰る我々ではなかったのでした。
天気も回復して蒸し暑い感じになってきた事もあり、今度はFMさんの案内で、再び採集の始まり、ハジマリ〜!!
ホント、クワの事になると疲れ知らずの馬鹿としか言いようないね。(^_^;)




細い林道に入って行くとあちこちに熊の糞が転がってる。 (-.-;)
一人じゃ来る気になれないね〜。
しかし、即売会のお手伝いをされていた達人達は平気で山に入るらしい。
しかも一人で、しかも夜だったりするそうです。
でもそのくらい腹を決めて、のめり込まなければ道産オオなど採れるもんではないのです。





車2台に分かれて、丁寧にルッキングして歩きました。
気温も上がってきたせいか、クワガタも活動し始めたようで、アカアシやミヤマを見る事ができました。





何ヶ所かの林道を見て回りましたが、写真のような樹液を出してる樹はそう多くはないもんです。
これはと言う洞(うろ)は、ほじくられた後があったり、樹皮がめくられてる木もありました。
隙間に潜り込んでいるクワガタがいました。
「まさかオオクワ!」
な訳はなくってコクワの♂でした。
でも中々のサイズでしたよ。




見上げて見ると葉の裏にミヤマのメスが付いていたりします。
メスの付いている木はオスがいる可能性が高いので、幹を蹴飛ばしてみます。
太い木なので、人間の蹴りくらいはたいした振動でもないかもしれないけど、驚いたクワガタはバラバラっと落ちてきます。
草むらに落ちる時の音が「パサッ」じゃなくて「バサッ」って言う音が大物の予感をさせたりします。
こんな時は大の大人が頭を寄せ合いながら「どこだ、どこだ!」と草むらを掻き分けて「お〜!でけぇ〜!」なんて叫んだりします。
完全に子供に帰っちゃってるね。
おれもなんだけどさ。 (^ ^ゞ

どう見ても70以上はあるなと思った固体でも、その場で測定してみると、60台後半だったりして70mmというサイズがいかにデカイか解かるというもんです。
ちなみに去年報告された採集ギネスは77mmだそうで、これはもうおれに言わせるとオバケとしか言いようがないサイズです。

メスと小さいオスはリリースして、全ての日程は無事終了したのでした。
帰りの車中はさすがに来る時ほどの元気はなかったけど、いい思い出を胸に帰ってきました。
ずっと運転してた蛇メタさんも、限界と言う事で途中KOBAさんと運転を交代しました。
最初から最後まで、お二人には大変お世話になりました。m(_ _)m

午後8時頃、芽室町のKOBAさん宅に到着。

住み慣れた我が町も真っ暗になっていました。



〓 さいごに 〓

今回の訪問記は自分のサイトだけではなく、TBFのサイトからもリンクできるようにすると言う事もあり、記憶と感動が鮮明なうちに書き上げようと、ずぼらな自分にしては懸命に書いたつもりでいます。
でも、私の稚拙な文章力では中々伝えきれない部分も多く、執筆に時間がかかった割には、雰囲気が伝わっていないかもしれません。
また、お会いしながら名前を存じあげない為に、書き込めなかった方もいらっしゃると思います。
どうぞご了承ください。


来年は是非みなさんも参加してみてください。
思い切って普段の行動エリアからポーンと飛び出してみてください。
きっと新たな発見ができると思います。

最後にお世話になった方々に重ねて御礼申し上げます。





また必ずヒメオオの棲むブナの森に行こう。

2002年7月12日  
こたに



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