「スナッチ」
監督・脚本:ガイ・リッチー
主演:ジェイソン・ステイサム、ブラッド・ピット、ベネチオ・デル・トロ、
ビニー・ジョーンズ、デニス・ファリーナ、他
鑑賞日:2001.4
裏世界で賭けボクシングのプロモーターをしているターキッシュは、パイキーと呼ばれるジプシー達とトラブルを起こしてしまう。負傷してしまった手持ちのボクサーの代わりにリングに立ったのは、そのボクサーをノシてしまったパイキーの若者・ミッキー(ブラピです)。しかし、八百長で沈むハズだったのに最初の一撃で相手をノシてしまい、ターキッシュは裏ボクシングの元締めブリック・トップに目をつけられるハメに。
ベルギーにて86カラットの特大ダイヤの強奪に成功した凄腕の強盗・フランキー。彼はNYのボスの元へ戻る前に、その他のブツの換金のためにロンドンに立ち寄る。その特大ダイヤに目をつけたロシア人のバイヤー・ボリスは故買屋のソルらを雇い、ダイヤを奪わせるが、彼らが襲撃したのはブリック・トップが経営する、賭けボクシングの窓口。彼に目をつけられたソル達は、ボリスの狙っていたダイヤを追うハメに。
一方で、フランキーの帰還を待ちきれずに、彼のNYのボス・アビーはロンドンにやって来る。ダイヤの行方を追って彼は私立探偵トニーとともに、ロンドン中をかけ巡る……思惑が交錯する中、ダイヤを手にするのは一体誰なのか……?
* * *
とまあ、関係あるのかないのか、いろんな登場人物が複雑に絡み合っていますね(笑) このまま語り続けたら最後まで行ってしまうのでここまでにしておきます(笑)
本作はよくクールとかスタイリッシュとか表現されますが、実際にはどんくさいオヤジばかりがズラリと登場しまして、見た目で言えばクールでもスタイリッシュでもございません(笑) かのブラピにした所で、往年の清潔感あふれる二枚目っぷりはどこへやら、「ファイトクラブ」に輪をかけての小汚い汗くさいカッコで登場しております。
では、ナニがクールかつスタイリッシュかと言いますと、関係あるのかないのかすら分からない濃ゆーいメンツそれぞれのエピソードが、ダイヤと賭けボクシングを中心にものの見事に一本に繋がってしまう、そのシナリオ運び、その演出にあるわけです。まさにクール! まさにスタイリッシュ!
で、この話って何が言いたかったの? という話をしてもまあ小難しいテーマとかそんなものは何も見えてこないとは思いますが(爆)、これだけの話を2時間足らずで見事語り切っている、その手際のよさ自体が見どころと言えるかも知れません。
こういうお話ですから、特に主役らしい主役というのはこの作品には存在しませんでして、むしろそういう複雑なストーリーそのものが主役である、と言えるでしょう。
そんなお話を盛り立てるのは、一癖もふた癖もある個性派の役者たち。あの映画この映画で脇役や悪役を演じているあの人この人、濃ゆーいメンツがズラリ顔を揃えております(笑) シナリオや演出はあくまでも複雑なストーリーを追う事に終始し、それを彩る個性的なキャラ達は、やはり濃ゆーい個性をお持ちの役者さん達に委ねられているわけですね。皆さん不気味に不敵に、生き生きと演じていました(笑)
こういう複雑な人間関係をめぐるどうのこうの、それも犯罪映画という話をすれば、どうしてもクエンティン・タランティーノの「パルプ・フィクション」を連想してしまうんですけど……。
「パルプ〜」が3本のエピソードの中で雑多な登場人物を取り敢えずリンクして見せただけなのに対し、「スナッチ」ではここまで複雑に入り組んだ利害関係のあれやこれやの顛末を、ダイヤと賭けボクシングという二つの要素を中心として見事1本に繋げてしまったという所がスゴイわけですよ。
そういう意味では、ガイ・リッチーはタランティーノを越えた!と言っても過言ではないかも知れません。そもそも、タランティーノって今現在一体どこで何をしているんでしょう……?(爆) スタイリッシュな作風で一世を風靡した人が、一気に過去の人になってしまった事を実感した作品でありました。
ちなみにタランティーノ、新しい企画が動いているらしいんですけど……「バトルロワイアル」にお世辞言ってる場合じゃないぞ!(笑)
オススメ度:☆☆☆☆☆
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