-cinema diary-

12月の映画日記


 

2001.12.28 盗掘

「トゥームレイダー」

監督:サイモン・ウェスト
主演:アンジェリーナ・ジョリー、ジョン・ヴォイト、他

鑑賞日:2001.11.1

official web site:http://tombraider.eigafan.com/


 トレジャー・ハンターのララ・クロフト(アンジェリーナ・ジョリー)は、20年前に失踪した父クロフト卿(ジョン・ヴォイト)が隠した、不思議な時計を発見する。それは、時空を自在に操るパワーを持つ不思議な石「ホーリートライアングル」の在りかを示す「鍵」だった。
 その石を狙う秘密結社「イルミナティ」は、鍵を奪取するためにララを付け狙う。彼女は、イルミナティの陰謀を阻止しようとした父の意思を継いで、イルミナティより先に石を手に入れようとする。石が力を発揮するという、5000年に一度の惑星直列の時が今まさに近づきつつあった……。


    *    *    *


 うーむ、なんかあらすじの書きにくい映画です。上の文章でほぼネタバレですけど、バレたからどうだ、というものでもないですし……(笑)
 ともあれ、久々に気持ちのいいくらいのハズレ映画でした(笑)
 全米で大ヒットしたゲーム「トゥームレイダー」シリーズの、待望の映画化!という触れ込みの本作ですが……。
 トゥームレイダー(墓荒らし)の名前通り、基本的にはインディ・ジョーンズばりの大冒険……のはずなんですけども、実際はただ飛んだり跳ねたりしているだけの映画です。先達の傑作のごとき、ドキドキワクワク感にきわめて乏しい作品でありました。
 つうか、考古学者が大冒険、という範疇を大きく踏み越えて雑誌「ムー」の領域に突入してしまっている、という印象なんですけども……(笑)
 なんと言いますか……せめて「インディ〜」とか「ハムナプトラ」程度には、考古学的なリアリティ(&適度なハッタリ)が欲しいところなんですけどもねえ。遺跡に乗り込んでいって、なんかこう仕掛けがあるのを飛んだり跳ねたりでクリアして、アイテムをゲットするという……要するに、ゲームそのまんまの印象なんじゃないかなー、と思うわけです。
 ビジュアル的にも、古代の遺跡のはずなのに妙にメカメカしいというか、SFくさいのが何だか……。
 映画としてみれば、ララ・クロフトの設定がマンガちっくをはるかに超越するくらいに嘘くさかったり(せめてバットマンを見習って欲しい)、父と子のドラマがあまりもベタだったり……ヘボい原作を無理になぞっているような感覚なんですよね。
 っていうか、その「ただなぞっている」部分に力が大きく注がれているという感じでしょうか。このどうしようも無さ、過去に映画化された「ストリートファイター」に匹敵するしょぼさでした(笑)
 伝え聞くところによると、脚本が難航してのべ11人のライターが携わっていたとかなんとか……。どうにもこうにも、シナリオで難航した映画に限ってシナリオがやはりイマイチであるように思われます(笑) 例えば「エイリアン3」とか……。
 それはそれとして、アメコミ原作の作品はアメリカ本国で当たって日本でコケる、というジンクスがあるもようですが、ゲーム原作の映画はそれよりももっと致命的ではないでしょうか(笑) 他にも「スーパーマリオ」とか、ねえ……(爆)
(でも「トゥーム〜」に比べれば「マリオ」の方がまだマシなような気も(笑))
 監督はサイモン・ウェスト。ブラッカイマー製作の「コン・エアー」の人ですが、この人は監督作を重ねるたびに評価が下がっていくような気がするなあ。本作でもアクション部分の描写にあれこれと頑張っておりましたが、中盤のバイクのアクションなんかそのまんま「M:I−2」でしたし……うーむ。いいのかそれで。



 ……あと、まったくどうでも良い話なんですけども、どうにもこうにもアンジェリーナ・ジョリーのウソ胸はやっぱり気になります。あからさまに不自然だろ、それは(笑)

おすすめ度:☆(何も聞かないで、と言った感じです(笑))




2001.12.28 混んでます

「ラッシュアワー2」

監督:ブレット・ラトナー
主演:ジャッキー・チェン、クリス・タッカー、ジョン・ローン、チャン・ツィイー他

鑑賞日:2001.10.27

official web site:http://www.rushhour2.net/


 LAから香港に戻ってきたリー警部(ジャッキー・チェン)と、その香港を休暇で訪れていたロス市警のカーター(クリス・タッカー)。休暇を満喫しようという二人だったが、アメリカ大使館が爆破されるという事件が起こる。
 事件は、偽札「スーパービル」の調査の妨害が目的だった。リーとカーターは、偽札に関与しているとされる組織のボス、リッキー・タン(ジョン・ローン)に迫るが、彼は右腕である殺し屋フー・リ(チャン・ツィイー)に裏切られてしまう。偽札を追って、二人はアメリカへ飛ぶが……。


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 ジャッキー・チェンが偉大だなあ、と思うのは、そのスタント能力でもコメディセンスでもなしに、自ら「ジャッキー映画」とでも言うべきジャンルを確立した所にあるのでは、と思うのです。
 ジャッキー・チェンは基本的にクンフー映画の人です。しかし、70年代が終わる辺りで、格闘家同士の格闘戦を描くようなスタイルの映画は、すでにやり尽くされてしまっていたわけです。
 この頃から自身の監督作を手掛けるようになったジャッキー・チェン、彼はクンフー=格闘という概念を踏み越え、クンフーを普通のアクション映画に取り入れたわけです。殴る、蹴るという直接的なガチンコバトルから逸脱し、さまざまな小道具をたくみに生かした「カンフー=曲芸」というスタイルを確立したのでありました。
 その上で、「巻き込まれ型サスペンス」という枠の中で、主人公がクンフー的な身のこなしで持って危機を切り抜けていく……というスタイルで持って、自然にクンフー要素を非クンフーアクションの枠組に取り込んでいったわけです。
 しかし、普通の人間がクンフーの達人つうのは、いかに中国・香港とは言え不自然なわけですよ(笑) 彼はこの問題を、映画自体にコメディテイストを貫くことで切り抜けました。コメディならば、クンフーの曲芸的な側面も生きてきますし、作品のリアリズムも確保出来ます。
 そんなこんなで、彼の映画の基本パターンである、クンフーアクション+巻き込まれサスペンス+コメディタッチというスタイルが確立されたわけです。ただ時計塔から落ちたのがスゴイだけじゃないんですよね。



 まあ何でそんな事を持ち上げたのかと言いますと……。
 彼の映画の、「体を張ったアクション」というスタイルは、実はこっそりハリウッドの作品にも真似されているわけですが……本作「ラッシュアワー」の監督であるブレット・ラトナーは、何故か知りませんがこういう「ジャッキー的」な作品づくりを、非常にあからさまになぞっている監督なのですよ(笑)
 一作目の「ランナウェイ」は、主演がクリス・タッカーの巻き込まれ型サスペンス映画、という事で、コメディ+サスペンス+肉体酷使型アクション、という風に、まるでパクったように「ジャッキー風」の映画だったわけですね(笑) その彼が、クリス・タッカーの相方に当のジャッキー自身を招いて撮ったのが「ラッシュアワー」という事で……ある意味非常に興味深い作品でありました(笑)
 でもって、その続編に当たるのが、本作「ラッシュアワー2」です。
 前作では安全主義のハリウッドにおいて、ジャッキーを使いあぐねているという印象が有りましたが、本作はなかなかどうして、さり気なくアクションシーンがパワーアップしているような印象がありました。前半部分、工事現場の竹の足場のシーンなど、ジャッキーの本場香港ものと見比べても割と遜色のないデキだったのではないでしょうか。……そうは言っても、ムチャはアクションはやっぱりなりを潜めていて、どちらかと言えば小ワザがメインなんですけどね。
 少なくとも前作よりは、いかにもジャッキーらしい映画になっていたと思います。むしろ逆に、クリス・タッカーのマシンガントークがアクションの前に霞んでしまっていて、ギャグの方がパワーダウンしていたかも知れませんが……。
 ところでこの作品、実は本編よりも笑えるのがNG集です(笑) 前作のNG集では英語が不得手なジャッキーのトチリが多かったわけですが、今回トチりまくりなのはむしろクリス・タッカー。ジャッキーの役名は「リー」なのに、随所で「ジャッキー」と呼びまくり……(笑) あまりに自然に間違えるのが面白かったです(笑)
 一番すごいNGは、撮影中にタッカーのケータイが鳴った事……(爆) おいおいおい、上映中のケータイもマナー違反ですけど、まさか撮影中の役者のケータイがオフになってないとは……!(爆)



 そうそう、監督のブレット・ラトナーはなんでも「羊たちの沈黙」「ハンニバル」の前日談である「レッド・ドラゴン」の監督に決まったそうです。またもやハンニバル・レクターが登場するわけですが……いっときはこれをジュード・ロウが演じるという噂も有りましたが、結局アンソニー・ホプキンスが三度演じるのだそうです。
 うーむ、個人的にはジュード・ロウの方が見たいんですけども……。




2001.12.28 RONIN?

「スコア」
 
監督:フランク・オズ
主演:ロバート・デ・ニーロ、エドワード・ノートン、マーロン・ブランド、アンジェラ・バセット他

鑑賞日:2001.10.11

official web site:http://www.high-score.jp/

 モントリオールのジャズクラブのオーナーであるニック(ロバート・デ・ニーロ)は、スゴ腕の金庫破りという裏の顔を持っている。クラブの運営も順調、恋人ダイアン(アンジェラ・バセット)との関係も良好で、そろそろ足を洗おうかと考えていた。
 そんな折、ブローカーで長年の友人でもあるマックス(マーロン・ブランド)が持ってきたのは、400万ドルという破格の仕事。だが、場所は地元モントリオールの税関ビルという難所で、しかも見知らぬ内通者と組んでの仕事である。難色を示すニックだが、その内通者であるジャック(エドワード・ノートン)の強引な説得で、結局引き受ける事に。これが最後と決意するニックだったが、それは一筋縄ではいかないヤマだった……。


    *    *    *


 演技派俳優3世代激突!がどうにもウリらしい本作ですが……一体どの辺が演技派なのか、よく分からない映画でした(笑) 
 つうか、実にストレートなスター映画だったと思います。
 デ・ニーロ主演でプロフェッショナルの悲哀を描いたサスペンス物としては、スパイ・アクション物の「RONIN」がありますが……内容的には、何だかその二番煎じみたいな感じでした。しかも出がらしで、お湯もぬるいぞ、みたいな感じで(爆)
 特にデ・ニーロさんの場合、演じているキャラが「RONIN」の時とほとんど大差なし、つうのが致命的な感じです(爆) 演技派で有名な彼ですが、こういうスターらしい役回りって意外にニガテだったんじゃないでしょうか。
 それとがっぷり競演しているのがエドワード・ノートン。デニーロさんがスターらしい貫禄を振りまく事に専念している一方で、若手らしい熱演を見せてくれたのが彼なんですが……そのやんちゃくさい若造キャラ、なんか他の作品でも見たような気がするよ!(笑)
 そしてマーロン・ブランドに至っては、もう何もコメントする事は無いです(笑) なんかもう、すげえよぼよぼのおじいちゃんなんですよ。これが演技だったら逆にスゴイんですけども(爆)、なんか往年の有名スターがただ顔出しで出てきただけ、というまんまそのままのノリでした(爆)
 何と言いますか……3人の共演がウリになるのはいいとして、共演している事実以外に他にウリがないっつうのは、ちょっとどうかと思わない事もないんですが……(爆) アンジェラ・バセットも、ピンで出てくれば主役を張れる役者なのに、ただの添え物ヒロインに徹してますし……そういう意味では、なんとも役者の自己主張の希薄な映画でした。



 では、シナリオがめちゃめちゃ凝りに凝っているかというと……実はそんな事もないです(笑) 困難な金庫破りに挑む男たちのドラマ……という一言で終わってしまうシロモノでした。せめてもうひとひねり、ドンデン返しがあってもいいと思うんですけどねえ……。
 例えば、先に名前の挙がった「RONIN」という映画の場合、雇われたスパイ達が、いざケースを敵から奪回した後で、内紛によってケースがあっちへいったりこっちへいったりするのが面白かったわけですが……。この「スコア」の場合で言うと、モノを奪取したその時点で終わっているという感じです。話半分で終わっている「RONIN」という感じ。それってやっぱ物足りないッス(笑)
 まあ、実際の金庫破りのプロセスは確かに凝りまくりでしたけど、結局若手とベテランの確執のドラマとか、デ・ニーロさんと恋人との関係とか、そういう人間ドラマを中途半端に追いかけているおかげで、犯罪モノとしては非常にありがちになってしまっているのが、なんだかなあ、なのですよ。
 例えば、タランティーノやガイ・リッチーという最近の作家(タランティーノはもう10年前の人ですが(笑))の場合、むしろ家族や友人や恋人との関係、人生設計に悩んでいるような、「悩める犯罪者」像というのは敢えて否定しているわけです。それよりも、殺しを前にしてテレビや映画の話題といった雑談で盛り上がったりしている方が、リアルでカッコよく見えるわけです。
 つまり、犯罪者ではない人間的な側面を見せることで、キャラクタの人間味をクローズアップするのではなく、「犯罪者」というライフスタイルをきっちり確立している、そんなキャラの方がカッコイイ、というわけですね。
 そういう意味では、この「スコア」という映画、いろんな意味で古臭い映画だったなあ、と思いました。
 それはそれとして……デ・ニーロさんはもう少し出演作品を選んだ方がいいかも……(爆)



おすすめ度:☆☆(無名俳優によるTV映画、とかならまだ満足度は高かったかも)


余談:
 てな事を書いた後で気付いた事実ですが、これの監督のフランク・オズという人は、あの「スターウォーズ」で、ヨーダの操演&声を当てている人物です。つうか元々この人はマペット……つまり人形劇の作家さんなんだそうで、そう考えるとなんでこんなごくフツーのサスペンス物なんかを撮っているのか、それはそれで不思議なんですけど……(笑)




2001.12.28 Hard Drivin'

「ドリヴン」

監督:レニー・ハーリン
脚本・主演:シルベスター・スタローン
主演:バート・レイノルズ、キップ・パルデュー、他

鑑賞日:2001.10.1

official web site:http://www.driven-jp.com/

 かつて天才レーサーとして知られたジョー・タント(シルベスター・スタローン)。大事故をきっかけに引退していた彼は、かつてのチームオーナー、カール・ヘンリー(バート・レイノルズ)からの誘いを受け、チームへ復帰、再びレースの世界に戻ってくる。
 だが、チームには天才ルーキーとして騒がれている新人レーサー、ジミー・ブライ(キップ・パルデュー)がいた。ライバルとのトップ争いを繰り広げる中、周囲のプレッシャーに負けて、思うように走れないジミー。ジョーに求められていたのは、スランプに陥りつつある彼を立ち直らせる事だった……。


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 以前「追撃者」の感想を書いた時に、スタローンは演技路線とアクション路線の融合を狙っている、という論説をASDは展開していたわけですが……。本作の印象として、まんまそういう方向性だったなという事で、見ていてにんまりしてしまったASDさんでした(笑)
 監督は何かと浮き沈みの激しい(笑)レニー・ハーリン。それはいいとして、脚本にスタローン自身の名前がクレジットされているんですよ。かつて「ロッキー」のシナリオを自分で手掛け、アカデミー脚本賞に輝いたというお人ですから、これはちょっと期待出来る? 出来るんですか?
 ……ってゆうか、まあお話自体はすんげえベタなシロモノでありました(笑) はっきりと「チープ」と言い切っているような意見もどっかで見ましたが、まあその通りだと思います(爆) 上り調子の新人レーサーと、追いすがられて焦せっているベテランのチャンピオン。この二人が女を巡って三角関係をやらかして、そこで落ち込んでいる新人君をかつての天才レーサー・スタローンがはげまして……というようなお話です。その他、上のあらすじに書いたライバルレーサーとの争いとか、チーム内でのドライバーの座を巡ってのあれやこれやとか……お話全体として人間ドラマの占める比重が大きいのはいいとして、その内容がとにかくありがちで非常にベタベタ。見ていて結構恥ずかしいです……(爆)
 というかですね、別にシナリオがベタだからといってスタローンを責めちゃいけません(笑) 本来ならこういうストレートなドラマは、演出による内面描写とか、役者個々の役の作り込みなどで追い込んでいくものなのでしょうが……ううむ、残念ながら役者の演技もかなりベタっぽい感じですし、レニー・ハーリンの人間描写もかなり大味です(笑) まあ、爆発や破壊に命をかけているような監督ですから、レースシーンこそド派手ですが……。
 ともあれ、肝心のレースシーンの迫力に関しては間違いなくオススメ出来る代物なのではないかと思います。クラッシュ・シーンで一瞬動きがとまるショットなど、「マトリックス」の影響バリバリでしたけど(笑)
 全体の印象としては、各地で転戦を重ねるストーリー運びをMTV的に流行りの音楽をガンガンにかけてテンポよく綴って……という感じで、映画としてものすごく落ち着きの無い、軽薄なタッチに仕上がっているわけですな(爆)
 まあ、そういう意味では、誰も何も考えずに作ったような映画だったかも知れません(笑) ベタなドラマ、ベタなストーリー、ベタなアクション描写……。実際、レースマシンで公道をぶっとばしたり、クラッシュした車をレーサー自身が救助に向かったり、かなりウソが入っているのも事実ですけども、そこはそれ、そういう映画だと思って見逃してやって下さいまし(笑)
 そういう風に見ていくと評価の難しい作品なんですけどねえ……(爆) ハーリンもジーナ・デイビスと結婚していた時期のスランプからはうまく脱出出来たみたいですし(笑)、スタローンも新規路線が彼なりにはうまくいっているみたいで、その辺の勢いつうか、ノリつうか、そういうのを分かってやってくれよ! というような作品だったと思います。
 ……で、面白かったんですか? つまんなかったんですか?(笑)



おすすめ度:☆☆☆?(つうか、個人的に嫌いじゃないんですけどね……薦めるほどのものでは(笑))



 


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