-cinema diary-

2002年2月の映画日記


 

2002.2.21 クロコダイルの叡知

「クロコダイルの涙」

監督:レオン・ポーチ
主演:ジュード・ロウ、エリナ・レーヴェンゾーン

鑑賞日:2002.1.5

公式サイト:http://crocodile.asmik-ace.co.jp/


 美貌の青年医師スティーヴン・グリルシュ(ジュード・ロウ)には秘密があった。
 半年前、彼の婚約者は交通事故で亡くなった。そのすぐ後に彼は地下鉄で一人の女性と知り会うが、その彼女もまた、やがて遺体となって発見される事になる。
 不審な死体遺棄事件を追うヒーリー警部は、スティーヴンの身辺を探り始める。だが彼自身は警察に協力的で、さしたる動機も見当たらない。……そうやって、巧みに犯罪を重ねていくスティーヴン。そんな彼は新たに、アン・レヴェルズ(エリナ・レーヴェンゾーン)という女性に接近していく。だがスティーヴンはいつしか、不思議な魅力を持つ彼女に心から惹かれていくようになって……。


    *    *    *


 WOWOWにて鑑賞。金沢では未公開でしたが、DVDのジャケットがカッコいいので結構気になってたんですよね……(←形からはいる男)。
 上のあらすじですけど、本作の紹介記事とかで堂々と書かれているネタは敢えて伏せてみました(笑) だって、本編見る限りそれを知らずに見た方が絶対面白そうだったしぃ……(紹介の目的を果たしてなくてスンマセン(笑))
 とにかく、映像がひたすら美しい映画でした。作中でジュード・ロウは淡々と女性に近づき、淡々と……なのですが、一人の女性と出会うことでそんな彼に変化が訪れていくさまが、これまた淡々と描かれているのですなぁ。
 まあそういう意味では、ジュード・ロウの美形っぷりは存分に発揮されてますので、ファンにはたまらない映画だったんじゃないかなあ、と思います……(笑)
 ってそれだけじゃあASD的にここで取り上げる意味が無いんですけどね(笑) ジュード・ロウが繰り返す犯罪は傍目から見て結構杜撰なのでサスペンスとしてはチトどうかと思いますが、○○○の悲劇を描いた作品としては、非常に美しい物語だったのではないかなあ、と思います。
 ていうか、伏せ字にしたら何もわかんないですね(笑) どうせ公式サイトの方へいけば、堂々と書いてあるんですけど……(爆)



おすすめ度:☆☆☆(雰囲気はまずます)




2002.2.21 美女と野獣?

「シュレック」

監督:アンドリュー・アダムソン、ビッキー・ジェンソン
声の出演:マイク・マイヤーズ、キャメロン・ディアス、エディ・マーフィ、ジョン・リズゴー、他

鑑賞日:2002.1.1

公式サイト:http://www.shrek.jp/


 沼に住む怪物、シュレック(マーク・マイヤーズ)は人々に凶悪なモンスターとして恐れられていたが、本人は沼地に引きこもって至って気ままに独り暮らしをしていた。
 ところが、王国の支配者ファークアード卿(ジョン・リズゴー)は領内に住む「おとぎ話の登場人物たち」を追放処分にし、彼らはシュレックの沼地に流れついて来てしまう。静かな暮らしを邪魔されて怒り心頭のシュレックは、おしゃべりなロバのドンキー(エディ・マーフィ)とともにファークアード卿の元へ直談判に行く事に。
 そのころファークアード卿は、ドラゴンの塔に捕われの身のフィオナ姫(キャメロン・ディアス)を自分の妃に迎えようと画策していた。姫の奪回のために騎士を送ろうとしていた卿は、たまたま選考会の場に現れたシュレックにその役割を押し付けてしまう。沼の暮らしを取り戻すために、渋々ドラゴンの塔に向かうシュレックだったが……。


    *    *    *


 まったくの余談ですが、上の公式サイトを開くと一発目にスピルバーグのメッセージが載っております。「私がドリームワークスを設立した理由の一つは、シュレックのような映画が作りたかったからだ……」って、アナタこの映画のプロデューサーでも何でもないでしょうが……(爆)



 ドリームワークスにはジェフリー・カッツェンバックというプロデューサーがいまして、この人はスピルバーグと並んで、そのドリームワークスの設立者の一人です。
 つまり、ドリームワークス的にはアニメの方はかなり気合の入った事業!のハズなんですけどねぇ。ASD個人としては、あんまりパッとしないなあ、というのがDW製アニメに対する感想です。
 カッツェンバック自身は、かつてディズニーで「美女と野獣」「アラジン」「ライオンキング」と90年代前半の黄金時代の作品を軒並み手掛けてた人なのですが……。DWがディズニーに対抗して次々とパクリ企画を投入していたのは、半分くらいはこの人のせいだと思われます(爆・推測ですけど)
 一番それが顕著だったのが「アンツ」で……アリが主役のCGアニメ、つうことでディズニーで「バグスライフ」の企画を立てたのも実はこの人だそうですから、「バグズライフ」のスタッフの困惑っぷりや言い現す事さえ難しいですね(笑)
 まあ、こういうヨタ話を繰り返していてもしょうがないんですけどね(笑) 本家ディズニー自身、最近はピクサー作品以外ぱっとしませんし……(そういやパクリ疑惑が騒がれてた「アトランティス」は、劇場公開を見逃してしまいました……残念)



 で、シュレックですが……なんか、子供向けってばかりじゃないぞ! という意気込みは分かるんですけど、ギャグやユーモアにイマイチ品がないというか、ヒネリがないというか……あんまりシャレが効いてない感じで、見ていてあんまり面白くなかったです(爆) つうか、子供にウケないから「大人向け」とかいうのは、ただの言い訳のような気もしますが(爆)
(何気に暴言だなあ……)
 気になったのは、悪役のファークアード卿がおとぎ話キャラをなぜ虐待するのか、その理由が明確にされていないので、シュレックVSファークアード卿という構図がイマイチ不明瞭だった、という事でしょうか。
 つまり、お話の流れから言ってシュレックが「虐待されたおとぎ話キャラの代表」としてファークアード卿と対立する、という流れにすればイイのに、結局おとぎ話キャラ云々という話はあくまでも発端という以上の意味がないんですよね(笑) なんかすっきりしないシナリオだなあ。
 まあそんなこんなで、結局物語はシュレックとフィオナ姫の関係ばかりに終始しているような印象を受けました。
 そんな事気にするな、と言ってしまえばそれまでなんですけども、実際は単純な話ほどこの辺りの整合性は明確でないと「単純明解さ」がぼやけてしまうんじゃないか、とASDは思いますが……。



 まあ難しい話はさておき、この作品何げにディズニーのパロディが満載だったりします(笑)
 おとぎ話キャラが総出演……なのですが、よく見ていくと「白雪姫」に「シンデレラ」に「ピノキオ」、「ピーター・パン」からはティンカーベルが登場してましたし、「ロビン・フッド」などは悪役っぽい扱いで登場します……って、よく見ればそれって全部「ディズニー・クラシック」ばっかりじゃん!(爆)
 うーむ、よっぽどディズニーに恨みでもあるんでしょうか。パロディになーんか余裕が感じられない辺り、見ていてなんか苦笑せざるを得ません(笑)
 それから、パロディという意味では実は一番の本命は「美女と野獣」だったりするんですよね。
 パロディというかなんというか……実際には、見た目が醜いシュレックと、美人のフィオナ姫との関係を描くことで、この作品は実は「美女と野獣」のテーマをほとんどそっくりなぞっているのでありました。
 ただ「美女と野獣」の場合「外見より中身」と説きながら、ラストで野獣がハンサムな王子の姿を取り戻してしまうという、「おとぎ話のお約束」を守らなくてはいけないが故にテーマを充分に描き切れないという問題がありました。
 似たようなテーマにディズニーが挑戦した「ノートルダムの鐘」でも、せむしのカジモドが最後にヒロインと結ばれたかというと、そうではないわけで……ディズニー的に、テーマを完遂しきれない煮え切らなさがあったわけです。
 これが「シュレック」の場合、ミもフタもないパロディである事を逆手にとって、ほとんど禁じ手を使ってこの問題を解決しているんですよ。どう解決したのかは本作を見ていただくのが一番なんですが……(てゆうかここまで書けばちょっと考えれば分かりますよね、多分)あまりのミもフタもなさに唖然とする一方で、確かにこれならばテーマ的には実にすっきりとスジが通っているなあ、と感心させられました。しかし……そんなのありかいな(笑)



おすすめ度:☆☆☆(ギャグとして、今一歩の洗練を求む)




2002.2.20 原作に忠実

「ハリー・ポッターと賢者の石」

原作:J・K・ローリング
監督:クリス・コロンバス
出演:ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソン、他

鑑賞日:2001.12.31


公式サイト:http://harrypotter.jp.warnerbros.com/

 両親を亡くし、親戚の元で不遇の生活を送る少年ハリー(ダニエル・ラドクリフ)。そんな彼の元に、ある日「ホグワーツ魔法学校」なる所からの入学許可の手紙が届く。彼を迎えに来た魔法使いハグリッドに連れられ、魔法使いになるためにホグワーツに入学するハリー。ロン(ルパート・グリント)やハーマイオニー(エマ・ワトソン)といった友人たちとともに学校での生活を順調に過ごすハリーだったが、やがて「賢者の石」を巡って、学校内に不穏な動きが見られるようになって……。


    *    *    *


 というわけで、2001年最後に見た1本がこれでございます。
 冬休みの真っ最中なのでばりばりに混んでいるだろう、と思ってたんですけど、かなり空いてました……吹替えの方にお客さんが集中していたんでしょうかね?
 で、感想なんですけど……うーむ、コメントが難しいです(笑) 原作を読んだ人の声としては「ダイジェスト版」という意見もちらほら見受けられましたが、原作読んでないASDとしては、一本の映画として過不足なくまとまっていたんじゃなかろうか、と思います。
 ただ、やっぱりシリーズものの第1話だなあ、というのは強く感じられました。いくつか解決や説明が次回以降に見送りになっている部分がありましたし(おもにハリーの出生の秘密に関わる部分)、あと映画としては、やや構成が淡々としていないことも無かったかも知れません。SFX的には見せ場につぐ見せ場なので、見ている最中にはあまりヘンだとは思わないでしょうが……。あとから冷静になって考えてみると、なんか物足りない印象が残る一作でありました。
 一応、続編も作るとか作らないとか、噂ばかりは聞こえてきますが……これって原作もまだ完結していないんですよねぇ。映画もかなりの大作ですから……仮に1年に1作ずつ作っても、完結するより子役の皆さんが大人になる方が早い、というわけですね(爆) 一体どうするんでしょうかねぇ……(笑)
 まあ、ハリウッドは人材層が分厚いので、ツラの似ている役者を見つけるだけなら割と簡単だったりするんですけどね(とある登場人物の少年時代を演じる子役とか、異様にそっくりな子供が出てきたりするじゃないですか(笑))



 内容自体は、実は特にコメントはありません(爆)
 ホウキで空を飛ぶゲームとか、オーガやケルベロス?といった怪物、終盤のチェスゲームなど(どうでもいいんですけどあれを見てダン・シモンズの「殺戮のチェスゲーム」のパクリじゃねえのか、と思ったのはASDだけでしょうか。「世にも奇妙な物語」でも似たようなことやってましたしぃ……定番?(笑))CG的な見どころは盛り沢山なんですが、ああそうですか、と言ったところで特に新しい驚きは無かったです(非情)。
 魔法学校を舞台にした少年の成長物語?ということで、基本に忠実というか、なんというか……とにかく分かりやすい王道ストーリー+すごい視覚効果、という事で、要するに「スターウォーズ」の方法論と一緒だな、と思いました(笑)
(余談ですが、例のホウキで空を飛ぶゲームのシーンは見ていて何故か「スターウォーズ・エピソード1」のポッドレースのシーンを連想してしまいました……何故?(笑))
 何はなくとも、活字媒体である原作を「映像」として体験できる……それを第一の目的とするならば、充分に役割は果たしている映画だったのではないでしょうか。……ってまあ、言ってしまえばホントにそれだけの映画でありました(爆)
 うーむ、決して悪い映画ではないんですけどねぇ。少々長めの上映時間をしっかりと退屈させずに持たせてますし、「ホームアローン」のクリス・コロンバスだけあって子供を描かせるとソツがないなあ、と思ってみたりもしますし……。
 というかまあ、読んでないので何とも言えませんが、この映画について何か語るのであれば、原作を読んでそれについて語る方がイイのでは、という事なんでしょう、多分(笑)
 それで……えーっと、何か他に言う事があるのかっていうと、えーっと、えーっと……ハーマイオニーが結構可愛かったって事くらいですか?(爆) ボクもこれで某同盟の仲間入りですか?(笑)
 えーっと……まあ、以上です(笑)



 あー、あのですね、冷静に考えてみたら、魔法で学園ものでキャラ萌へーで陰謀がどうのこうのって……それは言うなればライトファンタジーの定番中の定番ってヤツなのではないか、とちらりと思ってしまったのはASDさんだけでしょうか(笑)
(てゆうかかなり今更な指摘ですかね?(笑))
 これを日本でオタクっぽくアニメ化とかしたら、かなり身もフタもない作品になってたりして……(爆)



オススメ度:☆☆☆(見ている間は良かったんですけどね……)



 


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