-cinema diary-

2002年12月の映画日記


 

2002.12.27 パクってます

「リターナー」

監督・脚本・SFX:山崎貴
主演:金城武、鈴木杏、岸谷五朗、樹木希林、他

鑑賞日:2002.10.18

公式サイト:http://www.returner.net/


 犯罪の取引現場からブラックマネーを奪還、正規の持ち主に返還する事を生業とする「リターナー」のミヤモト(金城武)は、とある取引の現場で親友の仇である溝口(岸谷五朗)を偶然に発見する。だが、あと一歩のところで邪魔にあい、復讐は果たせなかった。
 その場に割り込んできたのはミリ(鈴木杏)という少女。彼女は宇宙人の侵略を受け滅亡の危機にある82年後の未来から、歴史を変えるためにやってきたのだという。成り行きから彼女に手を貸すことになったミヤモト。二人はこの年地球に漂着した最初の宇宙人と、その宇宙船を探すのだったが、それらは金儲けを企む中国系のマフィアの手にあり、溝口もそれに関わっていたのだった……。


    *    *    *


 「ジュブナイル」の山崎貴監督の最新作です。
 前作に続けて鈴木杏がヒロインを演じてますが……ちょっと太った?
 という禁句めいた指摘はさておき(爆) 基本的にはこの映画、「ターミネーター」の大いなるパクリ、という以上のシロモノではありませんでした(爆)
 まぁ言える事はそれだけかというと、そうではなくて(爆)、ビジュアル的にはマトリックスをヒジョーに大きく意識していますし、宇宙人のデザインはそのまんま「ET」ですし、宇宙船なんかのメカ描写は「ID4」的ですし……(笑)
 まさにパクリ、パクリ、パクリのオンパレードで、別の意味でかなりとんでもない事態になっているのでありました……(笑)



 ただ、ここはフォントを大にして書いておきたいのですが、パクリだからつまらなかった、というのではなしに、

 パクリだけど、充分に面白かった!

 という事だけはしっかり明記しておきたいと思います。
 ……てゆーか。
 まぁ確かにパクリは憂慮すべき問題なんですが、じゃあ従来はどうだったのかというと……例えば「ID4」がどうのこうのという話をするならば、「ゴジラ2000」なんかでもパクってたりするわけですよ。じゃあパクった結果ゴジラが劇的に面白くなったかというと、やっぱり壮絶につまんなかったし、ショボかったわけではないですか(爆)
 いいですか皆さん、パクった上にショボいって、そんなの最低じゃないですか!(爆) ハリウッド的なエンタテインメントを作りたくて作りたくてたまらないのに、そんな面白い映画なんてちっとも作れて来れなかったのが昨今の邦画だったわけです。
 では海外に通用する映画と言えば……時代劇のような日本固有の物だったり、低予算でも撮れるホラー・スリラー系の映画だったり、サブカル的な若者の風俗を捉えた作品だったり、地味かつ丁寧なドラマ作品だったりするわけです。
 何もハリウッド的な大作が映画本来の姿だ、とは言いませんが、邦画業界の人々にしてみればハリウッドに負けない堂々たる娯楽大作を作って、ハリウッド映画のヒット作みたいに映画館にお客さんをバンバン集めて……という風な勝負がしたいのと違いますかねぇ?
 そういう意味では、変化球みたいな作品で評論家の意見もまずまず、というような「チョットいい作品」ばっかり作っていてもしょーがないではないですか(爆)
 考えても見て下さい。「シュリ」とか「JSA」は、韓国固有の伝統文化なんかを地味に丁寧に捉えて、日本の一部の評論家に高い評価を受けたのではありません。そうではなくて、ハリウッド的なエンタテインメントの王道を臆面もなくストレートに追求して、実際にそういう作品として一般のしろうとのお客さんにウケたのとは違いますでしょうか。
 そう、80〜90年代の香港映画や、ひいては黒沢明が現役だった邦画の絶頂期だって、「大型エンタテインメント」をストレートに追求していたはずなのですよ。ハリウッド的な大型娯楽は、別に悪ではないのです。



 ……そういう意味では、「リターナー」は確かにパクリの上に成り立っている映画です。ですが、

 パクリ『だけど』、充分に面白かった!

 という、『だけど』という風に言えるというのは、それはそれで大いに評価すべきではないかと思います。もし非難しなければならないとすれば、そういうレベルで評価しなくてはいけない現在の邦画のレベル自体を非難するべきで、この作品に限った話ではない、と思います。
 あらためて見てみれば、ストーリーはまんまターミネーターです。歴史改変SFのように思わせといて、映画的なメインディッシュが実はガンアクションであるというのもまんまそっくりです(笑)
 このガンアクションというのも、邦画では昔からニガテ項目だったりするんですよねー。火薬の使用に法的な規制がある以上、日本では香港映画のようなマネが出来ないんですよね(笑)
(ちなみにハリウッドでガンアクションに使用されるのは本物の銃。空砲を撃っているんですよね。香港映画では本物の2倍の火薬を入れて、ウソみたいな火花をぶっ放すんだとか(爆))
 しかし、割と流血ドバーってな感じのガンアクションがこれでもか、と披露されている割には、宇宙人とのファーストコンタクトという、ジュブナイルSF的なみずみずしいドキドキワクワク感を忘れていないのが面白かったですねぇ。
 前作はタイトルから「ジュブナイル」でしたが、本作もまたれっきとしたジュブナイルでした。このみずみずしい、古き良きセンスオブワンダーは、どの映画のパクリでもなくてこの映画のオリジナリティなのではないでしょうかね。
 こういうノリを追求してしまうと、大抵はハリウッド製キッズムービーのように子供騙しっぽいニュアンスが漂いがちですが……この山崎監督のジュブナイルっぽさって、むしろ子供の頃の記憶がすっかり美化されてしまった大人の琴線にビンビンに触れるんですよね(笑) こういう持ち味は、大事にしていって欲しいなぁ、と思います。



 まぁ何と言いますか、ここまで割と誉めてきましたが不満ももちろんあります(笑)
 例えば金城武にせよ鈴木杏にせよ、もうちょっとセリフがナチュラルに喋れないものか、と思ってみたり……まぁそもそも作中の設定自体、金城武は中国語、鈴木杏は英語のネイティブスピーカーという事になっているので、日本語が多少おかしくても別にヘンではないのですけどね(笑)
 それに輪をかけてナニだったのが岸谷五朗の悪役。頑張ってはいるんですけどぉ……頑張れば頑張るほど凄みが消えてギャグになっていくというのが、ちょっとなぁ、という感じでした(笑)
 あと、何げに絶品なのが謎の中華街のおばはんを演じる樹木希林。CMで割とコメディ的な怪演を見せてますけど、それが本作で極まった、という感じで……密かな見所であります(笑)



 ちなみにこの映画を見た後で思ったことがひとつ。
 個人的には、この山崎貴監督に一度「ゴジラ」を撮って欲しいなぁ、という気がするんですけどね(爆) 監督作が2作品とも東宝配給でしたので、あり得ない線ではないと思うのですが……(笑)
 「ハム太郎」と抱き合わせでないと苦しい、というほどシリーズがピンチなのならば、もっと畑違いそうな人をガンガン呼んできてもいいと思うんですけど。
 ま、それはタダの妄想ですけどね(笑)



(……ってゆうか、山崎監督の場合ガメラを撮った方が面白いのか?(笑))



おすすめ度:☆☆☆☆(パクリは勘弁してあげて下さい(笑))




2002.12.27 いわくつき

「ポルターガイスト」

原案・製作総指揮:スティーブン・スピルバーグ
監督:トビー・フーパー
主演:クレイグ・T・ネルソン、ヘザー・オルーク、他

鑑賞日:2002.10.14

 平凡な家庭に過ぎなかったフリーリング一家。だが末娘キャロル・アン(ヘザー・オルーク)が夜中にテレビの空きチャンネルの砂嵐に向かって話しかけるという奇妙な行動を見せ始め、そのうちに家の中で家具が勝手に移動したりという異変が起こるようになる。庭の木に異変が起きた晩、ついにキャロル・アンが忽然と姿を消してしまうのだった。果たして彼女はどこへ消えたのか? そんな彼女の声が、テレビの空きチャンネルから聞こえてくるのだった……。


    *    *    *


 DVDにて鑑賞。スピルバーグ製作総指揮、1982年の作品でございます。むむ、妙にスピルバーグが続きますねぇ……。
 平和な一家の少女に異変が……という部分から何とはなしに「エクソシスト」なんかも連想しない事もないのですが、こちらの作品の方がよっぽどホラー映画としては即物的だったように思います(笑) 異変が起こった原因も最終的にはヒジョーに明確になってましたし。描かれる超常現象など、ホラーとかオカルトとかいうよりは、ファンタジーっぽさの方が強く感じられたと思います。得体の知れない物への漠然とした恐怖、というよりは、得体の知れている物へのハッキリとした驚愕がメインの映画でありました(笑)
 製作年次を考えれば特殊効果も結構頑張ってる方じゃないかと思います。映画自体、その特殊効果を見せる事が一番の目的みたいで……ストーリーの方は、何だかちょっと???てな感じもしないでもないような(笑)
 劇中の異常現象を通じて家族が絆を確かめあう、というような通りいっぺんのテーマもないわけではないんですけど……なんかねぇ。その異常現象の調査にやってくる科学者たちとか、何の前フリもなく登場して誰も彼らの信憑性に関してツッコミを入れなかったり。おいおい、何で彼らに全部任せるのがさも当たり前のような顔をして話が進むんですか!
 さらには彼らの手に負えないとなると、霊媒師のおばさんのような人が登場するのですが、これに関しても、彼女に全部任せるのがさも当たり前のようにお話が展開するのでした。
 ううむ……こ、これって何なんでしょうか。こういう超常現象みたいなのはスピルバーグ的に「アリ」で、疑う事の必然性さえ念頭にない、って感じなんでしょうか? うむむむむむ……。



 ま、まぁ、その辺りの展開の不自然さに目をつむれるのならば、まぁ楽しめる部類の映画だったんじゃないでしょうか。「エクソシスト」が難しくてよく分かんなかった人(例えばASDさんとか)にも割とオススメだったんじゃないかと思います。
 あー、あとですね。まったくの余談ですが、この映画で重要なモチーフになっているのが「テレビ」なんですよね。エクソシストがどうのこうのというよりは、「空きチャンネルから声が聞こえる」っていうのがこのお話の一番のキモであるように思います。
 そういう意味では……この作品を、敢えて劇場ではなくて、家庭のブラウン管で鑑賞する、というのもオツなものかと……(笑)
 例えて言うならば、「リング」を敢えてDVDとかではなくビデオテープで鑑賞する、というようなものでしょうか。リングに関しては、友達から借りたり、後で誰かに貸したりするともっと最高なんですけどね(笑)
(……でも著作権には気をつけようね!(笑))


  
 ちなみに本作に関しては、ちょっと不気味な後日談があったりします。
 本作は後にシリーズ化され、3まで製作されたのですが……。1に登場していた一家の長女役の人がお亡くなりになったために、2では元々長女はいなかった、という設定で撮影されました。
 さらには、3の撮影が終わった時点で、末娘役のヘザー・オデークが急死してしまったということで……そういういわく付きのシリーズとして広く知られているのでありました……。
 まぁそういう不気味な話はさておいても、「1」に限って言えばまた別のいわくが存在します。
 本作の監督は「悪魔のいけにえ」というマジで怖いホラー映画を撮ったトビー・フーパー。その彼がスピルバーグと組んで映画を作る、というのも当時の映画ファンには結構奇異だったんじゃないでしょうかねぇ。
 ま、スピルバーグもファミリー向け、というイメージが定着したのは「ET」以後、名前貸し的なプロデュース作品を濫造していた80年代中盤以降の話で、80年代前半はまだ「激突」「ジョーズ」などのスリラー映画の監督として知られていたんじゃないかと思いますけどね。
 実はスピルバーグは本作と並行して、同じ住宅地で「ET」のロケを行っていたんだそうです。彼はほぼ毎日のように本作の現場にも顔を出しては、あれやこれやと口を挟んでいたとか……。
 一応監督にクレジットされているのはフーパーですが、実際のところ誰が監督なのやら、というような感じになっているとかいないとか。その辺りの裏話の方が、もしかしたら本編よりも面白いのかも知れませんね(爆)



オススメ度:☆☆☆



2002.12.27 昔なつかしの

「グーニーズ」

原案・製作総指揮:スティーブン・スピルバーグ
監督:リチャード・ドナー
主演:ショーン・アスティン、ジョッシュ・ブローリン、コリー・フェルドマン、キー・ホイ・クァン、他

鑑賞日:2002.10.12


 港町に住む少年たち……マイキー(ショーン・アスティン)、口の達者なマウス(コリー・フェルドマン)、発明好きのデータ(キー・ホイ・クァン)、ホラ吹きのチャンク(ジェフ・コーエン)ら「グーニーズ」の面々は、最後の週末を過ごしていた。街が再開発の対象となり、立ち退きを迫られていたのだ。
 そんなマイキーの家の屋根裏部屋で、少年達は「片目のウィリー」という海賊の財宝の地図を発見する。地図のX印の場所に立つ海辺の休業中のレストランの地下で、洞窟への入り口を発見した彼らだったが、そのレストランには指名手配中のフラテリ一家が潜伏していた。彼らに追われながら、マイキー達は片目のウィリーが宝を隠した洞窟に挑んでいく……。


    *    *    *


 いやー、これめっちゃ懐かしいですよ(笑) 1985年作、ASDが小学生の頃の作品です。これまでマニアックに新旧の映画をここ映画日記で取り上げてきたASDですが、本作はそのまんま「なつかしの映画」のノリでございますな(笑)
 この映画にピンと来る人は、恐らくASDと同年代の人に限定していると思います。古い映画と言ってもいわゆるオールタイムベスト、みたいなノリとはちょっと違いますしねぇ。
 ASD個人の事情で言えば、コナミが昔つくってたファミコン版のゲームにもハマってましたし、いろんな意味で「思い出の映画」「なつかしの映画」だと思います。
 そんな映画がDVDで見られるなんて! それが1500円で買えるなんて! いやー、いい時代ですな!(笑)



 ……てな感じで感慨にふけっていてもしょうがないんですけど(爆)
 しっかしこの映画、今見るとめちゃめちゃスタッフが豪華です。原案・製作総指揮のスピルバーグに始まって、監督は「リーサル・ウェポン」シリーズのリチャード・ドナー、脚本は「ハリー・ポッター」の映画版で今をときめくクリス・コロンバスが担当しております。
 だというのに、何故か購入したDVDのオビ?の文句には、主演のショーン・アスティンが「ロード・オブ・ザ・リング」に出演している事しか書いてありませんでした。何で?
(イライジャ・ウッド演じるフロド・バギンズと一緒に旅をするホビット、サム役です)
 映画の内容そのものは、まぁ娯楽冒険活劇ですので、四の五の言わずにまぁ見て下さい、と言った感じです。じゃあわざわざ映画日記で取り上げるなよ、という感じですけど(爆)
 個人的には、思ったほど「海賊の罠を次々とかいくぐる」という程にトラップはしつこくなかったというか、割とあっさり海賊船にたどり着いちゃったなぁという気もします。
 それでも、意外と「悪漢に追いかけられ」つつも「海賊の罠に挑む」というシチュエーションの組立てが割と凝った感じになってまして……キッズムービーだと侮っていると結構驚かされるんじゃないでしょうか。
 あとはですねぇ……グーニーズの面々は今見るととにかくやかましくてうざったい感じがします(爆) これは字幕で鑑賞したからなのか、自分が大人になってしまったせいなのか……(笑)



 まぁ全体の印象としては、「今見てもそこそこ楽しめた」という感じですな。思い出の映画なだけにかなり脳内で美化されているんじゃないか、という風に見る前は思っていたのですが、実際見てみると思ったほど手ひどく裏切られずに済んだみたいです(笑)
 ところで、昔テレビ放送していたときの記憶では、クライマックスの海賊船の手前で大ダコに襲われる、というシーンがあったはずなのですが、実はノーカット版のはずのDVDにも収録されてなかったんですよ。見た記憶があるのにおかしいな、と思っていたら、「未公開シーン」の方に収録されてました……あれれ?
 てことは要するに、これら未公開シーンを復元したロングバージョンがテレビで放送されていた、という事なのかも知れません。さすがに劇場公開時の事はほとんど記憶にありませんので(笑) 一回だけそれが放送されて、あとは後々の再放送ではカットされてたので、違和感を感じた、という事らしいです。
 いやー、長年の疑問がひとつ解決しました! ヤッター! ……と驚くほどの事でもないような気もしますけどね(爆)
 ちなみに、ASDのように過去を懐かしがっている人には必見なのが、このDVDに収録の特典。監督のリチャード・ドナーおよびグーニーズの面々による解説音声が収録されているのです。
 面白いのは、解説音声モードで鑑賞していると所々に収録時の映像が挿入されている、という点でしょうか。デブのチャンク役だったジェフ・コーエンがすっかりスマートになった代わりに、マイキー役のショーン・アスティンは「ロード・オブ・ザ・リング」でも見られたとおり、結構太ってきてます(笑)
 今でも役者として頑張っている人もいれば、そうでない人もいて……なかなか見ていて感慨深いものがある特典でありました。



 まぁ何と言いますか、本作も公開から17年が経ってしまいました。
 そうですよねぇ。当時小学生だったASDももうすぐ28になりますから、当時子役だった彼らもガラリと変わってて当然なんですけどね(笑)
 しかし、まさかこんな風に思い出だけで映画を語れてしまう日が来るとは……月日ってのは流れるもんですなぁ、と年寄りくさいコメントを残すASDでした(笑)
(つうか今回の映画日記全体的にジジむさい?)



おすすめ度:☆☆☆
ASDと同世代で、このタイトルにピンと来た方へのDVDのおすすめ度:
☆☆☆☆☆(DVDを鑑賞出来る環境があるなら必携の一枚かも(笑))



 


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