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映画日記:番外編


 

2000.10.21 X-メンに関する色々な不満


※この映画がお好きな方には色々不愉快な発言もあるでしょうが、あくまでも重箱のスミをつつくようなものとして、笑って読んでいただければと思います。※



 不満、ですね。あります。色々あります。
 全体的に、物足りないです。原因は色々あるかと思いますが、所詮はコミックスの映画化ということで、よくも悪くもストーリーがダイジェスト的なのではないか、という気がしますね。登場人物が多い分、一人一人を深くツッコんで描写する余裕があまり無かったように思います。
 ま、「全員主役」ではとっちらかるというのは作った側も承知の上なんでしょう、ウルヴァリンとローグの友情?、エグゼイビアとマグニートーの確執の二つを主軸に据え、他のキャラクタはあくまでも脇役と言うことでアクション部分での見せ場を割り振ってお茶を濁してあるという感じです。そのせいか、ウルヴァリンは結構強そうに描かれているのに妙に見せ場が少ない気が……。
 とは言え、他のメンバーもじっくり見ていくと実は大して活躍していないんじゃないかというちょっと困った事になっている人がちらほら……。サイクロプスは極端な話、駅をぶっ壊したのが一番の活躍?でした。ストームも実際のアクションは1シーンだけで、ビジュアル的に一番似ているというのだけがウリのようで哀しいです。ジーン・グレイに関しては「ちょっと念動力がある」セクシーねえちゃんにしか見えません。数人がかりでボコれば勝てそうだなあ(ウソ)。しかも彼女、サイクロップスのカノジョなのにウルヴァリンともいい雰囲気。チームの結束を揺るがしかねないお人であります。
 とは言え、より深刻なのは敵の側です。人材不足必至です。トードはほぼ舌をぶらぶらさせているだけ、手柄と言えばサイクロプスのメガネを破壊したくらいでしょうか。結果駅がぶっ壊れましたし。せっかくのレイ・パークなんだからキレのいいアクションを見せて欲しかった。
 セイバートゥースに至ってはかなりヤバイです。あのガタイで、肉弾戦のすべてに敗北している他、与えられた任務を何ひとつ遂行出来ていないという無能ぶりです。
 唯一使えるのがミスティーグ。変身能力で敵地に侵入し、各種スパイ工作を行うなど、一人奮闘している姿が健気でありました。
 以上、「敵は強大、味方はわずか」っていうキャッチコピーでしたが、どちらかというと味方の方が強そうですね。ボスのマグニートーも、結局ただの磁石男だし。
 つうか、ねえ……何でこんなにぼやいているのかというと、この映画はっきり言って大人し過ぎるんですよ。ゼンゼン荒唐無稽じゃないです。アメコミと言うと原色ばりばりのウソくさい世界を(実状を知らない人ほど)連想するんじゃないかと思いますけど、この映画の場合、そんな風にマンガだからといってナメられたくない、っていうスタッフ&キャストの気負いが実によく伝わってくるんですよね。インタビューとかでも、スタッフもキャストもほぼ全員「ただのアメコミの映画化じゃない」と口を揃えて申しておりますし。
 でもねえ……「マトリックス」を見れば分かるように、おバカすれすれの荒唐無稽アクションでも、今の時代は絶対ナメられる事は絶対にないと思うんですけどねえ。「マンガをそのまま実写化」が、冗談でなくホントに出来る時代なんですから。
 そういう意味では、「人気コミックの映画化」というプレッシャーに、皆負けてしまっているんじゃないのかな、という気もします。コミックはコミック、映画は映画という余裕が感じられません。「バットマン」だって、あのダークな絵づくりは脱マンガちっくを狙ったものではなくて、あくまでも「バートン版の」バットマンを作ったらああなった、というだけのことではないでしょうか(結構お馬鹿スレスレですし)
 最後になりますが、シリーズ化を最初から考慮している、ってのもなんか引っ掛かる部分ではあります。全体的に登場人物紹介に終始していたようにも見えますし、何と言ってもウルヴァリンの正体が曖昧なのが許せません(笑)。謎が隠されている事が公にされながら、わざと解明を棚上げ……欲求不満が溜まります。何とかしてください(笑)



 それと、もうひとつ最後に補足。
 雑誌記事などでは、「ミュータント」=「社会に馴染めない現代人の姿」と定義した上で、孤立する彼らの姿は決して他人事ではない……みたいな解釈がよく見受けられました。まあ分からないでもないです。ウルヴァリンやローグと言ったキャラクタが、その辺りを非常によく表現していたと思います。
 でもね、サイクロップスとかジーン・グレイとか、エグゼイビアの教育を受けた若者達はそれなりに上手くやっているじゃないですか。社会的な孤立を克服し、ミュータントとして、確固たる自己のアイデンティティを持ち合わせている彼らをみると、不安定な現代人以上に彼らはよくデキた人々なんじゃないかな、という気もします。そんな彼らがついているわけですから、不安定な二人のミュータントも、いずれは立派に成長するんじゃないかな、と僕は思います。そう考えると、成長物語としてはあまりにもバラ色過ぎるように僕は感じました。
 それにね、そういう風に突き詰めていくと、ちとヤバイ問題になるような気がするんですよ。確か劇中でミスティーグが、いじめを受けていたとか何とか言ってましたけど、そうなると敵側の皆さんというのは、イジめられて道を踏み外した「落伍者」であって、それをサイクロプス達キチンとした若者……成功している連中が叩きのめすという、何だかイヤーンな展開になって来るんじゃないかという気もします。社会的弱者はエリートにタタかれてもいいのかーっ、とちょびっとだけ反論しておきます。つうか、そういう解釈になるのイヤなので「Xメン=孤立する現代人」説はASDサンは唱えないのでありました。



……てゆうか、ASDさんはアンナ・パキンがあんまりかわいくなかったのが不満という説あり(爆)

 


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