短歌ドリル公式記録簿 2003年2月号
 毎日のお題から即日UP!短歌のWeb練習会、公式記録です。
 Liveは万里子さんのHP<短歌ドリルBBS>で!
【ご連絡】2/17〜2/20まで不在のためUPが滞ります。
Lesson 171  Theme:『広大』 by 美作直哉 2003/2/28
大阪の女子寮の夜のもんじゃ焼き・広島焼き&たこ焼きパーティ : 万里子
何のため?大きな目、口、広い胸「君のため」だと言って欲しいな : shell
遊ばせる心は遥かエトランゼ 翼をつけて夢に飛び立ち :
見晴かす雲海に立つ石鎚を思ひてけふも綱など結ぶ : ゑつ子
雨上がり ガイドブックにない道を迷い進めば 絶景パノラマ : とまと
豊かなる無限の心人間のほんの小さな身体の中に : 下町古娘
月でさえ地球のそばから少しづつ離れていくよ 君はどうする? : よさ
放課後の体育館に忍び込む どこまでも行け僕のチョロQ : 直哉
日と月を幾たび送り迎えつつ仏の国へ砂の海越ゆ :
見下ろせば人は豆粒60階池袋では都会は広大 : zenkyu
寝転びて啄木の歌真似て見る 果て無き空にこころ遊ぶや :
Lesson 170  Theme:『宿』 by shell 2003/2/27
思い過ごし切れてはいない赤い糸宿命的な二人の出逢い : shell
摩天楼見上げてみても看板が邪魔してみえずここは新宿 : zenkyu
住吉の社にそびえる大榎レースの如く飾るやどり木 : 万里子
明け方に 去りゆき君の 跡みつめ なぜかくなりきかは 宿題となり : sachi
ドラクエの宿屋に泊まるようにして できたらいいな 気力回復 : とまと
旅の宿何時もの君と違う顔夫婦であって夫婦で無い夜 : 下町古娘
六畳の家族四人は間が持てず手拭い片手にぼそぼそと立つ : 直哉
要るのよね中間宿主が いいですよ日本住血吸虫へ ミヤ : ゑつ子
地図にない一軒宿よこの部屋は 合い鍵開けて二人の世界 :
民宿に嫁いだ友はタラの芽を送ってよこす もう5年だね : よさ
街川に冬を宿りし水鳥の群れ朝なさな飛び立ちてゆく :
雪深き太宰の郷の弘前は受験の記憶孤独な一夜 :
Lesson 169  Theme:『履物』 by 響 2003/2/26
しっかりと靴紐ゆいてドアを出るトレッキングシューズ町をどたどた : zenkyu
にゃごにゃごと脚に抱きつき引き止められてストッキングをまた替える : 万里子
卒業の少女の描く自画像はルーズソックス履かないパンプス :
薄らと踵が見えた靴下を履いてる君がだから好きです : 直哉
初めてのブーツ買った日気分だけ「オスカル」になり一踊りする : shell
残されたスリッパの癖君の癖温もりの無いでも暖かい : 下町古娘
あなたから突然されたプロポーズ 潤んで滲む靴の爪先 : とまと
ストッキングながれるようにでんせんす想いもこんなに伝わるといい : 鏡の精 せり
思い出を下駄箱に入れ20年もう捨てようか背伸びした吾を : ゑつ子
上履きのかかと踏んづけズルペタン歩く校舎を今日で卒業 : よさ
藍染めの闇を濡らして雪時雨 足袋に食い込む痛さ侘しく :
妻に母嫁におばさんいくつもの草鞋履き替えちょっと疲れた :
Lesson 168  Theme:『ふくろ』 by zenkyu 2003/2/25
レジを出て「袋」はいいよと声かけて立ち去るわたし「レシートですよ」と : zenkyu
しまったな和服着てから気付いたの足袋履き忘れ帯が痛いよ : shell
熱湯に三分間の我慢だぞレトルトおでんで一人晩酌 :
島袋・友利・具志堅琉球の友の持つ名は誇らかにして : 万里子
共布で巾着作った夏の夜 明日は浴衣で花火大会 : とまと
犬猫の土産にせよと残飯を袋に詰めて小走りに来る : ゑつ子
懐かしき銘仙布の小袋を抱え持つ手の艶やかなこと : 下町古娘
酔うほどに愚痴の増します絡み酒 袋小路の出口はこちら :
逃げ帰る母の身体に頭から飛び込む袋は裂けんばかりに : 直哉
Lesson 167  Theme:『畳・たたむ』 by 径 2003/2/24
形見にと丸に花菱染め付けた夏の喪服を畳む母の手 :
洗われるこころを包み匂いたつ季節がわりの蒼き六畳 : zenkyu
君と見た沈む夕日は美しく南紀白浜千畳敷で  : shell
冬雲はたたむがごとく皺をなし大空滑る風紋となる : 万里子
きみさりてそでをとほさぬこのきものかげぼしかけておもいもたたむ  : 鏡の精 せり
たたまれた袱紗を捌く手許には流れるように舞う風のあり : ゑつ子
取り込んだタオルを畳む手際よく 男手ひとつ4年目の春 : とまと
青畳香り清しきアパートの江戸間三部屋がスィートホーム :
黄昏て炉に松風の静かなる青き畳を踏みしめる音 : 下町古娘
ちょっとした仕草に惚れて四畳半 注ぎつ注がれつ夜はまだ早い :
古だたみ 不機嫌そうな顔をして積み上げられた箱の下にいる : よさ
肩書きを胸に畳んでボランティア営業所長の返事は大きく : 直哉
Lesson 166  Theme:『オノマトぺ』 by  2003/2/23
ぽかぽかと春の陽射しを浴びながら 転寝(うたたね)をするこくりこっくり :
灯を消してジャバジャバお湯を流しつつ湯船に沈む夜更けの贅沢 : 万里子
しとしとと流れる汗にタオルあて温泉に浸かるは身体のために : zenkyu
ポロポロとすぐに涙が出てしまうあなたがいないと強くなれない : shell
思い出し にやにやふふふ へへへへへ 人から見れば とても変人 : sachi
ゴロゴロと裡に雷鳴やまざれば拠り所なく寝返りを打つ : ゑつ子
焼き芋を二つに割ってハフハフとお揃のニットの帽子が揺れる : 直哉
疾駆する「ひかり」の窓にツツツーッと走る露さえ滲む 別れて :
この家を支配するごとモーター音は二十四時間boomboomboom :
Lesson 165  Theme:『猫』 by とまと 2003/2/22
悲しくて泣き濡れているその膝に そっと寄り添い「にゃぁ」と言う君 : とまと
拗ねる君猫の上目で観るくせの仕草ふきだし春色にそまり : 鏡の精 せり
ねこまたとなってもいいから現われて膝に乗ってよ母さん待ってる : ゑつ子
窓辺には優しい光夜明けだなまた眠れぬ夜猫の思いを : zenkyu
ターニング・ポイントだったかもしれない劇団『四季』の『キャッツ』を観た日 : 万里子
ごろごろと喉を鳴らして膝の上 あーれどこ行く君マイペース :
大小の違いはあれど仕草同じうちの猫とホワイトタイガー : shell
足早に夜雨の人込み擦り抜ける黒猫マークの男青ざめ : 直哉
抱きとめる手をしなやかにすり抜けて鈴付けられるなんて真っ平 :
日のあたるブロック塀がお気に入り片目を開けて「お帰り」と言う :
Lesson 164  Theme:『芽』 by ゑつ子 2003/2/21
箱庭の小さな花壇に花束を置いてきたもの草木の花芽 : zenkyu
ちさな手が林立している教室の芽生えをどうか摘むこと勿れ : ゑつ子
こころなき暗雲ありてぬれつつもしのぶおもひの芽いづるなりし : 鏡の精 せり
薄桃のどくだみの芽出でにけり幼きながら力溢れて : 下町古娘
ベランダの隅に転がる玉葱の緑の芽吹き味噌汁で食ぶ : 万里子
恋心知らないうちに芽生えてた私の想いあなたに伝われ : shell
さっぱりと散髪済ませ春うらら 枝垂れ柳は芽吹きを待ちて :
心配の芽を摘み続けて葉をもいで木を切り倒せば山が崩れて : 直哉
芽柳の糸吹き乱す春疾風障りともせでひとは旅ゆく :
毒がある クッキングブックは言うけれど発芽の芋の逞しき生 :
Lesson 163  Theme:『花野』 by 下町 2003/2/20
河縁を覆い尽くすタンポポを見つけにいくは花野の夢に : zenkyu
七月の白馬岳の花野にはコマクサ咲くと山男のいう : ゑつ子
まどろみてさ迷う道は霞み立ち冷たき流れ遥かな花野 : 下町古娘
やわらかい光の中の珊瑚礁海の底にも花野は眠る : 万里子
海原を背負い菜の花乱れ咲き 春の花野は大波小波 :
花野菜カリフラワーの別名か仮の花とは粋なネーミング : shell
ビル街に優しい秋を送り込む桜木町のワイルドフラワー :
悠然と花野をめぐると見しカラス羽音重たく頭上を過ぎる :
コスモスは天を仰ぎて咲き乱る星の光を夜露に変へて : 直哉
れんげそう咲きたる花野いずくにかありなむおもひならましものを : 鏡の精 せり
Lesson 162  Theme:『えん』 by shell 2003/2/19
縁がある想っていたの私だけすれ違うだけならよかったのに : shell
二人して庭の栗木を眺めつつ煎茶 爺ちゃん縁側の我 : zenkyu
鉄橋を渡る電車の窓染める幼稚園児の黄色い帽子 : 万里子
望月をかたわらに据え一合の酒を楽しむ春暖の宴 : ゑつ子
何の為だ〜れの為に走るのか円谷コウジ走って消えた : 下町古娘
襟元の艶な風情は絵姿か 縁に恵まれ遠慮はなしで :
あいにきてはるなつまむとしめしのにえんをたどりてなづみ来るかも : 鏡の精 せり
収拾車近づき宴は中締めで烏パラパラ二次会へ飛ぶ : 直哉
うかうかと円かな月に向き合って見られてしまったまぁるい涙 :
踊り子のドレスの裾のトレースはパンプス軸に描く正円 :
Lesson 161  Theme:『におい・かおり』 by 美作直哉 2003/2/18
ふくいくと香れど姿見えぬもの風に乗りたる満たされた春 : 下町古娘
指先のバニラの匂いがまだ残る恋の終わりの如月半ば : 万里子
封を切りむせるアロマに酔いながら ごくり飲み込む恋の欠片よ :
ひと言にもつれた糸が解けはじめ 梅の香ながれる午前二時半 : ゑつ子
やわらかな雨に包まれスーツから漂う香り父の思い出 : 直哉
新しい甘いにおいのシャンプーで泣きたい夜をごまかしてみる : よさ
こととはぬはなにありしやいかにしてにほひつつみておもひわたさむ : 鏡の精 せり
あなたってどんな匂いがしたんだろ離れ過ぎてて忘れちゃったよ : shell
たふたふのお腹に顔を埋めれば 時間が止まる 日溜まりの匂い : とまと
懐かしい 香りを嗅ぎて 思い出す 今までつゆも 思い出さじを : sachi
咲き誇る山茶花みてもこころ得ず梔子の前でデジカメカチャリ  : zenkyu
Lesson 160  Theme:『音』 by 万里子 2003/2/17
おそらくは産湯の記憶かもしれないシャンプー台を流れる湯の音 : 万里子
ライターのカチッという音暗闇に 響いて灯る刹那の明かり :
鍬を刺す大地の拍子で鍬を刺す 父の背中に何を告げよう : 直哉
歌舞伎にて「音羽屋」「成田屋」「高麗屋」名場面での間のいい掛け声 : shell
丸まつて「くー」といびきの聞こえなばこれにもこれの気苦労あらむ : ゑつ子
サラサラと和服の肩を滑り降り春の名残の淡雪の音 : 下町古娘
好きだった女と聞いたという曲は 私にとっては嫌いな曲に : とまと
せせらぎを素足で濁し毛ばり投げ竿を撓らす渓谷の調べ : zenkyu
下手くそな口笛フーホーふきながら仕事ってなんだろうと思う : よさ
耳澄まし ドアに駆け寄り開け見れば 聞こえたはずは 無き足音 : ★あゆ
Lesson 159  Theme:『衣』 by 響 2003/2/16
松の木に置き忘れしは羽衣に想い託せり未練のこころ :
緋衣を脱ぎ住職はひじまくらで息子の受験の話などする : ゑつ子
纏うもの擦り切れぼろを繕いて今日も苦行シャモンの衣 : zenkyu
背の割れた後ろ開きのワンピース あなた止めてと独りの小部屋 :
ベルばらの衣装どれ着たい?「オスカルよ」「いいえ私はアントワネット」 : shell
火鼠の皮の衣はかぐやこそシャネルのコートの中身はなあに : 直哉
ふきのとう・たらの芽・つくしの天婦羅は衣のうちに春の香こもる : 万里子
うつし世に極めし栄華を衣川一夜の夢のけぶりとなして :
微かなる衣の残り香漂いて開け放ちたる窓のきしみよ : 下町古娘
天婦羅の衣剥がして食べるのは 我の脂肪も剥がす為なり : ★あゆ
むらさきに染むる衣に落つる露にほひはすとも移ろひゆかぬ : 鏡の精 せり
Lesson 158  Theme:『青』 by zenkyu 2003/2/15
源流は流れも速く細きもの河口で見るは蒼き流れと : zenkyu
青箭魚(さごし)って鰆の幼魚だったのね呼び方変わる魚多いな : shell
わが人生 頭上に見えし空の色 青ざめ・青タン・蒙古斑 : ★あゆ
青き事未熟なる事知らぬ事色づきながら知り過ぎて行く : 下町古娘
領収書どさりと置かれ仕訳する胃の疼く日々 青色申告 : ゑつ子
青信号待てずにイライラ5メートル先で手を振る君見えるのに : よさ
甘海老のうすあおき卵ふゝむとき海原に舞う生命思えり : 万里子
あおいはるこころふるわせあこがれのきみとさいかいわがとしわすれ : 鏡の精 せり
硫酸銅水溶液の毒性が頭を過ぎる上海ブルー : 直哉
暮れ残る蒼かすかなり望月はまばゆき光芒まとひて昇る :
週末に はめをはずして 楽しみて 疲れ残りし ブルーマンデー : sachi
Lesson 157  Theme:『聖』 by sachi 2003/2/14
「別れよう」海を見ながら車止めスピーカーから聖子ちゃんの歌 : shell
いにしえの教えを語るバチカンの司教の長は生きた聖人 : zenkyu
潔く生きているにはほど遠い僕(しもべ)の祈りを主よ聞きたまえ : ゑつ子
斑鳩に蓮華菜の花咲きみだれ川ぬるむ頃君と会いにき : 万里子
聖なるは民の言葉に耳をかし希望を広める口持つ王者 : 下町古娘
聖人と凡夫の間雲のようにぷかりぷうかり煙草を吹かす : 直哉
男でも女みたいな幼顔 拝む姿に乙女憧れ :
蜜の罠 まやかしと知り はまってく 娼婦の中に聖母をみつけ : sachi
いのち賭けビザ発給を続けたるをのこありしと聞く尊さよ :
Lesson 156  Theme:『煙』 by 径 2003/2/13
元気なし恋の煙も消え消えにもいちど燃やそもうやめようか : shell
したたかに煙幕張られ蚊帳のそと智恵ある者の巧みさ知るべし : ゑつ子
くゆらすはコーヒー片手のご夫人一人本見る隠れ家喫茶 : zenkyu
紫の霧立ち上る八海山煙とばかり空に向かって : 下町古娘
凍てついた音楽響く水煙に今日は一人でカメラを向ける : 万里子
紫の灯りどんより路地裏に 濁った煙微かに揺れて :
紫の細い煙が消えるまで もう少しだけそばにいていい? : とまと
せせらぎに煙のごとく漂うは春待ちかねるニンフの吐息 :
さっちゃんち燃えて煙になっちゃった明日の遠足来られるかなあ : よさ
ゆうらりとおやまのけむりしろいつち きょうもあしたもだれかのめいにち : 直哉
湯煙の旅路懐かし早春の熱海の梅は満開ならむ :
Lesson 155  Theme:『商標・商品名など』 by 万里子 2003/2/12
今日だけは演歌の女になりたいわ川面に滲むグリコの看板 : 万里子
明日もまたいつもの会社催促か収めるところキャノンだな : zenkyu
小さめの天津閣の肉まんが君のお昼はこれだったよね : shell
おかあさんグンゼのパンツ出してくれあした健康診断じゃけん : ゑつ子
Cだけでシャネルとセリーヌ間違える慣れない見栄はこれでお終い : 下町古娘
雪残る横断道路君と行く 走るオペルは素敵だったよ :
欲しいもの何も浮かばすJR貨物の錆びたコンテナの列 : 直哉
振出口広くなったね味の素それじゃ半分塞いで使お :
GODIVAとふチョコレート売り場の喧騒を愚かと思へる我が寂しき :
「あれ欲しい」指さす先にはフェラーリが ポルシェのローン、終わってからね : とまと
Lesson 154  Theme:『国』 by shell 2003/2/11
島国に住んでいるから国境を跨ぐ鉄道の気軽さいいな : shell
手弱かに舞う姿を思う今日阿国は舞うと華は涼しげ : zenkyu
キムさんの韓国訛りの「あけましておめでと」聞けば破顔がうかぶ : ゑつ子
隣国は 大概の場合 仲悪し 仲よろしけば 同じ国なり : sachi
髪の毛や肌や目の色違っても 宇宙からみりゃみんな地球人 : とまと
民族と国との違い本日の紛争の種はすき焼きの味 : 直哉
この川をいつか渡らん羽ばたきて 無窮花(ムグンファ)咲く彼の地を胸に :
居眠りを国語教師に見つかって「今日の復習、ら変ってなんだ?」 : よさ
国産の丸大豆醤油少しつけアラスカ産のサーモンを食ぶ : 万里子
人と人国と国とが交わって50世紀は一つの民族 : 下町古娘
建前の祝いの宴は粛々とやがて流れるお国の民謡 :
人間が作り上げたる「国」という人間をさえ超越するもの :
Lesson 153  Theme:『器』 by 龍 2003/2/10
器ゆえ汲み取る嵩の多寡あれど いつか壊れるその日来るまで :
お茶碗を美術の授業で創作しそれはわんこのえさ入れになり : shell
凡庸に生きて欲しいと思う子はいつしか親を驚かす器! : zenkyu
コツコツと内から嘴で殻砕き孵化するまでのひな鳥の孤独 : 万里子
「この土の器」と祈ればこそばゆく欺瞞のにおい いい子ぶるな俺 : ゑつ子
銀河ありミクロマクロも内包す青き地球も宇宙の子 : 下町古娘
悔しくも齢と共に溶け出した涙で満ちる氷の器 : 直哉
決めあぐね遺影の母に問いかける その器にはまだ近づけず : とまと
看板をかけかえただけスナックは今日から居酒屋花輪が三つ :
昼食のお茶当番の締めくくり君の湯呑みを真っ先に拭く :
Lesson 152  Theme:『光』 by お江戸のGO 2003/2/9
雨あがり スカート揺らして夏が行く 胸ときめきし逆光の恋 : お江戸のGO
支えしは日の光と悟れしを小さな花壇見つめる小薔薇 : zenkyu
閃光を天(そら)に残して我駈ける 疾風(はやて)となりて汝をば穿たん :
ぶらんこは夏日を受けて輝けリ子らの声なき公園にして : 万里子
眩しさが消えても虚勢はるスター笑顔が哀し影もうすれて : ゑつ子
公園に「りら」と微笑む君がいたあの春の日の陽射しの中に : shell
テラテラにおでこ光らせ真隣りでとんこつラーメン食べてる上司 : よさ
一斉に方向転換する鳩の羽根裏光る早春の日に :
またひとつ灯りが消える迷い蛾は車のライトに包まれてゆく : 直哉
海原は波のプリズムきらきらと冬の終わりを私に告げる :
音の無いゼリーの空はマシュマロの雲が浮かんで光滑らか : 下町古娘
夕日浴び影絵になった横顔を 見つめていたい ずっとこのまま・・・ : とまと
Lesson 151  Theme:『止』 by 美作直哉 2003/2/8
鳳凰に夢を託して羽ばたかせ返事をまつは我腕止まり木 : zenkyu
山道を一つ超えては立ち止まる見返す町はもう懐かしい : 下町古娘
「いつだって止められるの」とうそぶいて 後一本だけと火を点ける : とまと
私って強いんだってね それならば戸締りだって自分でできるよ : ゑつ子
立ち止まり後ろを向いていないかな 今を見詰めてそしてわたしを :
とめどなくながれるしずくかれる日はいつのひくるやはるいろたずさえ : 鏡の精 せり
CMの曲に心は逆流す小洒落たカフェ・バー『Don't Stop The Dance』 : 万里子
立ち止まることはいつでもできるから君にもらった「勇気」と走る : よさ
涙止め生きる希望をくれたのに今のあなたが理解できない : shell
もういやだ もう止めるぞと 誓っても また凝りもせず 男と酒と : sachi
時を裂く警笛非常ブレーキに電車を撫でる老人の笑み : 直哉
創業は歴史となりて三代目わが道をゆく諌める声なく :
陽がさんさん 歩みを止めて君思う 訃報の朝は小春日和 : お江戸のGO
縮緬の古裂で作るタペストリー仮留めすれば止まらぬ運針 :
行き詰り夜を彷徨う君哀し我より酒と添い寝する : くまさん
Lesson 150  Theme:『影』 by くまさん 2003/2/7
影法師いつまでも追うが踏めないと気付いた時に夕日はやさし : zenkyu
買い物で黄昏時に帰る道影法師だけみちづれにして : shell
駐車場 指繋ぐ影長く落ち 気恥ずかしくてそっとうつむく : とまと
嬉しくも せつなくもある 亡き人の 面影宿す きみの横顔 : sachi
恵まれた家庭を述べばさあらぬを翳(かげ)らす事を知らぬ教師は : ゑつ子
夕焼けの山に向かって帰り道二人の影の長さ比べて : 下町古娘
愚かさがしみてパタパタ落ちていく涙の粒を影が受け止め : よさ
陽の光真横に受けて失った右足の影しばし忘れる : 直哉
腕時計確かめようと伏せた眼に慣れたリズムの影がとび込む : 万里子
カーテンに二つの影が重なって やがて静かに灯りが消えて :
浮遊して不確実なる我が恋に 影を縫いつけ地面に戻せ : お江戸のGO
じゃんけんに負けたあたしが部屋の外君とあの娘の影を妬いてる :
耐え切れず影は私を見捨てると先にいくよ、と歩き出す夢 : くまさん
囲炉裏端太く短い祖父の指影絵の狐をコンと鳴かせて :
お〜い待て夕暮れ時のシルエット夢中で踏んだ鬼ごっこなり : きえ
よもすがらかげをしたひてまどべにてことをつげなむかぜがないてふ : 鏡の精 せり
Lesson 149  Theme:『背中』 by 下町古娘 2003/2/6
苛立ちが一方向に流れゆく赤信号を見つめる背中 : 万里子
あまりにも大きな背中見せられて越えれぬことを感じる気持ち : zenkyu
お願いよあっち向いてて一度だけあなたの背中にもたれてみたい : shell
つ少女の背中凛々しくて面を外せば思われにきび : 直哉
大丈夫もう後押しはいらないね 姉ちゃんはもうこれで行くからね : ゑつ子
咳こんだ父親やけに小さくて背中さするも何も言えずに : よさ
シャツ羽織り鏡に向かう背中見て 心で尋ねる「今度っていつ?」 : とまと
もういいか・・・尽くす女をやめた朝男の背中ポンと押し出す。 : 下町古娘
二の腕に紅蓮の炎燃え盛る 緋牡丹の色背(せな)に隠して :
世の中を斜に見ているひとだけど良きじじ様になれそな背中 :
瞬間のシャッターチャンスを狙う君 問いかけ拒む背中に惚れる :
いい子だとあんまりあなたが褒めるからへそが曲がって背中で返事 : くまさん
背中で語る人生を聞いてみたいぞ正面から : きえ
夢破れ 友の背中で泣いた夜 断じて我は恥じる事無し : お江戸のGO
Lesson 148  Theme:『春』 by ゑつ子 2003/2/5
名残惜し冬の切れ目の日だまりに小さな花はスミレの小花 : zenkyu
桜芽吹きそろりと足を踏み入れた春を待たずに急ぎ逝く友 : 下町古娘
やすやすと絶えませぬぞと蓬あり しからば我は餅などつくらん : ゑつ子
春ものの花柄のシャツを着たマネキン妙に似合って少しみとれる : よさ
ティシュのへるのがはやく「りら」と私朝から仲よくくしゃみしている : shell
白梅も風に誘われ二分に咲き いつに変わらぬ春を感じて :
釣り人を弄ぶように舞う桜水面を埋めてゆらりゆらりと : 直哉
研ぎたての包丁の先で独活をそぐ新しき季を呼び込むために : 万里子
蓮華草 線路の脇で愛想がいい ありがとうね 俺はまだ冬 : お江戸のGO
暦では 春が訪れ季が変わる 心も薄着になれたらいいね : とまと
オリオンは早や西空を翔けりゐてシリウス潤む春立ちにけり :
桃色の小袖に着替え風花は桜になって舞う夢を見る : くまさん
日を受けて氷柱の雫ゆっくりと落ちては穿つ軒の形に :
Lesson 147  Theme:『薬』 by 響 2003/2/4
良薬は口に苦しと言うけれど治せないもの恋煩い : zenkyu
マージョラム・カミツレ・ローズ・ラベンダーあなたと歩くあなたに触れる : 万里子
外出に忘れちゃダメなの保険証薬に財布お薬手帳 : shell
戦いの瓦礫の中で傷ついた心の薬癒しのメロディー : 下町古娘
不眠症 完治ですね、と医者微笑う 特効薬は暖かい胸 : とまと
不安もつ君の薬になれたなら水に流して「おやすみなさい」 : ゑつ子
別れの日 薬箱を整理して 「あなたの分よ 元気でいてね」 : お江戸のGO
色だけはオレンジ色の解熱剤文句言う子に氷嚢乗せて : 直哉
路地裏に十の字揺れる薬箱 白き小花に赤髭の見え :
デパス飲み今日がはじまり満員の電車の中の不安と戦う : よさ
骨太の見た目裏腹 検診で毎年通知鉄剤処方 :
無鉄砲につける薬はないけれどそれを勇気と間違えないで :
強情でなければいい恋できるかも素直になる薬教えてください : くまさん
Lesson 146  Theme:『音・声』 by とまと 2003/2/3
あなたからメールの届く着信音 待ちわびて聞くサンプルの音 : とまと
ひたひたと近づく春に側耳を立てて聴くは川辺の足音 : zenkyu
夕焼けの音楽室の静寂を鼻で笑ってCmaj7 : 直哉
へつらいをこめた笑いでざわめいて粛々とすすむ定例会議 : 万里子
真夜中にボリュームしぼりヤンリクを笑いこらえて聴いてた頃の : ゑつ子
ころころと転がす氷音立てる ジンの香りが思い火照らせ :
あのひとの声が聴きたいわがままはわかってるけど愚かな私 : shell
今一度生まれてくるなら 音楽を お金に換えぬ理想の国 : お江戸のGO
鬼たちが泣いているだろおさなごが無心に叫ぶ鬼は外の声 :
終わったの わかってる諦めるもう追わない なのに消せない留守電の声 : くまさん
大鍋の湯はふつふつと調いてパスタはパラリ放射を描く :
マチュピチュの無人の都市に我立ちて確かに聞いた霧の泣く声 : 下町古娘
Lesson 145  Theme:『時間』 by zenkyu 2003/2/2
此処までは行けると信じて旅をして行き着くことは今だ出来ず : zenkyu
思い出す初めて会った容姿よりあなたは太り私は痩せた : shell
何処までも時の積み木を積み上げて捻れた梯子暗闇に落つ : 下町古娘
この猫は10年間も生きていて飼主の齢をあっさり超えた : 万里子
かくれんぼ出てきてみたら独りぼち でも構わない何して遊ぼ :
待ってます 電話もメールも来ないけど水仙一輪君のデスクに : くまさん
水のように流れて消えた僕の日々 誰かの恵みの雨になったか : 直哉
手持ち駒使い果たすは間近なり覚悟を決めんとしつつためらう :
研修の集約となるマークシート七十分に一年写す :
棹をもち川飛び越えた楽しげな会話にすこしやきもちを妬く : ゑつ子
バイバイと笑って見送り背中押す 想ひ出すのはやさしい笑顔 : きえ
訪ね来た父の敬語に息つまる 「お世話になります・・」 風鈴が鳴った : お江戸のGO
Lesson 144  Theme:『海の生き物』 by 径 2003/2/1
潮溜まり童は遊ぶ無邪気にも潜びしものはアメフラシ踏む : zenkyu
今年こそ海遊館に行きたいなジンベイザメやマンボウ見たい : shell
叶うなら万里の果ての海深く沈めし貝を我が墓とする : くまさん
ペンギンの哲学的な遠い目につきあい少し寒さこらえる : よさ
「疲れたわ・・魚になる」と消えた君 焦るじゃないか なんだ風呂屋か! : お江戸のGO
漁火に烏賊すいと来て止まれるや すいと離れる鰭なびかせて : ゑつ子
真鰯の長が誰だか決まらない群れは渦巻き一網打尽 : 直哉
さあお出で!虹の色して揺らめいて誘いの奥には天国地獄 : 下町古娘
湧き水は岩の隙より藻を揺らし 憩う人魚の銀鱗跳ねて :
ひとひらの牡蠣がのみどを過ぐる時潮の香たちて記憶揺らめく : 万里子
月の夜の光を溜めて阿古屋貝年重ねつつ育む珠よ :
戻れない緑の大地の恋しさに鯨は太き尾で海面打つ :