短歌ドリル公式記録簿 2003年9月号
 毎日のお題から即日UP!短歌のWeb練習会、公式記録です。
 Liveは万里子さんのHP<短歌ドリルBBS>で!
【ご連絡】 9/13〜9/15 不在が続きますのでUPが滞ります。
Lesson 346  Theme:『しょくへん』 by shell 2003/9/30
鎌倉の八幡宮の美術館源平池に影を映せり : 橘真知子
白梅のネイルアートに初挑戦濃い目の色に銀飾りつけ : 下町古娘
国会の質問を書く新聞に草加煎餅ぽろぽろ落ちる : ゑつ子
飾らない言葉がとても嬉しくて涙出そうで視線逸らした : shell
栗御飯炊き上がるにほひ漂ひへり甘やかにして切なき宵に : 万里子
飢えること飽きるほど食べ飽食と似ていることは飽きてくること : zenkyu
飽き足らず雲ひとつなき秋の空見つめていれば君のことなど : 美作直哉
Lesson 345  Theme:『そら』 by zenkyu 2003/9/29
ちっぽけな悩みも僕には大きくてビルの谷間のなけなしの空 : 美作直哉
青空を見ても心は落ち込んでセンチメンタル秋のせいかな : shell
彼岸花咲く野にひとり歩を進め南無阿弥陀仏そらんじている : よさ
わた雲のみんなみに向き流れゆく紀の国への道いにしへの道 : 万里子
夕映えの空をさかさに受け入れて海はしだいに薄墨に染む : ゑつ子
高き雲遥かに見える富士山を青空バックに独り眺む : zenkyu
草枕空と心が合ったなら雲を音符にララララプソディ〜♪ : 下町古娘
Lesson 344  Theme:『糸』 by 美作直哉 2003/9/27
わぁ素敵まるで絹糸そう見えたリチャード・クレイダーマンの髪 : shell
一尺の大島紬のくず糸を結ぶそばから玉にする我 : ゑつ子
人と人糸の絡みて色をなすほぐれても良しほぐれずも良し  : 下町古娘
無抵抗続ける白き糸車独立の父は古風な暮らし : zenkyu
忘却の彼方の空論辞職願 あやつり人形の糸切り歯もろく : 美作直哉
あやとりの緋色の糸と祖母のゆび動くさま見し遠き冬の日 : 万里子
地獄絵に垂れし一筋蜘蛛の糸 生きるを知った龍之介の本 :
Lesson 343  Theme:『しろ』 by よさ 2003/9/26
ウェディングドレスにも勝つまっしろなチーズケーキを今日もひとりで : よさ
あまりにも心配ばかりさせてると「勝手にしろ」と言われるかもね : shell
秋の田に鷺ら集いてしろき群れ離れてカラスの黒き群れ : 下町古娘
糊しろをはみ出すまいとをさなごは乾坤一擲勝負師のかお : ゑつ子
あれを見よましろな雪渓登りゆく男二人の残す足跡 : 橘真知子
纏いしは白き鎧と鉄兜ジャンヌダルクはフランス守る : zenkyu
 暁闇の底に信濃の蕎麦の花露置き添へて白くかがよふ :
創造も破壊も知らず神知らず生きたウチらの瞳は白い : 美作直哉
Lesson 342  Theme:『そこはかとなく寒さを感じる時』 by ゑつ子 2003/9/25
マイチャリにグローブ付けて走るとき首筋から入る風がゆく : zenkyu
話せないあなたは私を見つめてる忙しいのねわかってるのに : shell
太腿に頬を寄すればジーパンのレアチーズケーキめきて冷たし : みか
床を踏む素足に秋の気配あり窓の外には暗い長雨 : 下町古娘
秋の日の影を歩まばビル風は冷たき日向を好みて歩まむ : 橘真知子
曇り空ポルタメントの秋の風たんすの引出し一段下を : 美作直哉
背中をば壁におしつけ犬小屋に上目づかいの耳のやや寒 : ゑつ子
食糧安保の資料を読みて今夏の寒さ悪夢と思へり : 万里子
長き夜の書を読んでいる背のあたりふと隙間風過ぎし気配す :
朝刊をポストから抜く おはようと言いたい人はここにはおらず : よさ
Lesson 341  Theme:『秋彼岸』 by 下町古娘 2003/9/24
秋彼岸夏の想いはサラサラと風に流れるススキの穂先 : 下町古娘
秋彼岸子供の頃は山ほどの手作りおはぎが昼食だった : shell
樟脳の匂える服を取りだして身幅を詰める秋彼岸のころ : ゑつ子
黒枠の笑顔の君にひとつだけ愚痴をこぼしてみる秋彼岸 : よさ
秋彼岸いつもと同じ和菓子屋で買ったおはぎでお茶を楽しむ : 万里子
同人誌墓標となりき秋彼岸叔父の短歌の風を継げずに : 美作直哉
コスモスに誘われ行くは秋彼岸墓参りせず仏壇に行く : zenkyu
彼岸花咲き盛るころ南海に沈みしと聞くひと思ひをり :
Lesson 340  Theme:『後姿』 by 橘真知子 2003/9/22
父の背中小さくなりき六十を過ぎて間もなき頃よりもなほ : 橘真知子
夢の中私の前を行くあなたそっと駆け寄り歩幅合わせて : shell
台風の後姿にホッとして今日の占いカウントダウン : 美作直哉
いつまでも追い続けては遠ざかるあの背中見に後姿追う : zenkyu
振り向かず信号わたるわたくしの後姿でわかってほしい : ゑつ子
いつとしも分かず緑の褪せゆけり夏の別れは秘めやかにして :
唐突に毛を逆立てる飼い猫の威嚇の相手は空の彼方へ : 万里子
Lesson 339  Theme:『〜まで』 by 径 2003/9/20
死ぬまでの準備や危惧は急がずにその瞬間で間に合うもの : 下町古娘
敵わぬは泣く子と自然いつまでも何年たてど泣き止むまでは : zenkyu
シンデレラ夢の踊りはあとわずか十二時までのタフタのドレス :
ここまでは君の拓きし道なるもわが力にて先へ進まん : 橘真知子
約束にあらねどけふのやりとりを来年までの掟とすべし : ゑつ子
秋までのいのちを保ち鳴くセミは遺伝子を継ぐための生涯 : 万里子
今までの僕の人生否定する君の存在否定する僕 : 美作直哉
ふたりとも冗談ばかり言ってるねどこまで本気どれが嘘なの? : shell
王子様現れるまで待つなんてわたしはしないさあ出かけよう :
Lesson 338  Theme:『忘れる』 by shell 2003/9/19
TUTAYAにて借りたきビデオの邦題を忘れさみしく店を後にす : 橘真知子
何時か来た思わぬ場所で感じます潜在意識が忘れぬ景色 : 下町古娘
「あの時は」に忘れのドアを蹴破って矢印サタンがぞくぞく出でる : ゑつ子
どんな時もはしゃいでいても誰といても君を忘れたわけではないよ : shell
転がったサッカーボールを蹴り上げるスーツ姿の瞳は少年 : 万里子
教科書を忘れ先生公認で君へ接近リンスの香り : 美作直哉
気まぐれな尻尾をなびかせゆく美猫後姿に我を忘れる : zenkyu
Lesson 337  Theme:『食べ物』 by zenkyu 2003/9/18
豊かなる秋の実りの果実達あなたの命頂きました : 下町古娘
空豆を口に含めば草いきれ麦藁帽子の中は蟷螂 : 美作直哉
体調が少し戻って悩みはね食欲の秋でお腹ぽっこり : shell
ハレの日は巻寿司つくり汁添えて夕餉の卓にあしたが見える : ゑつ子
離れてく火星を見上げベランダで残暑の味のトマトをかじる : よさ
訳もなく泣きたい夜の慰めはホットミルクティCHOICEビスケット :
鰯雲流れる午後はいきつけの茶房でひとりカプチーノ飲む : 万里子
Lesson 336  Theme:『夜』 by よさ 2003/9/17
耳元に残った言葉 ケータイと秘密分け合う夜のとばりに : よさ
墨色の夜のとばりの薄衣黒の女神は静かに降る : 下町古娘
猫ひとり夜のとばりに抱かれる右の前足引きずりながら : 美作直哉
街灯の乏しい坂を押し黙り息荒く登る夜更けの家路 : 橘真知子
寂しいな特に変わった夜も来ず君がいないと時間は長い : shell
夜に咲く花の如きに輝くは紅く煌く兄弟星が : zenkyu
飼い猫の背中にそっとささやいて確かめている「十五夜だね」と : 万里子
大屋根に触るるばかりに秋の夜の真白き雲がゆたりと流る :
虫の音が止んで眠れぬ寝屋の闇決断できぬ思いさまよう :
Lesson 335  Theme:『勝』 by 美作直哉 2003/9/16
人々の目力持ちし昭和の日勝新太郎といふ役者あり : 万里子
阪神の勝ち勝ちカッチンくやじい〜ね内心大いに羨ましい〜♪ : 下町古娘
美醜とか勝負のたぐいを遠ざけて密かに乗れるヘルスメーター : ゑつ子
信じたい絶対最後に愛は勝つ小さな炎消さないように : shell
争いを好まぬ「勝」うな垂れてばかりの「幸子」二人の門出に : 美作直哉
何に勝つつもりでいるのか人間は欲望だけのこの惑星で : よさ
勝つたとか奪つたなどと思はねど恋のライバル去りしあの夜 :
勝つことは虚しきことと教えられ負けてすごす人生の賭け : zenkyu
Lesson 334  Theme:『秋』 by 万里子 2003/9/13
明晩は家族揃ひて芋煮会喧嘩してたの忘れてしまへ : 橘真知子
すすきには月を見るとき必需品無いと感じぬ名月の灯り : zenkyu
白昼夢として熱風は襲いくる。いつまでも寒い夏、昼さがり。 : みか
荒れ庭の名も無い花に語りかけちびりちびりと秋の盃 : よさ
紀の国の街道沿ひの塀の中栗・柿・ざくろの青き実揺れる : 万里子
秋の夜に松虫の声せつなくていずれあはれかきそいておりし : 鏡の精 せり
夕食後りらと散歩に出てみれば日の暮れはやくて少しずつ秋 : shell
家政婦をしばらく休業いたします。妻のメールは秋風に乗り : 美作直哉
Lesson 333  Theme:『風』 by ゑつ子 2003/9/12
寝台車「あさかぜ」ならば9時間をつむじ風なら何分なりや : ゑつ子
幼少時白黒で見た”又三郎”不思議な子供夢見た昔 : 下町古娘
鳴る前に目覚まし止める朝の風君のバトンは僕の手の中 : 美作直哉
真っ白なシーツと戯れ風がゆく今日も残暑は厳しかりけり : 橘真知子
できるなら小さな風になりたいよあなたのもとに飛んで行けるから : shell
そよ風に送られ越したこの庵早くも2年まるで流星 : zenkyu
Lesson 332  Theme:『アーティスト』 by 橘真知子 2003/9/11
夜更けまで繰り返し聴くカーネーション詞のカッ跳んだ感じがいいの : 橘真知子
チバくんの最後の歌をかみしめて部屋の窓から見よう満月 : よさ
おかっぱ頭の姪は言う「キンキキッズの光ちゃんが理想のタイプ」 : 万里子
Pianist "Philippe Saisse" の Bass Line 彼女が僕に求めてるもの : 美作直哉
カラオケに行って歌うのは松田聖子か中森明菜 : shell
ゴズペルの流れる教会歌姫はシシージャクソン シャウトが響く : zenkyu
抜けぬ棘包みてまっきーよみがえり「オンリーワン」の花われもまた :
Lesson 331  Theme:『ライバル』 by shell 2003/9/10
「バトルだぜ!君に決めた!」と少年はポケボールかざし今日も闘ふ : 橘真知子
団栗はサイトの角で衝突しちさな火花を散らし左右に : ゑつ子
最強の神も悪魔も我の中グラスに注がれるXYZ  : 美作直哉
満月に擦り寄る火星色あせて歴史の深さ思い知らされ : 下町古娘
仲良くは見えていたけど複雑に燃え立つものが君の心は : shell
同窓会名さえ忘れた相手からライバルだったと打ち明けられる : 万里子
テレビジョン見てる間に食べられた6ピーチーズを愛犬が取る : zenkyu
神代より恋をあらそふ若者の嘆きに月は満つれば欠くる :
Lesson 330  Theme:『散々の事』 by 下町古娘 2003/9/9
辞めてやる二度と顔など見たくなひ! 女社長にいびりぬかれて : 橘真知子
感情と口が直結してる人脳みそ経由してない言葉 : 下町古娘
殴りあうカキコの応酬パソコンを閉じて闇夜に煙草を吹かす : 美作直哉
妄想に付きあう暇はないのよね自分で勝手に判断すれば? : shell
熱っぽい体に無理に言い聞かせ包丁使えば指先を切る : 万里子
夏痩せを寄ってたかって病人に仕立て上げられ胃カメラを呑む : ゑつ子
地下鉄で停電のため途中下車歩いて帰る1時間かけ : zenkyu
降り出だしぬと見る間に積雪数p五キロの道を四時間かけて :
Lesson 329  Theme:『相撲』 by 径 2003/9/8
モンゴルの若者日本の土俵にてのびのび闘ふ猛者となりけり : 橘真知子
身体だけ大人以上の子供らは清めの塩を高々と撒く : 美作直哉
ミナミにて買い物してたら暗くなり顔を上げれば若い力士が : shell
ほらあれよおまけの俵「徳俵?」ギターの得意な牧師がぽつり : ゑつ子
心技体求められゐる横綱の土俵離れしあどけなき顔 :
昼下がりの客の少ない国技館幕内目指すざんばら頭 : 万里子
急いでて間にあわないと駆け込みて電車で気付く勇み足かと : zenkyu
Lesson 328  Theme:『花の名前』 by zenkyu 2003/9/6
太陽を取り戻したり向日葵はわき目も振らず高く高く : 下町古娘
想ふとはスウィートキャンディーなどといふ名前をバラに与へしことか : 橘真知子
長雨に冷夏の里は静まりぬ疎らに白く蕎麦の花咲く :
ストックが『においあらせいとう』とうを知るはこのごろ 三つ子の魂 : ゑつ子
蓮華咲く池のほとりの菩提樹に座して僧坊真理を探す : zenkyu
「あさがお」と呼ばれしときもあるというむくげの花は夏空を見る : 万里子
峠道曲がりきれずに飛ばされてメットへ貼りつく露草一輪 : 美作直哉
名にし負へば夜々満ちてゆく仲秋の月に頬染む月下美人花 :
紫陽花の咲く頃出逢い二年経てかずハナれず季節は移る : shell
Lesson 327  Theme:『地下鉄』 by よさ 2003/9/5
号外を持って乗り込み地下鉄で暗い視線を集めた九月 : よさ
地下鉄が開通したが実家にはいまだ不便なエンドストップ : zenkyu
引っ越して乗るべき線が変わったら迷子になった地下鉄の駅  : shell
地下鉄が地上に浮かぶ瞬間に少し味わうもぐらの思い  : 万里子
蟻の巣のごとき都会の地下鉄に一瞬の闇過ぎる恐怖よ : 下町古娘
地下鉄のホームに立てば風吹きて電車が来ますの文字の灯れる  : 橘真知子
眠らない街の血管どす黒く嘔吐の香りとアルミの地下鉄 : 美作直哉
阿倍野から梅田へ走る地下鉄の地上の駅がけげんな万博 : ゑつ子
制服の少女日焼けの匂いして市営地下鉄九月始まる :
Lesson 326  Theme:『触』 by 美作直哉 2003/9/4
触れ合って身体は丸く柔らかい石の心を優しく包む : 下町古娘
触覚を揺らしかすかに尻を上げ茶羽根ゴキブリ残暑を走る : ゑつ子
揺れてゐる百日紅の花我が髪の先に触れてはまた会釈する : 橘真知子
うっとりと夢の中だけ現実はお互いちょっと触れただけなの : shell
触覚が秋の気配を探し当てたに違いないアゲハはひらり : よさ
ミャーミャーと出迎えに来る飼い猫の背中の毛並みに触れてくつろぐ : 万里子
君の手に初めて触れたその日さえ忘れろというエレベーター下り : 美作直哉
触れてみるかすかな段差感じてはまた削りこむ金属の面 : zenkyu
Lesson 325  Theme:『記念』 by 万里子 2003/9/3
笹舟の潮目に会ひし神無月 白川郷の木洩れ日の歌 : ゑつ子
親元を離れて暮らし始めしは十二年前の真冬の話 : 橘真知子
初めての骨折宣告あばらでも我も三十路で男となりぬ : 美作直哉
手術後入退院の繰り返しだけど様々な出会いがあった : shell
人間の小さな一歩を人類の記念碑とせしアポロの船長 :
制服も卒業生の記念樹も共に消えゆく過疎地の母校 : 万里子
誘われて和歌をかいたこの日からわたしの日課短歌記念日 : zenkyu
吾が運勢今日の一日は最悪に優しく咲いたアニバーサリー : 下町古娘
Lesson 324  Theme:『手紙』 by ゑつ子 2003/9/2
ことづけを頼んで出かけいそいそと急ぐ故郷は御祭りの夜 : zenkyu
夏過ぎて秋きにけらしたよりさえ綴る想いもやんわりつぶされ : 鏡の精 せり
雨の降る松崎に届く父よりの手紙は詩的に余韻を誘ふ : 橘真知子
その義兄(あに)の母へ送りし励ましの文を形見と従姉妹へ渡す : ゑつ子
あなた宛最初で最後のラブレターファイルの奥に大切そうに : shell
大和路のみやげ物屋の店先で使うあてなく絵はがきを買う : 万里子
徹夜した手紙をも一度読み返す朝焼け色の顔とゴミ箱 : 美作直哉
病床の父の「感謝してゐる」の文大切に母は秘めをり :
Lesson 323  Theme:『長』 by shell 2003/9/1
長月の声聞けどいまだ未練なるめくるめき日よ燃え盛る恋よ : 下町古娘
揺れやまぬ長い時間を沈黙のうちに過ごせリ たかだか2分 : ゑつ子
オレンジの長距離バスは睡眠に落ちたお客を乗せてゆっくり : よさ
目が素敵水も滴るいい男光源氏の長谷川一夫 : shell
さらさらと上目遣いの長い髪 瞼を閉じて僕はため息 : 美作直哉
幅広くまっすぐに長い御堂筋商人(あきんど)魂いまはいずくに : 万里子
ホトトギス鳴かせるために苦労して天下布武とは信長の夢 : zenkyu
白髪を肩の長さに切り揃へ八十路の母の童女めきたり :