短歌ドリル公式記録簿 2004年3月号
 毎日のお題から即日UP!短歌のWeb練習会、公式記録です。
 Liveは万里子さんのHP<短歌ドリルBBS>で!
【ご連絡】短歌ドリルの年末年始休暇 : 12/27〜1/4     
Lesson 485  Theme:『演歌』 by 橘真知子 2004/3/31
未練断つ術持たざりき演歌にも聞き分けのなき女のをれば : 橘真知子
我侭に無いものねだりしてみたい演歌の歌詞に心絡めて : 佳肴
胸詰まる悲しい演歌を聴きながらこの日も夜のとばりが下りる : shell
ニッポンのロックのさだめ「サザン」の歌こぶしまわしが手拍子に合う : 万里子
熱唱のじいちゃん「孫」は歌本をしきりにめくる知らん顔して : 美作直哉
厨べに包丁研げば冴えてゆく あだなる人にむかふ殺意は : むつき
こぶしには力をこめずひねり出す民謡に思う演歌の節 : zenkyu
羽衣に透けるさざなみ 静岡は演歌の神の好まざる土地 : おやなぎ
Lesson 484  Theme:『骨』 by むつき 2004/3/30
庭園に春の日満ちて逃げ場なし背骨のごとく立つプラタナス : むつき
絶食で3キロ減って隠れてた鎖骨復活 今1キロ増え : shell
無骨物挨拶交わす瞬間が真剣勝負言葉が刃物 : zenkyu
桜花骨身に染みた青春の散り行く様に我あわせ見て : 佳肴
思ひ出の街には野良犬多かりき例へば骨をくわへて走る : 万里子
骨砕く音は響けどライオンの金色の肌に肋が透ける : 美作直哉
Lesson 483  Theme:『同』 by shell 2004/3/29
同姓の人と結婚した友は必ず旧姓一筆添えて : shell
同じ文字書き連ねては繰り返す契約文書に押す判子は : zenkyu
血走った眼に怨みの文字浮かぶ 同じ顔の秋刀魚のひとつ : 美作直哉
夜桜と同じ香ぞする我が床に忍べるきみの白き裸体は : おやなぎ
恋なのか同情なのか知らぬままいじめられっこの君を見ていた : 万里子
かの春と同じき春の還らねばわが身にかかる花ぞ愛しき : むつき
Lesson 482  Theme:『贈り物』 by おやなぎ 2004/3/27
あなたから貰ったものは言葉だけ だけどそれこそ私に元気を : shell
愛恋の長さをきざむ時計とて貰ひしものを あはれ君なし : むつき
抱きしめる手編みのマフラー大丈夫もう君のこと思い出せるよ : 美作直哉
中学校入学祝いを決めかねて現金渡せば姪は喜ぶ : 万里子
「お祖母ちゃんをお頼みします」添え書きに恨み込めてし舶来包む : おやなぎ
Lesson 481  Theme:『雨』 by 万里子 2004/3/26
空だって泣きたい時もあるんだよ 今度逢う日は微笑むからね : shell
雨粒が唇に落ち頬に落ちくちづけならばもっといいのに : 橘真知子
みづうみと雨のはげしき抱擁にましろく煙る朝の近江よ  : むつき
金雀枝の黄の花濡らす菜種梅雨ベランダの季節ひとつ過ぎ行く : 万里子
祖父の名を刻む十字架 やわらかきイエスの愛撫に濡れ光るらむ : おやなぎ
傘を打つ雨の響きも心地よく待ち合わせまであと15分 : 美作直哉
Lesson 480  Theme:『壁』 by 佳肴 2004/3/25
強い酒チビリチビリとなめながら見えない壁を意識が壊す : 佳肴
困難も今は無理かもしれないがいつかは越える日が来るだろう : shell
約束の地は血塗られて子らの眼は嘆きの壁をじっと見ている : 万里子
放課後に体育館の壁を蹴り足跡つけてただ愉しけり : 橘真知子
城壁に見ゆる行列宝をば守るが如し年末ジャンボ : 美作直哉
オフィスの壁は夕映え一瞬を斬られし傷に血の滲むごと : むつき
十人の喧噪ヨハネの嗚咽なほさんざめきたり食堂の壁 : おやなぎ
Lesson 479  Theme:『用言+打消しの助動詞+名詞』 by 美作直哉 2004/3/24
想い出す初めて言葉を交わした日 印象最悪笑わない君 : shell
眠れない夜に名も知らぬ芸人が笑う画面をただ眺めている : 万里子
高くない椅子では腰に悪かろう通販雑誌に救い求める : 橘真知子
見つからぬ言葉を探し長く長く彼は誰時の二人の影が : よさ
目に見えぬ赤外線の暖かさ言葉の中にポツリポツリと : 美作直哉
口づけを拒んで揺れる水鏡 為さぬ仲とは僕たちのこと : おやなぎ
Lesson 478  Theme:『舞う』 by zenkyu 2004/3/23
曇天を切り裂き海に放たれた火の鳥の如き夏の日差しに : 美作直哉
言葉なく舞台に見入る 素晴らしい森下洋子白鳥の舞い : shell
杜氏らの喜びのさま名に残る『天狗舞』なる能登の地の酒 : 万里子
ポワントに光やどりぬ生徒らはアン・ドゥオールに弧線を描き : おやなぎ
Lesson 477  Theme:『布』 by 橘真知子 2004/3/22
ワッフルの布巾を釘に引っ掛けて夕飯後の片付け終へる : 橘真知子
香具山の姿知らずに歌を知る天女の衣何処の物か : zenkyu
春の日向の匂いのするシーツの上のアンモナイトの如き猫 : 万里子
映画から型押しされた不織布のごとき言葉に僕が敗れる : 美作直哉
ハンカチでおさまるほどの想いじゃないあなたのために流した涙 : shell
死ののちも王の身分に縛りたる布の長さよ ファラオのミイラ : むつき
Lesson 476  Theme:『塔』 by おやなぎ 2004/3/19
砂塵には似合わぬ形摩天楼砂漠に沈む古代の文明 : zenkyu
砂浜に建てた塔みな崩れ落ち幼ごころに無の境地知る : 橘真知子
「ラプンツェル」素敵な人がいつの日か夢見ていた童話の世界 : shell
煤ばんだビニール・シートを貫いて光降らせよ東京タワー : おやなぎ
をさなごの目指す天向く塔として聳えし父に雪ふりつもる : むつき
意志の塔サグラダファミリア増殖すガウディの夢時代を超えて : 佳肴
重ね着で筍のような赤ん坊聴診器ねだる手は象牙色 : 美作直哉
紫木蓮咲く古き家過ぎ行きて卒塔婆の並ぶ霊園に入る : 万里子
Lesson 475  Theme:『平』 by shell 2004/3/18
平坦な道などはなし 側溝に転がり落ちるびーだま われは : むつき
見つめるは水平線のマストだけはじめての海にこころはずむ : zenkyu
春うらら何処も平和でない世界空を仰ぎて心届けと : 佳肴
ひっそりと君の前から消えたかったもう平心で大丈夫だよ : shell
戦争の対義語としての平和なり公園の猫はあくびをしている : 万里子
「明日には何とかなる」と言い聞かせ叩いた頬より痛い手の平 : ゆーきあやか
純白の金平糖を噛み砕くごと傷つけぬ友が心を : おやなぎ
東照宮逆さ柱があるごとく平山相太のシュートは入らず : 美作直哉
Lesson 474  Theme:『手紙』 by むつき 2004/3/17
夕されば影くらみゆく靴箱に灯ともすごとく文を入れたり : むつき
言の葉を書き付け迷い書き直す言霊やどる電子の手紙 : zenkyu
好きな子に一方通行の手紙書き返事来た頃想いは醒めて : shell
冷凍の宅配便に添えらるる便りにこそ満つ潮の香り : 美作直哉
万年筆・便箋・封筒並びたる文房具売り場はほのかに懐かし : 万里子
アンティーク・ドールの見張る隙をつき封を舐めたり薔薇の模様の : おやなぎ
Lesson 473  Theme:『丸いもの』 by 万里子 2004/3/16
朝の陽を浴びて輝くスプーンで半熟卵をコツンと叩く : 万里子
転がせばついつい触る肉球をその柔らかさ思わず抱え : zenkyu
散歩中「りら」とたたずむテニスコート誰か忘れたボールがひとつ : shell
留まるを知らぬ長さを円として丸め続ける三本の針 : 美作直哉
磨かれた蛇口の先で膨らみを増してゆく玉 母となる妻 : おやなぎ
なかぞらの闇にかがよふ青き球 下半分のほのか暗しも : むつき
Lesson 472  Theme:『船』 by 美作直哉 2004/3/15
嵐(らん)の記憶一つ一つを身に刻み破船のごとく果てむかわれは : むつき
運命の小船の群れは数知れず大波小波に漂っている : 佳肴
笹船に乗せられし蟻何処にぞ辿り着けども女王にあらじ : 美作直哉
無人島君とふたりで行けるなら苦手な船も気にならないよ  : shell
人も犬も自転車も乗る渡し船今も残れり水都大阪  : 万里子
オレンジの水風船を突き破る はじめ胎児は重力を知る : おやなぎ
船上で楽しめる風光景は水鳥舞い飛ぶ海のバスの : zenkyu
Lesson 471  Theme:『家具』 by 美作直哉 2004/3/13
四半世紀使ひこみたる洋だんすいよよ今年はゴミとなりたる : 橘真知子
しろじろと埃かづける土色の柱時計 父のごとしも : むつき
沈丁花の香りうとまし夜の道を急ぎ帰りて椅子を蹴飛ばす : 万里子
持病のため締め付けたりはできないの着物はすべてタンスの肥やし : shell
怪物の如き木目の本棚に別れのウインク18の春 : 美作直哉
文机未だにそこはパソコンの台座となって書斎は未定 : zenkyu
異界より招く腕あり花嫁の衣装着せたる衣桁の裏に : おやなぎ
Lesson 470  Theme:『劇』 by 橘真知子 2004/3/12
劇的にこの体形が変わる夢幾度見たか起きがけ虚し : 橘真知子
悲劇より喜劇のほうが似合うでしょ そう思わない?君はどうなの? : shell
寸劇の如く女は泣き崩れ宥める男に目を見開いて : 美作直哉
わが知らぬ劇の美(は)しさよ 黒髪の香る真夏の夜の記憶は : むつき
東京の土産ひも解く演出も要らぬ我が家の科白劇かな : おやなぎ
劇薬を含むが如き決断も過ぎれば一つの思い出となる : 万里子
劇的な思いを込めたラブレター今は何処に引越しの支度 : zenkyu
Lesson 469  Theme:『身近な人』 by おやなぎ 2004/3/11
リュウマチが身体を襲うこの人は毎日笑顔を投げているのか : zenkyu
切り捨ててしまうようなことできないよ君の存在それが喜び : shell
背を眺め何時も後からついて行く切磋琢磨の35年 : 佳肴
マスカラに化粧ふ女の二つの眼ベアトラップのやうにまばたく : むつき
ひび割れたショート・ブーツの爪先で“LOVE”の文字かく 喫煙室で : おやなぎ
「ママには内緒」と頼まれ断れないたった一人の姪のお願い : 万里子
臍の右ひとつ大きなシミありき生まれた娘に親父の因果 : 美作直哉
Lesson 468  Theme:『雪解け』 by zenkyu 2004/3/10
わだかりも君の笑顔で気が晴れてすべて忘れて私も釣られる : shell
白き夢忘るるころとなりにける花のつぼみに水は流るる : zenkyu
雪解けの後の濁流きらきらと北半球をあらひ ノアの日 : むつき
白木蓮の蕾ふくらみゆくごとに春を重ねる我が木ならねど : 万里子
南天の赤き涙をこぼしつつ春に溺るる雪うさぎかな : おやなぎ
ばさばさと屋根の根雪が庭に落つ うたた寝をする炬燵の後ろ : 美作直哉
Lesson 467  Theme:『感謝』 by shell 2004/3/9
いつだって君は私に温かいそれなのに感謝忘れてごめんね : shell
みるものに感謝をこめる季節かな生きる息吹は春に花咲く : zenkyu
水槽のカメ三匹の生きているただそのことに感謝抱きぬ : 橘真知子
カスタマー・サービスセンター 十匹の働き蟻のずらり居並び : おやなぎ
選択の余地なく継ぎし家と子を守りて終へし父の一世(ひとよ)か :
敵地での勝利監督インタビューは涙まじりの感謝の言葉 : 万里子
旨酒の神の与えし試練かと思いデスクのパソコン閉じる : 美作直哉
感謝など知らねば友は汗馬のみ 火の長安を呂布は駆け抜く : むつき
Lesson 466  Theme:『街の風景』 by 美作直哉 2004/3/8
川もあり遠くに山も見えていて少し不便なここはわが街 : shell
突出を拒むをぐらき羽として歩道の幅に広がる大衆(マッス) : むつき
とことこと歩いてゆく商店街饅頭にみる春は彩り : zenkyu
暗き「安倍晴明神社」を出でて妖しき由来の「松虫塚」訪う : 万里子
華やかにをんな群れゐるデパートの真昼間の日をあざむく照明 :
坂道を登りつめたり下がったり夕日の影と遊ぶ街並み : 佳肴
六本木ヒルズの上から眺むるは忘れ形見の森の点点 : 美作直哉
Lesson 465  Theme:『カタカナ』 by むつき 2004/3/5
君と吾の輪舞曲(ロンド)は途絶え冬の夜の水晶宮に走るクレヴァス : むつき
重機とも思ふ無敵のサイボーグなまぬるき街を駆け抜けてゆく : 橘真知子
メールすらくれない君を冷たいと思ってしまえば楽になるのに : shell
流氷に番いの鷲の向きあいてタクト振る様舞い遊びたり : 佳肴
シャンプーに三日遅れて底を突くリンスの如き雨暖かく : 美作直哉
縊れるがごとき形(なり)にて鴨居より我を責むるか破(や)れバスローブ : おやなぎ
朝食にカフェを目の前ブレッドでティーの香りを忘れるライフ : zenkyu
散歩する弥生の街は風強くみぞれ降り来てカフェに駆け込む : 万里子
Lesson 464  Theme:『青』 by 万里子 2004/3/4
スタンドの日の丸の旗に守られてアラブの芝にブルーは戦う : 万里子
鯖の皮お弁当には付きもので猫たち待つ休憩所の窓 : zenkyu
流氷の割れて届かぬ深い青クリオネ達は気泡で遊ぶ : 佳肴
消えやらぬ傷の深さの青色のドラえもんとは耳のない猫 : むつき
揚げ物の入っていないお弁当青いマークのコンビニで買う : shell
流れふととどめて蒼く透き通る氷瀑は光のブラックホール :
押し問答結局部長の一喝でブルーレットの渦に揉まれる : 美作直哉
空っぽの胃に青汁を流し込む たぶん今日こそいいことがある : おやなぎ
Lesson 463  Theme:『三月三日』 by 径 2004/3/3
おひなさま実家の押し入れに眠ってる恋に縁遠いのはそのせいか : shell
雛(ひひな)はや視線あはさず御内裏と鮮血色のうへに並びて : むつき
瑠璃色のフリルの付いた金魚鉢風鈴ビー玉なべて懐かし : 万里子
美しき言葉を選りて聞く耳となりたし老いのとば口に立つ :
溜め息に霞みて消えぬ“しあわせ”もひいな飾りもガラスの向こう : おやなぎ
いつだって甘い話にゃ落とし穴 たかが甘酒と見くびっていた : ゆーきあやか
雛もなく娘三人育ちたりどこへも嫁さぬ女なりけり : 橘真知子
Lesson 462  Theme:『薬』 by ゆーきあやか 2004/3/2
「男ってダメね」と言われ病院の薬代わりに君を抱いてる : ゆーきあやか
いつだって特効薬は君なのにそれができないふたりの試練 : shell
重き夜の美(は)しき薬のひとつとて自殺を思ひ、やがて眠りぬ : むつき
こんなにも多くの病気があるのかとドラッグストアの棚を見ている : 万里子
オレンジの風邪のシロップ5ccじいじの真似してくいっと呷る : 美作直哉
Lesson 461  Theme:『鳥』 by 美作直哉 2004/3/1
君が帰る後姿に鳥になりついていきたい私の気持ち : shell
「あほ」という言葉を覚えた九官鳥小憎らしくて売りに行きたり : 万里子
動くなき朝明の道に聞きにけり鴉の糞の地(つち)を打つ音 : むつき
裏山に「ちょっとこい」とぞコジュケイの鳴くふるさとを訪はむ弥生は :
ピンボールあるいは組織の伝書鳩 どこまでも絞まる僕のネクタイ : 美作直哉