短歌ドリル公式記録簿 2006年7-12月号
 短歌のWeb練習会、公式記録です。
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Lesson 941 Theme:『忘』 by 橘真知子 2006/12/24
翻すみやこ忘れの色の裾押し流しゆくシブヤの人混み : 橘真知子
ヒロカズを忘れた母は病床で初めましてと笑ってみせた : よさのまき
遠くより駆けて来し妻ふと見れば忘れし日々の面影ありて : 星野捷宏
大好きな君と初めて出逢った日何年経っても忘れてないよ : shell
この年もホロホロホロと暮れゆきて悪きも良きも忘れて消えて : David Lam
忘れまい優しき笑顔その仕草愛犬の友の飼い主逝く : zenkyu
年忘れ憂さ晴らすほどのこともなくデスクでぬる目の缶ビール飲む : 美作直哉
Lesson 940 Theme:『ようだ』 by 美作直哉 2006/12/16
狩野川のほとりに長き遊歩道幼のやうに駆け抜けるかも : 星野捷宏
ひらひらと手にて思ひを語るやうな甥の仕草に我も応へり : 橘真知子
目覚めては「悪夢のようだ」と呟いて年末の通勤遅延ある : zenkyu
髪を切りゴツホのようだと独り言ち左耳さえ切り落としたい夜 : David Lam
高々とマフラー掲げた合唱は儀式のようにレッズ辛勝 : 美作直哉
ヒーローを君のようだと無理矢理に想うようにして気を紛らわせ : shell
Lesson 939 Theme:『お菓子』 by shell 2006/12/9
飛び出したキャラメル味のポプコーンそれより驚く少女等の声 : 橘真知子
我の読む昔話を聞きながら幼は眠る菓子握りしまま : 星野捷宏
カチャリ置く熱めのコーヒー苦く苺のショート頬張る幸せ : zenkyu
甘くない大人の菓子はニコチンの緩い煙草の誘惑に似て : 美作直哉
ダイエット「豆乳おからクッキー」を手作りしたり取り寄せしたり : shell
祖母の目を盗んでつまむマコロンは 遠き昭和のハイカラな味 : ふなやままさし
Lesson 938 Theme:『朝』 by 美作直哉 2006/12/2
朝露を溜めて光れり女郎蜘蛛なれに激しき恋ありやなし : 星野捷宏
今朝発ちて夕刻なりても戻れず かわいい愛犬目の前に浮かぶ  : zenkyu
薄氷を鏡に見入る冬の精せめて紅をさせ朝の来るゆえ : 橘真知子
爛れしは今朝の朝焼け不可能な世界の証 トフラニールのむ : David Lam
散歩行く今日は早起き眠いけど朝日が昇る 力を貰った : shell
つとめては楽しからずや我一人電車の長椅子幼のように : 美作直哉
Lesson 937 Theme:『風』 by zenkyu 2006/11/25
眠気まで吹き飛ぶ寒風肌身さし夜明けの駅を走る戦士 : zenkyu
木枯らしは気儘な風の大将でいたづらに摘むハナミズキの葉 : 橘真知子
眠りより覚めて現の虎落笛いまどの辺り行く冬の旅 : 星野捷宏
一陣の風が渡りし稲穂原 きっとトトロのお出ましならむ : ふなやままさし
どうどどと北風吹きし晴れた日に見知らぬ顔をオフィスにて見き : David Lam
赤色の烈風向かうは世界今日ぐらい戯言許せレッズ優勝 : 美作直哉
惹かれたのは風の守護聖なんだけど闇の守護聖に告ってエンディング : shell
Lesson 936 Theme:『紅葉』 by 美作直哉 2006/11/18
せせらぎに木の葉色づき流れゆく 川辺の秋は赤く黄色く : zenkyu
子ら歌ふ唱歌に合はせ紅葉散り木犀かをる遠き校庭 : 星野捷宏
駆け足で通り抜けるぞ紅葉坂ヤツには未練残さない多分 : よさのまき
落とされるさだめを知るや黄と紅(あか)に色づきおる葉は木々を恨まず : David Lam
ひと花を咲かさなくとも美しき定年前の紅葉を仰ぐ : 美作直哉
本年も紅葉狩りには行けなくて相変わらずの病院通い  : shell
Lesson 935 Theme:『デジカメ』 by 星野捷宏 2006/11/11
写真機のメカを愛せし人ありてデジカメソフトに好みまたあり : 星野捷宏
苺狩り温泉はとバス観覧車を押し出すまでの甥の顔 顔 : 橘真知子
世界とは0と1との集積に過ぎないものと見切るデジカメ : ふなやままさし
我妻は時の慟哭収めんと愛娘(まなむすめ)つれデジカメパチリ  : zenkyu
古稀過ぎし父のデジカメメモリにはヴェネツィアの街 消されずに在る : David Lam
デジカメのシャッターのごとく間は抜けて再選頼むとあぁ騒がしき : 美作直哉
デジカメを去年の末に買ったけど今年は何に 検討中です  : shell
Lesson 934 Theme:『坂』 by 美作直哉 2006/11/4
かすれ声でひっそり歌ふ『無縁坂』我が抱かざる母への思ひ : 橘真知子
七歩行き三歩下がって五歩あるく ここ本郷の異人坂下  : 星野捷宏
見上げても雲は微かに薄れゆく 終着点が見え始めた坂 : ふなやままさし
下ること いつか上りと信じては駆け上がる仕度を進めてる : zenkyu
坂道を転げる痛み知らぬ日に記せし日記(にき)を落葉と燃やす : David Lam
登りきる坂の上から落つる日を眺む似合わぬ王者のごとく : 美作直哉
急な坂くじけそうにもなりながら君が後押ししてくれたから : shell
Lesson 933 Theme:『音』 by よさのまき 2006/10/28
ヘリコプターの飛ぶ音のして見上ぐれば秋の青空まぶしかりけり : 橘真知子
幼子のピアノ弾く音(ね)はカイに似ていつか去る日や悲しかりける : 星野捷宏
虫の音は闇に溶け込み染み渡る コロコロと鳴け寸志の命 : zenkyu
さつきまで聽いてゐたストラビバリウス其の音のやうにきみを愛する : David Lam
合成がせせらぐトイレ真実を隠すそいつも文化の一つ : 美作直哉
振り返る聞き覚えのある足音に「大好きな人のはわかるのよ」 : shell
Lesson 932 Theme:『窓』 by 美作直哉 2006/10/21
消灯後も道を挟みてマンションに連なる窓の明るきを見る : 橘真知子
窓も戸も有るか無いかの廃屋で「鬼さんこちら」誰か遊んで : よさのまき
次々と流れる景色にガタゴトと 揺れる心と列車は進む  : zenkyu
夏の日にパラボラアンテナ付けたよね タオル一枚きみ去りし窓 : David Lam
透明な雨は不様に透明な窓にその身を虐げられて : 美作直哉
窓外に滲む光の粒眺め 冷えたビールで一人乾杯  : ふなやままさし
プレゼント渡して帰る後ろからクラクション音 君が手を振る : shell
書に倦みし窓辺の外は秋の雨隣家の犬はそぼ濡れてをり : 星野捷宏
Lesson 931 Theme:『苦手なこと』 by shell 2006/10/14
目の前の数字に気持ち集中す 5分も経てば眠気が襲う  : zenkyu
病室のカーテン一枚わがものに非ず四人で暮らす不自由 : 橘真知子
髪変へて服変へ靴変へ名前変へ勝負パンツの秋の夕暮れ : 星野捷宏
人込みに潜む酸素を見つけてはバッグの中へ放り込む癖 : 美作直哉
君のため暗いうちから起きだしてバースデープレゼント持ってく : shell
Lesson 930 Theme:『秋色』 by 橘真知子 2006/10/7
うみ疲れ落ちゆく夕日と暗がりと夢のあはひを照柿とよぶ : 橘真知子
茜色黄金の海を渡りゆく 蜻蛉の羽に心託したい : zenkyu
夏終わり髪の色目も変えてみた君より暗めのメープルブラウン  : shell
写真屋にデジカメの幟はためきて色なき風の千住駅前 : 星野捷宏
見上げれば秋を切り取る山門の彼方に雪崩る京の錦秋  : ふなやままさし
ゆっくりと近づく「ファ」だけの蒸気笛 鉄黒リヤカー夕陽に押され : 美作直哉
Lesson 929 Theme:『香り・匂い』 by 美作直哉 2006/9/30
風そよぎ金木犀の香の中である晴れた日の母のことなど : 星野捷宏
甥に与ふ粉ミルク溶き思ひ出す妹を抱きてかぎし匂ひを : 橘真知子
透き通る響きとともに染渡る草木の匂いに我が身は美冬 : zenkyu
タバコって他の人ならすごく嫌な匂いなんだけど君なら許す  : shell
太陽の香り集めた敷き布団 すまぬすまぬと酔うて候 : 美作直哉
Lesson 928 Theme:『月』 by zenkyu 2006/9/23
ごめんね素直じゃなくて 昼間の月にお墓の前で合掌し : zenkyu
三日月は小指の爪の先ほどの夢のともしび 今宵も照らせ : 橘真知子
夕闇に製油所の炎ちろちろと舌先三寸赤い満月 : 美作直哉
十月は君の誕生日早朝にプレゼント持って行くと約束 : shell
長月の夜はヴィオラの旋律が冬を予感し震えて響く : ふなやままさし
母とゐて遠き花火を見し街は一度限りの星月夜にて : 星野捷宏
Lesson 927 Theme:『野菜』 by 美作直哉 2006/9/16
秋の雲と河面の波のやさしげなゆらぎとらへてなすびは実る : 橘真知子
柔らかな眼差し求め一塩の瓜の味わいお膳に合わせ  : zenkyu
夏休み セロリのようなキスだった ありがとうでもまた出会ったら : 美作直哉
ネットにて買った野菜は真空の茹でたとうきび期限は1年  : shell
トウキビにカボチャにトマト、茄子、胡瓜 ざる一杯の日なたの匂い : ふなやままさし
Lesson 926 Theme:『空』 by よさのまき 2006/9/9
週末の入船のコインパーキング空車の文字は誰も見てゐず : 橘真知子
晴れたるも青には遠いにごり空 いつ富士が嶺の姿拝めむ : ふなやままさし
投了し頭を下げて潔く退席をした夏 ありがとう : よさのまき
空蒼き朝君が履く新しきブーツの影ぞ艶(なまめか)し 秋 : David Lam
いわし雲 連れて行かないで心まで蒼き幻想の楽園に  : zenkyu
空だって悲しいことがあるんだよ私は明日がんばるからね : shell
鼻かんで窓の向こうの窓たちの狭間に見える空の壁紙 : 美作直哉
Lesson 925 Theme:『砂』 by 美作直哉 2006/9/2
海からの帰りのバスに残しゆく材木座の砂さりさりと鳴る : 橘真知子
夕やけに映える影に時はやさしく砂が刻む愛がはじける : zenkyu
朽ち果てるまで唄うんだ砂時計 彼女のために 僕のかわりに  : よさのまき
あやふやなどっちつかずの関係に君と私が足りない甘さ : shell
酒蒸しのアサリの砂を吐き出して飲み残業の夜噛み締める : 美作直哉
Lesson 924 Theme:『調理器具』 by shell 2006/8/26
包丁に意志をもたせぬやうにして泥酔の母を追ひかへしたり : 橘真知子
菜箸に見惚れて想う四畳半飯の旨さに心融けあい : zenkyu
俺だって料理くらいはできるんだ 愛も小匙で量って入れた : David Lam
雪の夜 湯気立つ鍋はふつふつと 汽車の汽笛が遠くに聞こえ  : ふなやままさし
肉じゃがと一緒に二分三十秒温め直す「お帰り」の笑顔 : 芹澤京乃
お魚の骨を取るのが下手だから圧力鍋は私の味方 : shell
灰汁を取る吾の額の汗もまたおたまに落ちる夏の夕暮れ : 美作直哉
Lesson 923 Theme:『リモコン』 by 美作直哉 2006/8/19
妹の家にもラップに包まれしリモコンありて暮らしゐる見ゆ : 橘真知子
グラウンド ボール取り合い駆け巡る愛犬私を操縦して : zenkyu
そこのキミ 自由が欲しけりゃリモコンのスイッチ切って旅に出ようぜ  : ふなやままさし
リモコンを探す君の手押しとどめくちびるふれる 今宵新月 : David Lam
女子アナの指示棒通りにやってきた夕立お前はちょっと軽いよ : 美作直哉
扇風機、エアコン、テレビのリモコンを並べた横でネットしている  : shell
Lesson 922 Theme:『雷』 by いるかむさし 2006/8/12
塗り込めた灰色の空キャンバスに 一気に描く 閃光一筆 : ふなやままさし
山形の盆地に落ちた雷は牛を供物と五頭も盗りぬ : 橘真知子
雷と驟雨の中を彷徨いし捨て犬のごと 君に包まる : David Lam
地に埋まるカミナリ様は空に行く足を欲しがるまだ欲しがってる : よさのまき
雨音と光ってすぐに出窓より“りら”が駆け降り布団の中に : shell
ぐずぐずでどっちつかずの曇天に気合一発雷落ちる : 美作直哉
怒りとて煌く閃光やめてくれ愛犬おびえ家族固まる : zenkyu
Lesson 921 Theme:『空』 by 橘真知子 2006/8/5
高々と夏の掲げる太陽に焼かれてをりぬ 空あをき朝 : 橘真知子
葉月なり 輝く空も恨めしく 日陰を求めジグザグ歩く : ふなやままさし
雲が行く空を眺めて独り言私はどこに流れて行くの? : zenkyu
スキップでルルリララリと野をはねる見上げなくても空ここに在り : よさのまき
見上げた夜空に満月 いま君は魑魅魍魎を産んでいる頃 : David Lam
若いまま茜の空を見るたびに彼女の笑顔思い出してる  : shell
稲妻が幾度光れど風吹けどドレープ靡かぬ灰色の空  : 美作直哉
Lesson 920 Theme:『のぼる』 by 美作直哉 2006/7/29
自販機の明かりに集ふ虫たちに吹きかける紫煙夜空にのぼる : 橘真知子
いつからか のぼる紫煙は立つ瀬なく 身をくねらせて排煙口へ : ふなやままさし
獅子の王 知というものを 教えても 日はまた昇る おろかな街に  : zenkyu
絶望という名の壁に阻まれる立ち尽くすより登るが勝ちだ : よさのまき
幽(かす)かなるたましいのぼる煙突ゆ 解説なき小説が終わる : でいぶ
健康を取り戻しつつありなのでまず手始めに天保山でも  : shell
瀧昇る後輩横目に口を濯ぐ 虫食う葉からも木漏れ日は丸く : 美作直哉
Lesson 919 Theme:『ゆらゆら』 by デイブ 2006/7/22
ゆらゆらと漂う想い葬ってお腹減ったら帰っておいで  : 芹澤京乃
逢えないと心ゆらゆらすることも君は私を信じているの? : shell
ゆらゆらと揺れる氷をもてあそび 悟られぬよう見る腕時計  : ふなやままさし
夏の日の湖面漂うボートにはゆらゆら漂う恋が見えて : zenkyu
魚跳ねて波の真中へ潜りゆく運河はしづか濁るゆらゆら : 橘真知子
力尽く瞬間を待つゆらゆらと6から先に進まぬ秒針 : 美作直哉
ゆらゆらはきみの夏服輝かせ風に散りおり 蝉さんざめく : David Lam
Lesson 918 Theme:『花火』 by 美作直哉 2006/7/15
大砲のやうに打たるる夏花火胎のうちにて如何に聴く 甥 : 橘真知子
海わたる 風をふるわす 音ひびき 夢をみたのか 水中花火 : ふなやままさし
ダン!ダン!と冬の花火は夜空撃ち灰と見紛う明けの薄雪 : でいぶ
胸元に視線釘付け夏の夜に線香花火に浴衣は萌えて  : zenkyu
華やかな打ち上げ花火のような君 寂しい私は線香花火 : shell
うち震え線香花火の幼子はホシイホシイと泣くだけ泣いて : 美作直哉
Lesson 917 Theme:『雨』 by zenkyu 2006/7/8
あたらしき葉の先よりの雨滴くまの子の如く甘きと思ふ : 橘真知子
梅雨寒の雨に濡れたる遊歩道 見る人も無き初夏告げる花 : ふなやままさし
そうだいま部屋から出よう ふたりして溶けてしまおう 硫酸の雨 : でいぶ
雨粒がフロントグラス叩きつけ二人の距離一気に縮まる : zenkyu
病窓に激しく雷雨うちつけて“りら”はどうかと心乱れる : shell
母さんの説教みたいな雨が降る スーツのまんま僕は打ち濡れ : 美作直哉
Lesson 916 Theme:『写真』 by 美作直哉 2006/7/1
無言にてケータイかかげて走り去る アナタの見てるはマボロシでっせ : ふなやままさし
いまだ見る夢に想いは尽きず居る幼き恋に終わりはなくて : zenkyu
「消えてゆく」 水上バスではにかんだ 君の写真は 現像せぬまま : でいぶ
「載ってたね」雑誌に君のお立ち台「見てくれたんや」顔がほころぶ : shell
写真だけ笑顔の君をあきらめて見上げる都会のボケた夜空を : 美作直哉