題詠マラソン2005 参加作品

001: 『声』 天と地と闇の中から声がする「金で済ませ」と誰か囁け
002: 『色』 ゆっくりと水色が咲く忘れてたあなたへの思い傘の雨音
003: 『つぼみ』 研修も給料の中と檄飛ばす部長に俯くつぼみの五年目
004: 『淡』 本人を知らずに笑う小学生 淡谷のり子の似てない物真似
005: 『サラダ』 パサパサのサラダにチーズをかけるよう商店街に百均現る
006: 『時』 早弁を見逃す漢詩の二時限目破れた国など知る者もなく
007: 『発見』 バグ発見2月の29の日に生まれし者もやはりデリート
008: 『鞄』 座席下大きな鞄はみうみうと鳴きだす電車はラッシュ突入
009: 『眠』 連載の夢の恐怖に眠れない今宵は僕のクライマックス
010: 『線路』 太郎次郎三郎四郎の夢運ぶ線路の繋ぎ目落ちたのは誰
011: 『都』 名は体を表したことのためしなく都を名乗るホテルのネオン
012: 『メガホン』 チョースケが翳した黄色のメガホンも昭和の笑いと共にさよなら
013: 『焦』 太陽を集めて焦げるアブラゼミ塾の隣の公園の樫
014: 『主義』 嘯いた愛国主義の街宣車誰かの否定を為すだけなのに
015: 『友』 電話越し顔も浮かばぬ友人はぼそぼそぼそと保険の勧誘
016: 『たそがれ』 ゆっくりと街に灯り点るころたそがれ泣きの赤ん坊連れて
017: 『陸』 陸亀の甲羅の如き北半球 ぱらぱらと落つ爆撃の雨
018: 『教室』 教室の角の花瓶に隠された蜜柑がゆっくり腐る夕暮れ
019: 『アラビア』 ドラム缶傾く如き半島のアラビア砂漠もゴルフに犯され
020: 『楽』 「楽ラク」という名のペンをくるくると右手で回しモニター睨む
021: 『うたた寝』 会社でも家でもないからうたた寝を天国行きの山手線で
022: 『弓』 弓のよう背中を反らし顔一杯力漲り五才のくしゃみ
023: 『うさぎ』 保護色のグレーのスーツを身に纏いホームで眠る手負いのうさぎ
024: 『チョコレート』 ひと握り博物館への天下りチョコレート色の機関車もそう
025: 『泳』 熟年のジムのスイマー世の中も飛沫を上げず泳ぎ切るらし
026: 『蜘蛛』 雨上がりジャングルジムに巣を張った女郎蜘蛛の鬼気迫る腹
027: 『液体』 酒呷る今日の思いはぐるぐると巡り巡って液体のまま
028: 『母』 コンビニでおでんを煮込む母が居り故郷の味をコンビニに求む
029: 『ならずもの』 成る者があって生まれる「ならずもの」所詮この世は二八の原則
030: 『橋』 台風が迫る夜更けに徐行する鉄橋の上の快速の中
031: 『盗』 盗っ人の言い訳なんぞたかが知れ税率アップの新聞放る
032: 『乾電池』 並列を直列にする分社化は寿命が減るよ乾電池なら
033: 『魚』 ナンパした女のプリクラ自慢する昭和の釣師の魚拓の如く
034: 『背中』 "Kick Me!"背中に貼られた子が逃げる保健室など会社には無く
035: 『禁』 禁煙を望むのならば溢れ出すアドレナリンは君を頼るよ
036: 『探偵』 荒らされたBBSのログを追う探偵ドラマのオチほどもなく
037: 『汗』 痩身を理由に喰らう成吉思汗ベジタリアンでもヒツジ丸丸
038: 『横浜』 湯に浸り汽笛の和音に送られて横浜ゆらり年の瀬を越す
039: 『紫』 アトピーを隠すスカーフ紫を解かぬままに君を抱こう
040: 『おとうと』 ダンジョンで鉄拳振るうおとうとは乳歯一本外せないまま
041: 『迷』 散々と迷った挙げ句元の服 僕に似合いの特価の値札
042: 『官僚』 善悪のどちらでもない官僚を世渡り上手の手本としよう
043: 『馬』 見せるほど馬脚もなくて係長止まりのあいつの愛妻弁当
044: 『香』 懐かしいコロンの香りに振り返る さよならさよならプラタナス舞う
045: 『パズル』 失った心のパズルのワンピース埋めるアドレス携帯になく
046: 『泥』 泥もまた乾けば硬い土となるオヤジだらけの酒場に嗚咽
047: 『大和』 大いなる和みはあの世か言霊よ 大和魂屋上に立つ
048: 『袖』 袖口で鼻を拭って微笑んだ息子を小突くシャネラーのママ
049: 『ワイン』 「1,000円のボトルのワインが口に合う」お前の自信今宵も羨む
050: 『変』 今日すらも変われなければ明日もまた変わらないのは判ってはいる
051: 『泣きぼくろ』 ボクサーに似合わぬ右の泣きぼくろ左フックが掠るその上
052: 『螺旋』 三色ペン赤ばかり撓むバネの螺旋たどり切るのが怖い 怖いよ
053: 『髪』 髪の毛が似合わぬハゲの潔さ貧しき我には我の生き様
054: 『靴下』 くるぶしへ届かぬ流行りの靴下に苛立ち覚ゆ三十半ば
055: 『ラーメン』 淡々とぶつ切りにされる豚骨が皆を鎮める夜更けのラーメン
056: 『松』 箸だけの君を松の実噛ってはゆらりグラスの彼方の僕ら
057: 『制服』 騙されて林檎を噛る快楽の遺伝子滲む夏の制服
058: 『剣』 極まりし剣買えればヒーローとゲーム育ちのM&A
059: 『十字』 十字路にブギウギ溢るるモンドリアン四角四面へシンコペーション
060: 『影』 ネクタイを靡かせ走る先輩の濃い影を追う踏まぬよう 夏
061: 『じゃがいも』 いつの間に和風料理のじゃがいもの如きマイケル・サントス・トミー
062: 『風邪』 為す術を知れど動けぬ独り身の風邪の哀れか公共事業
063: 『鬼』 鬼殺し一息に干す赤ら顔 万年ヒラの愚痴が始まる
064: 『科学』 欲望の漸近線をひたすらに目指す科学よ我は海の子
065: 『城』 江戸城がどこにあるのか知らぬまま皇居の桜をアングロサクソン
066: 『消』 鉛筆の嘘で我が身の消しゴムは角が丸まり そして小さく
067: 『スーツ』 覚えなし生活指導の教員のスーツ姿と褒める言の葉
068: 『四』 割り切れる数にはあらじ四つ脚の椅子の誰かは地に足つかず
069: 『花束』 右左どちらが上か慣れぬ手で花束受ける新郎の父
070: 『曲』 マイナスの係数乗せて紅白の二次曲線舞うぼくらの玉入れ
071: 『次元』 凡人に解らぬ時軸の四次元を見せんと足に魚の目生える
072: 『インク』 さにあらず画面もインクも言の葉は刹那のために生まれし愛
073: 『額』 日と塩に焼けた額の皺深く親父は船を継げと言わずに
074: 『麻酔』 現世の麻酔のような風俗で溺れ死にするそれも良かろう
075: 『続』 ぱっとせぬ今日の続きが明日ならば今から何をどうしたもんだか
076: 『リズム』 無機質な時計のリズムにハモるのは扉の向こうの歯医者のドリル
077: 『櫛』 赤き櫛空の彼方の雲を解き青の狭間に沈み黄昏
078: 『携帯』 逃げる場を無くし無くされ「携帯の電源落とせ」に少し微笑み
079: 『ぬいぐるみ』 パペマペのぬいぐるみのよう頑なに演じ続ける第三セクター
080: 『書』 「書く」「話す」「叩く」言の葉異なれば世に出す歌は三位一体
081: 『洗濯』 何も得ず洗濯物が増えただけ明日の風に吹かれるはずの
082: 『罠』 宵越しの金は持つなと日雇いの事務所の裏にキャバクラの罠
083: 『キャベツ』 穫れ過ぎたキャベツを潰す朝刊の写真の下の少子化問題
084: 『林』 森朽ちて林のビルの下草は刈りようのない百円パーキング
085: 『胸騒ぎ』 順調に捗る仕事胸騒ぎ逆さ柱をこさえてみようか
086: 『占』 世界遺産自然も誰かの占領下お子様ランチに旗翻り
087: 『計画』 半年も先が読めればデイトレで喰っていけるさ販売計画
088: 『食』 道楽のおこがましさよ衣食住足りぬ足りぬで足りるが足りぬ
089: 『巻』 亡き祖母が「好きや」と言ったカッパ巻き鉄火ばかりをもらった僕は
090: 『薔薇』 気位の高そうな薔薇の芳香剤トイレに置いて鼻で笑って
091: 『暖』 暖冬と冷夏のオフィス ルーチンの書類の中に秋が来たらしい
092: 『届』 テキトーなバルクメールのボディーブロー不在届を世界に出そう
093: 『ナイフ』 飛行機の如きナイフが青空を切り裂く白い血の跡続く
094: 『進』 朝一の詫びの台詞が纏まらぬ 通勤電車はうだうだ進み
095: 『翼』 ペンギンは海を翼でボクタチは電子の空を指先で飛ぶ
096: 『留守』 しりとりの「る」の切り札「留守」使い後がなくなる二人の留守番
097: 『静』 静脈に刺さった針から漏れる血が誰も通らぬ橋の形に
098: 『未来』 要領のいい奴だけが見えている未来の姿の下敷は誰
099: 『動』 動物の怒号あふれる休園日 バウリンガルは犬だけでいい
100: 『マラソン』 旗を振るカメラ目線の沿道にチャンネル変えるマラソン中継


今回初挑戦でした。
129名のランナーが先にゴールしていますので
ネタがかぶっていないか少々心配しています。

スタッフの方、私の歌を少しでも楽しんでいただいた方
ブログで取り上げていただいた方、応援してくださった方
皆さん本当にありがとうございました。

美作直哉