「あそこは冷凍で、ここは生だから全然違う。そりゃ生の方がうまいわな。カツオはこういう筋の下に血が流れとって、それをこうやってしごきながら捌くから。冷凍ものでは、こういうことができんけん」
「今日は前の日に上がったカツオ。これはこれで柔らかくてうまい」(実際に食べてみると特別柔らかくはなかったが身がなめらかでうまかった)
「ポン酢は傷みかけたカツオに使うもんやけん。わしらは塩か醤油やな」
「そりゃ黒潮牧場(鋼鉄大型浮漁礁ブイ)のおかげよ。あれができて一年中カツオが獲れるようになった」
「わしは戻りガツオより上りガツオの方が好きやな。サッパリしとるけん」
元カツオ漁師で、今は黒潮一番館でカツオの捌きと焼きを担当している浜中さんから聞いたカツオに関するあれこれです。生涯を通してカツオ関系の仕事に携わってきた職人の言葉には重みがあります。
とはいえ私は脂の乗ったカツオが好きなので、戻りガツオを使ったかつおのたたきの方が好みだし、三陸沖(豊富なエサを求めてカツオが集まる。たらふくエサを食べたカツオは丸々と太り脂が乗る)で漁獲された冷凍物のカツオもうまいと思います。あまり先入観にとらわれず、たくさんの店に入り色々な鰹のたたきを食べてみてください。
明神丸 ひろめ市場店
高知市帯屋町2-3-1 ひろめ市場内
088-820-5101
休み:不定(ひろめ市場休館日と同じ)
営業時間:11:00~21:00(日曜は10:00~20:00)
車いす用駐車場、トイレ:ひろめ市場にあり
オフィシャルサイト
特徴:脂の乗ったカツオ、ワラ焼き、焼きたて
高知県民の投票でオススメの飲食店を選ぶ「高知家の食卓」県民総選挙で一位の常連だった明神丸。今では高知県内だけでなく愛媛や香川、東京にまで店舗を展開しています。
私が行ったことがあるのはひろめ市場店、帯屋町店、道の駅 なぶら土佐佐賀店。水産会社直営なので、どの店に行っても当たりはずれは無く、同じおいしさの鰹のたたきが食べられます。
上写真は道の駅 なぶら土佐佐賀店の塩タタキ定食。下写真左はひろめ市場店。ここは、いつも混んでいて食べるまでが大変です。右はなぶら土佐佐賀店の焼き場。明神丸はどこでもワラ焼きの焼きたてが食べられます。三陸沖で獲れた脂の乗った冷凍のカツオを使うため一年を通して品質が変わりません。
久礼大正町市場
高知県高岡郡中土佐町久礼6370−2
0889-59-1369
休み:店舗による(田中は水曜、山本は不定休)
営業時間:11:00~14:00(販売は10:00~16:00)
車いす用駐車場:中土佐町観光拠点施設「ぜよぴあ」駐車場に一台分
身障者用トイレ:ぜよぴあ、又はふるさと海岸 無料駐車場にあり
オフィシャルサイト:田中鮮魚店、山本鮮魚店、久礼大正町市場
特徴:生のカツオ、ワラ焼き、市場の賑わい(平日は静か)
小さな街の小さなアーケード街が鰹のたたきの聖地のようになっています。市場内には田中、山本の二つの鮮魚店があり、市場近くには「とみぃの台所」という食堂があります。
久礼は高知でも有数のカツオの水揚げ港で、新鮮なカツオが手に入ります。その質のいいカツオを地元の人だけでなく観光客にも楽しんでもらおうと工夫を凝らし進化を遂げ、たどり着いたのが今の姿です。
私が食べたことがあるのは田中鮮魚店と山本鮮魚店。どちらも生のカツオを使ったワラ焼きです。田中は向かいの漁師小屋で名前を書き店舗で魚を選び代金を払うというシステムで、ちょっとややこしいです。山本は店内が狭くすぐいっぱいになります。でも、どちらの鰹のたたきもわざわざ食べに行く価値のある味です。なお生のカツオにこだわっているので、冬から春にかけてはあったりなかったりとなります。
上写真は山本鮮魚店のかつおのたたき。右下写真は田中鮮魚店のかつおのたたき。久礼大正町市場作成のカツオ HANDBOOKはこちら。
黒潮工房
高知県高岡郡中土佐町久礼8009-11
0889-52-3500
休み:毎週 火曜日と第二木曜日(祝日の場合は変更)
営業時間:10:30~14:00
車いす用駐車場:黒潮本陣前にあり
身障者用トイレ:黒潮本陣内(土禁)にあり
オフィシャルサイト
特徴:生のカツオ、ワラ焼き、焼きたて、ロケーションの良さ、焼くのが見られる、体験可
店は久礼湾を見下ろす高台にあります。ロケーションが良く、工房の名の通り鰹のたたき体験もやっているのでテレビの旅番組などで取り上げられる機会も多い店です。
景色が楽しめ、焼いているのが見られるテラス席をおすすめします。肝心のタタキの味も間違いありません。久礼の港で上がった生のカツオを使っていて、ワラ焼きの焼きたてをいただけます。ただし生のカツオが無いときは冷凍ものになります。基本タレのみなので塩たたきが食べたい人は塩を持参しましょう。
長椅子、長テーブルで車いすだとちょっと入りづらいです。セルフサービスですが頼めば運んでくれます。
黒潮一番館
高知県幡多郡黒潮町佐賀374-9
0880-55-3680
休み:火曜日(祝祭日の場合は営業)
営業時間:11:00~15:00(土日祝は11:00~16:00)
車いす用駐車場、トイレ:あり
オフィシャルサイト
特徴:一年じゅう生のカツオ、ワラ焼き、焼きたて、焼くのが見られる、体験可、アクセシブル
漁師のおかみさん達が始めた、修旅など団体向けの鰹のたたき体験施設が元になっていて冒頭で紹介した浜中さんが焼き場にいる店です。
土佐佐賀もカツオの水揚げ港で、こちらは一年を通して生のカツオを使っています。そしてワラ焼きの焼きたてが食べられる貴重な店の一つです。地元のおばちゃん達が切り盛りしていて繁忙期は料理が出てくるまでかなり待つこともあります。待ちたくない人は近くにある道の駅
なぶら土佐佐賀へ行きましょう。
オープン時間に合わせて行き、注文してから裏にまわれば浜中さんがカツオを捌いて焼くところが見られます。身障者用駐車場、トイレ完備でテーブルも使いやすくバリアフリーも完璧です。右下写真はカツオの湯漬け。スタッフに言うとお湯をかけてくれます。かつおのたたきを一切れ残しておきましょう。
冬から春にかけてカツオの水揚げが少なくなる時期は臨時休業になることがあります。確認してお出かけを。
|