褥瘡について(2016年7月)

脊髄損傷で下肢まひの障害者が褥瘡になりやすい場所は、坐骨部、仙骨部、踵のアキレスけん側などです。痛みを感じないのでついつい治療をおろそかにしがちですが、重症化すると傷が骨まで達し、手術や長期の入院が必要になるという怖い病状です。褥瘡ができやすい場所ごとに注意点をあげていきます。

坐骨部
椅子などに腰かけたとき、お尻と座面の間に手を入れてみてください。手の平に硬さと出っ張りを感じると思います。それが坐骨です。脊損になると、寝てるとき以外は椅子に座りっぱなしの生活となり、一日のうち十数時間は坐骨部に圧力がかかり続けることになります。褥瘡に一番気をつけなければならない場所です。

坐骨部の褥瘡予防で大切なのは良いクッションを使うことと、こまめなプッシュアップです。私はウレタンのクッションやロホを経て、今はスプラコール社のスリムラインという製品を使っています。脊損患者用に売られているものなら、どこの製品を選んでも使い物にならないということは無いと思います。自分の好みで選んでください。ただロホならクッションに入れる空気の量に気を配るなど、製品に合わせた管理はとても重要です。

脊損初心者の頃、無謀にも車のシートや家庭のソファに座るときにクッションを使わず、表皮がむける程度の褥瘡を繰り返していました。現在は株式会社加地のエクスジェルを使った製品を使用しています。薄くても底づきしづらく、クッション性能も十分です。ゴム系の素材なので比較的重量はありますが、車や家庭で使うぶんには気にならず、おすすめです。

仙骨部・踵のアキレスけん側
お尻の上に手を当て、皮下脂肪が薄く骨を感じる部分が仙骨です。一般の人なら放っておいても寝返りを打つので、褥瘡ができることはありません。脊損だと意識的な寝返り(体位変換)を行わないと、ずっと仰向けのままの姿勢で寝続けることになり、褥瘡ができます。ここに褥瘡を作らないためには体位変換が重要です。体位変換が難しい人はエアマットレスを使いましょう。

私は現在、硬めのマットレスを使い、身体の両側に抱き枕のような細長いクッションを2本置き、川の字になって寝ています。そして右側のクッションを右半身の下に挟んだ時は身体が左上をむくような感じで、左側のクッションを左半身に挟んだ時は身体が右上をむくような感じで寝ています。

体位変換の頻度は一晩に1〜2回です。教科書的には少ないのかも知れませんが、今のところこの頻度で褥瘡は防げています。

処置の仕方
傷ができている場所や状態によって適した治療は異なります。小さく化膿してないなら、湿潤療法ができるキズパワーパッドなどの絆創膏を使うのが良いと思います。化膿しているようなら、傷口を洗い消毒しガーゼで覆うという昔ながらの療法が良いでしょう。消毒薬やガーゼによる治療を否定する考え方もありますが、何年も治らなかった傷が消毒薬とガーゼで治ったという経験があります。色々試してみるのも良いんじゃないでしょうか。治療期間中は、褥瘡部になるべく圧力がかからないようにします。入浴時にも褥瘡部が露出しないよう気をつけましょう。症状が重いときや、なかなか治らず長引いている時は外科や皮膚科などで医師の診察を受けてください。

褥瘡に効く漢方薬(2001年7月)
ネットで見つけた情報です。漢方薬の「帰耆建中湯(きぎけんちゅうとう)」が褥瘡に効くのだとか。長野の医師がこの薬を使い成果をあげ、学会に報告したそうです。副作用がほとんど無く、安価なので使ってみる価値はあるかもしれません。実際に漢方薬店へ行き薬を買ってみると、価格は5日分で1,000円でした。

濃い麦茶を造るような要領で30〜40分煎じます。味は意外なほど甘く、飲みづらくはありません。ただ臭いはやはり漢方薬独特の臭いで、たとえるなら子供の頃に行った祖父母の家の臭いでしょうか。その臭いが家じゅうに広がります。薬をのみはじめると、じきに褥瘡は治ったのですが、のみはじめたときすでに治りかけていたので、この漢方薬が効いたかどうかはわかりません。

きぎけんちゅうとう 漢方薬店
帰耆建中湯 近所の小さな漢方薬店
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