障害者扶養共済制度(2003年8月)


脳梗塞で長期間入院している知人がいるのですが、その人の家族は最近まで高額医療費助成制度のことを知らず、病院からの請求額を全額自分で払っていたそうです。これなんか病院が請求書を渡すときに、制度の概要を記した紙を一枚いっしょに渡せば防げることだと思うのですがなぜかやってくれないんですよね。医療や福祉の制度というのは、たとえ制度はあっても制度の利用を促すことには不熱心で、情報を集めるのが不得手な人はとかく損をしがちです。

障害者扶養共済制度について紹介します。障害者の親が一定の期間掛け金を納めれば、親が亡くなったあと障害者に年金が支給されるという制度です。民間の保険会社などがやってる個人年金に比べれば有利な制度だと思います。ただ障害者というのは健常者に比べればどうしても寿命が短くなりがちです。この制度は、親より長生きしないと賭け金が無駄になってしまいます。そのことを念頭においたうえで、加入するかどうか検討してください。

なお、この制度の実施主体は道府県や政令指定都市で県外へ転居した場合なども掛け金などは引継がれます。ただ東京都だけは独自の制度を運用しており、この制度との継続性はありません。


制度の概要
障害のある方を扶養している保護者が、自らの生存中に毎月一定の掛け金を納めることにより、保護者に万一(死亡・重度障害)のことがあったとき、障害のある方に終身一定額の年金を支給する制度です。
@ この制度は、障害のある方を扶養している保護者の方々の連帯と相互扶助の精神にもとづき、障害のある方の生活の安定と福祉の増進に資するとともに、障害のある方の将来に対し、保護者がいだく不安の軽減を図る目的で生まれました。
A この制度は、任意加入の制度です。
B 道府県・指定都市が条例に基づいて実施している制度であり、確実な保証が受けられます。
C 加入者が他の道府県・指定都市に転出されても、転出先(東京都は除きます)での申し込み手続きにより加入が継続されます。
D 障害のある方1人につき2口まで加入ができます。
E 掛け金は、所得税及び地方税とも全額所得控除され、年金・弔慰金には所得税がかかりません。
F この制度は、昭和45年に発足し、その後約31年を経過しましたが、この間約19万3千人の保護者の方々が加入され、また約3万7千人の障害のある方々に約956億円の年金を支払い、生活の大きな支えになっています。(平成12年度末現在)

加入できる保護者の要件
障害のある方(次の「障害のある方の範囲」を参照して下さい)を現に扶養している保護者(父母、配偶者、兄弟姉妹、祖父母、その他の親族など)であって、次のすべての要件を満たしている方です。
@ その道府県・指定都市内に住所があること
A 年齢が65歳未満であること(年齢は毎年の4月1日における年齢です)
B 特別の疾病又は障害が無く、生命保険契約の対象となる健康状態であること
C 障害のある方1人に対して、加入できる保護者は1人であること

障害のある方の範囲
次のいずれかに該当する障害のある方で、将来独立自活することが困難であると認められる方です。(年齢は問いません)
@ 知的障害
A 身体障害(身体障害者手帳を所持し、その障害が1級から3級までに該当する障害)
B 精神又は身体に永続的な障害のある方で、@又はAと同程度の障害と認められるもの(たとえば、精神病、脳性麻痺、進行性筋萎縮症、自閉症、血友病などです)

掛け金月額
@ 掛け金は、毎月定められた日までに払い込んでいただきます。
A 掛け金は、加入者の加入時の年齢により、1口当たり次のとおりです。(平成14年4月1日現在)
 35歳未満の方***************3,500円
 35歳以上40歳未満の方*******4,500円
 40歳以上45歳未満の方*******6,000円
 45歳以上50歳未満の方*******7,400円
 50歳以上55歳未満の方*******8,900円
 55歳以上60歳未満の方******10,800円
 60歳以上65歳未満の方******13,300円
B 掛け金の免除
 加入者が65歳(4月1日現在)以降最初に到来する加入応当月に達し、かつ、継続して20年以上加入したときは、その後の掛け金が免除されます。
C 掛け金の減免
 道府県・指定都市では、掛け金の納付が困難な方に対して掛け金の減免を行っています。くわしくは窓口でおたずねください。

年金の支給
@ 加入者が死亡し、又は重度障害と認められたときは、その月から障害のある方に対し、次の年金が支給されます。
1、両眼の視力を全く永久に失ったもの 2、そしゃく又は言語の機能を全く永久に失ったもの 3、両上肢を手関節以上で失ったもの 4、両下肢を足関節以上で失ったもの 5、一上肢を手関節以上で失い、かつ、一下肢を足関節以上で失ったもの 6、両上肢の用を全く永久に失ったもの 7、両下肢の用を全く永久に失ったもの 8、十手指を失ったか又はその用を全く永久に失ったもの 9、両耳の聴力を全く永久に失ったもの
A 年金は、障害のある方の生涯にわたって支給されます。
1口加入の方*****月額 2万円(年額24万円)
2口加入の方*****月額 4万円(年額48万円)
B 障害のある方が、年金の受取や管理をすることが困難である時は、加入者はあらかじめ年金管理者を指定することが必要です。また、事情によりその年金管理者を変更することも可能です。
C 加入者又は障害のある方に、次のような事故等があったときは、年金が支給されないことがあります。
1、加入者が加入後1年以内に自殺したとき
2、加入者が犯罪行為又は刑の執行により死亡したとき
3、障害のある方が故意に加入者を死亡させたとき
4、加入者が加入時の健康状態等の告知で事実を告げなかったり、不実のことを告げたとき
5、その他、加入者や障害のある方の故意又は重大な過失によるとき

弔慰金等の支給
※2008年4月1日より制度が変更され支給される金額が変わります。
@ 1年以上加入した後に、加入者より先に障害のある方が死亡したときは、一時金として加入期間に応じて、次の弔慰金が支給されます。(2口加入のときは、それぞれの加入期間に応じた金額の合算額となります)
1年以上5年未満の方*****2万円
5年以上20年未満の方****5万円
20年以上の方*******10万円
A 5年以上加入した後に、加入者の申し出により、この制度から脱退したときは、一時金として加入期間に応じて、次の脱退一時金が支給されます。(2口加入のときは、それぞれの加入期間に応じた金額の合算額となります)
5年以上10年未満の方***3万円
10年以上20年未満の方***5万円
20年以上の方*******10万円

脱退等
次のようなときには、脱退又は加入者(被保険者)でなくなります。
1、加入者が死亡し、又は重度障害となったとき(年金の受給が開始されます)
2、障害のある方が加入者より先に死亡したとき(加入期間が1年以上のときは弔慰金が支給されます)
3、加入者が脱退の申し出をしたとき(加入期間が5年以上のときは脱退一時金が支給されます)
4、掛け金を一定期間以上滞納したとき
5、加入者が他の道府県・指定都市に転出し、引き続き転出先の同制度に加入を継続するときは、転出元の道府県・指定都市の制度からは脱退となります。(実施主体が各道府県・指定都市単位となっていますので、転出先の道府県・指定都市において同制度の加入手続きが必要です。加入期間は通算されます)

加入の手続き

@ 新規(初めて加入するとき)
保護者がお住まいの地域にある福祉事務所、市区町村役場の窓口に、次の書類を添えてお申し込みください。
1、加入申込書
2、住民票(保護者及び障害のある方それぞれに必要です)
3、申込者(被保険者)告知書(保護者の健康状態を告知する書類です)
4、障害の種類及び程度を証明する書類(身体障害者手帳、療育手帳等)
5、年金管理者指定届書(障害のある方が年金を管理することが困難なとき)
A転出(既に加入している方が、他の道府県・指定都市へ転出するとき)
既に加入している方が、住所の移転により、継続して転出先の道府県・指定都市で加入する場合は、上記の1、2、及び5、の書類と今まで加入していた道府県・指定都市名及び加入者番号が必要です。
B口数追加(既に1口加入している方が、新たに2口目の加入をするとき)
上記の1、と3、の書類が必要です。(加入口数の限度は、障害のある方1人につき2口です)

掛け金の補助について(愛媛県の場合)
愛媛県では、加入者の方が納める掛け金に対し、次の表の割合で補助を行っております。
※2008年4月1日より制度が変更され、一般世帯の方は掛け金の補助が段階的に廃止されます。

  市町村 加入者
一般世帯の方 1/3 1/3 1/3
市町村民税非課税世帯の方 3/6 2/6 1/6
生活保護世帯の方 2/3 1/3

よって、加入者の方に納めていただく1口当たりの掛け金の月額は、次の表のとおりです。

  市町村民税
非課税世帯の方
一般世帯の方
35歳未満の方 584円 1,167円
35歳以上40歳未満の方 750円 1,500円
40歳以上45歳未満の方 1,000円 2,000円
45歳以上50歳未満の方 1,234円 2,467円
50歳以上55歳未満の方 1,484円 2,967円
55歳以上60歳未満の方 1,800円 3,600円
60歳以上65歳未満の方 2,217円 4,434円
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