タイトル(2016年9月更新)

ケガをする前は自転車が趣味だったので、タイヤの交換やパンク修理などもよくやっていました。車いすのタイヤも自転車のタイヤと基本的には同じなので、人に頼まず自分でやっています。慣れると簡単なのですが、もし失敗すると身動きが取れなくなります。最初は慣れた人といっしょにやるか予備の車いすを用意してから作業してください。 公費で購入した車いすの修理費は公費で賄われることが多いようです。自分で修理する前に、まずは車いすを買った店に相談を。

必要な用具と部材 必要な道具。左からタイヤレバー、シールタイプのパッチ、紙やすり、そして空気入れ。写真のパンク修理セットはパナレーサーの製品で、アマゾンだと800円前後で売られている。以前はタイヤレバーと言えば金属製だったが、今はリムやチュ−ブを傷つけにくいプラスチック製が主流。
パンクした箇所に貼るパッチはゴム糊を使うタイプの物もあるが、ゴム糊は長く使わないと気化して使えなくなることもあるのでシールタイプの物がおすすめ。
バルブから空気の抜く部分 まず車いすから車輪を外す。古いタイプの車イスはボルトとナットで留められていて簡単には外れない。その場合、外さずに修理することも出来るが作業はかなり面倒。無理をせず業者に頼んだほうが良い。
タイヤの表面をよく見て、パンクの原因となった金属やガラス片が残っていないか確認し、残っていれば取り除く。そしてタイヤの空気を完全に抜く。写真の米式バルブは中心の出っ張りを押すと抜ける。
タイヤにこじいれたタイヤレバー タイヤとリムの間にタイヤレバーをこじ入れ、レバーのフック部分をスポークに引っ掛ける。30センチほど離れた場所に、二本目のタイヤレバーを同じようにこじ入れる。三本目のタイヤレバーを二本の真中あたりに入れるとタイヤの一部がリムから外れる。3本目が入りづらい時は、チューブを傷つけないよう気をつけながら2本目を1本目の方に滑らせると外れる。
チューブやタイヤの交換なら、リムからタイヤを全円周ぐるりと外す。パンク修理だけなら、チューブのパンクした部分をタイヤとリムの隙間から引っ張り出す。
チューブの穴を見つける チュ−ブを引き出した状態でタイヤに空気を入れ、漏れの原因となっている穴を探す。見ただけでわからない場合は水につけると簡単に見つけられる。パンクの穴は一つとは限らず、水につけて確認するのが一番。そして穴の部分にペンで印をつけておく。
チューブと削るためのヤスリ いよいよここからが本番。まず穴の周囲を紙やすりで丁寧に削り、一皮剥いたような状態にしておく。製造時の金型の跡の出っ張りも平らにする。ただし削りすぎるとチューブが弱くなるので注意。
チューブと穴をふさぐパッチ チューブの削りかすや油分を取るためアルコールを染ませた布(無ければ乾いた布)できれいに拭く。ゴム糊を使う場合、穴の周囲にゴム糊を薄く塗る。糊はケチらず、必ず貼りつけるパッチより広く塗る。2、3分経ちゴム糊が乾いたらパッチの台紙をはがし穴の上に貼りつけ強く圧迫する。シール式のパッチは剥離紙をはがして貼り付ければOK。
チューブにまぶすタイヤパウダー ゴム糊がはみ出した部分やチューブ全体にタイヤパウダーをはたいておく。写真はタイヤパウダー代わりのベビーパウダー。ジョンソン&ジョンソンの製品がおすすめ。ポリ袋にタイヤとパウダーを入れ口を閉じ、シャカシャカ振ればまんべんなく塗布できる。無ければ、その辺の土ぼこりで代用可。これをやらないとチュ−ブがタイヤの内側にくっついてしまう。
リムに貼ったリムテープ 写真はホイールからタイヤを外した状態で、タイヤのはまっていた黒い部分がリム。リムの底には、スポークを固定するためのニップルという部品などのために凹凸がある。空気を入れたチューブが、この凹凸に強く接触しているとパンクすることがあり、それを防ぐため凹凸を覆うために貼るのがリムテープ。一般的な車いすでは、リムバンドと呼ばれるゴム製の物が使われていることが多い。空気圧を高くしない人は、使われていたものをそのまま使えばOK。
ゼファールのコットンリムテープ 写真はゼファールというメーカーの、綿布製リムテープ。アマゾンで648円で購入。樹脂製の物より重量はあるがパンク予防効果は高いと言われている。樹脂製のリムテープは閉じた輪になっておりホイールサイズに合った物を購入する。写真の製品は、バルブ位置を合わせてから貼り付けていくので自分の車いすのホイールの円周より大きければOK。10×2000o の製品は10ミリというのが幅で、2000ミリというのがテープの長さ。
曲がった状態のバルブ タイヤを完全に外した場合は、タイヤのフチ(ビード部)を片側からリムにはめていく。バルブの部分からチューブをタイヤとリムの間に戻し、もう片側のビード部もはめていく。チューブは完全に空気を抜き、ぺたんこにしておくと入れるときに捻じれにくい。写真のようにバルブが傾かないよう左右均等に引っ張りながら入れていく。
タイヤをはめるタイヤセットペンチ 手でタイヤをはめていくと最後に数十センチ残る。タイヤが新品の時など特に、この数十センチが入れづらい。そんな時も写真のタイヤセットペンチがあれば楽々。ペンチの一方をリムに引っ掛け、はめたい方のビード部をすくうように持ち上げれば勝手にリムに入っていく感じ。力はほとんど要らず、チューブを噛み込むこともない。本当に優れ物の工具。台湾のバイクハンド社製でアマゾンで1,112円で購入。サイクルショップでは800円前後で売られている。
チューブの噛みこみのチェック タイヤをリムに入れるときにチューブをはさまないよう気をつける。はさんでいたりチューブがはみ出したりして穴が開き、また始めからという経験が何度もある。軽く空気を入れたあとタイヤを押さえ、チューブを噛んでいないかチェック。
タイヤとバルブの位置 空気を完全に入れれば作業終了。指定の空気圧はメーカーやモデルごとに違うので、タイヤの側面などを見て確認する。IRCエクセレーサーは、700kpa、7.0s/p2、100psi。
私はバルブを捜しやすいようにバルブがロゴの中央に来るようにタイヤはめている。ロゴが擦れて消えるのが嫌なら車輪の内側になるように入れるなど自分で交換すれば自由自在。

タイヤの個人輸入について
個人輸入したシュワルベワン高性能車いす用タイヤ、シュワルベ ワン。国内で買うと高いのでドイツから個人輸入してみました。注文したのが8月24日で、翌25日に発送完了のメールがあり31日に届きました。速っ!はるばるドイツ連邦共和国から1週間しかかからなかったということです。そして品物も間違いなくシュワルベワンです。

今回利用したのは、自転車をメインに幅広くスポーツ用品を扱っているBIKE24という通販サイトです。このサイト、言語はドイツ語と英語しか選択できないものの、配送相手国で日本を選択(ページの右上)することができます。個人輸入代行業者を通さなくて済むので手数料がかからず、おまけにEU域外からの注文なのでVAT(付加価値税)が免除され、と二重で節約できます。今回、1本の価格は28.49ユーロでトータルの費用内訳は以下のようになります。

  単位・ユーロ     単位・円
シュワルベ ワン(6本) 170.94   円合計(1ユーロ約115円) 22,044
送料 19.95   通関費用 900
合計 190.89   全費用合計 22,944
      1本あたり費用 3,824

国内で買うと1本1万円近くするタイヤを3,824円で買えたことになります。自分でも驚くほどの大成功です。注文した後に気づいたのですが、BIKE24の利用方法を解説したサイトがあります。海外の通販サイトを初めて利用する方は、そういうサイトを参考にしてください。通関費用の内訳は消費税が700円で通関料が200円です。身体障害者用物品は消費税が非課税になると思い込んでいましたが、税関に問い合わせたところ車いすは非課税だが、タイヤなど部品単体だと課税扱いになるそうです。関税は、もともと税率ゼロです。

チューブについて
私は気にしたことがありませんがチューブにも寿命があるのだとか。メーカーやショップは早めの交換を勧めますが、タイヤ交換のたびに一緒に換えてしまうのはいくらなんでももったいないような気がします。
自分でチューブを交換する際はサイズに気をつけましょう。例えば車いすで一般的な25-540というサイズのタイヤには24×1のチューブが適合します。またチューブのバルブには米式・仏式・英式の3種類あり、車いすで使われることが多いのは米式です。米式バルブはオートバイや自動車、MTBなどでも使われています。仏式はロードレーサーなどの軽量な自転車で使われることが多く、米式と仏式は機能的な差はほとんどありません。米式の方が頑丈なのとガソリンスタンドなどでもポンプを借りられることから、車いすでの使用が広がっているようです。英式は安価な自転車や、病院や施設の車いすで最も一般的に使われているバルブです。日本の自転車に古くから使われ、空気入れも入手しやすいのですが、空気圧の調整が難しく徐々に使われ無くなりつつあります。

米式バルブ 仏式バルブ 英式バルブ
米式(シュレッダー)バルブ 仏式(フレンチ)バルブ 英式(ウッズ)バルブ

電動エアーポンプ
充電式ポンプです。商品名はアネスト岩田キャンベル コンプレッサー オイルフリー CC9410。使っていた中国メーカーの電動ポンプが壊れてしまいました。あの楽さ加減を知ってしまうと今更手動ポンプには戻れません。かと言って同じような製品を買ってもまたすぐに壊れるし、ということで今回購入したのがこれ。私がAmazonで買ったときは8,060円でした。

大きさは28×22×14センチ。デカいし重いです。大きい分作りがしっかりしてるかなと期待したのですが、届いてから分かりました。この製品、バッテリーが鉛蓄電池で重さも大きさもそのせいだったんですね。

鉛蓄電池のせいでデリケートな扱いを要求されます。おまけに満充電になっても知るすべがないという謎仕様。ただ空気はちゃんと入ります。圧力計の目盛りはMpaしかありませんが大体正確です(パナレーサーのプレッシャーゲージで確認済み)。PsiやBarとの変換数値を記しておきます。0.86Mpa≒125Psi≒8.6Bar。0.79Mpa≒115Psi≒7.9Bar。

ショップ利用の際の注意点
車いす用のパーツを購入する際に、福祉機器や車いすを扱うネットショップを利用すると思います。この時、公費での購入価格と個人での購入価格の2種類の定価をつけている店、公費で購入するのに必要な請求書や領収書の発行を依頼すると、特別な書式でもないのに文書作成料を請求してくる店があります。一般的な商習慣では考えられないことです。後々トラブルのもとになるので、このような店とは取引しないようにしましょう。

ネットショップの中には詐欺サイトが多数存在し、車いす関係の品物を販売しているところもあります。恥ずかしながら私もタイヤで一度被害にあったことがあります。会社名を検索してみるなどして、注文前に確認しましょう。

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