これは私が日頃行っている排尿と排便について書いたものです。私が入院していた岡山県の吉備高原医療リハビリテーションセンターで受けた指導が元になっています。それを自分流にアレンジしているので間違って解釈している部分があるかもしれません。こんな風にやってる人もいるんだと気軽に読んでください。そしてもっと良い方法や用具などをご存知の方がいらっしゃれば教えてください。
排尿
まず私は脊損で胸椎の11・12番を毀損しています。尿意は全くありません。そしてセルフカテーテルを使い自己導尿で排尿しています。腹部をたたいて出すという方法もあるようですが、私の場合試しても出なかったし内臓に悪いという話も聞き、今はまったく考えていません。今は1日に7回から8回導尿を行っています。2.5時間から3時間おきぐらいの間隔です。一回の量は100mlから300mlぐらい。少ないときは50mlぐらいで多いときは600mlを超えることも有りますが400mlを超えないように気をつけています。平均すると1日1500ml程度です。
溜め過ぎるといろいろな問題が起きます。一番は漏れることです。しばらく漏れてないと漏れてもほんの少し染み出す程度ですが2度目からはどっと漏れてしまいます。しかも溜まる量が少なくなります。溜めすぎたことが膀胱にダメージを与えたのでしょう。そのダメージが修復されるまで数日は漏れがちになります。そのダメージが感染症の原因になることもあるようです。尿漏れ対策としてデトルシトールという薬を毎日服用しています。ポラキスやバップフォーという薬を使用しいたこともあります。これらの薬は副交感神経に作用し膀胱の収縮を押さえ、尿を漏れにくくするという作用があります。以前は唾液の分泌や胃腸の動きまで阻害してしまうといった副作用がありましたが、開発が進みずいぶん軽減されました。漏れるときは尿とりパッドを使っています。私はペニスを巻くようにしそれをブリーフで押さえるような感じで使用しています。パッドを使っていればほとんどトラブルも無く安心ですが、もっこりしてしまうのが難点です。
トラブルにならないよう尿量を安定させるためにいろいろ気を使っています。以下のようなことです。
- カフェインの入っているものはなるべく口にしない。(コーヒーはカフェインレスの物を飲んでいます。紅茶、緑茶はあまり飲まないように、頭痛薬もカフェインの入っていない物を使います)
- アルコールはほどほどにする。(ビールは利尿作用が強いけど反応が予測しやすいし、好きでやめられないということもあり飲んでいます)
- 感染症にかからないよう気をつける。
では具体的な導尿の手順を書きます。
- 石鹸で手を洗います。
- 便器と向かい合うように移動し腰を前にずらしペニスを出します。
- カテーテルのキャップを緩めておきます。
- 擦り込み式の消毒薬(商品名ウエルパス)で手を消毒し、清浄綿を取り出して開き、開いた面でペニスの先を拭きます。
- 清浄綿を閉じ、使っていない面でカテーテルの先から1/3の辺りを持ちゆっくり挿入します。止まったところでキャップをはずします。
- 尿を受けるために左手で容器を持ち、右手でカテーテルをさらにじわじわ挿入します。これで尿が出てきます。
- 止まったら左右に回転させたり少し抜き差しして完全に出しきるようにします。カテーテルを指で塞いだまま引き抜き、流水で洗いケースに戻します。
- ペニスを清浄面で拭き、しまいます。手を洗って作業終了です。
尿量をチェックするため計量カップで尿を受け、それを便器に流すようにしています。全体を通して気をつけているのはカテーテルの元は手でつまむけどそれ以外の部分は手で触らないようにするということです。カテーテルは一週間に一度煮沸消毒しています。以上のような方法で排尿し、今は特に問題なく過ごしています。
尿の臭いについて(2013年4月加筆)
臭いのもととなるアンモニアはアルカリ性の物質なので、同じアルカリ性の石鹸や洗剤を使ってもなかなか取れません。特に陰毛に染み付いた臭いとか。私は右の写真のクエン酸溶液を使っています。コープで買った掃除用のクエン酸を100均のスプレーボトルに入れ水で溶かしたものです。クエン酸は掃除用・食品用ともにドラッグストアかアマゾンやケンコーコムなどのネット通販で買えます。濃度が濃いと酸で皮膚がただれます。陰部は皮膚が弱いので特に注意が必要です。必ず薄めに溶かして使ってください。
セルフカテーテルの改良(2013年12月加筆)
クリエートメディック社製のセルフカテーテルを使っています。導尿する時に洗面台のフチなどに引っ掛けて使うのですが、結構ひんぱんに落としてしまいます。出先でキャップを外した状態で落としたりするとほとんど大惨事です。フック部分が広がりすぎてて、かつ柔らかすぎるせいなのですが、それを改良します。下の写真、左2枚が改良前と改良後の比較です。
方法は、まず本体からフックを外します。フックの曲がりをきつくしてガスレンジの火で暖めます。煙が出るとかプラスチックが焦げる臭いがしたら火に近づけすぎです。暖まった物を水で冷やします。元のように取り付ければ完成です。簡単だけどこれでフックの曲がりがきつくなり硬さも増します。落としたことのある方は是非お試しを。
Anself おねしょアラーム(2018年1月加筆)
重い膀胱炎で、多量の尿が頻繁に漏れてしまう時用に写真のおねしょモニターを買ってみました。アマゾンで2180円です。
裏ブタからバッテリー絶縁用のプラスチック片が出ているので、それを引き抜くとスタンバイOK。手前のクリップに布きれを挟み、それが尿道口のあたりにくるようパッドを装着します。尿が漏れてクリップに挟んだ布が濡れると音と光、振動で知らせてくれます。就寝中、アラームに気づきトイレに行くと、パッドに50tほど漏れていました。漏れを防ぐことは出来ませんが、被害を最小限に抑えてくれます。
スイッチ類がなにも無いので音を止めるにはクリップ部を開くしかありません。アラームを鳴らさず、光と振動だけ発生させるようにすることもできないので外出時の使用は難しいでしょう。
カテーテルが入らない(2022年4月加筆)
以前から、たまに入りづらいことはあったのですが、それが徐々に頻繁になり、毎回、導尿に苦労するように。カテーテルを入れると奥の方でつかえるような感じで止まってしまい、いくら押し込んでも入りません。圧力を加え続けると2〜5分ほどしてやっと尿が出始めます。
ということでかかりつけの泌尿器科へ。症状を説明した後、処置台に横になるとブジーを入れられました。ブジーというのは金属の棒です。そしてバルーンカテーテルを留置。丸一日入れてから抜くようにと言われました。
バルーンを抜いて半日ほどはスッと入り、こりゃ良くなったと思ったのですが、その半日後にはまた以前と同じ状態に。お先真っ暗な感じです。でも、その後色々試しているうちにカテーテルをグルグル回しながらジワジワ入れると入ることに気づきました。
尿道や尿道括約筋にはストレスを与えそうだけど、ブジーを入れて血まみれになるよりは全然マシですから。当面このやり方で行こうと思います。その後、数か月するとスムーズに入るようになりました。理由は分かりません。
排便
便意は全くありません。排便は基本的に2日に1度ですが、肛門から指を入れ便の様子を見て決めています。食あたりなどで下痢をしてもお腹が痛くなるようなことはなく、出てみて初めて下痢だと気づきます。便の量はまちまちです。片手に一杯が標準と聞き、がんばっていたことも有りますが、ひどい痔になってしまい今は量は気にしていません。
便秘がちだと腹が張って苦しいし下痢だと悲惨な状況になるしで、食事には気を使っています。以下のようなことですが、お陰でここ何年か格的な下痢はありません。
- 肉は少なめにし野菜を多めに摂るようにする。
- 暴飲暴食は慎む。
- 冷たいものは控える。(スイカやアイスクリームなど)
- 納豆は食べない。(便秘がちの時にあえて少量食べることは有ります。)
- 便が柔らかいと思ったら整腸剤を飲む。(私はビオフェルミン系の物をつかっています。)
では具体的な排便の手順を下に書きます。
- 使い捨て手袋、レシカルボン座薬、グリセリン、洗濯バサミを持ちトイレへ行きます。
- 車イスを便器の横につけます。ズボンとパンツを下ろしシャツや上着がずり下がらないように洗濯バサミでとめ、便器に移ります。
- ひざを開き閉じないように車イスをはさみます。車イスの後ろからタイヤとタイヤをはさむような感じです。
- 座薬を入れます。これは腸内で溶けてガスになり排便を促すというものです。
- 座薬が溶けるまで15分待ちます。座薬を入れてしばらくしてからトイレへ行けば良さそうなものですが15分経たずに出ることもあるのでこうしています。待つ間に導尿したり、ペーパーを用意したりします。
- これだけで便が出ることも有りますが、たいていは手に手袋をはめグリセリンをつけ摘便します。
- 私の場合、中指を第2関節ぐらいまで入れ直腸のおなか側を軽く刺激すると出てきます。
- おなかを引っ込めるように力を入れ、手で下腹部を押したりウォシュレットを当てるなどして刺激を与え再び指を入れます。
- もう出ないと思ったらやめ、ウォシュレットで洗いペーパーで拭きます。
- 車イスに移りズボンを上げ手を洗いおしまいです。
痔が心配なので座薬を入れて待ってる時間を含め30分以内に終わらせるようにしています。
腸炎と、その対策(2023年1月加筆)
数年前から下血と下痢を繰り返すようになり、病院にも通いました。病院では腸炎だろうということで色々薬を処方されましたが、あまり効きませんでした。下血は粘血便です。いろいろ試して、最終的には肉とチーズなどの乳製品・卵をやめることで症状が治まりました。幸い魚介類は食べられるので、QOLの低下は最低限で収まっています。
排尿排便レポートは以上です。
脊損について総合的に知りたいとき↓の本が参考になります。
「脊髄損傷」日常生活における自己管理のすすめ 徳弘昭博 著 医学書院 発行
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