2009.08改訂

 

 
大谷石を使用した本当の石釜です。

 当店の窯は大谷石を蓄熱材とし、ガスを熱源とする連続焼成窯の石釜です。薪は温度が不安定なのと、価格が高いのと、こんな田舎でもた くさん集めるのには大変なので、はじめから考えていませんでした。電気は電気代が高いのと、きちんと焼成が出来ないのでこれも外しました。

 普通何処の窯も煉瓦を積んで窯にしますが、うまく積む自信がないので本物の石にしました。その中でも大谷石が一番蓄熱量が多いし、かつては窯にしたという実績もあるので、迷わず採用しました。
  煉瓦で作った石窯はあちこちにあるけれど、本当の石を使った石釜は殆どありません。煉瓦で作ったから煉瓦窯だと思いますが、なぜか石窯と行っています。
 現代の窯は、ガスでも電気でも窯の中の空気を暖めて、窯本体は断熱させると言う方式が殆どです。効率を考えるとこうなりますが、所詮効率だけです。
  かつて大谷石のパン窯を使用していた金谷ホテルの川津氏が「石窯だとパリッと軽く焼けて、クチャクチャしていないんですね。今は電気しかないから仕方ありませんけど、水分がよく取りきれないんですね、電気だと。 」とサイトに紹介されています。

  石釜や煉瓦窯は石や煉瓦を暖めて、その輻射熱で焼きます。当然出来たものは違います。人類が長い間やってきた方法です。しかし当店では、ここに現代の技術を利用しながら、そしてガスという直火を用いた新しい窯の形態を創世しました。今までの窯の概念を変えるアイデアを組み込み、更なる蓄熱性と低燃費を実現できました。良く出来た石釜と自負しています。

 


竹下氏の窯

プロローグ
  ことの始まりは、遊びで石釜を作ってパンを焼こうかと思ったことからです。もったいないので売った方が良いですよと言われ、パン釜を自分で作って、パンを売ることにしました。パンも窯をわからないのでネットで調べると、それこそたくさんの情報があふれていました。

 近くにも石釜のパン屋さんがあることが分かり、幸田町の「D」と闇苅渓谷の「P」を訪ねました。「D」は薪を使用する煉瓦窯で、あまり参考になりませんでした。「P」の方も煉瓦窯で、石臼で粉を挽いていました。何だか自分に合っているなと思い話をしたら、ガスを使用した煉瓦窯が刈谷にオープンしているという話でした。しかし400万円もすると言われ殆どあきらめました。

 その刈谷の「P」に行きましたが、窯のとてつもない大きさにびっくりし、金額もそうだがとても設置できるところがないと思い完全にあきらめました。

 ある日あるサイトの中で紹介されている竹下晃朗 氏の「高温蒸気焼成」が気になり、メールして竹下氏を紹介して頂きました。すぐ電話し、早速京都に在住の氏を訪問しました。

 目的の窯を見せていただき、なおかつパンも試食させて頂き、とても納得しました。ガスを使用する連続焼成窯で、「高温蒸気焼成」のノズルを付けた簡単な構造の窯です。断熱煉瓦を使用するもので、自分で作れば安いと言われ、その気になってすぐ注文していました。

 窯の大きさを決めるのに、どの位のパンをどれくらい焼くかがなかなか分からないので苦労しました。最初4段くらいのパン窯を考えていましたが、豊橋のぱん工房「P」で作業を見学させてもらったら、2段で十分と思いました。

 最初言われるままに4段にしようと思いましたが、最終の注文では3段にしました。それから何回かの手紙やFAXで、いろいろと不都合やら分からないことが出てきました。耐火煉瓦の使用と断熱煉瓦の使用と普通煉瓦の使用の違いもなかなか理解できませんでした。
  竹下氏の窯を実際に作成し、営業しているKさんの話では、温度が上がりにくいと言うことでした。この辺のことを竹下氏に話したところ、断熱煉瓦で作るが前面は鉄板だけということでした。これでは熱が逃げてしまうと言ったら、全部煉瓦を使用することは金額ものすし、もう鉄板は作成しているという。

 さて困った。このままではガスをたくさん使用する割に、熱が上がらないとジレンマが生じる。そのうち煉瓦積みの方法を書いた手紙が送られてきました。これはとても素人が出来ることではないと思い、思い切ってサイトで知った岡崎の「大島石材店」さんに大谷石での窯の作成を相談しました。

 竹下氏の構造材と前面パネルが来ると、その雑な作りに更にびっくりしました。そして落ち込んでしまう自分がありました。
  しかし愚痴を言っても始まらないので、大谷石を基本とする窯の設計の変更にかかりました。設計図なんてあまり得意ではないけれど、そこそこに書いて大島さんに適当に解釈してもらいながら、パネルと鉄骨に合わせて作ってもらいました。その前にも鉄骨の加工も近所の鉄工場でかなり修正もしました。大島さんも苦労した甲斐があり、立派なものが出来ました。


前面パネル

 ”石の壷”

 窯の基本構造は、従来と殆ど変わっていません。しかし、古来エジプトから続く竹下氏の言割れるところの”石の壷” は、竹下氏の窯では再現されていませんでした。これを当店の窯は、うまく再現することが出来ました。

 ここで竹下氏の言う”高温蒸気焼成”と”石の壷”とは全然違うものです。”高温蒸気焼成”はこれはこれで正しいと思います。でも”石の壷”は再現されていませんでした。断熱煉瓦を使用した窯では”石の壷”は出来ません。”石の壷”には蓄熱材がいるのです。
  古代から蓄熱性を良くするために、石や煉瓦を利用してきたのです。断熱窯は近年になって、産業革命以降に考え出された技術です。窯の中の空気だけを暖めるという効率の良い窯は、それなりのパンが焼けます。でも効率だけです。

 SlowFoodなパンを焼くのには、どうしても ”石の壷”の再現が必要なのです。それは現代の知識と技術をもってすれば、それはすごく簡単で可能なことでした。

 それは窯自体を壺にします。そのことにより、さらに蓄熱性が高くなり、ここに”高温蒸気焼成”を導入すれば、理想の石釜が現代に新しい形で甦ることになりました。


”熱効率”

 ”石の壷”によって蓄熱が高まり、少ないガスで希望の温度に達することが出来ました。しかし、大谷石に蓄熱するのにはさらにガスの燃焼が要ります。それでも消費量は従来の窯より少ないと思います。まだまだ改良の余地はありますが、これ以上資金を掛けるわけに行かないのでこれでしばらくやっていきます。

 後はこれをいかに使いこなすかです。


 ”断熱”

 窯の断熱材としてロックウールを使用しています。砂を使い人がいますがロックウールの方が扱いが簡単で段根知効果も高いです。厚さは50ミリを使用しています。お陰で、触ってもほんのり暖かい程度です。この断熱が大谷石の蓄えた熱を逃がしません。翌日は約70〜80度までになっています。ァ




完成の窯です

 ”2003.6”

 窯の中の床を竹下氏の案では鉄板でしたが、これを40ミリの石床にしました。これでは厚くなりすぎて熱が上がらないので8ミリにしました。そして、前後左右を100ミリほど開けて熱が上に上がりやすくしました。

 この改良で、かなり窯の熱の上昇は改善されました。しかしまだ窯の中の温度ムラがあります。今のところパンを移動させることで、納得しています。将来的にはファンを導入したいと思っています。

 ”2003.8”

 熱源の近くにもうけてある鉄骨の上に、更に鉄板を乗せて熱の拡散をねらいましたら温度ムラは殆ど無くなりました。もうがんがん焼けます。
 この夏に遠くの石窯パンを買いに行きましたが、やはり何処も同じ味です。パンに必要のないブドウの香りと ぱさついたパン。無農薬かも知れないが、美味しくない。うま味が感じることが出来ない。それでも売れているのが不思議だ。

 ”2005.5”

 窯の中の石床が少しずつ割れてきたので新しく作り直しました。石の周りに鉄枠を作りその中に石床を設置しました。今度は10mmと少し厚くしました。これでもう少し耐久性が上がるでしょう。

自家製小麦種酵母
秘伝 自然発酵種のパンづくり
林弘子著


 小麦から起こす酵母作りを
紹介しているすばらしい本です。

 これを読み、参考にしながら
種起こしをしました。
気になったら本を買ってみてください

 

 林弘子著 「秘伝 自然発酵種のパンづくり」を参考に、約一ヶ月近く掛かって培養した小麦酵母です。
 春先の肌寒い時期に種起こしをしましたので、熱帯魚のヒーターを使用しました。リンゴのスチロール箱に水を張り、ステンレスの鍋を浮かべて開始しました。
 
 現在は写真のように ねっとりとしていて、素手で触るとベタベタとくっつき、餅のようです。 この状態になれば安定していますので、4〜6日に一度小麦と水(酵母のえさです)を継ぎ足していけば、永遠に生きていくそうです。

 こんな菌なので弱いかなと思いますが、どうして丈夫です。ステンレスの鍋に蓋をして冷蔵庫で管理しています。えさを与えたときだけ少し室温で置いて、また冷蔵庫で寝かせておきます。それだけで、また立派なパンが焼けます。

 使用の感想

 やはり小麦の香りが強く、いつまでもします。4.5日たっても香りは豊かです。同じレシピでドライイーストを使用したときは、フランスパンの味と香りになって、味も香りもすぐに飛んでしまいました。やはりドライイーストでは、この味香りは出ません。
 味は、小麦の豊かな味だけです。 どこまでもふっくらモチモチで、なぜか心の琴線に触れる懐かしい味がします。本当にパンなのに不思議な味がします。

 種を育てるだけで、買わなくて良いのでケチな人(私)向きでしょう。

小麦種酵母2005.2バージョン

 

酵母種


  2005.2現在

 種は市販の星野天然酵母から種起こししたものを使用しています。使った分だけ小麦と水を加えて、カスピ海ヨーグルトの様に育てています。自家製の酵母は安定しなかったので現在はこのようにしています。もう1年以上この状態で続いています。

 最初は酸味がありましたが、今では酸味は全然ありません。醗酵力は天然酵母だし、イーストフードも加えていないので、のんびりです。しかし、時間を掛ければ掛けただけ、おいしいパンが出来ます。

 醗酵時間は48時間から72時間と冷蔵庫に寝かしながら、提供するタイミングをみながら、焼きに入ります。焼く前に25度くらいでゆっくり醗酵させます。

 一次発酵の後に分割に入ります。ベンチタイムなしで、そのまま35度で2次醗酵に40分間入ります。

 焼成は300度で40分。窯にパンを入れたら、コップ一杯の水を窯の壁にぶつけ、蒸気を立たせます。荒っぽいやり方ですが、これで上手く美味しいパンドカンパーニュが出来ます。



世界で一番美味しい小麦でパンを作る
1CW(No.1 Canada Western Red Spring )

 
パンを作るにおいて、世界で一番美味しい小麦と言われるカナダの小麦!CWを使用しています。
この小麦はカナダが開発したパン用の小麦で、粗蛋白 が15%にもなるものです。
国産小麦では、粗蛋白 9〜11%です。
この違いが粉の吸水量の差になり、ふっくらさの違いになって表れます。
日本でもパン用の小麦を開発していますが、とてもカナダには及びません。
新しい小麦を開発する予算費用が歴然と違います。
  寒い地方の春蒔小麦なので、収穫は秋になります。
日本では暑さを避けて秋まき小麦が多いです。

本当のパンのおいしさを知る

2003/6/2

このところ毎日パンを食べています。自分で焼いたパンもそうですが、人に焼いたパンも多く食べています。しかし、国産小麦使用というパンがどれも美味しくない。口の中でぱさつきます。飲み物が無いと食べることが出来ません。

 最初家庭用のガスオーブンで焼いたパンが凄くしっとりしていて、試食させたところ「もちもちして美味しい」と言う意見が多かったです。このパンは何かの間違いだろうと、しばらくして石釜で焼いてもやはりパンはもちもちでした。
 先日仕事が終わってから、深夜に岡崎まで車で走らなくてはならなくて、3日ほどたったパンをかじりながら走りました。出かけに電子レンジで30秒ほど温めましたが、パンドカンパーニュ半分がドリンクなしで食べられました。

 小麦粉と小麦から起こした種と塩だけのパンです。古代エジプトから誕生し、中世ヨーロッパまで栄えた古いパンの作り方です。小麦から起こした酵母は小麦に実にあいます。発酵しにくい酵母を更に低温にして、粉の熟成を計っています。当店のパスタは2日、ラーメンでは3〜5日掛かる熟成をパンは水分を多くして短時間にします。
  しかし、ドライイーストや生イーストを使ってのストレート法の仕込みでは時間が短く粉の熟成が出来ていません。パンは水分が多いと酸化が進みます。これを低温にして発酵と酸化を遅らせて、熟成を計るのです。そして高温で一気に発酵させて、焼きます。

 今までのパン屋さんは、ファーストフードでした。早く早くと膨らませることばかり考えて、粉の熟成を無視していました。早く作ったパンは焼きたてが美味しいが、すぐに不味くなります。当店の熟成したパンは出来るまでに時間が掛かりますが、おいしさは4、5日まで充分に持ちます。そしてもちもち感も損なわれないです。

 


これから焼くところです。

2009.06

 現在の作り方は、強力粉100%に水分量は76%で氷水によるミキシングをしています。水分量は国産なら普通55%くらいです。ここまでだと手にくっついて扱えません。低温がこれを可能にしています。水分量が多いとしっとりとしたパンが焼けます。

 マシーンでL4分M4分で捏ね、さらに手で生地の肌を確認しながら練り込んでいます。これを2日間冷蔵庫でゆっくりと熟成させています。

 その後室温で発酵させます。ホイロは破棄しました。冬は少し暖かいところで、夏はなるべく涼しいところでゆっくり発酵させます。

 充分発酵したところで分割し、そのままベンチタイムも設けずに成形してカゴに入れます。2次発酵を1時間ほど掛けてからしっかりふくらんだところで、焼成に入ります。

 パンを釜に入れ終わったら、コップ一杯の水を釜の壁にぶっかけます。300度以上で45分焼くと、美味しいパンの出来上がりです。

 実に時間が掛かる、実用性のない(?)商業的でない効率の悪い仕込み方です。でも出来上がったモノは全くと言って良いほど違う素晴らしいパンが出来ます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 
 
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