〜私と307〜

■エアバッグ誤動作!

■定期点検に・・・
連休が終わった途端、少々天気が持ち直したような気がしていた5月11日土曜日。
たまっていた仕事も一段落し、我が307をぼちぼち定期点検に出そうと思っておりました。
前もってBLには予約の電話を入れ、「よろしければこちらからお引取りにお伺い致しますが」と言う担当K氏の親切なお申し出にも丁重にお断りし、
私たち夫婦はドライブがてら一路宮崎を目指したのでありました。
・・・それは悲劇の巨艦「タイタニック」の如くに・・・。



■そしてそれは突然に!
私の家からBLまで約1時間半。
その行程の後半は高速道路を走ります。
私たちはまずまずの天気に満足しながら楽しくドライブしていました。

と、突然、「パン!」「パン!」「パン!」と大きな音!!
例えて言えば、ニュースフィルム等でよく耳にする銃の発砲音みたいでしょうか。
ちょっと大き目の音が車内に響き渡りました。
同時に、エンジンがぴたっと停止し、ハザードランプが点滅していました。
私はとっさの出来事に驚きながらも、何とか路肩にクルマを停止させました。

しかし、一旦止めた後、キーを何回回してもエンジンはかかりませんでした。

    左フロントからリアを臨む

■何が起こったのか?
ようやく我に返った私がふと助手席を見ると妻が耳を抑えて呆然としておりました。
「耳が痛い、痛い・・・。」
彼女の痛々しい声とおびえたような姿が目に入りました。
そして、彼女の後ろには・・・何とエアバッグが開いておりました!!!

   ドアを開けてみた状態

開いたエアバッグは全て左側で助手席シートのサイドエアバッグ、天井からの前カーテンエアバッグ、後カーテンエアバッグの合計3つが
開いておりました。

何しろ、事態を認識するまで少なからず時間がかかった訳で、私たち二人はやはりパニックに陥っていたと言えましょう。
とにかく、「これは大変だ!」と言うことで私たちはクルマを降りてあれこれ調べてみたのでした。
特に大きな障害物に当たった訳でもなければ、横からの衝突物があった訳でもありません。
私たちが見たところでは、我が307は何事も無かったかのように整然としておりました。

   左助手席から

■ようやく冷静に・・・
エアバッグの作動する原理は皆様良くご存知のことと思います。
ある一定以上の衝撃をセンサーが感知したときパルス信号をエアバッグの装置に送り、瞬時に小さい爆発によって作動させると言うモノですね。
これまでは理論のみで理解はしていたのですが、まさかそれを生で体験出来るとは思いもよりませんでした(苦笑)。
確かにエアバッグは目にも止まらぬ速さで開いたようですし、爆発時の硝煙も結構なものがありました。
加えて硝煙独特の匂いが室内に立ち込め、妻も気分が悪くなったようです。
エアバッグの端は焼け焦げており、動作時の凄まじさがお分かり頂けると思います。

   左室内前部

フロントのカーテンエアバッグです。
この写真では分かりませんが、Aピラーから紐が飛び出して来ています。
ですから、この種のエアバッグは一瞬にして(その名の如く)カーテンのように上から下へ開くのです。
ただ、当然のことながら天井部分は破れまくりです(笑)。
307に初めて乗ったとき、天井のパーツがやけにチープで薄いなぁ、と感じたのにはしっかり理由があったのです。
つまり、緊急時のエアバッグ作動を考慮してわざと壊れやすい材質にしてあったのですね!

   左室内後部

リアのカーテンエアバッグです。
リアも天井からウインドウ全体を覆うように作動しています。
勿論、前部と同様、天井は壊れまくりなのは言うまでもありますまい。
取っ手のキャップが外れているのが、エアバッグが作動した際の衝撃の大きさを何よりも物語っています・・・。

   助手席下のサイドエアバッグ

助手席シートのサイドエアバッグです。
このようにシート下部から噴出すようにして作動することが分かります。
しかし、3つもエアバッグが作動したのですから、さぞ妻も驚いたことでしょう!

   エアバッグのステッチ

■新発見!
こんな事態に不謹慎かも知れませんが、「流石フランス車!」と唸らされた部分がありました。
つまり、エアバッグまでもお洒落である、と言うことなのです。
例えば、カーテンエアバッグの前部と後部のステッチの色が違いました。
前者は青、後者は赤でした。
しかも、端っこの部分は可愛らしい縫込み施されていました・・・これは強化の為でしょうが。

私たちはこのような”目に見えない、めったにお目にかかれない部分”までもフランス車然としている所に新たなる驚きを覚えてのでありました。


私たちは早速BLに電話をして指示を仰ごうと思いましたが、約10分後にエンジンがかかりましたので、そのままBLまで乗って行くことにしました。
ハザードランプを解除し、開いてしまったエアバッグを適当な場所に押し込んで視野を確保し、エンジンが正常に回ることを確認した上で走り出した
のは言うまでもありません。



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■素晴らしき対応
約30分後、私たちはBLに到着しました。
そこからのBL側の対応は目を見張るものがありました。
「あ〜、やっぱりココで買って本当に良かった」と改めて感じましたねぇ。

担当のK氏が開口一番「お体は大丈夫ですか?」「大変申し訳ありませんでした。」。
トラブルの時がその人の真価が問われる時だと常々思っている私も「流石!」と唸らされました・・・。
すぐさま、工場長氏と社長さんまでもが飛んで来られて、「誠に申し訳ございません。」と深々と頭を下げられました。
実に素晴らしい、心にしみる対応でした。
至急、プジョージャポンの方に照会して頂くと言うことで、一応、その日は帰ることに。

代車もエーゲブルーのXS5ドアを用意して頂き、ガソリンも満タンにして下さっていたのでした。
(せっかくの試乗車なのに悪いなぁ・・・。)

■雑感
私は工業製品である限り、故障やトラブルは必ずある、と思っている人間です。
今回のトラブルの原因は現在の所分かりません。
しかし、完璧な製品と言うのはこの世に存在しないでしょうし、もしそうであるならば、アフターサービスの良否が全てを握っていると言えましょう。
その点においては、今回私たちは大変有意義な経験をしたと思います。
勿論、新車がこう言うことになってしまったことに関しましては少々残念ではあることは否定出来ません。
しかし、「災い転じて福と為す」ではありませんが、逆にとても清々しい気持ちになったのも事実です。

帰宅後、エアバッグのトラブルについて自分なりに調べてみました。
すると、そのような事例は国産、外車を問わず、ある程度発生していることが分かりました。
場合によってはリコールも行われているのです。
ただ、最近の各種安全装置の導入は少々難しい部分を含んでいるようにも思われました。
つまり、あまりに複雑化し過ぎて、かえってトラブルになり易い傾向があるのではないか、と感じるのです。
エアバッグの場合、運転席から始まって、助手席、サイド、更にはカーテン・・・と発展して来た訳ですね。
運転席や助手席のエアバッグの誤動作事例は見当たりませんでした。
しかし、サイドエアバッグの事例は結構あるようです。
ましてや、カーテンエアバッグは最近装備され始めたばかりですし、これから出て来る可能性が高いと思われます。

BLの方も仰っていました。
「メーカーによってはキャッツアイ(三角形の反射つき突起物ですね)を踏んだときにさえもエアバッグが作動したケースもある!」と。

様々な装置を駆使して人間を守る・・・それは大いに結構なことです。
これは断言出来ます。
しかし、人間が作り出すものには完璧なものはないでしょう。
ですから、技術と実際のいたちごっこが延々と続くと思います。
私たちユーザーもいたずらにメーカーに対して非難するのではなく、ともに良い製品を作るべく協力する姿勢も大切だと考えます。
各自動車メーカーには、幾多のトラブルに決して負けることなく、より良いクルマ作りに邁進して頂きたいと思います。

この件につきましては、追って皆様にご報告して行きたいと考えております。

(2002/05/16)

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