〜私と307〜

このページは少々重いかも知れません。ご了承下さい。

■307”Style”試乗

■”Style”があった!
昨年以来、販売実績更新中のプジョー。
しかし、307の売れ行きは正直言ってもう一つと言う見方もある(苦笑)。
思えば、先代306も最初はそうだった。
日本に定着したのは”Style”と言うベーシックグレードを導入してからだったと言うのは周知の事実。
307においても、プジョーは同様の手法をとった訳である。
案の定、既にマーケットでは大いに話題を振りまき、在庫切れの状態となっていると聞く。
7月末のある日、用事があってBL宮崎に赴いたのだが、たまたま”Style”が試乗車として準備されていた。
これ幸い、とばかりに早速試乗させて頂いた。
今回は例によって、このクルマに関するレポートをお届けする次第である。

■ちょっと大人しくなったね
私はXSに乗っているが、ホイールの大きさはいつもちょっとした違和感を覚えているのだ。
同じようなことを感じる方々が結構いらっしゃるらしい。
それはさておき、外観上の大きな識別点はホイールのインチダウンがあげられる。
16/205から15/195へと普通のクルマに変身している。
もともとはこれが本国での最多グレードだろうし、ごくごく普通の感じがするのでこちらがよりフランス車っぽいと思われる。
しかし、このホイール、取り寄せてもらうと結構な値段がするらしい。
某BBSの噂によると、1本45,000円くらいするとか!

特筆すべきは、4輪ともデイスクブレーキ(前輪はベンチレーティッド)であることだ。
お金をかけるべき所にはしっかりかける・・・素晴らしい!

■フォグランプがない
”Style”は細かな部分が巧みにコストダウンされており、それがかえって
フランス車の魅力を高めているのが面白い所。
これからその変更部分を検証してみよう。

まず、このクルマにはフォグランプが無い。
上:”Style”
下:私のXS
画像右端のウィンカーのすぐ右の円状部分の下部をよくご覧あれ。
XSではここにフォグランプが埋め込まれている。
一方、”Style”ではただの凹となっている。

しかし、ちょっと見ただけでは分からないし、フォグランプはそうそう使用
するものでもないだろう。
従って、このような変更は至極妥当な判断だと思う。

あと、オートワイパー(雨量に応じてふき取り速度を自動調整する)と
オートライト(周囲の明るさに応じてヘッドライトを自動的に点灯させる)
が省かれている。
これらの機能も私は全く使っていないし、この部分でも妥当な判断だと言
えよう。

■”Style”のエンブレム
このロゴは306のそれを連想させる。
306のときも、その潔い装備と軽快な走りでたちまちベストセラーになったのである。
ただ、今回の場合はよりXSやXT、XSIとのパーツの共通化が図られているようだ。
簡単に言えば、内装やシートは全く同じなのだ。
これは非常にお買い得だと思う。
306では少なくともシートはだいぶコストダウンされたポップなものが採用されていたから。
さて、話をもとに戻そう。
このエンブレムは両面テープでボディに付けられている。
1個いくらで売られるらしい。
これを付ける付けないは個人の好みだろう。
(私は付けたほうがカッコイイと思うが。)

■乗り心地良さそう
上記の通り、ホイールは16インチから15インチへ変更されている。
それでも195/65R15(91H)なのでまだまだ逞しい方だろう。
しかしながら、アロイホイールのデザインも大人しめで、女性ドライバーに訴求しそう。
乗り心地もかなり違うことが予想される。
ちなみにこのクルマはダンロップを履いていたが、最近の307は「コンチネンタル」を履いて来ることもあるそうな。
BLのN氏によれば、耐久性ならコンチネンタルとの弁。
私も納得。
まぁ、このようなホイールのおかげでクルマ自体は非常に一般的になったような気がするし、自然に街中に溶け込んでくれることだろう。
と言うことは、とりもなおさず、幅広いファン層を獲得すること間違いないと言うことだ。
私はそう確信した。

(ちなみにXSは205/55R16 91V。)

■室内は殆ど同じ(と言うか全く同じ?)
早速、室内に乗り込んでみた。
はっきり言って、同じである。
306のときに見られた差別化の数々は今回は殆どない。
視覚的に違う点は・・・
(1)ステアリングが革巻ではない。
(2)シフトノブ(MTの場合)も同様。
のみで、XSと言われてもとっさには判断出来ない(笑)。
ここ辺りはメーカーさんも頑張ってくれた、と言ってよいだろう。
いやぁ、これには参った。
これなら「廉価版」ではなく、独立した「別グレード」だと言える。
う〜む、これは売れる!

■ここも違う・・・
BLのN氏曰く、「ココも違うんですよ」。
そう、ペダルのパーツは一部プラスティックに変更されているらしい。
私の307はATではないので断言は出来ないが、代車等のおぼろげな
記憶をたどってみれば、確かにその通りだったかも知れない。
このように見えないところを地道にコストダウンしているのを見れば、メ
ーカー側の相当な努力と意気込みがうかがえようと言うモノ。
大変目立つ外装や、毎日目にする内装関係は殆ど同一で、僅かな部
分を少しずつ削減する・・・これはヨーロッパ車のコストダウンの一つの
お手本を見る思いがした。

流石、プジョー!

■1600ccDOHC
搭載されるエンジンは「206」用の1600ccのDOHC。
私はかねがねフランス車の醍醐味は”小排気量のエンジンを思い切り回してキビキビ走る”ことだと理解している。
そう言う意味からはこのクルマ(306Styleもそうでしたが)はまさにそのような印象がピッタリだと思う。
最高出力は108PS/5800rpm、最大トルクは15.0kg-m/4000
rpm。
XS等と同じく、非常に扱いやすいエンジンらしい。
ボディは結構大柄ですから、このエンジンで引っ張れるのか否かが一番の関心事になることと思う。
あわせて燃費も気になるところ。
それにしても、プジョー車のエンジンルームはもう少し「色気」が欲しいと思うのは私だけだろうか(笑)。

■逆にスッキリ
このグレードは上記の通り、、オートワイパーも装備から除かれている。
左の写真からもお分かりになると思いますが、雨滴検知用のセンサー
がないのだ。
しかし、個人的にはこの方がかえってスッキリしてなかなか良いのでは
ないかと思うくらい。
勿論、バックミラーは自動落下式なのは言うまでもない。
ガラス自体は全てXS等と同一。
相変わらず、ガラス面積は非常に大きく、類稀なる開放感を得ることが
出来るのだ。
私は以前、ドイツ車にも乗ったが(試乗もした)、ドイツ車の一種の閉塞
感に比べればその快適さは比べるまでもない!
さすがラテンのクルマ!

■トランクも同じ
ついでにリヤゲートも開けてみた。
まぁ、これもXS等と全く同じである。
内張りや照明の変更も全くない。
「ちょっと開けるのにコツが要る」オープナーもそのまま(笑)。
女性にとってはヨッコラショ(!)とこのゲートを開けるのはちょっとツライ
ものがあるかも知れない。
ちなみに、私の307ではまだ雨漏り等は全く無いし、ゲートやドア関係の
渋さも皆無である。
思えば、ゴルフUのときはリヤゲートの下部からグリスが漏れてちょっと
手や衣服が汚れて嫌な思いをしたことを思い出した(笑)。
今となっては懐かしい思い出ではある。
(ゴルフWではもうそのようなことはないのだろうか?)

■相変わらずキュートなリアビュー
リヤビューのキュートさはこのクルマも変わらない。
ここが一番プジョーらしいところを残している部分だと言えるかも知れな
い。
まぁ、ボディは全く同じはずだし、横からの眺め以外はそう変わるもので
もないだろう。
205、306、206、307と続くプジョーのハッチバックの流れはこれから
も延々と受け継がれて行くことだろう。
これからこのセクシーな後姿がどのように進化していくのか楽しみなとこ
ろだ。
ちなみに、ハイマウントストップランプもしっかり装備されていた。
やっぱり安全装置は大切だ。

■30分試乗したインプレッション
BL宮崎さんのご好意に甘えて、早速このクルマを試乗させて頂いた。
およそ30分、好きなコースで存分に乗ってみたのは言うまでもない(笑)。
試乗を終えて、一言で言えば「なかなかやるな!」とでもなろうか。
勿論、文句なしに「買い」のクルマである。
それでは具体的に私が感じた良い点、悪い点を箇条書きにして、後の判断は皆さんにお任せしたいと思う。

■良い点
■いかにもフランス車的なエスプリに溢れている。すなわち、小排気量のエンジンを一気に回して走る、と言うスッキリ感が素晴らしい。
■コストダウンが良心的。「もろにコストダウンしました」と言う印象を与えない。つまり、単なる廉価版と言うポジションを越えて、完全な別グレ
ードと言う感じがするのが大変良いし、メーカーの良心を感じさせる。
■発進、加速は思った以上にスムーズ。誰でも2リッターから1.6リッターへの変更は気にするところだろう。しかし、そんなことは全く杞憂に
終わった。少なくとも街乗りにおいては動力性能の差は殆ど感じない。かえって、2リッターエンジンで感じられる一種の「重さ」がなく、気持ち
がいいくらいである。ただ、そのエンジンフィールはあくまでも軽い(言ってみれば軽のよう)ので、手ごたえはないと思う。
■エンジン音をはじめ走行中のノイズは静かである。2リッターから比較すれば、少々甲高いエンジン音が僅かに耳に届く。強いて言えば、エ
ンジンが小さい様子が何となく伝わってくる、とでも表現出来ようか。
■乗り心地はやはり柔らかめ。サスペンションのパーツは殆ど他のグレードと同一らしいが、タイヤが快適方面にふってあるので乗り心地も
相応に違う。しかしながら、ちょっと前の「猫足」では無いと感じた。206から始まる”新生プジョー”のサスペンションと言うべきか。405に
代表されるような本当にしなやかなモノとは異なるようだ。確かに段差を乗り越えたときなど、XSとは確かに違う。しかし、昔から言われて
いるような「猫足」にはまだまだ及ばないと思う。

■燃費が10キロ以上あればもっといいのだが(不明)。

■悪い点
■ボディが緩い。これはフランス車的な要素の一つでもあるので微妙な所ではある。しかし、307シリーズ全般でもまだまだ一種の剛性感
の不足を感じることがある。これはやはりStyleでも変わらなかった。
■このクルマはやはりMTで乗りたいところ。確かにATでも予想以上に走ってくれたが、このエンジンとの相性はMTが最高だと思われる。
前述の「フランス車の醍醐味」はATよりMTの方がより味わえるような気はした。ちなみにATは他のグレードと同一でティプトロも装備して
いる。307のATの不満な点にその不自然なシフトショックがあげられるが、このクルマでも多少は感じられた。しかし、2リッターよりは多少
軽減されているような感じがした(詳細はまだ不確定)。
■相変わらず、慣れない人間には取り回しがツライと思う。どうしてもフロントの見切りがイマイチ。これは仕方がないか・・・。ただ、タイヤが
インチダウンしたこともあり、路面が少々近く感じたことも付け加えておきたい。
■ドアミラーの不自然さ。これもまだ改善されていない。右側の不自然な屈折率に加えて、左側の小さな見え方も×。何とか改善をお願い
したいところだ。


以上、大変たのしいひとときだった。
BL宮崎の皆さんには感謝の意を表したいと思う。
出来れば「406Sport」も是非、試乗したいところではある(笑)


(2002/08/04)

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