〜私と307〜

■307SWのATについて

■ことの始まり


307が発売されたから1年が経った。
その間、Style、SWと次々にニューモデルが投入され、俄かに307シリーズも盛り上がって来たようだ。
これは307の一オーナーとしても喜ばしいことである。
307シリーズは何と言ってもプジョーの屋台骨を支える重要なクルマ達なのだ。

しかし、これまでの同シリーズはエンジンやボディの完成度に比してATの出来がイマイチ・・・と言う評判が確かにあったのも事実。
この度、BL宮崎さんのご好意でSWの試乗車を丸1日お借りする機会があった。
良い機会なので、最近のプジョー車のATについて再度レポートをしてみたいと思う。

■試乗はまる1日が理想?

皆さんもディーラーで試乗をされることと思う。
しかし、普通それは30分程度のものだろう。
いや、場合によってはもっと短いかも知れない。
しかし!
クルマはやっぱり高い買い物であることには変わりはないのだ。
従って、納得いくまで試乗し、疑問点は営業の方に徹底的にお聞きになることをおすすめする。
ただ、私自身、今回SWを乗ってみて痛感したことがある。
それは、「日常生活で最低1日は使ってみなければそのクルマを十分に理解出来ないのではないか?」と言うことだ。
こればかりは各BLさんの事情もあることだろうし、一概にお願い出来ないことなのかも知れない。
けれども、そのような体験は必ずやプジョー車への理解が大いに深まり、ファンを増やすことに直結するだろうと思うのだ。

■2度目のSW

とにかく、1泊2日でSWを体験させて頂いた。
カラーはビアンカホワイト、以前、試乗させて頂いたクルマである。



ホイールベースはHBより10センチ以上延長されている。
重量も150キロ余り重くなっている。
それに伴って、乗り心地もHB(ハッチバック)とはだいぶ異なるものとなっている。
これらのことは先日のこのコーナーでもお伝えした通りだ。


■前回とは変わった印象のAT

さて、今回はATにポイントを絞ったレポートである。
早速、乗り込んでみよう。
眼前には見慣れたインパネ及び室内が広がっている。
ATを「D」に入れて発進。
すると、どうだろう!
前回のインプレとは大きく違った感じなのだ。
つまり、「なかなかイイ!」のである(笑)。

確かにSWのATはHBのものとは多少異なっている、とされているのは事実だ。
サスペンションの変更と同様に、ある程度の改良が施されている旨、聞いてはいた。

シフトアップ時のスムーズさは以前と同様で文句の付けようが無い。
しかし、今回特筆すべきはシフトダウン時のスムーズさが増したことだ。
特に3速→2速時のシフトショックが激減している。
これは以前の(HBの)3分の1程度ではなかろうか!
これは素晴らしい。



今度は「ティプトロ」モードに入れて発進してみる。
前に押せばシフトアップし、手前に引けばシフトダウンするものだ。
1速から2速、3速と本当に運転する喜びを伝えてくれる。
シフトアップ時のスムーズさは「D」の時と変わらない。
ただ、1速→2速の時は2,000回転は引っ張らないと時折、ガタンと言うショックが来るので要注意。
しかし、素晴らしかったのが減速時のマナーの良さだ。
やはり、マニュアルでシフトダウンさせていく訳だが、本当にスムーズであった。
勿論、3速→2速・・・と行う訳だが、シフトショックは本当に小さい。
う〜ん、これならば多くの人々にもおすすめ出来ると感じた。

■ATのセッティング
「D」に入れっ放しの場合、適度に引っ張られてシフトアップして行く。
シフトチェンジされる目安は2,500回転から3,000回転くらいの間だ。
運転している側として、これくらい引っ張ってくれれば結構加速もいいし、大変快適に感じる。
ただ、MTに乗り慣れている私としてはもう少し賢い運転をしたい所。
必然的に、私としては「ティプトロ」を操作することをおすすめしたい。
上記のように、このATで注意すべきなのは1速から2速への時なので、ここでは最低2,000回転は回すべきだ。
しかし、そこから上は1,500回転程度回せば十分OKだ。
307特有の静粛さもあいまって”シュルシュル”と滑るように加速して行く・・・・・。
まるでMTを運転しているような錯覚さえ覚えるほどだ。
このような運転は燃費の点でも必ず良い面が出るはず。
確かに低速では多少のトルク不足を感じるかも知れないが、大変奥深いポテンシャルを持ったエンジンだと改めて感じた。

思うに、この車両は3,000キロ強を走ったものだった。
当然、馴らし運転は終了している。
また、ある程度の学習機能も作動しているはずなのだ。
このような好条件もあって、最初の印象とは大きく異なる好印象を私に与えたのだと思う。

■結論

今回のSWの試乗によって、私のAT(AL4)に対するイメージは大きく変わった。
一言で言うならば「かなりおすすめ」である。
但し、本来のスムーズさを味わいたいのであれば「ティプトロ」モードの使用が望ましいと思う。
これまでネックとされていた減速時のショックがかなり改善されている。
それはもともとのシステムの改良とともに、AT自体の学習機能による所も大きいと予測される。
恐らく、ティプトロを多用した場合、燃費は10%程度改善される筈だ。
そうなると、私の住む地域であれば9.5km/L以上は行くと思う。
(ちなみにHBは10km/L程度。)

冒頭でも述べたが、メーカーは持てる技術を駆使して作り上げたニューモデルは単なる数十分間の試乗ではなかなかその本質を理解出来ないと思う。
その意味においては、今回、改めてじっくり乗る機会を持てて非常にラッキーだった。
同時にプジョー車(広い意味で欧州車全体)の年を経る度の改善の良い例を目の当たりにした気がした。
日本でもHBが先行発売され、SWは約1年遅れてようやく導入された訳だが、待たされた甲斐があろうと言うモノ。
非常にその完成度は高い。
このような観点での改良は、恐らくHBも2003年モデルあたりから施されると思われる。
或いは今回のSWよりもっともっと良くなるかも知れない。
今回試乗したSWは私にそのような期待を抱かせるに十分なモノだった。

まだ、「仏車はどうも・・・」「トラブルが心配」と思ってプジョー車購入に踏み切れない、そこの貴方!
2003年モデルあたりからは、これまで以上に”買い時”だと思うのだ。
是非、十二分に試乗され、プジョー乗りの仲間に加わられることを願って止まない。

(2002/12/16)

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