〜私と307〜
■ピニンファリーナの至宝(2) |
■来年で生産中止・・・ 先日、遂に406シリーズの生産中止がアナウンスされました。 デビューして8年くらいでしょうか・・・この美しいデザインのクルマが生産されなくなるのは本当に残念です。 現行プジョーではピニンファリーナの手による最後のモデルが406シリーズだった訳ですが、まさに「端正」と言う表現がピッタリ。 私も「405シリーズ」に遠く想いを馳せる一人として、「406シリーズ」の成功に拍手を送りたいと思います。 そう言う訳で、ちょっとブランクが開いてしまいましたが、406Coupeの試乗第2弾をお送り致します。 尚、このモデルは最近マイナーチェンジされ、顔つきがより精悍になりました。 その成果の是非は置いておきまして、早速本題に入ることに致しましょう。 ■まずは動力性能 406Coupeに搭載されているのは例の「V6」です。 そう、ルノーとの共同開発によるエンジンですね。 2,946ccの排気量で206馬力と29.0kg-mのトルクを生み出します。 このエンジンルームの眺めは結構見慣れた方も多いかと思います。 一昔前のフランス車とは大きく様変わりした、整然とした感じが大変印象的です。 エンジンルーム上方のストラットタワーバーが目をひきますね。 ATは4速のものです。 確か現在のモデルは「AL4」が搭載されていたと思います。 最近は5速ATが当たり前、なかには6速も・・・と言う状態ですが、プジョーも時間の問題で5速になることでしょう。 今回はこのクルマを40分ほど試乗させて頂きました。 この個体は7,000キロ程度走ったものだったのですが、動力的には本当に何も問題なし、と言う感じでした。 国産車では3リットルクラスは星の数ほどありますが、プジョーの、さらに406Coupeと言うクルマでは上品さと快適さ、敏捷さが 本当に良くバランスが取れているのが良く分かります。 私だったらこのようなクルマで3リットルもあれば、ATを使って余裕を持って走る・・・そんな自分を連想して一人悦に入っちゃうこと でしょう(笑)。 このクルマは”ゼロヨン”何秒とか、そう言う次元で論ずるべきものではありません。 いや、万が一でもそのような”邪念”が頭をかすめたら、そんな下世話な自分を恥じてしまう・・・そのようなパワーが溢れたクルマだと 言えましょう! ただし、押さえるべきポイントはしっかりと且つさりげなく全て押さえてあるのが凄い所だと思います。 ブレーキも大変良く効くのも言うまでもありません。 勿論、十分に速い! そしてジェントル(ATが普通の”AL4”とは似て非なるもの・さすがコストがかかっている・・・)! 完璧な走り! 唯一、燃費が不安(しかし、このようなクルマに乗る方は心配すべきでは無い・笑)。 ・・・以上のように申し上げればお分かり頂けると思います。 ■乗り心地 このクルマのもう一つの美点は乗り心地です。 タイヤは”215/55ZR16”を履きます。 今回はミシュラン・パイロットを装着していました。 この格好いいホイールも私の心を掴んで離しません! (最近の個体は残念ながら意匠が変更になっています。) ホイールのスポークの間から”ブレンボ”のブレーキが見えます・・・カッコイイ! このクルマの乗り心地は一般のスポーツカーのそれではありません。 あくまでもジェントルですが、しっかりと芯のある感じです。 一言で言い表すならば「あ〜、コストがかかっているなぁ」と思わせるに十分なものだと言えましょう。 とにかく、プジョー車で最高の乗り心地であるのは疑いが無い所です。 ”百聞は一見に如かず” この言葉をこのクルマに捧げましょう! ■室内の感じ この室内をご覧下さい。 ダークグレーとタンの皮革が素晴らしい雰囲気を醸しだしていますね。 う〜ん、”伊達”と言う言葉はこの為にあるように思えます(笑)。 ラグジェリーカーはこうあるべきだ、と言うプジョーの考えが具現化された素晴らしい空間だと思います。 造作の一つ一つは大変シンプルです。 しかし、それが逆にえも言われぬ重厚間を演出しているのです。 しかも、その重厚間が決して重たくなっていない、野暮ったくなっていない所がまさにこのクルマの真骨頂だと申せましょう! シンプルかつ識別し易い計器類。 多少、クラシックな感じもしますが、クルマはかくあるべきだと言う強い信念が伝わって来るようです。 センターコンソールもこのように非常にシンプルです。 リヤシートもこのようになかなかです。 今回は画像を見て頂くだけで、何もコメントする必要を感じませんね(笑)。 何回も何回も、この上質な室内をイメージするだけで、それだけで私たちクルマ好きは満足出来るのではないでしょうか。 ■上質なつくりと満足感 ボディサイドには例によって「ピニンファリーナ」の紋章があしらわれています。 デザインと品質に拘った証ですね! このクルマは随所に上質なつくりが為されているのを伺うことが出来ます。 グローブボックスも内部は上質なトリミングが為されており、流石!と思わず唸らされました。 トランクもダブルストラット式のコストのかかったもの。 トランクリッド裏もしっかり作業が行われています。 給油口もこんな感じ。 さりげなくスポーティさを主張するテール。 このクルマは少量生産のいわばスペシャリティ・カーなので”良いもの感”は非常に大切だと思います。 そこ辺りのことを作る側はちゃんと分かっているんですね。 本当に心憎いです! ■良き人生の伴侶 406Coupeはプジョーの現行ラインナップで最も感覚的なクルマだと思います。 そこにはスペックやデータを超えた、人間が追求して止まないもの・・・例えば”美”や”夢”が存在していると言えましょう。 選択するクルマの種類は枚挙に暇がないように見える現代、充実した人生の唯一無二のパートナーの如く、このクルマの存在自体、至高の極みの感があります。 一度、このクルマに乗ってみたい、いや、所有してみたい・・・しかし、その願望は単にクルマだけの問題ではとどまらないでしょう。 つまり、このクルマを所有すると言うことは、その背景に然るべきものが要求される気がするのです。 だからこそ、人々はプジョー車の中でもこのクルマには特別な想いを抱くのだと言えましょう。 「クルマは買う者の自由だ。何を買ってもいいじゃないか。」 それはもっともな意見です。 しかし、手が届くようで届かない、そんな夢に包まれたようなクルマも大切なのではないでしょうか。 406Coupeに乗ってステアリングを握る・・・。 その瞬間のドライバーの至福の喜び。 人生の充実した一瞬を体感する・・・。 私もいつの日か、このようなクルマが似合う男になりたいと思います。 ★上記のように406Coupeの生産は2004年には終了することになった。 ★そうなればもう、このクルマは新車では入手出来ないのだ。 ★経済的に余裕のある方も無い方も、是非欲しい方はお早目のご予約を最寄のブルーライオンへされることをおすすめする。 ★このクルマはそこまでする価値のあるものだ、と断言出来る程、素晴らしいものなのだ! 〜完〜 |
(2003/12/20) |