〜私と307〜
■307ccに乗った! | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
■日本全国307の日(2004年3月7日・日曜日) おお、今日は3月7日。 そう、日本全国「307の日」だ! そう言えば、今日は日本各地で307乗り諸氏によるオフ会が開催されると聞いている。 う〜む・・・私も負けてはいられまい。 そうだ! BL宮崎に307ccを試乗に行かなければいけないんだった。 同じ307系乗りのはしくれとして見逃すわけにはいかない307cc・・・。 宮崎にいざ、行かん! ■BL宮崎へ! と言う訳で、早速BL宮崎に到着。 このところ、季節柄なのか、なかなか天気に恵まれない日々が続いていた。 しかし、今日はそんな毎日が嘘のように見事に晴れ渡ってくれた! 店頭には307ccの姿が! う〜ん、やっぱり実車はいいねぇ。 ここで307ccのラインナップを整理しておこう。
この表をご覧頂ければお分かりの通り、一番安価な「cc」でも我がXSより100万円以上も高いのだ! う〜ん、この価格差はどこから来るものなのだろう・・・・? 今回の試乗の目的は、この価格差を究明することに尽きると言っても良い。 店頭にあったのは一番の売れ筋であろう「プレミアム」の色鮮やかな一台(アデンレッド)。 このクルマはBL宮崎さんで自社購入し、デモカーとして置いてあるもの。 売り手としてもこのクルマに関しての相当の意気込みを感じる。 ■例によってスペック等を・・・ 次に、具体的なイメージを高めて頂くべく、307XS(AT)と比較した次の表をじっくりとご覧頂きたい。
目に付く大きな違いは・・・・ (1)全長が170mm延長された。 (2)全高が115mm低められた。 (3)重量が190kg増加した。 (4)乗車定員が1名減った。 くらいかと思う。 これだけの情報であれば「なぁ〜んだ、屋根が変わっただけでこんなに値上がりしたんだ」と感じてもおかしくはない。 そこあたりの疑問をBL宮崎のN氏へぶつけてみる。 「いやぁ〜、まぁ、そんなことはないと思うんですけどねぇ。」とN氏。 「ま、とにかく乗って来て下さい!」 と、彼はccのキーを私に手渡してニコニコ顔で言った。 「でもね、その前に”儀式”をして欲しいんですよ。」と私。 「ああ、アレですね!」と彼。 ■ccの真髄! 早速、”儀式”が執り行われることに(笑)。 そう、ccと言うのは(ご存知の方が殆どだろうが)”クーペ”と”カブリオレ”の両方の”c”を連ねたものなのだ。 プジョーはこの形式を遥か昔のモデルで実用化していた経緯があり、その意味でも自信と誇りを持って206ccに続いて発売したと言う訳。 スイッチを押して・・・。 まずトランクが逆方向へ開き・・・。 メタルトップが折り畳まれて・・・。 トランクルームに格納され・・・。 再びトランクフードが閉まり完了! 尚、この開閉作業は約25秒かかるそうで、その途中で操作ボタンから手が離れると、その位置で止まってしまう。 つまり、安全に万全の対応を図っているのだ。 また、開閉ボタンのすぐ傍には全ウインドー一斉上下ボタンがあり、重宝させられる。 ちなみに、閉状態にするには全てのウインドーが下がっていなければならないそうだ。 (ではウインドーを上げたままで閉状態にしようとしたらどうなるか・・・までは実験していない・笑) とまぁ、儀式はご覧のように全く滞ることなく、非常にスムーズに終了! う〜ん、やっぱり最近のプジョーは良く出来ている、等と一人ブツブツ感心した私であった。 (そう言えば、その昔205や405のサンルーフの出来の悪さには閉口した・・・今となっては化石のようなお話・笑。) ルーフの格納システムはフランスのユーリエ社のものを搭載していると聞いた。 同社のシステムはMBをはじめVW、OPEL等殆どのメーカーに搭載されているそうだ。 従って、ルノーのメガーヌ2のシステムも恐らく同社のものがのるものと予想される。 いずれにしても、ルーフを格納状態にしたccの姿は文句無しにカッコイイと思われた。 ”伊達”と言う言葉はこのようなクルマの為にあるのだと痛感させられる。 306カブリオレにも負けず劣らずの流麗さは、本当に見る者を魅了せずにはおかない・・・。 ■その他の特徴 (↓)このクルマは単なる307系列ではないらしい。 その一つがコレ。 ご覧の通りワイパーである。 でも、良〜くご覧頂きたい。 そう! ふき取り部分が全てゴムなのだ! プジョー曰く、このような改良によりふき取り性能や耐久性等がアップしているとのこと。 ただ、雨天時に試乗した訳ではないので効果の程は不明。 (↓)上記の通り、このクルマは”プレミアム”と呼ばれるグレードであった。 革仕上げはシートは勿論、ダッシュボードやドア上部まで為されており、高級感が漂う。 そして、革の独特な匂いが車内には溢れ、まさにプレミアムと言う感じ! う〜ん・・・これはHBとは別世界だな。 ホワイトメーター化された各種メーター類も適度な高級感(さながら腕時計のフィニッシュを見るよう)を醸しだしていた。 (↓)ボディは勿論、cc専用。 この角度で見れば、サイド上部のシェイプ具合がお分かり頂けよう。 ちなみにリアシートには緊急用のロールバーが内蔵され、横転したとき等に瞬時に飛び出すようになっている。 まるで、MBみたいだね。 いやぁ、プジョーも進化したものだ! 尚、Aピラーの傾き具合と前後のウインドーの下がり具合に注目! (↓)リアシートは206ccよりは広い・・・と言ってもこの程度(笑)。 私のような大柄なヤツは大変きつい空間かも! それでもシートの傾きは206ccよりはあるので何とか過ごせるかも知れない・・・。 そうそう、このクルマは4名乗車なのでくれぐれもお忘れなきよう。 (↓)見慣れた印象のセンターパネル。 でも、良く見るとスイッチ類が微妙に違う。 左端は盗難防止センサースイッチ、三角形のハザードスイッチの右隣はESP解除スイッチ。 関係ないが、革仕上げを意識させるメーター付近のステッチが泣かせます・・・・。 (これがアルファみたいな赤色だったら尚好みなのだが・笑) (↓)ccのプミアム化が伺われるいくつかの点。 ペダル類のアルミ化である。 別に大きな差はないのだが、何もまして”その気”にさせる心憎い演出である! これなら、恐らくS16もアルミペダルなんだろうなぁ・・・ボソボソ(独り言)。 (↓)トランクルームの眺め。 基本的に206ccと同じような感じだと言える。 荷物がそんなに多くなければ(通常の日常使用の範囲内であれば)、全く不満は出ることはないだろう。 ただ、個人的にはメタルトップの存在が気になって仕方がないかも知れない(笑)。 それにしても、このトランクフードは前後どちらにも開く訳だが、このような便利なシステムを考案した方には本当に敬服する。 見た目には結構、複雑な仕組みに見えるが、意外にも故障は殆ど報告されていないらしい。 (↓)エンジンルームの眺め。 プレミアムは我が307と同一のエンジンが積まれているが、各種配線の取り回しが通常の307とは微妙に異なっているそうな。 万一、ccだけがボンネットの開閉がストラットにでもなったら凄いだろうなぁ・・・。 (↓)ボンネット裏の吸音材もしっかり付いていた。 2003年後半から通常の307系列には付かなくなったらしいが、ccは関係ないらしい。 しかも、”ベロ”がはみ出さないようにしっかり改良されたものが装着されていた。 これなら、たるんで落ちて来ることもないだろう・・・羨ましい。 (↓)見慣れたヘッドライト。 ここは通常の307と同じ。 (↓)リアの眺め。 テールランプにはLEDが装着されているとのこと(但し、全面積ではないらしい)。 その姿はさながら”仮面ライダー”のよう(笑)。 個人的には悪くない、と思うのだが皆さんは如何お考えだろうか? 申し忘れたが、サイドプロテクター類はボディ同色である。 ナンバープレート下の開口部はバックソナー取り付け部分(バックソナーS16のみ標準装備)。 ちなみに、トランクの開ボタンは607同様、「0」の部分を押す方式。 なかなかのセンスだと思う(笑)。 (↓)ホイールは307XSと同一。 この個体は「P7」を履いていた。 入荷時期や個体によって他のモデル同様、いろんなバリエーションがある模様。 ブレーキ等は特に変更は無いとのことだった。 (↓)ハンドブレーキ付近を見る。 赤い丸ボタンはHB同様、エアバッグ解除スイッチ。 手前左がウインドー一斉上下レバー。 右がルーフ開閉レバー。 尚、上記のようにルーフ開閉レバーは押し続けないと動作が止まってしまうのでご注意! ■走り出してみて・・・。 とまぁ、説明はこれくらいにして早速お借りして走り出してみよう。 乗り込んで最初に感じるのは、シートの低さである。 通常モデルで装着されていたシート下のポケッテリア(物置き)が廃止され、運転位置が40ミリ低められたと言う。 確かにその効果は大きく、ゆったりと座れる安心感がある。 それに伴い、ドア等の位置関係も変化し、まるでアウディ車のような”包まれ感”があるのだ。 この部分は人によって好き嫌いが分かれる点だろうが、307の着座位置が高いとお感じの方々は相当数おいでかと 思うので、歓迎されるべき改良点だろう。 スタートして感じるのは、ボディの重厚感である。 普通の307のような感じが無い! その感覚はあたかも607のようだ。 言葉で表現するのは難しいが、HBのような”軽い感じ”が皆無なのだ。 それはドイツ車的でもなく、国産車的でもない。 しかし、決して重苦しい感じではなく、重心がグッと下がった感覚・・・とでも言えばお分かり頂けるだろうか。 次に驚いたのは、後輪のしなやかさである。 何度も述べて来たが、307HBの大きな欠点は”後輪のバタバタ感”であると思う。 それが何と!綺麗に払拭されているのだ。 う〜ん、これは素晴らしい! やれば出来るじゃない(!)って感じ。 でもねぇ、それをやることにどれくらいコストがかかったんだろうか、って思わず自問自答した私であった(笑)。 それにしても、そのマナーの良さには愕然とした、と言っておこう。 更にATも大変スムーズだ。 「これが同じAL4か!?」と607や406クーペのときも感じたが、ccもまさにそれと全く同じ感覚なのだ。 「プジョーさん、やれば出来るじゃない!」とさっきと同じ言葉が出てきそうだが、やはりコストがかかっているのだろう。 307はあくまでも大量生産車種であり、ccはプレミアムカーなのだから。 とにかく、スムーズ。 そしてスルスル・・・と加速して行く。 減速時もス〜・・・とゆったりシフトダウンして行く。 確かにこの時代、4ATはやや時代遅れかも知れない。 けれども、良く出来たATはやはり心地よいものなのだ! クーペ時の機密性もまずまずだ。 外からのいろいろなノイズは確かに聞こえはする。 しかし、それは決して不愉快なレベルではない。 通常の307と同程度であると申し上げればお分かり頂けると思う。 いや、寧ろ、某国産車の如く”全くの無音”であればかえって気持ちが悪いだろうし、安全性にも悪影響を及ぼしかねないだろう。 406クーペと同様”ショートドロップ機能”が付いたサイドウインドーの効果もあって、なかなか快適な遮音性能なのだ。 ところで、やや重いボディにこのエンジンは確かにやや非力だ、と見る方もおいでかと思う。 けれども、406クーペや607もそうだが、「むやみに飛ばす」気持ちをこのクルマは見事に抑えこんでくれる。 いや、気持ちが浄化される、と換言してもいいだろう。 勿論、緊急回避時等に備えて、動力性能は高いに越したことはないかも知れない。 しかしながら、ゆったりした気分で毎日の生活から訣別出来る空間を手に入れる喜びは相当大きいと思わざるを得ないのだ。 乱暴な言い方をすれば「走り屋サンはS16を買って!」と言うことなのだろう。 それでも、RCとは性格付けがかなり異なるだろうから、ccはいわゆる”走り屋”向けのクルマではないのかも知れない。 それ程、このクルマの完成度とプレミアム性は高いと感じた私であった。 ■更に細部を検証。 (↓)ドア上部のトリムまで革が使われている。 我が307は頻繁に触るので、この部分は変色している(笑)が、ccはそのようなことはないだろう。 ドアミラーに写ったボディサイドのシェイプの具合に注目! (↓)窓を全部上げた状態。 ccではBMW同様、ルーフ閉状態にて(窓を閉めているときに)ドアを開閉すると、数ミリガラスが上下動する! これは”ショートドロップ機能”と言うそうだ。 おおお、プジョーもこれ程までに進化したのか! ちなみに同様のシステムは406クーペでも用いられている。 これは気密性に関してメーカーがかなり自信を持っている証左だと言えよう。 オープン時の快適性は今更申し上げるまでもないだろう。 確かにフロントスクリーンは通常モデルに比べてかなり傾斜している。 人によっては眼前に迫って(さながらMBのAクラスの如く)、かなりの圧迫感を感じる場合もあるだろう。 しかしながら、私はそのような感じは正直、受けなかった。 ココ辺は乗る人の見方によって大きく異なるのではないかと思う。 オープン時の風の巻き込みも良く考えられている。 40kmくらいまでは全ての窓を下げていても全く気にならない。 60kmくらいまでは何とか我慢出来るだろう。 それ以上は全ての窓を上げておけば殆ど風が浸入することは無い。 僅かながら頭上を柔らかい風は通過して行くのを感じるだけだと言って良い。 勿論、オプションでウインドデフレクター等が用意されているので、気になる方はそれを装着されれば満足されることだろう。 尚、ルームミラーは自動防眩式。 盗難防止センサーはフロントスクリーン右上に装備されている。 (↓)メーターまわりの眺め。 高級感が上手く演出されている。 タコメーター内には油温計とシフトインジケーターが埋めこまれている。 スピードメーターが240kmまでなのに注意。 ここ辺りも革によって覆われており、大変イイ感じである。 (↓)リアシートに乗り込む状態。 フロントシートのレバーを手前に引くとこのように倒れてくれる。 ただ、私のような大柄な人間は乗り込むのも一苦労か・・・(笑)。 尚、カッコイイ「PEUGEOT」ロゴ入りのサイドステッププレートは全グレード標準装備。 (↓)ダッシュボード上部のマルチファンクション・ディスプレイは通常のものと同一。 (↓)ステアリングはHBよりもやや太めで革質(表皮が粗め)が異なるものが巻いてあった。 勿論、コチラの方が握り易く感じられたのは言うまでもない。 また、ご覧のように3ヶ所、シルバーのアクセントが付けられている。 勿論、チルト&テレスコピック調整可能である。 レバー類は一本増えている。 (左下のものはクルーズコントロール用。) (↓)小さな改善点はあちらこちらに見られる。 ここも307の大きな欠点と思われていた部分・・・そうグローブボックス下の内張り。 皆さんの307はここが緩んで(あるいは外れて)ダラ〜ンとなっていないだろうか? この対応策を見よ! 流石、プレミアムカーである。 (↓)後輪の躾の良さの要因を探ろうとリヤ下部を覗きこんでみた。 ああ〜、なるほどね。 206RCではないが、専用の足回りパーツが追加されている。 恐らくダンパーの設定も変更されているんだろう・・・。 試しに皆さんの307を見て頂きたい・・・このように部品は付いてはいない筈だ! ■貴方ならどのグレードを選ぶ? 上記の表の如く、ccには4つのグレードが存在する。 まぁ、勝手なお話の上でと断った場合だが、貴方ならどれを選ぶだろうか? もし、私なら”cc”か”プレミアム”を選択するだろう。 答えは簡単、その2つが一番、性能的、価格的にバランスが取れていると思われるからだ。 個人的には137psで十分な動力性能だと思うし、何よりこのクルマは振り回すタイプでもないだろう。 出来るなら、おしゃれしてゆったりATで流したい、そう言うクルマだと思う。 更に”cc”と”プレミアム”の差が22万円・・・。 違いは微々たるもの(?)かも知れない(盗難センサーの有無と革仕上げの部分の差)。 う〜ん、これは難しい。 まぁ、金銭的に余裕があるのであれば”プレミアム”を買って一人悦に入るのもアリかなぁ、と思うのだが(笑)。 ■総括 ご覧のように大変天気の良い日にccを試乗出来て本当に良かったと思う。 普通の307との価格差の理由もハッキリ体感出来た。 それは大変有意義なことだったと言える。 そして、このようなクルマを作り出せるプジョー社に畏敬の念さえ抱いたのも事実。 例えば我がXSは253万円。 対するccプレミアムは382万円。 その差は実に129万円に達する。 約1,5倍のプライスだ! そんなクルマを私なら買うか否か? 答えは明快である。 406クーペ(新車)や607が手に入らないのであれば、個人的には即「買い」である! そして、セカンドカーに206RCを。 これがプジョー乗りとして一つの夢だと思う。 貴方はクルマにどのような要素を求めるだろうか? 粋な感じと生活の潤いを求めるのであれば、このクルマはイチオシである。 ただ、貴方の生活はあくまでもccのみで終わってはならないのではないか。 つまり、406クーペと同じく、貴方の背景にあるものが大切になって来ると思われるのだ。 それは確かに普通のクルマの選択としては考え過ぎなのかも知れない。 けれども、少しでもそのような意識を持ちつつccのステアリングを握る貴方は最高に素敵な人間に思われるに違いない。 ■307ccの存在意義 307ccは一言で言えば「お金がかかったクルマ」だ。 それは通常の307とは別次元の存在だと思われる。 私はこのような素晴らしいクルマを作り続けるプジョーに敬意を表したい。 私は自信を持って言おう。 「307ccはそれだけ価値のあるクルマだ」と。 そしてこう付け加えよう。 「プジョーは406クーペの生産を中止したら、そのポジションを307ccに委譲しようとしているのではないか」と。 最後にこう締めくくろう。 「307ccは俗物的な物差しで測れる存在ではない。その良さは人生の奥深さを知ろうと努める人々のみに理解されるべきもの なのだ!」と。 それでは皆さん、素晴らしいプジョーライフを! |
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(2004/03/16画像掲載)(2004/03/23文追加) |