■音楽とオーディオのコーナー■

■チェック用CDのご紹介■

■序
皆さんは車内で少しでもイイ音を聴きたいとお思いのことでしょう。
勿論、私もそう。
しかしながら、「イイ音」とは一体何なのでしょうか?
それはあたかもラーメンの味に対する好みの如く、各人によって千差万別かも知れません。

けれども、絶対的な尺度と言うものが必ずあるはずなのです。
その尺度を探す為の一つの判断材料になるものが良質な音楽ソフトだと思います。
これは単に録音が良いだけではなく、演奏も素晴らしいものでなければなりません。
今回は私の数あるコレクションの中から、常日頃チェックに使用しているCDを何枚かご紹介致しましょう。

■DAYDREAM/MARIAH CAREY



ご存知、マライアの傑作アルバム。
セールスもこれが確か一番だったと思います。
私自身、「Music Box」とどちらにしようかと大変迷ってしまいます。

彼女のアルバム(特にCBS時代)は録音・演奏ともに大変優秀ですが、やはりコレが止めをさすと思います。
スッキリ伸びたFレンジと程よいDレンジが聴いている者をいつの間にか甘美な世界へ誘います。

聴き所は2曲目「Underneath The Stars」で、広い空間で歌うマライアの声が芯を持って柔らかく、かつ実在感を持って浮かび上がって来るかどうかでしょう。
程よく弾力的な低域もシステムにとっては厳しいソースだと思われます。

■Distance/宇多田ヒカル



私自身、彼女のアルバムで一番好きなCDです。
曲はいずれも良く練られており、申し分ありません。
音の傾向としては少しFレンジが狭い感じですし、高域にややスパイシーな装飾があります。
しかし、その生々しいボーカルはなかなか刺激的です(笑)。

聴き所は7曲目の「Addicted To You」。
デジタル化されたスクラッチノイズの向こうに彼女のハスキーな声がリアルに再生出来ればもう・・・。
また、3曲目のタイトルチューンも好んで聴いています。

■Between The Sheets/Fourplay



フュージョン分野での優秀録音はまずこのCDでしょう。
リーリトナー(g)、ボブ・ジェームス(key)、ネーザン・イースト(b)、ハーヴィ・メイソン(ds)と言うパーソネルもスゴイですが、録音も超優秀!
はっきり言って、全曲聴き応え十分です。
強いて挙げれば1曲目「Chant」や8曲目「Amoroso」がいいのではないでしょうか。
いずれにしても再生する音楽としてはかなり難しい部類に入るでしょう。
やや膨らんだどっしりした低域に鮮明な中域、すっきりとしたリアルな高域・・・最高です。

演奏している各人の様子がイメージ出来るか、複雑に重なる音の粒子が綺麗に分離しているか、低域の音程がしっかり識別可能か・・・等、チェックポイントを挙げたらきりがありません。
また、楽器の音色に耳を傾けてみるのも良いと思います。
澄んでいるけれども転がるように響くピアノの音、甘美かつ弾けるようなギターの響き、うねるようなベースライン、嘘っぽくないドラムのスネアの音・・・。

オーディオのチェック用として是非、皆さんにお勧めしたい1枚です。

■マーラー交響曲第6番「悲劇的」/ブーレーズ&ウィーン・フィル



才人ブーレーズによるマーラーチクルスの1枚。
94年の録音、オケはVOP、場所は勿論フェラインザール。
とにかく、DGGの録音としては最高の部類に入ると思います。
演奏も折り紙つきで最高です。
クラシック音楽のCDはとにかく種類が多すぎて、どれを選べば良いのか途方に暮れてしまいがちですが、このCDは絶対おすすめ!

私はVPOの演奏でここまで明晰な録音を今まで聴いたことがありません。
繊細に重なる弦の響きと空間に溶け込む管楽器、実在感あふれる打楽器、そしてそれらが渾然一体となってホールいっぱいに拡散するその様子はとにかく絶品!
CD1枚で約80分の演奏ですから、もう満腹です。

聴き所は、やっぱり第1楽章でしょう。
不安気な出だしとほとばしるような弦楽器たちが聴く者をぐいぐいと引き込んで行きます。
このCDをしっかり再生出来るシステムはそうあるものではありません。
もし、そのようなシステムが存在するのであれば、是非、聴いてみたいものです(笑)。
低域のパンチ力と繊細な弦楽器の再生能力と言う、極限の相反する能力が求められる大変厳しいCDだと申せましょう。

■あとがき
オーディオシステムは車のエンジンのようなものだと思います。
それは、意図する方向に変化するからです。
つまり、エンジンの場合、乗り手の「癖」がエンジンにも多大な影響を及ぼしますよね。
同様のことがオーディオにもあてはまると思うのです。
また、これも全くエンジンと同様にある程度の負荷をかけなければかえって良くないと思われます。
つまり、ガンガン回しているエンジンが調子が良いように、システムもある程度、シビアなソースをかけていなければ意図する音は実現出来ないでしょう。

私のシステムも導入してもうすぐ1年が経とうとしています。
これまで結構な負荷をかけて来たと思います。
そのお蔭で(スピ−カーは純正ですが・笑)、まずまず意図した音を再生してくれます。
けれども、悲しい哉、この世界はゴールが無いのです。
まだまだ改善していきたい点は沢山あります。

いずれにしても、良い音と言うのは一朝一夕で得られるものではありません。
自分の意図する音を出来る限りイメージし、時間をかけながら少しずつ追い込んで行く・・・それがこの世界の王道であり、醍醐味でもあると言えましょう。
現在、全国で沢山のオフ会が開催されておりますが、いつの日かオーディオをメインとしたオフ会を開いてみたい・・・そのようなことを考えている私です(笑)。

それでは、皆さん頑張りましょう!

(2002/06/02)

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