■音楽とオーディオのコーナー■

■パワーアンプ追加(2)

ナカミチのパワーアンプを追加したことは前回お話しした通り。
では肝心の音はどうなったのか?

その前に、私が考える理想的な音についてもう一度考えてみたい。

■音に陰影があること。
私はクルマの中ではジャズやクラシックを中心にフュージョンやポピュラー、さらにはJポップまで幅広く聴く。
つまり、音楽と名が付けば、自分なりに良質と判断すればジャンルにとらわれない訳。
しかし、音には適度なツヤと湿り気が必要だろうと思う。
どのソースをかけても適切な雰囲気を引き出してくれる能力が絶対的に欠かせないと考えるのだ。
例えば、ジャズであれば”オン”な感じでプレーヤーの熱気や情熱をこちらに感じさせてくれるもの。
ボーカルものであれば、歌い手の口元が浮かび上がるような感じ。
オーケストラであれば各パートの重なりをそれなりに表現し、その芳醇な響きがゆったりと拡散して行く・・・・。
とまぁ、こんな感じだろうか。

■適度なDレンジ、Fレンジがあること。
ダイナミックレンジ(Dレンジ)や周波数特性(Fレンジ)も大切な要素だろう。
しかし、これはあくまでも物理的なモノであることを忘れてはならない。
人間の聴覚はあるときは物理的スペックをも超える場合があるようだ。
したがって、とにかくヒアリング重視で作られた製品が望ましいと考える。
まぁ、根本的に音がいい製品と言うのはこのようなポイントをクリヤーしているのは当たり前だろうし、あまり気にすることはない。
ただし、自分が買いたい製品がある場合は、必ず、お店で試聴されることをおすすめする。
それもご自分の聴き慣れたCDを持参されることを。
クルマの試乗も自分の生活範囲で行うのがベストであるように、オーディオでもご自分の生活の中でイメージしてみることが肝要なのだ。

■適度な音のバランスがあること。
音のバランスは大切だ。
よく言う”ドンジャリ”もアンバランスな音の一つの典型だと言えよう。
適度に厚い低域、分解能に優れツヤの乗った中域、そして決してキツくならずかつ潤いのある高域・・・・。
音の帯域に関してはまだまだ細かな分解が可能だし、人それぞれの好みも存在することと思う。
私はかつてのホームオーディオで鍛えられた自分なりの感性でチューニングを行っている。
私の好きな音を一言で表すならば「潤いのある音」とでも言えるだろうか(笑)。



そう言う訳で、今回の307のシステムのグレードアップとして次のような目標を立てた。

(1)純正のスピーカーの能力を最大限引き出すこと。
(2)瑞々しい音にすること。
(3)力感よりも質感重視の音に調整すること。

思うに、以前のヘッドユニットのみでもかなり満足出来る音ではあったが、もう少し力感が欲しい部分があったのだ。
また、純正のスピーカーも以前のVITAの時の経験から、ぼろい割りに良く鳴る、と予想していたことと、デッドニングはなるべく控えて
水漏れ等のトラブルは防ぎたかったと言うこともあった。
勿論、機会があれば本格的な制震工事もしてみたい気持ちもある。
まぁ、今はその時期では無いと判断しただけの話。

■そして、その効果は・・・・!

(1)音の質感がかなり向上した。

パワーアンプを追加する前より、実在感が大幅にアップした。
人の声、楽器の質感、ベースの弾力感・・・・やはり電源の強化はオーディオには大きな効果をもたらすのだ!
純正のスピーカーでここまで表現出来ればかなり満足だと言えると思う。
確かに音量を上げていくと、悲しいかな、音がビビってしまう。
これは純正スピーカーの取り付け構造上、仕方がないこと。
しかし、ある程度までは本当にイイ感じで音楽を奏でてくれる。
私が求めているモノ・・・つまり、いろいろな音楽をそれなりの質感で表現してくれること、それをこのシステムは何とか可能にしているのだ。
このようなナカミチの組み合わせは、言ってみれば「黄金の組み合わせ」と言えよう。
その音を簡単に言えば、上品な破綻の無い音である。
しかし、少々ウェットな感じの再生音はオーディオ好きの私にピッタリである。
特にボーカルものが特にイイ感じなように思われる。
上記で述べたような、歌い手の口元の動きや発声までも手に取るように分かるようだ・・・・。
私は運転しながらも思わず聞きほれてしまう(笑)。
また、弦楽器のヤニっぽい所や、ピアノのアタック音、電子楽器の重なりもまずまず的確に表現される。
オーケストラの音が広いホールに徐々に拡散していく感じもなかなかのものだ。
ここまでグレードアップされたのであれば、まずは良しとするべきだと思う。

(2)力感が大幅に増した。

パワーアンプを別に奢ることはホームオーディオの世界でも避けては通れない道である。
カーオーディオでもまさにその通りだと改めて感じた次第。
以前の音はいい感じではあるのだが、どちらかと言えば雰囲気で聴かせるものだったように感じられる。
確かに一音一音のエネルギーや輪郭がはっきりして来た。
あえて言えば、聞き手に真剣さを要求する音と定義出来るかも知れない(笑)。
けれども、それによって場合によっては音を決め付けるような印象も与えるのも事実だ。
そうは言っても、この音と生の音と比較したとき、よりリアルさが増しているのは間違いないと思う。
現在、私は「BASS」を+2、「TREBLE」は±0で聴いている。
又、このパワーアンプには明確なアッティネーター調整ボリュームが無い(ツマミがあるだけ)為、聴感上で
「バランス」をLEFTに+1、「フェーダー」をFRONTに+1と調整して聴いている。
いずれにしても、今の音はこれまでの私のカーオーディオ遍歴において文句無くナンバーワンであることは断言出来ると思うのだ!

(3)トランジェント特性が上がった。

純正のスピーカーの最もいけない点、それはトランジェント特性(過渡特性)の悪さだと思う。
「過渡特性」と聞かれて???とお思いの方もおありだろう。
簡単に言えば「音離れの良し悪し」なのだ。
そう、今も307に乗る度に愚痴る方もおいでかと思う。
307の純正スピーカーは音離れが悪いのだ。
もっと言えば、音がスピーカーにへばりついている感じなのだ。
しかし、しっかりした製品をあてがってあげれば、そのスピーカーも嘘のようにキラキラと歌い出す!
純正スピーカーの音の悪さに辟易している皆さん、もう一度考えて頂きたい。
強力な電源を搭載した定評ある製品を購入されることを。
勿論、お金はかかる。
しかし、それを中古で買っても決して音質は下がるものではない。
出来るものなら、ちょっと値が張るパワーアンプを購入されては如何だろうか?
某オークションでは格安で購入出来る。
話がそれてしまった(笑)。
とにかく、信じられないくらい音離れが良くなったのだ。
それは純正のスピーカーがしっかりドライブされている、とでも表現したらいいだろうか。
純正独特のヒステリックな高音もスカスカな中音もダブついた低音も綺麗に制御されている!
これは本当に強化された電源の御蔭に相違ない。
かくして無数の音たちはスピーカーの呪縛から解放され、キャビンに潤いを届けてくれるようになったのである。

(4)自己満足度が上がった(笑)。

オーディオの世界は本当に相対的な世界だと思う。
したがって、これまで書いて来たことも別な人にとっては必ずしも受け取り方が同じだとは限らないだろう。
しかし、最後は本人の納得の度合いだと思うのである。
やはり、プリアンプ+パワーアンプと言う金科玉条的な組み合わせがもたらす絶対的な満足度はかなり大きい。
はたして、音に関してもそれなりに改善された。
オーディオの世界はある意味、投資した金額によるのかも知れない、いや、そうであろう。
今回のグレードアップはそのような意味でまずまずの成功を収めたと言えよう。
まぁ、スピーカーは相変わらず手付かずなので、この状態でいつまで我慢出来るかが今後の一つの焦点だろう。
しかし、たとえスピーカーのデッドニングをしたとしても、結局、その音は今回の音の延長上にしか過ぎないと思うのだ。
つまり、そこまで言えるくらい今回の音の完成度は「それなりに」高いと考えている。
自分でもこの成果にかなり満足しており、ほっと一安心したのも事実だ。

■最後に・・・
カーオーディオに適正な投資金額と言うべきものが存在するのであれば、貴方はいくらくらいだと思うだろうか?
私は大体次のようになると考える。
ヘッドユニット:7万〜10万
パワーアンプ:5万〜8万(4チャンネルアンプの場合)
スピーカー:全部で6万〜12万(4チャンネルの場合)
工賃及びパーツ:全部で10万
合計で28万〜40万。
これは「AUTOSOUND」等で取り上げられるモノたちと比較すればやや安い方だろう。
しかし、私自身、カーオーディオはホームオーディオと比較して限界があると思うのだ。
つまり、そこまで投資しなくても、もっと他の用途・・・例えば美味しいものを食べたり、彼女とデートしたり、百歩譲って、ホーム
オーディオにお金を注ぎ込んだ方が良いのではないかと。

あとは皆さんの判断次第である。

毎日乗る大好きなクルマの中で、好きな音楽をイイ音で聴きたい、と言うのはもっともな欲求である。

皆さんもこれからも各自大いに頑張って頂きたいと思う。

(2003/03/01)

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