残雪の伊吹山 


プロローグ
先月の雲取山トレッキングから早くも1ヶ月が経ちました。
さあ、今度はどこを登ろうか?
また雪を見たい。それに、春の訪れも感じたい。
そんな要求を満たす山として、頭に浮かんだのが伊吹山。
まだ残雪も豊富だろうし、麓には梅畑があったっけ...
かくして、3月の気まぐれ山行は滋賀県の伊吹山と決定したのです。

自宅−登山口 近江長岡駅
前の晩に目覚ましをセットし、4時半に起きる。
5時過ぎの一番電車に乗り、三宮でJRに乗り換える。
実はこの時点では、武奈ヶ岳西南稜にも惹かれていた。
車窓から見る沿線は梅の花が見頃。
梅と残雪の伊吹山の構図が目に浮かぶ。
比良の場合、バスに間に合うかどうかの賭をしなくてはならない。
やがて電車は京都駅に着いた・・・降りる客を見送る。
米原で乗り換え、近江長岡駅に8時半過ぎに到着。
頭の白い伊吹山が大きな顔をして迎えてくれる。
駅前から登山口行きのバスに乗る。乗客は5人の登山客のみ。
あれ・・・ちと寂しいね。

三合目にて 登山口−山頂
終点のバス停から、迷わずゴンドラリフト乗り場に行く。
片道切符を買う。昔の私だったら、下から歩いただろうに。
今は山男リハビリ中(?)の身。勘弁してもらおう。
下りは歩くからさ・・・と心に誓う
スキー客に混じって、三合目に到着。
天気はvery good、白銀の世界が眩しい。
スキーヤー・ボーダーを横目にゲレンデを歩き、
4合目から登山道に入る。
五合目にて
朝の冷え込みで表面が凍っている。アイゼンを付けよう。
あれ?、どうやって付けるんだっけ???
・・・何とか思い出し、無事取付完了。
適度に締まった雪にアイゼンの爪が心地良く決まる。
広い雪原、どこだって歩ける。
目標はあのコル(鞍部)へ一直線。もち、直登だ。
蒼い空は抜けるように澄みわたり、
飛行機が雲一つないキャンバスに白いシュプールを描く。
九合目
8合目を越えた辺りからは傾斜もきつくなり、
雪の状態も悪くなってきた。
うっかり踏み抜くと、膝まで潜る。
やむを得ず先行者の踏み跡を忠実にたどる。
スキーを担いだグループが先を登っている。
“いつか、山頂からスキーで一気に滑り降りたい”
すっかり忘れていた熱い思いが、突如甦る。
最後の急坂に喘ぎながら、稜線(九合目)に出た。
ここからは、平坦な道が山頂へと延びる。

山頂 山頂
程なく、ヤマトタケル?の像が建つ山頂へたどり着いた。
まだ冬姿の奥美濃の峰々が目に入る。
その奥に、ひときわ高く白い衣をまとった貴公子・・・
“白山”が目に入る。久しぶりの対面・・・来て良かった。
平坦な山頂は文字通り360度のパノラマが楽しめる。
東の彼方に御岳から乗鞍、穂高、槍の雄姿が望める。
御岳の右に見えるのは、きっと中央アルプスだろう。
ここからの眺望は関西一と言っても過言ではないと思う。
雪に埋もれた山小屋を風よけに、昼食(即席豚汁)を摂る。

山頂−近江長岡駅 白山
去りがたい気持ちを抑え、下山を開始する。
登りに2時間近く要したのに、40分で三合目にたどり着いた。
ここで、また思案する。
歩いて降りようか・・・それともゴンドラ・・・
でも、どう見ても歩いて降りている人はいない。
それに、夜に天文同好会の集まりがあったんだ。
・・・また片道切符を買う。(なら往復切符買っときゃあ良かった)
登山口に降りると、いいタイミングでバスに出会う。
バスの中から眺める梅の蕾は残念ながらまだ堅い。
近江長岡駅着、2時10分。うん? こりゃ早すぎたかな?

三島池 おまけ・・・
先ほど見つけておいた「三島池」の看板。
ある本で見た、池よりの伊吹山の写真が思い出された。
ちょっと、寄り道してみよう。
駅から歩いて30分。
予想に違わず、伊吹山が勇壮に見える。
鴨が泳ぎ、静かである。水彩画を描いている夫婦がいた。
いつか僕も描いてみたいなあ。
そんな思いを胸に残し、駅に戻る。
今日もいい日・・・だった。

コースタイム (山行日:1999年3月7日)
近江長岡駅 (8:33)
伊吹登山口 (8:55)
三合目 (9:10−9:30) 
伊吹山山頂(昼食) (11:15−12:30)
三合目 (13:10-13:40)
近江長岡駅 (14:15-14:20)
三島池 (14:50-15:10)
近江長岡駅 (15:30)

撮影データ カメラ:OLYMPUSμII zoom(38-80mm)  フィルム:フジカラーG400

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