京都北山 「雲取山」トレッキング レポート 


プロローグ
山の部屋を作って半年・・・古い写真ばかりを載せてたら、口の悪い山の友人から冷やかされてしまった。
そこで、今夏は新しい写真も載せるぞ!と一発奮起。
しかし悲しいかな、長年の不摂生がたたり、体力に全く自信がなくなってしまった。
まずは足慣らしにと、六甲山・愛宕山を何とかこなし、少しだけど自信も回復したみたい。
折しも寒波の到来、当地でも2日連続で積雪を見た翌日、雪を求めていざ京都北山!
雪の北山杉を見に行くぞ!って張り切って挑んだ訳なのですが...
以下、雪の雲取山行の顛末です。

撮影データ カメラ:OLYMPUSμII zoom(38-80mm)  フィルム:フジカラーG400

出町柳−花背高原花背高原
出町柳発、午前10時のバスを待つ。
ホントは一番バス(7:50)に乗りたいのだけど、朝が起きられない。
早く着きすぎたので、ファーストフード店でコーヒーを飲みながら、本日の作戦を立てる。
今回は気楽な山行き、先行者の踏み跡をたどればいい...
ガイドブックは6時間のコースだ。あまり、時間がないな・・・等々。
10時定刻、屋根に一杯の雪を乗せたバスが来る。
いやが応うにも、期待は高まる...
鞍馬を越えたところで、チェーンを装着したため、予定時刻を30分オーバーして、
雪のちらつく停車場に一人降り立つ。
おや、今日は妙に少ないね...

寺山峠への道花背高原−寺山峠
歩き始めたのは何と12時。これでは・・・山ヤの風上にも置けないね。
急がなっくっちゃ・・・さて、道はどこかな?
ガ〜ン !!・・・踏み後が・・・全くない。
お気軽雪見登山のつもりだったので、ワカンもオーバーミトンも持って来なかった。
それに何よりも体力が・・・ない。(^^;

まあとりあえず、寺山峠を目指して歩いてみようということで山に入る。
が、すぐさま膝までもぐる雪に不安がよぎる。
うーん。この先いったいどうなるのだろう...?

それでも峠を目指し、谷を詰めて行くと急な登りになる。
雪が深く、腰までもぐり、とても登れない。
こんな筈はないと思い、もしやと思い少し引き返す。
右に巻く道を見つけた。ホッとする。

寺山峠
そこからは腰まで潜ることは少なくなったが、相変わらず膝までのラッセルが続く。
何歩か歩いては、息を整える。
でも、清純そのものの雪は羽毛のように軽く、私に優しい。
それに、このまま引き返しては「山の部屋」の更新が出来ない。
せめて、寺山峠までは行かなくては...頑張るぞ!

高度計が800mを越え、抜けるような青空が広がってきた。峠は近い!
やがて、雪に埋もれた道標がぽつんと立つ小さな広場に出た。
峠に到着だ。
ガイドブックのコースタイム40分の所に、1時間かかってしまった。
しかし、この雪の中だ。
私の体力も捨てたものではない・・・と自分で満足する。
と同時に、少し欲が出てきた。

道なき道雲取山へは時間的に無理だが、一ノ谷出合まで行ってみよう。
ダメならばラッセルしたこの道を引き返せばいい。
コースタイムなら、10分だ。
下りなので、ラッセルも苦痛にならない。
雪を押しのけ、気持ち良く下る。快適そのものだ。
しかし、小川に行き当たったところで、道が判らなくなる。
一ノ谷出合と思われるが、道標も目印のテープもない。
何度か、行ったり来たりして捜すがやはり判らない。
結局、勘を頼りに少し雪原を突っ切るとテープが見つかった。
その後は、小川を右に左に徒渉しながら、時々ある目印のテープと動物的な勘だけで道をたどる。
僕の前に道はない。僕の後ろに道は出来る。
若い頃好きだった詩を思い出しながら進む。
この純白の世界、私一人だけに与えられた贅沢だ!
トレイル途中の小川で、せせらぎの写真を撮る。
が、その時アクシデントが・・・。
雪に隠れていた岩で滑り、流れの中に手を着いてしまう。
毛糸の手袋がしっかり水に浸かってしまった。
思わず、自分の馬鹿さ加減を後悔する。
手袋を濡らすなんて最低。
でも、脱脂してないその手袋は濡れてもあったかい。
それに、予備のミトン(実は毛糸の靴下)もある。
備えあれば憂いなしだね。

杉林の下は、雪も少なく歩きよい。
しかし、木の少ないところでは、やはり腰まで潜るところがある。
足が上がらないので、体ごと雪を押しのける。まるでラッセル車だ。
途中、二の谷出合いを過ぎ、谷も明るく広くなってくる。
やがて、山に入ってから初めて人の声を聞く。
三ノ谷出合に到着だ。

北山杉
三ノ谷出合−芹生の里

ここで遅い昼食をとり、帰途に入る。山頂には行けなかったが未練はない。
ここから道は林道。
登山者の踏み後もあり、先ほどと一変して気楽な山行となる。

振り返ると、雪の北山杉がとってもきれい。三ノ谷出合
そう、これを見に来たんだった。
やっと、心に余裕が戻る。
途中で、さらに二人の登山者に出会う。

2月6日土曜日
雲取山の訪問者、計5名。登頂者0。

芹生−貴船口
芹生の里を過ぎ、芹生峠に向かう車道を歩く。
ラッセルで力を使い果たしたため、車道であるが結構きつい。
SLのように白い息を大きく吐きながら登る。
なんだ坂、こんな坂...

芹生峠・・・空に向かってすくっと延びる杉林が、白と黒のモノトーンの世界を作り、とてもきれいである。
峠を越え、貴船神社に立ち寄る。
素晴らしい一日をプレゼントしてくれたお礼を言って、叡山鉄道貴船口に到着。
パノラマカーの大きな窓から、西山に沈む真っ赤な夕陽を眺めながら、快いけだるさを感じた。
来て良かった。雪と戯れたすてきな山行きでした。
また、いつの日か...

芹生の里
芹生の里
貴船寺
貴船神社

コースタイム (1999年2月6日)
出町柳 (10:00)
花背高原 (11:50−12:00)           
寺山峠 (12:55−13:00)
一ノ谷出合 (13:10)
二ノ谷出合 (13:38)
三ノ谷出合 ・・・昼食 (13:55−14:25)
芹生(灰屋方面に道を間違う) (14:50−15:15)
奥貴船橋 (15:50)
貴船神社 (16:05−16:10)
叡山鉄道 貴船口駅 (16:30)