2007年02月12日(月)
  「キリングフィールドからの生還」

映画「キリングフィールド」の通訳の役をした
ハイン・ニョルの「キリングフィールドからの
生還」という本を読んだ。

実際に、ポルポトの大虐殺を通った「生き証人」
だ。フィクションでなく、事実であるだけに強烈
だ。
映画に出演したのも、カンボジアで実際にあった
事を、その真実を少しでも、人々に知って欲しか
ったからだと。

映画では、主人公を助ける通訳の役だったが、
実際の本人は医師で、医師はポルポト政権下では、
皆殺しにされるが、彼はひた隠しに、隠して、難
を逃れた。

首都プノンペン陥落した日に、全員首都から農村
移動を命じられる。同時に虐殺が行われた。

情報は完全に遮断され、何が起きているのかが、
一体何がどうなっているのかが、民衆には全くわか
らなかったと。
クメールルージュが住民を虐殺しているという噂を
風の便りに聞くが、全く信じなかったと。そんな事
あり得ないと。

ポルポト政権崩壊までの4年間、200万とも300
万とも言われる自国民を虐殺した。
知識層皆殺し、メガネをかけているだけで、手がきれ
いなだけで、知識層だと殺された。
国土は破壊され、産業も破壊し、カンボジアを崩壊
させた。人々の心も深い傷を受けた。

人が理由もなく殺されて行くのを、見ているしか無か
った。止めに入れば、何か言えば、自分も殺される。
確実に殺される。
何も出来ない、どうにも出来ない。いやそうなのか。
そうではない。それは言い訳であり、弁解にすぎない。
自分はエゴイストであり、自分さえ助かればよいのだ。
何という人間だ。気がおかしくなりそうだ。生き残っ
ている人々は、皆、深い心の傷を負っているはずだ。

著者も数回の言語に絶する拷問を受け、妻は栄養失調
での出産で死亡、妻の母親は自殺、父親は傲慢で殺さ
れ、母親も死んだ。

持ち物没収され、農村で強制労働させられ、食物は底
に米が数粒の水のような粥。蛇、トカゲ、カエル、蟻
ネズミ、何でも捜しては食べた。

1975年に首都が制圧された時点から、一般の人々
は何もわからないまま、何が起きているのかもわから
ないまま、巨大な渦に巻き込まれ、ほんろうされて
行ったのがわかる。

悲惨な歴史だ。人々は家族を失い、愛する人々を失
った。本を読んでいても、余りの衝撃に言葉も無い。
思わず、カンボジアの地の魂の救いのために祈った
ほどだ。

このカンボジアに、私たちの教会から神の愛と救い
を伝える宣教師が送られようとしている。
この働きにあずかれる、神様からの大きな恵みと
特権を覚えて、心から感謝した。