2006年09月07日(木)
  「神の愛が届くように」

この間、映画「キリングフィールド」を再度見る機会が
あった。
ベトナム戦争に巻き込まれて、カンボジアの悲劇が始ま
った。シアヌークが外遊中に、クーデターが起こり、
親米ロン・ノル政権が始まった。
ベトナム戦争が泥沼化し、サイゴン陥落して、ベトナム
戦争が終結。アメリカ軍がベトナムから撤退。

アメリカ軍のカンボジアでの誤爆から映画は始まり、
カンボジアのアメリカ軍も、大使館も全員速やかに
撤退する。瞬く間にもぬけの殻となる。
緊迫感溢れる。やがて「ここは血の海になる」と、
これから起こる事を知っていて、見捨てて、さっさと
引き揚げて行く。

やがて、政府軍を倒したポルポト率いるクメールルージュ
が実権を掌握。人々はこれで内戦が終わり、平和が来ると
思った。ところがこれが狂気の沙汰で、人々を無差別に
どんどん殺害して行く。無差別殺人だ。
報道のために残った新聞記者達も、殺されそうになる。
カンボジア人通訳の機転で、命を救われ、フランス大使
館に逃げ込む。
クメールルージュの恐怖政治は始まり、全員都市から
農村へ移動。知識層の殺害。追っ手の手がどんどんのび
て、外国人記者達はタイへ国外退去。カンボジア人通訳
も何とか偽造パスポートで救おうとするが、見つかり、
彼一人、虐殺地獄に残る事になる。

意味なく理由なく殺害、殺害、殺し過ぎて人数すらわか
らないと。その数300万とも。拷問に虐殺。
本当にその虐待地獄を通った本人が、カンボジア人通訳
の役で出演。真に迫る演技で、アカデミー助演男優賞を
取った。こんな映画どころではないと。ほんの数割しか
表されていないと。

家族をバラバラに解体し、互いに密告させ、不満を言った
だけで殺され、濡れ衣でも殺され、もう誰も信じる事が
できず、言葉も出せず、食べ物も僅かで、皆が黙ったまま
死人のようにただ働いた。それしか出来なかった。

愛すること、信頼することを奪われたカンボジアの悲惨な
歴史。宣教師が自由に入れるようになり、何とか神の愛が
届くように。深い傷を負った人々が救われ、永遠のいのち
を受けることができるように。