第7章 年金改革と年金税制

第1節 厚生省の5つの選択肢

 
1997年(平成9年)12月5日「21世紀の年金を選択する―年金改革・5つの選択肢― 」
A案:現行制度の給付設計を維持する案
B案:厚生年金保険料率を月収の30%以内にとどめる案
C案:厚生年金保険料率を年収(ボーナスを含む)の20%程度にとどめる案
D案:厚生年金保険料率を現状程度に維持する案
E案:厚生年金の廃止(民営化)案

切替時の「2重負担」
厚生年金(2階部分)の過去期間の債務(後代負担)の現在価値総額 350兆円(1999年度末)
 

第2節 世代別公的負担のシミュレーション

第3節 年金改革と年金税制の連動

(1) 税方式と保険料方式

 税方式 
   資源配分    民間部門から資金を調達して、公共財を供給
   所得再分配  「事前的」な競争社会のもとで生じた所得の不平等をある程度是正
   経済安定    不況期における減税政策

 保険料方式 リスクの分散
         
 社会保険方式のメリット
    強制加入により加入者増加により保険料率が低下:大数の法則
    逆選択の防止:民間の保険だとリスクの高い人ほど保険に加入する傾向が生じる

 老齢はリスク?

 基礎年金部分:老後における最低生活を保障
 平成9年6月3日の閣議決定
  「基礎年金国庫負担率の引き上げについては、6年改正の附帯決議等において所要財源を確保しつつ検討することとされているが、現下の厳しい財政状況に鑑み、財政再建目標達成後、改めて検討を行うこととする。」

2階建て部分としての厚生年金
 民営化し、完全積み立て方式へ移行すべきでは。
 アメリカの401(k):確定拠出型年金
 

(2) 年金税制の見直し

 
表7-5 年金の課税方式の比較
  拠出時 運用時 給付時
包括的所得税
 
控除せず
 
運用収益に課税
 
非課税(貯蓄の取り崩し)
支出税
 
貯蓄として課税ベースから控除 非課税
 
課税
 











 
公的年金


 
拠出額全額を社会保険料控除

 
非課税


 
原則課税
公的年金控除適用

 
企業年金
(厚生年金基
金)

 
拠出額全額を社会保険料控除
(事業主負担は損金算入)
 
厚生年金基金の支給する年金の努力目標となる水準を超える部分の積立金に
法人税1%
住民税0.173%
原則課税
公的年金控除適用


 
個人年金
 
生命保険料控除
(上限5万円) 
個人年金提供法人の所得に含めて法人税課税  原則課税
 
日本版401K
(確定拠出型年金制度)
 
拠出額全額を所得控除


事業主掛金及びその運用益を対象として特別法人税を課税。
個人型加入者掛金及びその運用益を対象として特別法人税を課税。  
原則課税
公的年金控除適用

 
備考)平成11年4月1日から平成13年3月31日までの間に開始する事業年度の退職年金等積立金については、特別法人税を課さないこととされている。
  
[Reading List]
麻生良文(1995)「公的年金課税と課税ベースの漏れ」『経済研究』46巻 4号.
跡田直澄・大竹文雄(1989)「税制改革と公的年金制度」『季刊社会保障研究』Vol.25,No.1.
小塩隆士(1998)『年金民営化への構想』日本経済新聞社
橋本恭之(1998)『税制改革の応用一般均衡分析』関西大学出版部
橋本恭之(2000)「年金改革のシミュレーション分析」『国際税制研究』No.4.
橋本恭之(2000)「年金改革と年金税制」『租税研究』607号.
八田達夫・小口登良(1999)『年金改革論-積立方式へ移行せよ』日本経済新聞社.

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