秋田弁の散歩道 8

  

 


もちょけ (くすぐったい)

「何だ 背中もちょけ」   
何だろう 背中がくすぐったい、の意。こちょこちょと擽られてくすぐったいのは「こちょけ」と言った。この「もちょけ」の方は虫か何かが這い回るような「もそもそ・むずむず」する感覚で、「もそけ」とも言う。そうそう「もちょぐって」とも言ってましたな。また、痒いのも「もちょけ」と言うそうな。「痒い」は「け」と言いますからね、それは「むず痒い」とでも言ったところですか。(H20.12.9)

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もぐ (川藻の一種)

「もぐどご はえどご ほさねば」   
もぐを早いとこ乾かさないと、の意。この「もぐ」、小川や堰に生えている藻の一種で何と言う名なのかは知らない。乾かして「えずめ」の中に敷き、おしめ代わりに用いたものである。洗って何度か使えるから今で言うエコの走りではあるが、詰る所 当時の農村は貧しかったと言う事ですかねえ?。
「えずめ」は下に丸い棒を置いて揺り籠のように動かしたりもして、赤ん坊を育てる必需品であったように思う。(H20.11.6)


めねぐす (なくす・紛失する)

「おやー、自転車の鍵っこ めねぐした」   
自転車の鍵をなくした、の意。ここでふと「めねぐす」と「ねぐす」共に無くすの意だが、どう違うのだろうかと思った。実際「自転車の鍵っこ ねぐした」とも極普通に言うのである。「め」は見えることを「める」と言い、見えないことを「めね」と言うが、「めねぐす」は「見えなくする・見当たらない」とでも言ったところかなぁ。尚、「めなぐす」と言う所もある。(H20.10.29)

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めたっと (ぐったりと)

「はだげの物 めたっと なってだな」   
畑の作物がぐったりとなってたな、の意。畑のことはあまり知らないが、わが家の鉢植の花などは炎天下の午後になると萎れて鉢の縁にへなへなと腰砕けに倒れこんでしまいます。そんな様子を「めたっと」と言い、目に見えるような面白い表現だと思う。しかし炎天下では、花ばりで オラもめたっとなってしゃうな。(H20.9.11)


むったり (一生懸命に)

「むったりかがれば ばんげまで でぎるべ」   
一生懸命にやれば夕方までに出来るだろう、の意。ところでこの「むったり」、随分聞いたような気もするが記憶に乏しい。「むたっと」と言うことの方が多かったような気もするが定かではない。まあ、一生懸命と一所懸命みたいなものか?。(H20.8.31)

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むぐす (漏らす)

「しょんべ むぐすどごだ」   
小便を漏らしそうだ、の意。うっかり「潜らす」の意味にしてしまうところでした。いや、元々は「もぐらす」なんですよ。それが何時の間にか、チョロッと漏れ出してしまう意味になったんですね。それで「むぐす」は寝小便なんか、専ら子供の用便で言われます。ときに おねしょをする子って、女の子より男の子の方が多いのかね?。(H20.8.22)


まじぺ (眩しい)

「夕日はって まじぺな」   
夕日が入って眩しいな、の意。盆の頃の夕方、夕日が真横から射してくるんですね。これがまた異様にギラギラして眩しいもんです。子供の頃は「まちょぺ」と言ってたような、「まちぺ」もあったかな? 若しかしたら「まちょぺ」は幼児言葉だったんですかね。今となってはもう分かりません。(H20.8.7)

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まるくた (ろくな)

「あんたやず まるくたもん でね」   
あんな奴はろくな者じゃない、の意。その反対は「たいもん」、「あいだば たいもんだ」と言った具合だ。よく女の子の事をそう言っていた。が、どんな意味で言っていたのかよく分からない。何れにしろ「たいもん」と言うより「まるくたもん」と言う機会の方が断然多かった。万事褒めるよりも貶す方が簡単なんだね。(H20.7.16)


まげる (ひっくり返す・排泄する)

「バゲツ まげだみでな 雨降った」   
バケツをひっくり返したような雨が降った、の意。「まげる」の同義語に「まかす」がある。排泄なども「まげる」で「しょんべ まげる」(小便をする)と言うが、その場合は「まかす」とは言わない。「しょんべ まかした」と言ったら畑でこえたご(肥桶)を天秤棒でタポタポと担いでてこぼした場合だろう。そんな事を言っても、もう分かんねえだろうな〜。(H20.7.4)

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まかまか (もたもた)

「なに まかまかってる なや」   
何をもたもたしてるのよ、の意。何時の時代でも要領が悪いというか、不器用というか、事毎に小言を言われる人っているものです。これが学校でなら、今なら差詰「いじめ」って言うとこなんでしょうね。言う方にそんな意識は微塵もなかったと思うけど、言われてる方は何時も決って無言だったが、悔しい思いをしてたんだろうなァ。(H20.6.22)


ほんとこ (本当の事)

「ほんとこ だがらな」   
真剣勝負だぞ、の意。「ほんとこ」は「本当っこ」で本当の事または本当の勝負と言ったところか。「パッチ」や「ラムネ」の遊びでよく言ったものだ。ほんとこでは負けるとそのパッチやラムネを取上げられてしまう、賭け勝負ですな。餓鬼の頃から博打事ですよ。このほんとこに対し、嘘っこは「やぐど」と言った。(H20.6.14)

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ほっけす (掘り返す)

おが ほっけすな」   
あまり掘り返すな、の意。納戸か箪笥の中でも掻きまわしているんですかね。そう、そんな引っ掻き回すことも「ほっけす」と言いました。しかし一般的には当然地面を掘り返すことですよ。そこで田畑を耕すことも「ほっけす」と言いましたが、こちらは「おごす」(起す)と言うのが普通。馬を使うのを「馬耕」と言ってましたね。(H20.6.3)


ぼっかげる (追いかける)

「いんま 行ったばしだ ぼっかげれ」   
今行ったばかりだ 追いかけろ、の意。時の流れがゆったりとしてたんですね。後から追いかければ間に合う良き時代でした。きゃんどは細くて曲りくねってて、あの道をバスが交差してたんです。よくそんな芸当が出来たもんです。そうそう、春になると土埃と共に藁屑のようになった馬糞が一陣の風に乗ってぼっかげて来たものでした。(H20.5.25)

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ぼっこ (幼児・子供)

「ぼっこ なんぼなった?」   
坊や幾つ?、の意。幼子は可愛いくってつい声をかけたくなります。それで何本か小さな指を立てて見せる仕草がこれまた可愛い。可愛い子と言う場合には「めんこ」或いは「めんちょこ」がある。最近はテレビなどで二十歳前後のタレントが母親程の年齢の人をつかまえて可愛いなんて言ってるが、あれはどうもねぇ・・・。そう言うお前はめんけな。(H20.5.18)


ほでね (分からない・はっきりしない)

「齢とったっけ ほでねぐなったな」   
齢をとったら分からなくなったな、の意。物忘れをしたり、知ってるはずの名前が出てこなかったり。そんな事が私も多くなりました。どうも頭の中がはっきりとしないんですね。似たような言葉に「ほじね」がありますが、親戚筋ですかね。「ほじね」には相手に対して非難めいた気持があり、「ほでね」は自分が「やざね」なといった気分かな? これは確かじゃないけど。(H20.5.7)

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へば (しては・すれば)

「そんたごと へば 駄目だ」   
そんな事をしてはいけないよ、の意。「」は「為せ」と言う命令語。よく「勉強へ、勉強へ」と言われたものです。行動を起こす事は「」、例えば「勉強す」。いや、いくら例えでも自分からそんな事を言出すなんて無い無い。とにかくこの一文字の言葉って、探せば案外あるように思いますナ。(H20.4.6)


へば (それじゃ)

「へば 何とす」   
それじゃどうする、の意。何だか知らないがこの「へば へば」は良く連発した。言い方も「へば」だったり「せば」だったり、どうも曖昧だった。又、別れ際の挨拶「グッパイ」も「へば」或いは「へばな」で、お互いに片手を挙げ「へば」「へばな」と左右に別れるのである。(H20.4.2)

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ふっぽがす (放り出す)

「あやー おらの物 ふっぽがしてった」   
あらー 私の物を放り出して行った、の意。この裏には「まんず だんじゃぐだごと」との思いが潜む。「ふっぽがす」は「ほっぽり出す」「ほっぽらかす」「蹴っ飛ばす」等と同様、案外全国共通でニュアンスは分かるのじゃないだろうか。今回の毒入り餃子についての中国側の調査結果の発表も正にそんな感じでしたな。(H20.3.1)


ぶっちゃぐ (破る)

腹わりして ぶっちゃいだ」   
腹が立って引き裂いた、の意。「ぶっちゃく」はこの引き裂いたり、破ったりすること。これを「殴る」の意味で用いる所もあるそうだが、おらほでは「殴る」なら「ぶったらぐ」と言う。それはそうと 障子を張替する時、天下晴れてベリベリーッと「ぶっちゃぐ」 あれは快感でした、ほんとベリベリーだったなァ。(H20.2.12)

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ぶりっこ (鰰の卵)

「ぶりっこ へったな が」   
腹に卵の入ってる鰰(はたはた)はないか、の意。この「ぶりっこ」は「ぶりこ」とも言い、一頃流行ったあの八重歯のアイドルのことではない。
鰰は焼いてよし、鍋でよし、飯寿司でよし、それに塩魚汁(しょっつる)という調味料にもなる。魚肉は淡白で腹の足しにこそならないが郷土の味で、地元民は殊の外この「ぶりっこ」を好む。ただ、産卵のため沿岸に鰰の群が押寄せるのは11月の末から12月初めにかけての極短い期間であり、保護のため数年間禁漁にしたものの昔のような大漁はすでに望めなくなっている。(H20.1.20)