講師は、「濤」編集同人 村山 白朗 氏
| 第1回 | 俳句の生い立ち、俳句の約束ごと | 2月 7日 |
| 第2回 | 定型(十七音)について | 2月14日 |
| 第3回 | 季語(季題)について | 2月21日 |
| 第4回 | 切れ字について | 2月28日 |
| 第5回 | 俳句の作り方について | 3月 7日 |
| 第6回 | 俳句会について | 3月14日 |
| 第7回 | 受講者の作品発表、講師講評 | 3月21日 |
第1回・資料俳句の生い立ち 俳句の源流をたどれば、和歌からでています。和歌は三十一文字、上の句が五、七、五の十七文字、下の句が七、七の十四文字です。 連歌は南北朝から室町時代にかけて非常に発達して心敬(しんけい)とか宗祇(そうぎ)という有名な連歌師がでてきました。和歌と同じような、みやびやかさ、格調の高さ、幽玄の境地などを理想として、教養ある武士や僧侶などの間にも流行しました。やがて一般庶民にも行き渡りましたが、この連歌の形式を受け継ぎ、その内容に俗語などを取り入れた、くだけた俳諧連歌というものが、松尾芭蕉の生まれるほぼ二百年前から始まったのです。 芭蕉の頃には、この俳諧(連句)といわれるものが、一世を風靡していましたが、その傾向はますます卑俗となり、ただの語呂合わせや、ことばの掛け合い的なものが多かったわけです。その頃の俳諧師として鳴らした山崎宗鑑の句をあげてみましょう。 俳句の三つの約束ごと 古池や 蛙とびこむ 水の音 (松尾芭蕉) これらの俳句には俳句を作る上の約束ごとが、組みこまれています。 質疑応答のメモ★美しい心、感動する心、楽しむ心 を持ち続けるように心掛けたい。 |
定型(十七音・十七文字)について 俳句は私たちが見たもの、感じたことを十七文字の短い韻律(しらべ)にまとめることです。十七文字という短いことばにまとめるところに、俳句のやさしさ、また、難しさがあるといえます。 いくたびも 雪の深さを 尋ねけり 芭蕉はまた、「俳句はこがねを打ちのべたように作るのだ。」とも言っています。 新傾向俳句 明治41年大須賀乙字が「俳句界の新傾向」という論文を発表したことに始まる。 質疑応答のメモ★俳句は、悲しいとか嬉しいとかの直接的な言葉を使わずに、その思いを表現する。 |
第3回・資料季語(季題)について俳句には季語(季題)があります。季語とは四季の自然、生活、行事など、自然・人間・文化のあらゆる事物から、日本人の美意識によって選ばれた、すぐれた言葉であり、詩語です。 季語の発生は古く千年以上も前から花・月・雪・ほととぎす・紅葉など和歌の題が作られ、連歌の季題から俳諧の季題へと受け継がれ、長い歴史の中で、庶民の生活から詩趣のあるものが選ばれ、積み重なって、俳句の季語となったのです。俳句には、一句の中に季語を一つ入れる約束があります。 日本は四季が規則正しく移行して、気象の変化に伴い自然現象が極めて美しく変ります。又日本人は自然の美しさ、季節の美しさに感動する性質を持ち、季節に敏感な性情を有するから、一つの季語から、自然現象はもとより、人事、行事にいたるまで、さまざまの事物を想い浮かべることができます。 一句の中に、季語を二つ以上入れることを「季重なり」と言います。中心となる季語が二つあると焦点がぼやけてしまいます。また、一句の中に春の季語と夏の季語というように、季節の違う季語を入れることを「季違い」と言って、異なる季節が詠まれているために、春の句か、夏の句か混乱を起します。 歳時記 俳句を作るには手帳と鉛筆があればよいが、もう一つ必要なものは歳時記である。歳時記は、季節感を表す言葉を集め、解説し、例句をあげた季語の辞典です。春・夏・秋・冬・新年に分けられ、さらに時候・天文・地理・生活・行事・動物・植物に分類され、自然と文化の百科事典とも言えるものです。 歳時記の古いものは、和歌の題から俳諧の季題へと発展した十七世紀に、季題を整理集成した季寄せ風の「花大草」「山の井」などが作られました。松尾芭蕉は、北村季吟の「増山の井」を使用していたと言っている。「増山の井」は寛文三年(1663年)の初めての季寄せ(歳時記)です。 俳諧が連句から発句中心に移り、季題も増えてきた十九世紀初めに滝沢馬琴は「俳諧歳時記」で季題を、四季別、月順に収録・解説しました。これを増補した藍亭青藍の「俳諧歳時記栞草」は季題を3420余。例句も増訂して、現在の歳時記とほぼ同様のものになりました。 他に、携帯に便利な「季寄せ」があります。昔は歳時記を季寄せと言いました。現在の歳時記と同じように季語が分類されておりますが例句がないか、あっても少なく、おおむね小型本でポケットに入ります。 歳時記には、実際の季節と季感に違いのある季語があります。太陽暦と太陰暦によるずれですが、俳句を作るときは歳時記に従います。歳時記には、さまざまな言葉が載っており、読むのが大変楽しみです。 季語の一例として、春の季語に「山笑ふ」があります。春になると山が薄緑に明るくなることを言い、「春山淡冶にして笑ふが如く、夏山蒼翠にして滴るが如く、秋山明浄にして粧ふが如く、冬山惨淡として眠るが如く」の臥遊録、その他、中国からとったものです。春に対し冬の季語に「山眠る」があり、夏の季語に「山滴る」秋の季語に「山粧ふ」があります。 質疑応答のメモ★歳時記は常に机上におく。(歳時記の季節は第一回の質疑応答を参照) |
第4回・資料切れ字について(切れ字は俳句を強くする) 俳句は、十七文字、有季(季語を入れること)という性格の上に作られますが、その外に「切れ字を入れる」あるいは「切れる」ということがあります。 前記の波郷の俳句では、上五「花散るや」でことばが切れて、中七、下五の句につづく訳です。 「切れる」という性格も、俳句の特徴です。 イ、切れ字の性格 「切れ字」は作者が「いい切る」ことです。 菊の香や 奈良には古き 仏たち (松尾芭蕉) ロ、二つの切れ字は殺し合う 「や」「かな」「けり」などというあからさまな切れ字は、その切れ字が受けたことばを強く見る人に訴えます。それだけに、十七文字の中に、同じように強い切れ字が二つもまざっていることは、一句の中のことばの勢いを分散させ、強いことば同士で殺し合う結果になりかねません。 ハ、かくれた「切れ字」 俳句には十七文字の中に、切れる要素があるといいましたが、たしかに、「や」「かな」「けり」のところで切れていることは、はっきりわかります。しかし、「や」「かな」「けり」が使われていなくても、切れている個所がたくさんあるのです。 補足説明 俳句には「切れ字」と言う固有の方法があります。五音、七音、五音の三分節のいずれかの終りに、「や」「かな」「けり」などの助詞、助動詞及び体言(名詞)、活用語の終止形などが付いて、意味が断切している語を「切れ字」と言います。 質疑応答のメモ★切らないと散文になってしまって、俳句にならない。 受講者の初めての俳句☆ 今回は受講者の互選、講師の添削は次回に行います ☆ 五点 露天風呂灯に映える春の雪 |
俳句の作り方について一つの例 秋も深まった一日、俳句を始めたばかりの主婦達が四、五人、俳句を作りに近くの山に行きました。雑木林が紅葉して、遠くの山の尾根もすっかり秋の気配に満ちています。おしゃべりをしたり、お菓子を食べたり、子供心にかえって歩きながら、俳句を作ろうというわけです。 イ、表現の検討 雑木林に入ると、秋の気配がただよっています。人気もなく、あたりは静まりかえっています。Aさんは、手帳を開くと次のような句を作りました。 歳時記の中に「秋の声」という季語があります。秋になって、ものさびしく聞こえるひびき、風の音、そこはかと木の葉の落ちる音、そのほか総ての秋の気配を言う季語です。つまり「音なく秋の漂えり」という中七、下五の叙述は「秋の声」という季語に十分ふくまれているわけです。 ロ、俳句上達の手引き 俳句を作りはじめるきっかけは、「人にさそわれて俳句会に出席してみた」、「病気で寝ているつれづれに新聞や雑誌の俳句欄を見て、自分も作ってみた」といった例が多いものです。 ハ、推敲 推敲というのは、自分の俳句に手を入れることです。いろいろの角度から検討して手を入れ、ことばを改めたり、吟味するということです。芭蕉から現代の秀れた俳句作者にいたるまで、誰もが必ず行っている事です。 ニ、文字合せ遊び 俳句を作る前の練習というか、ことば合せ遊びというか、次の方法でやってみたい。 その結果、俳句でもない、川柳でもない面白い句ができあがる。 受講者の作品添削(原句)露天風呂灯に映える春の雪 |
第6回・資料俳句会について 俳人は、定期的に(月一回位)に仲間同士で集まって互いの作品を無記名で回覧し、どの句がよいか選び合い(「選句」という)、批評し合います。句会には、第一に場所、第二に人、第三に句会進行のリーダー、この三つが必要です。 イ、集 合 所定の会場に定められた時刻に集まります。会員が向い合うように会議スタイルで着席し、リーダーは上座に座ります。 ロ、用紙の配布 幹事は会員に短冊(紙片で作ったもの)、選句用紙(普通の白い紙)を配布します。 ハ、出 句 各人は自作の俳句を無記名で短冊に書き、提出します。人数と時間により三句から十句程度を目安に決めます。原則としてその季節(当季雑詠)に相応しい句を出します。 ニ、清 記 幹事(書き手)は提出された短冊を掻き混ぜ、同じ人の俳句を分散させます。十人十句を出句すると計百句ですから、それを十句ずつ十人に配布します。すると各自の手元に他の人が書いた短冊(自分のも入っているかもしれません)が十枚あります。 ホ、清記用紙の回覧及び選句 書き終えた清記用紙は、それを見ても作者がわからないようになっており、それを全員で回覧します。予め選句の数を決めておきます。 ヘ、披 講 予め披講する人を決めておきます。披講する人は毎回交代するのも勉強の一つです。披講者は最初に自分の選句から順次読み上げ、最後にリーダーの選句を読み上げます。読み上げられた句の作者は、同じ句が何回選句されても名乗りを上げます。 ト、句 評 選句の結果を踏まえ、作品を振り返ります。初心者が多い場合は、リーダーが一方的に講評しますが、ある程度作句するようになれば、各自一人ずつ自分の選した句や選しない句の簡単な批評をやるようにします。この場合、他人の句を傷つけるような批評や感情に走らないごく普通な心情で、あっさり触れる事が望ましいのです。この場合と雖もやはり美しい心が必要です。よく他の人の句を傷つけて、人同士が感情に走り喧嘩となる事もありえるので充分気をつけた方がよいと思います。 受講者の今日の作品☆ 今日の作品を読み自分なら、どこをどのようにするかを考えてみます ☆ 早春の鉢に咲く花瑞(みずみず)し |
第7回受講者の作品発表、講師講評 今回は、春季雑詠で各自1句を投句し 2句を選句しました。 講師講評全般的に初心者の作としては中々のものです。 講座を終えて 今回で初心者俳句講座を終了しました。 その後、の新しいコーナー[DIY俳句考]
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