月々














回文

最終更新日 H 19.10.3


新年の俳句



時 候
天 文
地 理

  【時候】

 「元日や去年のめしくふ猫の顔」一友
 「元日は大晦日(おおつごもり)のはじめ哉」吟笑
 「大三十日(おおみそか)愚なり元日猶(なお)愚なり」正岡子規
 「元旦や枯死淡淡の茄子三つ」永田耕衣

 「年々の手を抜くばかりお元日」中山純子
 「吾妹子の入歯洗ひてお元日」沢木欣一
 「決意とは繰返すもの大旦」尾熊靖子

 「正月へ向けひた走り帰郷バス」松崎鉄之介
 「女正月なり悪妻を愉しめり」渡辺恭子
 「待ちに待ちすぐに過ぎたるお正月」浅利恵子
 「人に五欲わけて食欲女正月」服部一放

 「三ケ日過ぎたる鯖の味搦マかな」草間時彦
 「はや不和の三日の土を耕せる」鈴木六林男
 「ヘルメットが床の間にある三ケ日」山尾玉藻

 「松の内こゝろおきなき朝寝かな」高橋淡路女

 「去年今年一と擦りに噴くマッチの火」成田千空
 「去年今年貧こそよけれ無事息災」岡本文弥
 「閑居して去年今年ともなかりけり」高橋淡路女
 「若やぐといふことしのうそはじめ」喜楽


  【天文】

 「おつとせい淑気に混じる鬱の声」中村和弘
 「峡の村日の丸一本の淑気かな」圓山ふさ子


  【地理】

 「初凪の岩より舟に乗れと云ふ」川端茅舎
 「股のぞきしてたしかむる初景色」松尾隆信



生 活
行 事

  【生活】

 「年頭の挨拶もなく手術する」能見矢重子
 「靴大き若き賀客の来て居たり」能村登四郎
 「長松が親の名で来る御慶かな」野坡
 「子供まづ走り込み来て年賀客」深見けん二

 「賀状うづたかしかのひとよりは来ず」桂 信子
 「連名の賀状はたのし子沢山」小崎弥生
 「誰彼を忘れし母に賀状くる」坂本美知子
 「目で読んで分厚き賀状仕分けたり」三井斗潮

 「三椀の雑煮かゆるや長者ぶり」蕪村
 「母の乳房吸つては戻る雑煮膳」林 昌華
 「重箱を占むる輸入の飾海老」埴渕栄美子
 「餅重ね家運ほとほと疲れたり」楠本義雄
 「年酒して負けトランプの父や佳し」小山田抒雨
 「お年酒や一日だけの大家族」本田攝子
 「今も師に遠く坐すなり新年会」風間ゆき

 「年玉を孫に貰ひて驚けリ」相生垣瓜人
 「一重瞼二重瞼へお年玉」大澤ひろし
 「預けには来ぬ子となりぬお年玉」鷹羽狩行
 「七人は重たからずや宝船」鷹羽狩行

 「虚子庵に不参申して寝正月」松本たかし
 「寝正月定(き)めこんで妻はや五十」清水基吉

 「初夢の人は人には言へぬ人」吉川美恵子
 「初夢の五分の真を信じたき」坂田茂子
 「初夢や有名税を五億ほど」鷹羽狩行
 「初夢や金も拾はず死にもせず」夏目漱石
 「胸にたたみおくゆゆしき夢始」吉木フミエ

 「春著着し母の外出に目ざとき子」稲畑汀子
 「春着の子黒瞳いきいき畦を跳ぶ」津田清子

 「初暦めくれば月日流れそむ」五十嵐播水
 「初暦去年と同じ釘に吊る」森下流子
 「手つかずのままの未来や初暦」藤田美和子

 「初化粧片眉引いて電話口」北村幸子
 「今更の男ぶりかよ初鏡」牛山一庭人
 「口紅をもつて点睛初鏡」下村静子

 「しまひ湯を初湯と思ひつつひとり」斎藤典子
 「わらんべの溺るるばかり初湯かな」飯田蛇笏
 「黒髪のわつと広がる初湯かな」ますぶち椿子

 「賣初の早起をしてねぼけ堂」廣瀬ひろし
 「初泣は箱根駅伝権太坂」木田千女
 「初マラソン息子に抜かれ娘に抜かれ」岡本多可志
 「初電話猫がだんだん重くなる」隈本拓夫
 「初場所や行司にもある初土俵」鈴木榮子

 「初刷の誤植とわかる誤植かな」轡田 進
 「読初や無の字の多き般若経」清川恵子
 「旧師には旧姓名乗り初電話」津幡龍峰

 「夫婦して書初の掌を汚しけり」小川原嘘師
 「春芝居芙美子でんぐり返りけり」上田好子
 「俎始フランスパンを筒切りに」三宅文子

 「ペン先で人めった切りペン始」木田千女
 「ブレーカーまづ落ちにけり事務始」伊藤ゆみこ
 「立ちざまに面とられたり初稽古」村山初桜子
 「見落しの句が高点に初句会」鷹羽狩行
 「写し手の飛び込んで来る初写真」田中佐和子
 「ためらひつ我が物ばかり買初に」沢田しげ子
 「痩馬を飾りて軽き初荷かな」永田青嵐

 「独楽にまでうつる右利き左利き」竹中碧水史
 「独楽の紐長くて童ひき切れず」山口波津女
 「独楽打ちの生き残りみな老いにけり」山上和一
 「負独楽の子が背を向けて石を蹴る」原田走日朗
 「あばれ独楽ぬかるみにはね子等の春」星野立子
 「喧嘩独楽弟といへど容赦せず」大隅三虎
 「女舞まふ手で打てり喧嘩独楽」岩下たけじ

 「追羽根を欲しくて犬の目が追へり」市村芳子
 「羽子板の重きが嬉し突かで立つ」長谷川かな女

 「凧揚げのいつか本気になつてをり」石黒泊舟
 「凧揚げに巫女も加わる緋の袴」中久保白露
 「切凧の敵地へ落ちて鳴りやまず」長谷川かな女
 「親二人に不機嫌の児や凧提げて」河野静雲

 「まり唄や二百を越せば男めき」前田普羅
 「手毬唄赤子の泣いて終りけり」関戸靖子
 「子の手毬それてもつづく祖母の唄」市村芳子
 「秘すことのはじめ手毬を背に廻し」柴田佐知子
 「うろ覚えの皆恋の唄手毬つく」長谷川かな女

 「歌留多札の意味も知らずに子の巧し」中田多喜子
 「歌かるた打たれどほしの畳かな」苅谷裕里子
 「かるた札うつくしからぬ小町なり」下村梅子
 「こぼれたるかるたの歌の見えしかな」後藤夜半
 「小倉百人かたまつてゆく寒さ哉」高山れおな
 「撥ね飛ばす一枚恋の歌かるた」加古宗也

 「双六に負けし子膝にもどりけり」後藤美智子
 「ひと振りの賽に破産や絵双六」久保田育代
 「福笑上手に出来てつまらなく」小西ふじ穂

 「門松の笹の葉喰めり初荷馬」高橋淡路女
 「つんとしてかざりもせぬやでかい家」一茶
 「雪掻くや正月髷もがく/\と」皆吉爽雨

 「老猿をかざりたてたり猿廻し」村上鬼城
 「獅子舞のうしろの脚に疲れ見ゆ」井上美代子
 「くたくたと獅子がへたばる獅子の宿」前田普羅
 「懸想文買うてすぐ窓しめし女」高橋淡路女
 「薄墨のたよりなき色や懸想文」村上鬼城


  【行事】

 「賽銭を手裏剣投げに初詣」木田千女
 「抱きし子に持たせて長き破魔矢かな」松本たかし
 「子に破魔矢持たせて抱きあげにけり」星野立子

 「七種やとんともいはぬ藪の家」一茶
 「七草や五つは庭にありわせ」砂遊
 「せりなずなごぎょうはこべら母縮む」坪内稔典
 「ほとけのざすずなすずしろ父ちびる」坪内稔典
 「七日粥笑いぐすりを少しまぜ」岸本マチ子
 「一族は三角の顎七日粥」連 宏子

 「なまはげの思はぬきやしやな手足かな」猪瀬 幸
 「なまはげのトイレを貸してくれと言ふ」上條亜紀子
 「達磨市香具師もどこか国訛り」瀧 春一
 「福逃がすごとく転びて達磨市」五所平之助
 「タクシーを待たせて拝む初地蔵」草間時彦
 「藪入のただ寝るだけでありし姉」松崎鉄之介
 「田遊びの口上長き佐渡訛」山崎羅春



動 物
植 物


  【動物】

 「まだ甘し初鶯の舌のネジ」沢木欣一


  【植物】

 「はづかしき朝寝の薺はやしけり」高橋淡路女
 「色よりはおとに春めく薺哉」也有
 「君がため春の野にゆでるわかな哉」好道