
リベイラ市場
朝食を済ませて、さあ、市電で市場行きです。今日もかなりのスケジュールです。
市場と、国立古美術館と、バイロアルト散策と、何よりも「ポルトガルおしゃべりページの」リシュボア駐在員ともいうべき、
対岸アルマダに住むミニーノさん母子にお会いすることです。
昨日は閑散としていた、リベイラ市場は、大変な賑わいです。広い市場は二層になっており、1階には真ん中に大きな青果物の卸部門があり、
それを囲むように肉屋、魚屋、パン屋などが並んでいます。2階には、小口売りの果物屋や、八百屋、花屋が並び、とても活気があります。
何しろ、商売柄、市場やスーパーを見るのが大好きなオジサンです。端から端まで、陳列の仕方や、価格などをチェックしながら見て歩きます。
それにしても、何もかも新鮮で安い!
その私に感化されてホントに市場大好きになってしまった?我が女房殿も、楽しそうに見ています。
不思議なのは、ポルトガルでは、働く男性の姿が少ない!
市場で、大きな肉切り包丁で、肉塊をぶった切っているのも、魚をさばいているのも、
女性ばかりです。買い物してるのは男が多いのですが、働く男はどこに行ってしまったのでしょう?
女房殿に言わせると、「ポルトガルの男は、日がなウインドウショッピングをして、ビッカ(コーヒー)を飲んで、ウダウダしてるんじゃない?」
ということになるのですが、不思議です。



ビカのケーブルカーでバイロ・アルトヘ
古風な一軒の革屋さんがありました。店頭のウインドウには、「これでもか!」というくらいがっちりしたハンドメイドの鞄が飾ってあります。
ダークブラウンに煤けた店内では、二人のおじさんがいて、一人が大きなカウンター越しに、原皮を拡げ、お客の応対をしています。
中に入って、ハンドメイドのベルトを買うことにします。@1000$(650円)です。鞄類も安いのですが、重そうなのであきらめます。
応対してくれた感じの良いおじさんが、巻いたベルトをクラフト紙で丁寧に包装して、ニコッと笑って渡してくれます。
レシートを貰おうと、「レシボ・ファッシャボール」と言いますが、「???」通じません。
「レシボ↑」「レシボ↓」「レシボー」色々試してるうちに、おじさんがニッコリして、「オー・ゥレッシボー!」と言ってくれます。
「シエン(YES)!」
おじさん、自分で納得するように、首を「うん、うん」と振りながら、小さな声で「ゥレッシボ」「ゥレッシボ」と繰り返しています。
「本当の発音は、こうなんだ」と、言いたかったのかも知れません。
カーボン紙を挟んで、こちらもサインする形式の立派な領収書がもらえて、メデタシ、メデタシです。
ついでにビカ線の乗り場を教えてもらいますが、「4軒ほど先だよ。すぐわかるよ!」という感じ(推察)です。
教えて貰った方向に歩きますが、ケーブルカーの乗り場なんてありません。
「え?まだ先なんだろうか?」と言いつつ広い曲がり角に来ます。線路はありません。角の小さなカフェの表の椅子におじいさんが一人います。
「ビカ?」(何というシンプルな質問でしょう)と聞くと、立ち上がって、指さしてくれます。どうやら、気がつかずに通り越してしまったようです。
「あそこの、ほれ、入口がアーチ型になっているところがそうだよ」と、教えてくれます。(推察)
「オブリガート!」(私)「オブリガータ!」(女房殿)。「この言葉だけは、まかせとけ!」の自信にあふれた大合唱です。おじいさん手を挙げて応えてくれます。
ありました!確かにアーチ型の扉のついた普通の家(建物)です。両隣の店に挟まれて、全然目立ちません。
扉の中に、ちっちゃなケーブルカーがチョコンととまっています。遊園地の乗り物みたいです。
座席は6席くらいで、10人も乗れば満員です。乗り場のゲート前に座っていたおじさんが運転手で、ゲートを閉めると運転席に乗り込んで出発です。
ちっちゃなケーブルカーは、聖アントニオ祭の飾りが翻る細い道を、ゆっくりとバイロ・アルトに向かって登って行きます。
カモンイス広場から、ファドハウスが集まっている細い道を北上します。
夜は遅くまで賑わい、FADOの歌声が流れるこのあたりも、昼時はひっそりして、通る人もまばらです。
ガイドに載ってる「ア・セベーラ」とか、「リシュボア・ノイテ」などの有名ファドハウスの前を通ります。
一軒の家の窓から、ワン公が顔を出して、こちらに挨拶をします。もちろん、ポルトガル語?です。
またまたグロリア線のケーブルカーに乗って、バイシャ(低い土地の意)に下りることにします。
コメルシオ広場の前のテレイロ・ド・パソというフェリー乗り場から、対岸のカシーリアスまで渡るのです。
クリスト・レイ
イワシは最高!
しっかりとポルトガルの地に根を張っておられるミニーノママさんとの楽しい話はつきません。あっという間に時間が過ぎます。
自然を愛するミニーノさん一家が、ご自分の農園で養蜂を行い、採取している「ローズマリーニョのハチミツ」を分けていただいて、
お別れします。ローズマリーとラベンダーを掛け合わせた花の蜜で、すばらしいハチミツなのです。
ミニーノ君が、明るく「稲葉さん、さようなら!」と言ってくれます。
古美術館そしてバスコ・ダ・ガマ
さすが、国立古美術館、大したものです。14〜19世紀のヨーロッパ絵画(ヴァン・ダイクや、ベラスケスもある)や、
ポルトガル絵画・彫刻、アズレージョもあります。
二階にはポルトガルと交易があった国の作品があり、日本の南蛮屏風や、裃(かみしも)などもあります。
日本からの贈り物リストは、奉書に墨書きで、「目録・Present」と記されていて、当時の日本側が、必死で品物を選定して贈った様子が想像されます。
この美術館の圧巻は、正面左側に再現されている「サンタ・アルベルト修道院の礼拝堂」でしょう。
すべて、金箔と美しいアズレージョで飾られた内部は、思わず息をのみます。まったく、西欧文化の底にしっかりと根を張ったキリスト教の凄さに、只々脱帽します。
オリエンテの駅に直結して、ガラスの大きなドームを持ったショッピングセンター「バスコ・ダ・ガマ」があります。
地下1階、地上3階の最新のショッピングセンターで、ヨーロッパ一なんだそうです。
この前までは、同じくリシュボアにあるコロンボ・ショッピングセンターがヨーロッパ一だったそうですから、これでNo.1と、No.2の二つを持っていると言うことで、
大きな事が大好きな、リシュボアっ子の自慢のようです。
沢山の店が入っており、12時頃まで営業しているので、便利なところです。
大きすぎて、まだ、ところどころは、入店者が決まっておらず、空き店になっています。
中でもすごいのは、地下のハイパーマーケット(巨大スーパー)、仏資本の「コンチネンテ」です。
レジが52台もあり、食品から衣料、家庭用品など何でも売っています。
大きなカートを引っ張って、買い物をしています。さすがポルトガル!カートの中にはほとんどと言って良いくらい、20本位のワインの瓶が・・・。
輸入以外の食品や衣料などは、日本に比べると、とても安い。
買って帰りましたが、天日干しの天然ミネラル塩 1kgが、50$(32円)ほどです。日本だったら、天日干しの天然塩は500gで1000円位します。
「リスボンおじさんの・・・ガイド」には、塩を買って日本に帰り、友人に土産として小分けして渡す人の話が出てきます。
色々研究して、また、賢くなります。
ショッピングセンターの広場に、マツダの「デミオ」が展示されています。価格を見ると、何と日本円に換算して230万円もします。
日本で100万円くらいの車が高い値がついているのにビックリしますが、最低賃金が日本円で3万円台のポルトガルの人にとって、
自家用車を買うことはとても大変なことなのです。
Fado & Fado
店はあまり広くありませんが、フランス人の団体20人くらいが、一番良い席を占めています。
休憩時間中でしたが、客席近くを12〜3才の女の子がウロウロしています。「歌手が子供を連れて来ているのかな」位に考えていると、次のステージで
その子が舞台に上がります。
肩からずり落ちそうなショールを引っ張りながら、「これから、ファドを歌います」と挨拶して、歌が始まります。
これが、すごい!可愛らしい顔をして、ちっちゃな女の子が歌っているのですが、歌は、まさしく本物のファドなのです。心にしみこむ歌声です。
ステージが終わると、もうその子は人気者です。フランス人のおばちゃん達がキスの雨を降らせます。
女の子は、各テーブル毎に呼ばれて、大変です。
やがて、満足したのかフランス人の団体さんがごそっと帰り、客席はかなり寂しくなります。
おばさんファディスタ2人と、男の歌手の掛け合いによるFADOが始まります。3人は客席のコーナーに分かれて歌っており、
観客の上を歌声が交差します。
続いて、片方のおばさんファディスタ登場。アイ・モレーリアとか、コインブラなどの有名曲をそつなく聴かせてくれますが、
さっきの女の子の歌の方が、よほど心をうちます。
やがて、数少ない客が帰り、私達と、隣の席のアメリカ人らしい組だけが残ってしまいました。
次のステージの開催が危ぶまれます。「終わりかい?」と聞くと、「まだだ」と答えてはくれるのですが・・・。
私達のテーブルにも歌った女の子が来て、おやすみの挨拶をして、帰ります。
長い休憩の後、やっとギターが着席して、男性歌手登場。作法に則って、ポケットに手を突っ込んで歌います。
我々4人が持ちこたえたのも、このステージまでです。隣のアメリカ人達が立ち上がって、万事窮す。
TAXIを呼んで貰って、帰ります。(時間は12時半頃です)
一人1ドリンク付きで、3000$でしたが、あのホテルのおじさんが保証した?良いファドハウスは、ホントに良いファドハウスだったのかな?
もしかすると、私とフロントの話を早く決着させて、自分の番が来るようにとの高等戦術だったのか?でも、悪くはなかったような気はしますが・・・???
ちなみに、この店はバイロアルトでなく、中心から少し離れたアルカンタラにありました。また、「Lisboa step by step」という冊子には紹介されていました。
真打ち、美人ファディスタのレニタ・ジェンティル登場は11時半過ぎでした。
さすが真打ち、なかなかのものでした。迫力があり、歌も上手です。
最後に、ファドではないのですが、「グラナダ」を熱唱。
グラナダをポルトガルギターで聴くのもなかなか、いいものでした。
せっかくのいい気分が、その後の事件(?)で、ややマイナスに。
休憩の後、珍しく黒人系のファディスタが、ひと味違ったファドを披露。
その後、11時半頃入ってきた日本人の新婚(?)カップルがもめ出しました。
「最低よ!こんな馬鹿な!」と女性が彼氏を責めている様子。
「大体、あなたの調べ方が悪いのよ!何時に誰が歌うなんて事前にわかるはずよ!」
どうやら、ガイドブックにあるように、「真打ちは12時過ぎに出てきて、
2時〜3時まで盛り上がる」という言葉通りに11時過ぎに入ったら、
客は少なくて、盛り下がっているのが気に入らないようです。
彼らも、レニタ・ジェンティルの歌は聴けたのに、毒舌はエスカレート。
「大体この店は何よ!早く帰れと言わんばかりに片づけたり・・・、
ラテンからサービス精神を取ったら何が残るというのよ。
ポルトガル人なんて大嫌い!イタリア人の方がよほどサービス精神があるわ!」
などと大声で言いたい放題。
次のファディスタの短いステージ終了で、私たちは帰りましたが、
最後の一組になった彼らは、
「私は、1人になってもここにいるから!あなたが調べたとおりに、店は
2時過ぎまでサービスすべきなのよ!絶対2時までは出ないから!
大体下手な歌ばかり聴かせて!」
と、嫌味丸出しで座っていました。
それにしても、おとなしい男と、馬鹿な女の組み合わせでした。
店のウエイターは、「いつもこんなに静かなの?」という私の問いに、
「やはり週末はお客も大勢で賑やかだけれど、平日はすいている日も
あります。今夜は特に静かです」と言ってくれました。
店の人だって、ファディスタだって、人間なのに、「金を払ったのに」
というあか抜けない発想で、自分を押しつけ、
ポルトガルを旅するヤツがいたのには悲しくなりました。
「やかましい!がたがた言うな!」と怒鳴りそうになって、女房殿に「まあ、まあ」
と抑えられましたが、色々考えさせられた夜でした。
さあ、明日(もう今日ですね)23日は、ポルトに移動です。今夜はリシュボア最後の夜です。
「Boa noite(おやすみなさい)」