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 BK-100 の研究
 
 電鍵蒐集の手段は一部譲っていただいた物を除きほとんどオークションを利用しています.
 中には複数一括出品の物があり,いわゆる抱き合わせで,すでに手持ちの機種も合わせて購
 入せざるをえない場合があります.写真右側のものはそういった経緯でシャツクに来た2台目
 のBK-100です.電鍵は軍用受信機などに比べればはるかに小さいとは言うものの30個を超
 える数になるとサスガに保管場所に窮するようになりました.そこで複数ある機種については
 整理を計ろうとしたのですがよく見ると同一型番とはいうものの,かなり構造が異なることがわ
 かりました. ここではその相違点を写真でご披露します.
 
 
 
 
          
 
          
 2台並んだBK-100. 一見まったく同一のメカに見えます.
 
 
 左側は後期型,  右側が前期型
 
  
 
 
 裏面は4本足から全面ゴム引きに変更されています.
 
 
  
 
 
 保護カバーを開けてみましょう.
 
  
 
 
 
 
 
 
 後期型は全面的にISOネジを使用しています. 前期型は懐かしいマイナスのJISネジ.
 
 
    
 
 
 錘(オモリ)の位置に注目. 後期型の方が最大リーチが長くとれる構造です.
 よりユックリしたキーイングにも対応できるようになり,比較的初心者でも使用可能になりました.
 この錘は槓杵の固定ネジを緩めると左右の向きを入れ替えることが可能です.形から判断すると前期型の錘の位置
 は製作時の部品の取り付け作業ミスが原因ではないかと思われます.
 
 
  
 
 
 接点間距離調整ネジの緩み止めは後期型はバネ,前期型はダブルナット構造.
 また,レバーとCOM端子の接続には後期型はコイルバネ,前期型板バネを使用している.
 
 
 
 
          短点用接点
 
          
 
          
 
          長点用接点
 
          
 
          
 
          
 
 
           次の写真は両者の製作ポリシー違いを最もよくあらわしています.槓杵の素材が後期型プレス,前期型削りだしです. 実は写真にはうまく写りませんでしたが錘が取り付けられているバーも後期型は打ち抜きで前期型は削りだし
 でした.
 
 
    
 
 ご覧いただいたように工業製品というものは販売が軌道に乗るにつれ冗長な部分が省かれ,コストダウンが図られ
 ていくもののようです. 特に日本の製品はその傾向が強いと感じます.槓杵の素材の違いに気付いた時は少しショ
 ックでしたが使用感に大きな違いはありませんでした.オーバースペックな部分を省略してよりエレガントな方向に変
 化していくことは判りますが削り出し素材の持つ高級感は大切です.工業製品としての完成度と品物の持つ良さに
 は比例しない部分があるようです. ワタシは前期型の手間とコストをかけた造りの方に軍配を上げたいと思います.
 
 ところで,この BK-100 の販売開始以来の欠点が透明カバーのクラックの生じやすさです.ここで紹介した2台のカ
 バーもクラックが入っています.原因は本体とカバーの素材の違いによる経年の縮み方の違いのようです.現在市場
 に出回わっているものの中からカバーにクラックの無いものを探し出すことは非常に困難です.販売の終了した今と
 なっては死んだ子の年を数えるようなものですが,もう少し割れにくい構造にできなかったものかと悔やまれます.
 
 
 
  
 
          
 
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