越百山・山行記
10月10日、里山の紅葉を待ちきれず山へ入ることにした。四方山であるが越百(こすも)山がアクセスがよさそうである。
越百山は中央アルプス駒ヶ岳より南に延びる主山脈の南部のはずれにある。
伊那谷飯島町付近からは、南駒ヶ岳、険しい山容の仙涯嶺の左になだらかな山頂が見られる。
コースは伊那側から与田切川支流の中小川を遡行して稜線に出るコースで、
ガイドブックにはスリルに満ちたかなりの難コースと書かれているが多くの滝が見られそうなので無謀にもこれを選んだ。但しいつも持ち歩く三脚は諦め、
レンズも中望遠ズーム1本に絞りそれなりの覚悟をした。
朝6時に自宅を出発。天気は上々。飯島町千人塚より与田切川に沿って舗装された林道を進む。与田切川はエメラルド色の豊富な水を迸らせていた。
シオジ平自然園を経て中小避難小屋に至るとすでに数台の車が駐車していた。
一般車はここまでしか乗り入れ出来ないことになっているがゲートらしきものはないので中小川に掛かる橋を渡り登山口まで進めた。この間200m。(しかしこれが後で後悔することとなったのである。)
登山口を7:30に出発。中小川左岸から離れた平坦な唐松林の中を進む。枯れたクマザサの茎が折り重なりふわふわした単調な道を30分程で唐松林は切れ、シラビソの原生林に入ると、道は沢に出て左岸を進む。
 飛竜の滝 |
さらに30分程で右の小沢から落ちる滝が現れ、クサリによって川床に降りる。最初のクサリ場だ。
下の岩には「乙女の滝」と赤ペンキで大書きしてある。名の通り水量はか細いが高さは50mはあるだろうか。
何もペンキで書くことはないと思ったがこれから似たような滝がいくつも表れたことを考えるとコースの目印としては必要なのかなと後で思った。本流の右岸は見上げるような大岩壁で圧倒される。
滝床を渡るとここのすぐ上の本流にかかる相生の滝の高巻きになる。垂直な岩場はクサリで登る。深山幽谷の雰囲気で、イワカガミやシャクナゲが出始める。相生の滝の上に出て、沢を右岸に渡る。道は荒れていて油断できない。
イワカガミが非常に多く、赤く紅葉しているものもある。開花の時期は見事であろう。しばらく右岸を行くが左岸は圧倒される程の切り立った大岸壁である。
やがて視界が開け、中小川に注ぐ仙涯沢に掛かる飛龍の滝を北に間近に眺められるところに来た。
滝は始まったばかりの紅葉に彩られ、水量も豊かで整った素晴らしい滝である。ここではじめて写真を撮る。
 北の空に仙涯嶺の岩峰を見上げる |
再び川床に降り、上につめて行く。仙涯嶺の岩峰も間近にが見えて来た。
このあたりになると沢は狭まってくるがこう配は急となり、ほと走る清流は細くなって来る。
最終水場はまだ先の筈だが左岸の道は沢から離れて行くので念のため給水しておく。
悪場の急登を更に続けると前方の空が徐々に明るくなり、頂上が近いことを感じさせる。
やがて最終水場の案内があり、ようやく沢を離れて最後の直登である。クマザサとダケカンバの道を少し進むと、仙涯嶺の頂きが良く望める10坪ほどの平坦部に越百小屋跡を見い出せた。
トタン板が2,3枚残っているだけであった。
 山頂(左)はあとわずか |
ここから20分程の急な登りを過ぎるとハイマツの中の道となり山頂も見えて来た。花の時期はとうに終わっていたがシラタマノキが白玉を付け、ゴゼンタチバナは赤い実を稔らせていた。
程なくして道は稜線に出た。左は奥念丈岳へ、右はわずかで白砂の越百山山頂である。
11:45山頂着。
2617mの山頂からは、北には更に100m程高い仙涯嶺の岩峰がいつも伊那谷から見る形と違った特異な形で至近距離に望め、その左にアルペン的な南駒ヶ岳が聳えている。
東は伊那谷を挟んで南アルプスの山々の間に富士山が大きく顔を覗かせている。木曽側には越百小屋の赤い屋根が眼下に望める。
セルフタイマーで写真を取った後は木曽川からの冷たい風を避けて伊那側の斜面で昼飯を取る。暖かい日差しである。
 頂上より南駒ヶ岳 |
この時間からは仙涯嶺往復はとても出来そうにない。12:15分下山開始。
帰りは2、3ヶ所で赤テープが分からなくなり行きつ戻りつするところがあったがどうにか16時には登山口に戻った。
車に乗り中小川に掛かる橋の手前まで来ると何とそこにはゲートがありクサリとカギで閉鎖されている。
ああなんと言うことだろう。頭の中が白くなった。ここから麓までは林道で8Km。棒のようになった足で歩けば3時間はかかる。日は暮れてしまう。電話もなく家には連絡も出来ない。
そうするしかないと諦め、車を放棄して中小川避難小屋までとぼとぼと歩いて来るとそこには
登山中にすれ違ったパーティがいてタクシーを予約してあり、まもなく来ると言う。それに乗って行けと言う。これで何とか帰れると一安心するが
明日は日曜日。ゲートは開かないだろうから月曜日以降会社を休んで車を取りに出直さねばならない。
一般車の乗り入れ禁止内に乗り入れた自業自得。閉められても文句は言えない。
ところがタクシーを待って現場に40分程いると上から車が下りて来るではないか。
それは工事関係者だった。車が入っていたのでやむなくカギを開けて来たと言う。これでようやく一安心。ゲートに戻ると確かにカギは開けてあり出られた。
先ほどのパーティには礼を言って無事帰途に着いたのであった。一般車の乗り入れ禁止内には安易に乗り入れすべきではないとしみじみ思ったのだった。
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