先読みチェック! 花の霧ヶ峰・写真撮影記  花と展望の経ヶ岳  越百山・山行記  クリア 
入笠山・花紀行 98.8.10


山というと厳しい登山といったイメージがつきまとう中で入笠山(ニュウカサヤマ)は誰でも気軽に訪ねられるハイキングの適地である。 南アルプスや八ヶ岳、蓼科などからは少し離れていることもあり、こうした山の良さが分かる人だけが来るところでもある。 入笠山自体は平凡な山であるが頂上からの展望は一級である。また付近には入笠湿原や大阿原湿原がありのんびりと花などを訪ねるには最適である。

私の住む伊那谷箕輪町からは直線距離で10Km程度だが何本もの山脈に隔てられ、中央道または20号線で富士見町に回るか、高遠町または長谷村まで南下してから谷添いに北上するかでかなり遠回りを余儀なくされる。 前回高遠町芝平林道経由だったので今回は一つ東の谷、小黒川に添った林道経由で入ることにした。 林道は長谷村戸台から始まる。 戸台はかつて鋸、甲斐駒仙丈の登山口の集落であったが今は南アスーパー林道が手前の仙流荘バス停から北沢峠を結んでいるためかつての賑わいはないようである。

仙流荘バス停は丁度8時30分のバスが出たばかりで閑散としていた。売店でフィルムを買い道路状況を聞く。というのも地図に林道があってもは多くは封鎖されていることがあるからである。 道は良くないが行けるというのでホットする。

戸台川にかかる南ア林道の赤いゲートを右に送り戸台へ向かう。戸台川の河原には赤や黄色のテントがいく張か見え昔と同じだなと感じる。 小黒川左岸の林道の舗装はすぐに切れて埃っぽい砂利道となる。何日か雨らしい雨が降っていないと見えて前を行く車から距離を置かないとたまったものではない。

戸台の集落もいつのまにか過ぎ、徐々に傾斜を増して行く。切り通しの法面にフジアザミの大きなロゼットが目に付くが開花はこれからのようだ。 やがて程久保山を経て大阿原湿原へ行く林道分岐へ出たがゲートが閉まっている。地図で調べた大阿原湿原への最短経路でもあり今日はここを行く積もりだったので残念。良くあることだと思って諦める。 このあたりまで来ると谷を挟んだ向こうの山は山頂まで原生林で覆われているのがわかる。

やがて入笠山山麓にさしかかると道はやや平らになり緑鮮やかな牧場地が広がる。 ふと前を見ると道がゲートで塞がれている。せっかくここまで登って来たのにと呆然としていると、ゲートに「通行後はゲートを締めて下さい」と書かれている。 その通りゲートは誰でも開けられる閂がかかっている。 放牧した牛が逃げないためのゲートだと納得した。でもその肝心な放牧牛が一頭も見えないのもおかしな気がする。

牛の見えない牧場の中を少し進むと道は芝平峠からの林道を左から合わせ右にカーブする。ここで女性運転の県外車から入笠湿原への道を聞かれ私の車の後について来ることとなった。 ここでハプニング。車道を我が物顔でのろのろと歩く放牧牛の群にに遭遇してしまった。その数10数頭で危険を感じる程。車をゆっくりと進めると何とか離れてくれた。 振り返ると後ろの県外車も取り囲まれている。さぞ当惑していることだろうと思った。

やっと牛の群を通り過ぎるとすぐに入笠山直下のマナスル山荘前に出た。十数台の車が駐車しているが静かなものである。 この脇の登山道を行けば入笠山頂はわずかであるが今日は行く気はない。すぐに入笠湿原へ向かう。

入笠湿原は花で溢れていた。結構ハイカーも多い。すぐに目に付くのは一面の群落となったクサレダマで黄色の花穂が風に揺れる。 紫の特異な花びらのサワギキョウも盛期で部分的に群落となっているが今日の真夏の太陽のもとでは 花びらもしおれ気味である。朝晩であればそのさわやかな色と花姿に心をうたれることだろう。ほかには花びらの斑点が独特なアケボノソウ、 白い地味な花のノコギリソウ、ゴマナも目に付く。 今年は全て進んでいるらしくワレモコウが既に頭を出している。

十分な時間撮影し、入笠湿原を後に大阿原湿原へ回る。入笠山の東山腹を舗装道路で10分程の距離である。 大阿原湿原は入笠湿原より規模は遙かに大きいが花は少ないようだ。山荘もなくここまで来る人はわずかで本当に静かな湿原で縁の木陰で昼寝でもしていたい気持ちになる。 一部湿原の中を通る木道があるがそれ以外は湿原の縁を周遊することになる。 湿原の中は一面スゲ野原でこれに白樺の小木が混じるのみでこれと言った花は咲いていないようである。

琵琶湖の形をした湿原を半時計回りで回り始めるとすぐに湿原の中を進む木道があり、それが終わると湿原の西縁の灌木の中を行く。 周遊路にも一部湿地帯があり、ここではアクボノソウ、カワラナデシコ、時期を過ぎたヤナギランが見られた。 琵琶湖の大津のあたりが一番南の端で川が流れ出しているところ。 ここから東の縁の周遊路を回るが西側とはかなり趣が変わり 北八を思わせる苔むした原生林の中の道である。但し新しい木道があり歩き易い。樹林越しに見る湿原はやはりスゲ野原しか見えない。 山側の草深い谷筋にヤマトリカブトが群生しているところがありここで撮影。 一周40分程の道のりで花も少ない湿原だがこのまま残しておきたい湿原のひとつである。

帰路はマナスル山荘まで戻り、多少大回りになるが芝平峠、金沢峠、千代田湖を通り高遠町松倉部落を経て国道152号で高遠町、伊那市を経て 帰宅。金沢峠の林道で地元の遠足の小学生の一団に会い、ぼろい車(ぼろいとはかっこいいの反対)と叫ばれた。なるほど否定はしない。山道などいい車で走れるか!
 写真説明(上から) 入笠湿原、マツムシソウ、アケボノソウ、コウリンカ、大阿原湿原。
[戻る]