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1985年夏。
私がまだ10歳の頃、 茨城県つくば市で大規模な科学万博が開催された。
「つくばEXPO'85」
今から16年前。ゴルバチョフ大統領就任、日航ジャンボジェット機墜落、青函トンネルの開通などの事件が世間を賑わせていた。
その夏休み、私は毎日のようにプールに通い、駄菓子屋さんに100円を握り締めていく毎日を送っていた。
確か、この頃、私の生まれて2回目の海外旅行でマニラに行ったっけ。
ノースリーブにロングスカート。白い綿レースのお嬢様みたいなツーピースに、当時「セーラーズ」で話題になった
水兵さんのような帽子をかぶって成田に向かっていた。
ノスタルジックな白亜の回廊に取り囲まれたガーデンプールで泳いで、甘ったるいチョコレートケーキとトロピカルジュース。
窓から見る華やかなジープニーと、そしてごみだめのような街。聞こえてくる賛美歌「ババナン」。少しのペソを計算しながら、毎日ホテルの売店でガムやチョコを購入しながらタガログ語を少しだけ覚えた10歳の夏。
子供の頃の記憶は、私は普通の人よりずっと鮮明に思い浮かべることができる。
生後半年、母に連れられていった友達の家の様子や、5歳の頃の香港の町並みやホテルの様子、食べた食事さえ。
初恋は9歳の時。
あんなに純粋でただひたむきだった恋は、たぶん、それが初めて。
その後、7年も彼しか見えなかった。いつもそうだけど、私は人を好きになりにくいけれど、一度好きになると長い。
告白なんて、中学生の半ば以降になってもできなかったけど。
今思えば、苦笑してしまうような淡い初恋の思い出。
毎日小学生新聞を愛読していた私は、当時から世の中のイベントに、やたら詳しい小学生だった。
ベトナム戦争、エチオピアの被害、ソマリアの干ばつ・・・
そんなことを父と話していた。
その中で、1985年、つくば科学万博で「ポストカプセル」というイベントを知った私は
27歳になろうとする自分への手紙とともに、生まれて初めてのLove Letterをしたためていた。
21世紀。2001年に、郵便を配達するという「ポストカプセル」。
ノストラダムスの大予言があたれば、私はその頃この世界に存在していない。
だからこそ書くことができたのかな。
こんなLove Letter。
私が21世紀を迎えるにあたって、
一番不安で、一番避けて通りすぎたいイベント。
ずっとこの10数年脳裏にこびりついていた、それが私の「時を経た、Love Letter」だった。
ノストラダムスの予言があたって、人類が滅亡したほうがまだマシだと思うくらいに。
その時は、刻一刻と迫ってきている。
宛先の彼は、最近結婚したらしい。
誰も思い出さないでいてほしいという願いもむなしく、今年の8月1日、ポストカプセル移送出発式を迎えてしまった。
焦りながらも色々な情報をインターネット上で収集して、差し出した郵便物の返還手続きができるという情報を知り、
先日郵便局に問い合わせ、タイムリミット間際に、やっとの事で取り戻し請求をしたLove Letter。
20世紀のわたしから、21世紀のあなたへ贈る、夢の郵便。
そんな夢の郵便を、たった\550で取り戻した。
あの頃には存在していなかった、新五百円玉で。
私以外の、誰にも読まれることなく時を経たLove Letterは永久に私の中だけで封印。
該当の手紙が、どうか見つかりますように。
2001年のお正月には
10歳の私が書いた、26歳の私への手紙が届く。
それを読む来年の自分は、あの頃の私の夢に応えられている自分になっているだろうか。
あの頃の私の宝物を、今の自分が壊していないだろうか。
とりあえず、これで何とか2001年を迎える事ができそうで、ひと安心。
見つからなかったら、その時はその時だ。
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