妻が、車輪がはずれて(輪行、トランポしたい)、ドロップハンドル(これだと長距離でも疲れないと思ったらしい)の自転車が欲しいと言い出した。妻用に新しいのを買っても良かったのだが、使用頻度も高くないので、私が新しいのを買って、いまのを、妻&街乗り用にすることにした。
2009-03-23 購入直後。 シートポストにテールライト、メータは VDO C2DS。 | |
2009-04-03 伊吹山HC前。 CS:12-25, ボトルケージ無し, メータ(107g)込みで 8.4kg。 |
予算的は完成車にして30万ぐらい。カーボンフレームから組むと、エントリーグレードに手が届くぐらい。部品をどうせ替えなきゃならんので、お得な完成車は選択肢から外し、フレームから組むことを前提に。低価格カーボンはいろいろ試乗したが、このグレードでは心に響くものが無かった。どうも乗った感じがモッサリしてるし、外見がやたら太い。高級カーボン(time とか)はさすがにスバラシイが、予算オーバー。
気に入ったフレームがなかったので、オーダーすることにした。オーダースチールっていうのも前から興味があったので。
検討したのは次の3つ。結局 akamatsu に行ってみて、気にいったので、そこに発注することにした。
自転車の素材としてはカーボンが最高なのは異論ないが、予算的に良質のカーボンが買えない場合は、スチールというのも悪くない選択だと思う。
工房赤松の場合、スチールの素材は、事実上タンゲ・プレステージ一択。コロンブスも取り寄せ可能だが、異形チューブはジグ作成が面倒なのでいやがる。新素材に興味があったが、無理に主張しても、私には違いが分からなさそうだったので、プレステージで了承した。昔ながらのプレステージとはいえ、スペック的には、焼き入れ、0.7-0.4、オーバーサイズで、現代でも遜色ないとも言える。
チューブの太さは剛性と耐久性を重視してオーバーサイズ。つまり、ダウン31.8、トップ28.4。ただし、シートステーは通常サイズのφ14。軽量化とショック低減を狙った。ヘッドチューブは外形切削して軽量化して圧入部補強加工。シートポスト挿入口も補強加工。シートクランプは溶接&シートピン式で、シートクランプ式ではない。こっちのほうが軽くて塗装も生きる。
フォークは、カーボンブレード、カーボンコラムの1-1/8サイズ。剛性や強度から、1"ならアルミコラム、カーボンコラムなら1-1/8"になる。
ヘッドパーツは軽量化のため、インテグラルではないアヘッド。ロードではインテグラルが主流だが、それは薄肉大径の方向に進んでいるカーボンやアルミの場合。細くても強度が取れ、薄くできないスチールの場合、アヘッドのほうが細いので軽くできる。フォーク自体も、肩部のボリュームのせいで、インテグラル用のほうが重い。
ヘッドセットはクリスキング。スタックハイトが高いのでハンドルを上げた時に見た目がましなのと、ブランド信仰。インテグラルよりアヘッドがいい理由も、キングのサイトに解説されていた。
ただし、ほとんどの高性能カーボンフォークはインテグラル用で、アヘッド用のフォークは選択肢が少ないのが悩み。下玉押し一体でなければインテグラル用も使えるのだが外観的にヘッドパーツからのつながりがいまいち。探した範囲では、次のとおり。
第一希望はOuzoProだったのだが今年は輸入代理店(フタバ)で取り扱いがない。赤松氏の勧め(フォーク、アンカーともに、とにかく頑丈)もあって、高いけどcolnago force cabon(アルミクラウン、カーボンブレード、カーボンコラム)にした。予算オーバー。
ジオメトリ設計としては、トレール、ヘッド角はお任せ。コルナゴのフォークはオフセットが43mm一択なので、トレールを決めるとヘッド角も決まる。フロントセンターの確保は無視して操縦性を優先した。フロントセンターの確保はつま先が当たるということ以外に、安定性にもかかわってくるし、背が低い場合は難しい所だ。本当は、もうすこしオフセットがあるやつがいい。
ハンガー下がり70mm、シート角74度、リアセンター405mmは一般的か。ハンガー下がりは大きめかもしれない。ポジションにかかわる、仮想トップ(520mm)、シート高、ハンドル高さは現行車を採寸してほぼそのまま。ヘッドチューブ長は10mmスペーサ1枚で決まることを目標に(→結果 12mmでおちついた)。
背が低い(168cm)だけでなく、足も短い(73.5cm)し、体も固い(前屈-10cm)ので、スローピングにしてヘッドチューブも長めにした。スローピングが割ときついが、低重心軽量化だけでなく、シートステー角を寝かせ、シートポストを伸ばしてカーボンにし、路面ショックの緩和も狙っている。
全体の感じとしては、Orbea やMadone(パフォーマンスフィット)と似たジオメトリになったと思う。フォークオフセットはもう少し増やしたいところだったが、フォークしだいということもあり、コルナゴ様によろしく、という感じ。OuzoPro 45 or 50mmをどこかで探して持ち込んだら、違った感じになったかもしれない。
色も、プリセットされた中から選ぶのではなく、色見本を持って行けば塗料を調合して好きな色に塗ってくれる。塗料はウレタン塗装。紺系というところはすぐに決まったが、色合いでかなり悩み、いろいろと色彩学の本を読んだ。おかげで、濃青付近の色について詳しくなった。たとえば、赤に寄せると高貴な感じで金と合う。夜空のイメージ。緑に寄せるとシャープな感じで水色と合う。海のイメージ。彩度を下げると藍色で、白と合う。和のイメージ。よくある濃い青のペイントはニュートラルに青の事が多い。
結局、ハンズで見つけてきた固形水彩絵の具を色見本とした。
48-34/11-23。ギア比検討表は以下。
変速性能よりもギア比を重視して 48-34/11-23にした。チタンが欲しかったのでスプロケはデュラ。保険として 12-25のスプロケも購入。
パーツは、基本的にultegra。デュラは予算的にきびしい。上品な銀色も好み。105は見た目もチープだが、フロントSTIがダブル・トリプル兼用なので操作感が悪いのが我慢できそうにない。
9/8"、カーボンコラムのフォーク、アヘッド・インテグラルというのは、現代のヘッドまわりの標準的な構成なのだが、これが非常に良くない。アンカーが滑ってヘッドが緩むのだ。滑り止めを塗っても緩むときは緩む。また、軽く締め付けるだけでも、ステアリングコラムの変形は相当なもので(ヘッドパーツが抜けない)、回転不良や歪みの元になる。
というわけで、工房赤松にて接着アンカーにしてもらった。アルミ棒を削ってアンカーを作り、コラム内に接着してしまうのだ。接着だとやり直しが効かないので不安な気がするが、どうせ、ハンドル高さが決まるとコラムカットするので、それにあわせてアンカーも接着してしまっても、どうっていうことは無い。
メリットは軽い、緩まない。デメリットは、ハンドル高さが変わると再調整が不便。
良く似た思想は Alpha-Q のフォーク。コラムカットしたらアルミスリーブを接着して、そこにスターファングルナットを打ち込む。コラムの強度も必要最小限でいいし、スターファングルナットは軽くて緩まない。
ボントレガーの旧フォークもアルミコラム。でもわりと軽かった。アンカーではなくスターファングルナットを使うのでトータルでもそんなに重くならない。ボントレガーはブレードが撓むという話も聞くので、ブレード材質が薄いのも軽い理由だろうか。カーボンブレード、アルミコラムで1インチで作れば、スチールフレームの場合、けっこう軽く仕上がるのではないだろうか。カーボンフレームの場合はオーバーサイズにしないと剛性が出なさそう。
タイムのクイックセットや Ring-O-Star なども、アンカーを使わないし、最近の Easton フォークもネジ式のアンカーだったり、アンカーにはみんな苦労しているみたい。
チェーンリングは、PCD=110、48-34、クランク長=165mmと、かなりマイナー。
クランク長=165mmの時点で、shimano, sugino, SRAM RED しか選択肢が無い。RED は高いので除外。コンパクト(PCD=110mm)なので dura-ace も除外、となると、shimano ultegra か sugino になる。初期設定で 48-34 がある sugino XCD800 DD を当初使っていた。Qファクターが小さいというのもある。しかし、結局アウターは、変速性能向上のため、旧XTRを使ったので、sugino の 48T は使っていない。これだったら、shimano のコンパクトからアウター交換でも良かった気がする。
sugino XCD800 DD のメリット=Qファクターが小さい(sugino 146mm、shimano 150mm)、BBの回転がシマノよりも軽い。デメリット=重い(カタログ値で sugino 884g、shimano 848g) 、仕上げが悪い、精度が悪い。Qファクターの差は、これぐらいでも実感することができる。
ギア取り付け面の精度が悪いのか、ボルト穴径の精度が悪いのか、ギア取り付けボルトがしょっちゅう緩んで異音が鳴る。これがイヤで、結局シマノに変えた。
shimano ultegra FC-6550 にして、アウターを FC-M952-5 48T に交換したときには、インナーxトップ3枚で、チェーンとアウターが擦れる、という問題が発生する。スギノのときは発生しなかった。
対策としては、クランクとアウターの間にスペーサを挟む、というのが一般的。CAD で図面を書いてみると、0.36mmのスペーサを入れると、リア1枚に相当する距離だけアウターが逃げる計算になる。工房赤松でスペーサをもらってきて組み付け。スチールの打ち抜き品で内径が10mmでチェーンリング固定ボルトにぴったり。バリを耐水ペーパーで落として実測すると t=0.21mm。2枚づつ入れることにした。
その結果、インナーxトップでは音なり。これはしょうがない。インナーx2枚目では、スムーズにまわせば音なりが発生しない。チェーンが暴れると音鳴りする。これで快適に使えるようになった。あんまりアウターを外に持っていくと、インナーとアウターの間にチェーンが挟まる可能性があるので、深追いしないでおく。
要求仕様をほぼ満足
パーツ | 品番 | 仕様 | 重量 |
frame | akamatsu cromo | タンゲプレステージ(0.7-0.4-0.7)。トップ28.6,ダウン31.8,シート28.6,シートステー14。ヘッドチューブは外径切削して薄肉化して厚入部を補強。シートクランプ部も補強入り。チェーンフック、チェーンステーガード付き。ウレタン塗装でカスタムの紺色。 | 1545g(実測) |
fork | colnago force carbon | 9/8"オーバサイズ、カーボンブレード、カーボンコラム、アルミクラウン | 400g(カット後推定)。スペーサは12mm。 |
head set | chris king | 115g | |
stem | specialized pro set stem | アルミ鍛造 17°75mm 31.8mm | 160g(カタログ値) |
handle | TNI elgo shallow UL | 380mm | 240g(カタログ値) |
bar tape | cinelli | ||
RD | shimano RD-6600-SS | 209g(カタログ値) | |
FD | shimano FD-7800-B | 79g(カタログ値) | |
STI | shimano ST-6600 | 490g(カタログ値) | |
BR | shimano BR-6650 | 330g(カタログ値) | |
FC | shimano FC-6650 | 165mm 48x34 アウターは FC-M952-5 48T(旧XTR 5ピン PCD110)に交換 | 848g(カタログ値、BB含) |
BB | shimano SM-FC6600 | ||
CS | shimano CS-7800 | 11-23T 予備に CS-6600 12-25T | 173g(カタログ値) |
CN | shimano CN-7800 | 173g(カタログ値) | |
SP | ritchey pro carbon | 150g(カット後推定) | |
PD | shimano PD-6620 | 317g(カタログ値) | |
shift indicator | shimano dura-ace | ||
saddle | sella sanmarco aspide arrowhead gelaround | 250g(カタログ値) | |
wheel | Kinlin XR-270+PT | ||
tire | michelin pro2race | ||
tube | schwalbe ultremo | ||
chain fall protector | フロントギアが純正でないので、念のため | ||
bottle cage | minoura AB100-4.5 | ||
meter | Garmin Edge 705 | GPS enhanced cycle computer | 105g(カタログ値) |
合計 | 上記付属品、ペダル込み | 8600g(実測) |
外したやつ。
stem | ritchey pro | アルミ鍛造 84°80mm 25.8mm | 145g(カタログ値) |
wheel | campagnolo zonda | ||
FD | shimano FD-6600-B | 95g(カタログ値) | |
FC | sugino XCD800 DD | 165mm 48x34 アウターは FC-M952-5 48T(旧XTR 5ピン PCD110)に交換 | 884g(カタログ値、BB含) |