Under-Construction
工作 EAGLE and OLIMEX OLIMEX 用ライブラリの作成

OLIMEX用ライブラリの作成

(2004/06/20)

EAGLE には、多数のライブラリが付属します(これが「使える」と言われる理由のひとつ)が、OLIMEX のデザインルールに合わない箇所がいくつもあること、使わない部品も多く探しにくいこと、ライブラリがヨーロッパ風であり、日本で一般的な部品が少ないこと、などより、結局自分でライブラリを構築することになります。

ライブラリ作成の手順

  1. 使う部品をリストアップする。
  2. シンボル(回路図記号)を作成する、または、標準ライブラリから lbrcpy.ulp でコピーしてくる。
  3. パッケージ(パターンのパッド情報)を作成する、または、標準ライブラリから lbrcpy.ulp でコピーして修正する。
  4. シンボルとパッケージを結び付けて、デバイスを作る。ピンアサインも行う。
    ライブラリは、回路図設計の開始以前に、可能な限り整備しておきましょう。回路図を作りはじめてからライブラリを手直しすると、けっこう、手戻りが発生します。
  5. 作成したライブラリを使って回路図を設計する。
  6. 回路図から基板パターンを設計する。
  7. 発注する。

OLIMEX対応の設計ルール

OLIMEXに基板を発注するためには次の設計ルールでライブラリを作成する必要があります。

シンボルのコピー

標準ライブラリの中に欲しいシンボル(回路図記号)がある場合はそこからコピーしてくればいいです。

ライブラリのコピーは、楠氏のページからlbrcpy.ulpを使うのが操作性がよいようです。リンク先のページからlbrcpy.ulp をダウンロードして、~/eagle/ulp/ に保存しておきましょう。

使い方は上記のページに詳しく説明されています。ざっと説明すると次のとおりです。

  1. コピー元のライブラリを開いて、欲しいシンボル名をみつける。
  2. コピー先のライブラリ(自分用)を開く。
  3. run lbrcpy で、ダイアログが開く。
  4. Browse でコピー元のライブラリを開く
  5. Anzeige von ラジオボタンで Symbols を選ぶ。
  6. Copy ->ボタンを押す。
ちなみに、ライブラリを開くには、次の2つの手順があります。どちらでもOK。

シンボルの作成

ICなど、欲しいシンボルが無い場合はライブラリエディタで作成します。ライブラリを開いたあと、Symbol ボタンsymbol buttonを押すと、ダイアログが開くので、New: にシンボル名を入れます。シンボルエディタが開くので、回路図を書くときと同様にシンボルを書きます。

コピーしてきたシンボルもそうですが、EAGLEは、お絵書きソフトではなく、CADなので、線の属性などにも注意が必要です。ピンを配置するときにも属性が指定できるのですが、後で修正もできます。

ピン名
Namename button→ピンクリック、で修正できます。ベースの場合は B、1番ピンの場合は1などとつけときましょう。
入出力
Changechange button→Direction→ピンクリック、で修正できます。NC, IN, OUT, I/O, OC, HIZ, PWR, PAS, SUP から適切なのを選びましょう。あとで ERC で役にたってくれます。
Swap Level
NAND ゲートの入力のように、ピンスワップが可能なものは、Changechange button→Swaplevel... で1以上の同じ数値を入力しておきます。ボード設計で配線が混雑してきた時に、ピンを入れ替えることができます。

パッケージのコピー

抵抗やコンデンサの 1608 や 3216 チップ、トランジスタの SC-59(SOT23) パッケージなどは、標準ライブラリから lbrcpy.ulp を使ってパッケージをコピーしてきてよいです。ただし、次のものは、パッケージの作成と同様に、OLIMEX 用に修正する必要があります。

レイヤ
特にシルクレイヤやシルクしないレイヤを OLIMEX 指定のレイヤに合わせる必要があります。
シルク線幅
すべて 10mil で書き直します。
テキストフォント
シルクしたいテキストフォントは Vector フォントで書き直します。

パッケージの作成

パッケージの作成は次の手順で行います。

  1. OLIMEX 対応環境を整える。
    シルク線幅、ドリル径は一般環境とは異なりますので、必ず設定が必要です。私の場合は、olimex-setup.scr という形でまとめてあって、そこに SCR パスを通してあるので、script olimex-setupと実行するだけでOKです。
    grid mil
    set drill_menu 28 35 39 43 51 59 83 130
    change size 50
    change ratio 20
    change font vector
          
  2. パッドを作る。
    1:Top レイヤにパッドを作ります。データシートの推奨パッドサイズを参考にします。座標を (X座標 Y座標)の形で数値入力できること、キーボードの上下矢印でヒストリが効くこと、を知っていると便利です。できれば、mil グリッドで書きたいところですが(ボードレイアウトは 10mil グリッド推奨)、データシートが mm グリッドならそれで書いてもかまいません。中心(0 0)に対して対称になるようにします。
    ソルダレジストは、デザインルールに基づいて、「パッド+余裕」のサイズで自動的に設定されます。
  3. シルクする外形を作る。
    21:tPlace レイヤに、10mil 線で、シルクする外形線を引きます。部品搭載の目安になるような線を書いて下さい。パッドにシルクが被らないように!!
  4. シルクしない線を書く。
    シルクしない線(外形線、注釈線など)を、51:tDocu レイヤなどに書きます。部品外形などは 39:tKeepout レイヤを使ってももよいでしょう。
  5. 部品名を入れる。
    一般に、基板の上で部品を識別しやすいように、部品名(R11とか)を入れます。テキストの設定が、Size 50mil, Vector Font, Ratio 20% になっていることを確認して、25:tName レイヤに、>NAME と入れれば、ボード上では R11 とかに置換されます。
    上のテキスト設定は、文字高さ=50mil, ベクタフォント、Ratio=20%ということは、50mil×20%=10mil の線幅、ということで、OLIMEX Acceptable なテキストができあがります。
    27:tValue レイヤと >VALUE 文字列は、部品の値(51Ωなど)に置換されますが、普通の基板では使わないと思います。OLIMEX ではそもそも、27: tValue はシルクされません。もし部品値をシルクしたいときは、25:tName レイヤに >VALUE と書いて下さい。
  6. シルクしない注釈を作る。
    tDocu などのシルクされないレイヤに、小さい文字で、レイアウトの参考になりそうな情報を書いておくとあとが楽です。たとえば、C12とか。シルクはあっちこっちに行ってしまうことがあるので、ジャストその場所にも tDocu レイヤに C12 とか書いておくと楽、とかね。

デバイスの作成

デバイスボタンdevice buttonを押して、新規デバイスを作成します。Add で symbol を呼び出し、パッケージを追加して、ピンの対応をつけます。

デフォルトではワケワカランピン名が付いています。symbol, package ともに、name ボタンname buttonで変更できます。意味のある名前に付け替えておくのがよいでしょう。

同一パッケージに複数のゲートが入っている場合などは、Swaplevel を設定しておくと、ゲートスワップが可能になります。



近藤靖浩