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プリント基板の製作
この文書は、アマチュアがプリント基板を製作する時のメモをまとめたものです。
この文書は商用以外の目的で自由に再配布可能です。また、誤りの指摘、アド
バイス、掲載希望の質問などは常に歓迎されます。
この文書は、私が大学院の研究室で生活してた時(1998年ごろ)にあった、質問など
をまとめたものです。ただし、編集、自作自演も含まれています。この文書は商用
以外の目的で自由に再配布可能です。また、誤りの指摘、アドバイス、掲載希望の
質問などは常に歓迎されます。
ただし、この文書は、事実ではなく、私の主観に基づいて記述されています。
正確さは保証できません。
感光基板
プリント基板を作る時に大きく分けて次の方法があります。
- 片面直書
- 片面プリント基板の表面にマジック、インスタントレタリング、テープ
などの耐酸性の被覆を手で書いて、エッチングを行ないます。
簡単であることが特徴です。すこし込みいったパターンを1枚だけ作る
時に適します。
- 感光基板
- 片面、両面のプリント基板に感光剤を塗って、露光することによってフォ
トレジストを生成し、エッチングします。おそらく最も良く使われる
方法でしょう。
- EG基板
- すでに、IC ピッチで万能基板のように穴が空いた基板をエッチングし
ます。穴開けの手間が省けることが嬉しいです。
基板の種類は次のようなものがあります。
- 紙フェノール
- 安くて標準的に使われます。
- ガラスエポキシ
- 硬く、精度が出ます。また、性能も良いです。
高価であること、硬いため、穴空け加工によって、ドリルがいたみ易
いことにより、高絶縁性、高加工精度が要求される場合(両面基板など)
にかぎって使用します。
通常のドリルだと500個程度の穴を空けると、ドリルが駄目になります。
道具
フィードバックフォームでリクエストされたので、道具についての説明を追加しまいた。(2004/05/09)
- 露光機
- 感光プリント基板露光させます。感光には紫外線が必要なので、殺菌灯など
で露光します。基板の側は、生の感光基板とマスクフィルムを重ねて露光し
ます。ずれないように重ねるために、ポンプで吸引してフィルムと感光基板
を張り付けるようなのが便利。研究室などでやるつもりなら、サンハヤトで
露光機を購入するとよいでしょう。
- 卓上エッチング装置
- 基板をエッチング液につけて、エッチングするわけですが、バットでエッチ
ングすると、エッチングが進むように液を暖めたり、揺すったり、終わった
後には廃液の処理とか大変です。そういうときは卓上エッチング装置がある
と便利です。エッチング装置の中に基板をぶら下げておけば、ヒーターとポ
ンプ水流によって、適切な条件でエッチングがされます。いちいちポリタン
クに液を戻さなくても、あるていどはエッチング装置の中に液を置いておけ
るのも便利。
- ドリル
- 普通のボール盤でもよいですが、プリント基板用の方が小回りが効いて使い
やすいです。
パターンの設計
感光基板を使用する場合にはフォトマスクを使用します。それは手書きでも良
いですが、OHP シートにパソコンで印刷することをお勧めします。
私の使用している設計基準は
パターン幅1mm、電源パターン2mm、ランド径1.6mm、マスク穴0.4mmです。
マスク穴とは、ランドの中心にエッチングで穴をあけて、ポンチ代わ
りにするための穴のことです。ランド径はピン間1本を想定しています。
しかし、ピン間配線はあまりお勧めしません。複雑にならない範囲で
ジャンパを飛ばす方が良いと思います。IC のピン間隔は 0.1inch で
す。これを間違うと、IC が挿入できなくなるので注意。
また、ランド、パターンは別レイヤに作図した方が良いでしょう。基板位置決
め用のとんぼも忘れずに。
パターンが設計できたら、印刷します。インクジェット用OHP シートに360dpi
以上の解像度で印刷します。OHP シートは傷などつけないように丁寧に扱って
下さい。OHP シートは、パターンとして残る部分が黒く印刷されるようにして
下さい。
露光
感光基板は、通常の基板に感光液を塗る場合と、すでに感光皮膜がついた、カ
メレオン基板を使用する場合とがあります。カメレオン基板の使用をお勧めし
ます。
- 暗室に入り、蛍光灯を消し、イエローランプをつけ作業します。
- 感光基板を袋から出し、マスクと位置合わせをして、露光装置におき、
排気スイッチを押して、マスクと基板を密着させます。
両面基板の場合には、トンボをたよりに、正確に位置合わせします。
- 片面、両面を選択して、露光タイマをセットします。基板の新鮮さにも
よりますが、2分10秒から30秒が良いようです。
- 露光が終了したら、現像します。現像液を使用する場合と、スプレー式
の現像液を使用する場合があります。お勧めはスプレー式。現像液を
使用する場合にはバットにとり、基板をつけます。スプレー式の場合
には流しに立てかけて、現像液をスプレーします。光が当たった部分
がとけて流れ落ちます。
- すべての現像が完了したら、良く水洗いします。感光皮膜は水と反応す
ることによって、定着します。良く洗って下さい。
- 水洗が済めば明かりをつけても大丈夫です。目で見て良くパターンをチェッ
クして下さい。ブリッジがあれば、カッターなどで皮膜を削り、欠け
があれば、油性マジックで書き足します。特に、基板の周囲は、皮膜
が残っている場合が多いので、カッターで削ります。
エッチング
卓上エッチング装置を購入しました。
エッチングをする前にもう一度レジストの確認をして下さい。手書きでレジス
トを書く人は、手で書いて下さい。
- 基板にワイヤ穴を空ける。エッチング装置の中に、基板をチタンワイヤ
で吊すための2φ程度の穴を空けます。レジストを傷つけないように注
意して下さい。
- ヒータの電源を入れて、45度にサーモスタットをセットします。ランプ
が消えたら適温になりました。
- 装置の蓋についているワイヤに基板を引っかけて、基板をエッチング液
のなかにつけ、噴流装置のスイッチを入れます。
- 液の状態にもよりますが、10分ほどでエッチングが完了します。蓋を持
ちあげて、時々確認して下さい。エッチング液が黒くなって、25分以
上の時間がかかる時は、液が古くなっているので交換します。それ以
外の時は、エッチング液の交換は必要ありません。
- エッチングが終了したら、基板を良く水洗いします。
エッチング時間がかかり過ぎる時は、エッチング液を交換します。廃液はポリ
タンクに入れて下さい。また、流しを汚さないように注意して下さい。
穴空け
スルーホールを使う時は、サンハヤト製のスルピンキットを用います。
専用のドリルで空けて、専用の工具を使用します。
マニュアルを読んで下さい。
それ以外の時は、プリント基板用のドリルで穴空
けを行ないます。IC, 抵抗、コンデンサなどは 0.8mm、大きな部品や、太い電
線を取り付ける穴は 1mm が良いでしょう。
近藤靖浩