白色LEDが白色で光る原理には、実際の所、2種類存在します。
1. は現在流通している、日亜とかのものです。青色LEDには、中村氏の発明した GaN(窒化ガリウム)が用いられ、黄色蛍光体には、YIGが用いられています。光の加色混合によって白色が得られますが、青と黄色の光のバランスが崩れると、色味がつくことがあります。色味は製造では完全にコントロールできず、製造後にランク分けします。色ランクとして(a), (b), (c) とあって、(a)が青っぽいもの、(b)が白に近いもの、(c)が黄色っぽいもの、無印はランク分けしていないもの、になります。当然、(b)に価値があるわけで、無印といっても、(b)がとり除かれた形の色合い色味分布になることは想像できます。
また、このタイプのLEDは、赤色の光が弱いため、赤い物体に照らした時の色再現性は、黄色っぽくなってしまいます。今回の水中ライトのように、多球システムの場合、一部に赤色LEDを混ぜてもよかったかな、という気もします。
2. のタイプは、現在、豊田合成、Cree が開発をすすめているといううわさのものです。LEDとしては同じく GaN 系だそうです。1.に比べて効率は悪いものの、演色性は高いというメリットがあります。
3. のタイプは、白色LEDとして使われるよりも、フルカラーLEDとして使われることが多いでしょう。白色のみで光らせるには、コストパフォーマンスが悪いです。
ご存じのとおり、日亜化学は、青色LEDについて、製品は出荷するが、製造技術(特許)の供与はしない、という方針で来ていました。
一般的には、いくつかの企業が同時開発しているため、A社の特許はB社をしばり、B社の特許はA社をしばり、という関係になり、最終的には、クロスライセンスなどの手段を使ってA社もB社も製造する、というパターンになります。しかし、日亜の特許は非常に強力で、他社のライセンスを受けずとも、自社特許のみで製造が可能という状態でした。その強い特許のため、これまでは、日亜しか白色LEDを製造できず、LEDの値段は高いままでした。
しかし、どんな特許にも抜け穴はあるもので、ここに来て、解決のきざしがあり、いくつものメーカーで、白色LEDを製造できるようになってきました。これからは、数量が出まわり、いろいろなことに応用が始まる時代がやってきた、と言えるでしょう。今年(2002年)はそのスタートの年なのです。