ここでは、電子工作初心者の方のための、白色LEDライトの作り方について、より丁寧に解説します。
LEDを点灯するためには、単に電池をつなぐだけではダメです。ちょっと工夫しなければなりません。難しくなりますが、その原理と方法を紹介します。
図1のように、LEDに電池(電圧 V)と抵抗 Rをつないだときに、回路に流れる電流 I は、次のようになります。
この時、回路に流れる電流にかかわらず、LEDの両端には、電圧 VFが現れます。この電圧のことを、順方向電圧降下と言います。
このことは、次のことを意味しています。
白色LEDの VFは 3.6V(平均)、4V(最大)なので、4V以上の電源を持ってこなければいけません。2本直列にするなら、8V以上の電源が必要。
一方、5Vの電源を接続するとどうなるか?VF以上の電源を接続すると、大電流が流れてしまい、LEDは焼損します。これを防ぐために、LEDと直列に抵抗を入れます。この抵抗のことを、電流制限抵抗といいます。
LEDにどれだけの電流を流せば良いのでしょうか?比較的ポピュラーな、日亜 NSPW500BSの場合ですと、カタログより、最大30mA、定格で20mA となっています。照明装置として用いる場合、多めに 25mAぐらい流してやるのが良さそうです。明るさ(光量)は、電流にだいたい比例します。
初心者にも作りやすい、電流制限抵抗を用いた点灯回路を設計してみましょう。
| 電源 | 単一乾電池×4本 Ni-MH、アルカリどちらか専用で設計する。 |
|---|---|
| LED | 日亜 NSPW500BS |
| 点灯電流 | 30mA以下 |
| LED並列本数 | 60本ぐらい |
電源が、Ni-MH かアルカリどちらか専用の設計になってしまいます。この電池は、電圧が違うので、どちらの電池にも対応することは、電流制限抵抗を用いた回路ではできません(直列本数を増やすか、電子回路を用いれば可能)。
まず、電池の電源電圧変動、LEDの順方向電圧降下 VFが変動するため、その変動範囲内で、いくつかの条件を計算してみます。計算手順は次の通り。
計算すると、次の表のようになります。かなり電流変化があるのですが、この変動範囲ならなんとか使うことができるでしょう。
| 設計時 | 組み立て時 | 実使用時 | |||
|---|---|---|---|---|---|
| 電池の種類 | 順方向電圧降下 | 電源電圧 | 電流制限抵抗 | 電源電圧 | 順方向電流 |
| アルカリ | 3.8V | 1.5V×4本 =6V | (6V-3.8V)/30mA =73→75Ω | 1.3V×4本 =5.2V | (5.2V-3.8V)/75Ω =18mA |
| 3.5V | (6V-3.5V)/30mA =83→82Ω | (5.2V-3.5V)/82Ω =20mA | |||
| Ni-MH | 3.8V | 1.2V×4本 =4.8V | (4.8V-3.8V)/30mA =33→33Ω | 1.1V×4本 =4.4V | (4.4V-3.8V)/33Ω =18mA |
| 3.5V | (4.8V-3.5V)/30mA =43→43Ω | (5.2V-3.5V)/43Ω =19mA | |||
単三×4本の水中ライトは、スペースが狭いので改造しにくい。単一の Ni-MH は充電環境も含め、入手しにくい。よって、単一×4本のアルカリ電池を使う水中ライトを改造して作ることを本線としてすすめてみましょう。
| 品名 | 個数 | 予想価格 |
|---|---|---|
| 水中ライト。単一×4本のタイプ。コンパクトかつ改造しやすそうなもの。UK400などいかが? | 1 | 手持ちでもいいけど、買ったら5000円ぐらい? |
| 白色LED NSPW500BS(5.6cd, 5600mcd 10°)もっと明るいのがあれば、それでもいい。 | 40本〜60本 | 250円×60本=15000円 |
| 抵抗 68, 75, 82, 91Ω | 各60本 多めに買っとくのだ。 | 5円×60本×4種類=1200円 |
| プリント基板片面 | 150mm×150mmぐらい | ジャンク品だと150円ぐらい |
| はんだ | ||
| リード線 | ||
| はんだごて | ||
| Pカッター | ||
| ニッパー |