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レクチャー

最終更新 (2002/05/19)

ここでは、電子工作初心者の方のための、白色LEDライトの作り方について、より丁寧に解説します。

目次


LEDの点灯方法

LEDを点灯するためには、単に電池をつなぐだけではダメです。ちょっと工夫しなければなりません。難しくなりますが、その原理と方法を紹介します。

順方向電圧降下

図1のように、LEDに電池(電圧 V)と抵抗 Rをつないだときに、回路に流れる電流 I は、次のようになります。

この時、回路に流れる電流にかかわらず、LEDの両端には、電圧 VFが現れます。この電圧のことを、順方向電圧降下と言います。

このことは、次のことを意味しています。

白色LEDの VFは 3.6V(平均)、4V(最大)なので、4V以上の電源を持ってこなければいけません。2本直列にするなら、8V以上の電源が必要。

一方、5Vの電源を接続するとどうなるか?VF以上の電源を接続すると、大電流が流れてしまい、LEDは焼損します。これを防ぐために、LEDと直列に抵抗を入れます。この抵抗のことを、電流制限抵抗といいます。

LEDに流す電流

LEDにどれだけの電流を流せば良いのでしょうか?比較的ポピュラーな、日亜 NSPW500BSの場合ですと、カタログより、最大30mA、定格で20mA となっています。照明装置として用いる場合、多めに 25mAぐらい流してやるのが良さそうです。明るさ(光量)は、電流にだいたい比例します。

設計

初心者にも作りやすい、電流制限抵抗を用いた点灯回路を設計してみましょう。

前提条件

電源単一乾電池×4本
Ni-MH、アルカリどちらか専用で設計する。
LED日亜 NSPW500BS
点灯電流30mA以下
LED並列本数60本ぐらい

電源が、Ni-MH かアルカリどちらか専用の設計になってしまいます。この電池は、電圧が違うので、どちらの電池にも対応することは、電流制限抵抗を用いた回路ではできません(直列本数を増やすか、電子回路を用いれば可能)。

まず、電池の電源電圧変動、LEDの順方向電圧降下 VFが変動するため、その変動範囲内で、いくつかの条件を計算してみます。計算手順は次の通り。

  1. 電池を、Ni-MH かアルカリのどちらを使うかを決める。
  2. 順方向電圧降下を、最大、最小に仮定する。最大は、実績値 3.8V、最小は経験値 3.5V とする。どちらもデータシート値とは異なる。
  3. 電池電圧を放電開始前電圧に仮定して、与えられた順方向電圧で、30mA流れるように、電流制限抵抗を選定する。電流制限抵抗の値は売っている値に丸める。
    アルカリ電池の場合、放電開始=1.5V、放電終端=1.3V。Ni-MH電池の場合、放電開始=1.2V、放電終了=1.1Vとします。
  4. 電池電圧がを放電終端電圧になった時に、順方向電流がどれだけ流れるかを計算する。

計算すると、次の表のようになります。かなり電流変化があるのですが、この変動範囲ならなんとか使うことができるでしょう。

設計時組み立て時実使用時
電池の種類順方向電圧降下電源電圧電流制限抵抗電源電圧順方向電流
アルカリ3.8V1.5V×4本
=6V
(6V-3.8V)/30mA
=73→75Ω
1.3V×4本
=5.2V
(5.2V-3.8V)/75Ω
=18mA
3.5V(6V-3.5V)/30mA
=83→82Ω
(5.2V-3.5V)/82Ω
=20mA
Ni-MH3.8V1.2V×4本
=4.8V
(4.8V-3.8V)/30mA
=33→33Ω
1.1V×4本
=4.4V
(4.4V-3.8V)/33Ω
=18mA
3.5V(4.8V-3.5V)/30mA
=43→43Ω
(5.2V-3.5V)/43Ω
=19mA

単三×4本の水中ライトは、スペースが狭いので改造しにくい。単一の Ni-MH は充電環境も含め、入手しにくい。よって、単一×4本のアルカリ電池を使う水中ライトを改造して作ることを本線としてすすめてみましょう。

製作

買い物

品名個数予想価格
水中ライト。単一×4本のタイプ。コンパクトかつ改造しやすそうなもの。UK400などいかが?1手持ちでもいいけど、買ったら5000円ぐらい?
白色LED NSPW500BS(5.6cd, 5600mcd 10°)もっと明るいのがあれば、それでもいい。40本〜60本250円×60本=15000円
抵抗 68, 75, 82, 91Ω各60本
多めに買っとくのだ。
5円×60本×4種類=1200円
プリント基板片面150mm×150mmぐらいジャンク品だと150円ぐらい
はんだ
リード線
はんだごて
Pカッター
ニッパー


近藤靖浩