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日曜大工の小技
(2004/12/25)
(更新:2005/01/04)
「科学の力は生活を便利にする」のコンセプトのもとに、最小の手間で最大の効果を得るための、知っていると便利な日曜大工の小技たちを紹介する。日曜大工がうまくなるための技術は紹介しない。
木を組み合わせてなにかを作ることが多い。その組み立て方法にはいくつかの手段があるが、まず、木ネジを使えないか検討することが望ましい。それぞれの方法のメリットとデメリットは、次のような感じだ。釘のメリットは日曜大工ではあまり表面化しないが、デメリットは目立つ。
- 釘
- 単価が安い。
- 慣れれば、高速に釘が打てる。エア式の釘打ちガンとか使えばなおさらである。
- 釘抜きで分解が簡単。
- 真鍮丸頭釘とかは美観に優れる
- 釘打ちの音がうるさい。マンション住まいでは、階下の人への迷惑を考えると、事実上不可能に近い。
- トンカチで指をシバいてしまうことがある。
- 真っ直ぐに釘を打てない人もいる。
- 木ネジ
- 組み立てがうるさくない。ミスが少ない。
- 強度が必要な箇所は接着後、木ネジでたいがい大丈夫。
- 組み立てに電動ドライバが必要。手で木ネジを組たてるのはメチャ大変。
- 接着剤
- 外観がきれい。
- MDF(オガクズ集成材)は、ねじ、木ネジが効かないので、接着剤を使う。
- 強度が弱い。強度が必要な箇所は、釘か木ネジを併用するか、ホゾ組にする。
木ネジを使った組み立てをするのは電動ドライバが必須だ。それは、力がいらない、狭い場所でも回せる、の理由による。最も安いものは1000円ぐらいだろうか。選択のポイントは、次のような点だ。
- できれば充電式がいいが、AC100Vでもいい。
- 充電式の場合、NiCd電池や鉛蓄電池のやつがパワーが出る。ただし、これらは有害物質(カドミウム、鉛)を含んでいるので、廃棄時に要注意。最近はNiMHか。NiCd=大電流が取り出せる。NiMH=NiCdより大容量だが大電流特性はNiCdに劣る。鉛蓄電池=大電流OKだが重い。LiIon=軽量で大容量たが、電動ドライバに使われることはマズないし、意味もない。
- ギア式で変速できるやつが望ましい。高速=ドリル、低速=ねじ締めと使い分けることができる。モータを制御して可変速のやつは、低速にしてもトルクが増えないので意味がない。
- ピストルグリップのやつを選ぼう。ピストルグリップ=トルクをかけられる、からだ。ストレートグリップの電動ドライバは、すでに切られているねじ穴にネジを締めるために使われるものだ。ストレートグリップの方が軸ブレしにくいので、ねじ頭を壊しにくいが、トルクがかけられないので、木ネジを締めるのには不向きだ。ピストルグリップの電動ドライバを使うときは、軸に垂直におしつけるよう、気をつけないとねじ頭を壊す。
- ビットは精度のいいやつを。電動ドライバはトルクがかかるので、100円ショップで売っているような、生鉄で精度が悪いビットだと、すぐにねじ頭を壊したりビットが壊れる。精度がよくて、焼きがはいっているビットがいい。精度がいいビットだと、プラスねじあたまに、ピッタリサイズのビットを差し込むと、逆さにしても落ちてこない。その状態で、下向きにドライバを押し当ててねじ込むのだ。ねじがビットに吸い付かないと手がたくさん必要になって作業性が悪い。
ホームセンターなどでは、カットコーナーというのがあって、購入した木材をその場で切ってくれる。電動の丸ノコで、直線 1カット30円ぐらい。これを有効に使う。木材をそのまま家に持って帰って、家で手動ノコギリで切ってもいいが、持って帰るのがジャマ、家で切ると手が疲れる、曲がる、挽き後が汚い、精度が出ない。カットしてもらえばそんなことは無い。精度は±2mmぐらいは出る。そのためには、買い物に出かけるまえに、概略の設計を済ましておく。板厚は売っているものに合わせて、カット量を調整しよう。
「木材(板、角材、丸棒)を買う→カットコーナーで切ってもらう→必要な金具を買う→電動ドリルと木ネジで組み立てる」が、日曜木工の最短手段だ。目的の機能を達するために、この最短手段をどのように利用するか、を考えるのが設計のポイント。
なにか、壁にぶら下げるのに、吸盤は跡が残らないので大変便利だが、夜(特に寝入りバナ)にガッシャーンって落ちてうっとうしい。吸盤にも2種類あることを知っておくと購入の参考になる。普通の吸盤と、強力吸盤だ。
そもそも、吸盤がなぜ吸い付くか。それは、吸盤の中身が真空で空気圧で押し付けられているからだ。
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通常の吸盤では、吸盤ゴムの戻る力で真空が作り出される。所詮ゴムの曲げ変形力なので、その力は知れている。 | 強力吸盤では、テコがゴムを引っ張る力で真空を作り出すのでとても強力だ。プラスチックのオワンで吸盤の縁(A)を押える。フックの根本は、自転車のクイックリリースのようなカムになっていて、矢印の方向に倒すことによって、縁が押えられた吸盤を強力に引っ張る。その分、強力な真空ができて、強力に吸い付く。 |
強力吸盤でなければ、吸盤の力なんて、たかが知れたものだ。せいぜい、吸着面をきれいにして、よく吸い付くようにしよう。吸着力が広告に謳われていても、その数値は信用してはならない。タオル以上の重いものは掛けてはならない。
粘着テープもいろいろな種類がある。特徴を知って使い分けることが必要。まずは、接着面をきれいに掃除することから。
- 紙両面テープ
- 紙を引っ付ける。
- スポンジテープ
- 3M(スコッチ)などから出ている。このスポンジがミソで、通常の両面テープよりも格段に強い接着力を発揮する。
接着物が剥がれる時は、剥がれ面が楔状になって、応力集中を起こし剥がれて行く。引き剥がす力が弱くても、剥がれ面の楔が鋭ければ応力集中によって簡単に接着面が剥がれる。
剥がれ面にスポンジがあると楔が鋭くならず、応力集中しない。強い力で引き剥がしても、スポンジにかかる力は大きくならないので剥がれが進行せず、強力な接着力を得ることができる。応力集中とは、真っ直ぐなビニールは切れにくいが、切目が入ったビニールはそこから引きちぎることができる、という現象だ。
- アルミテープ
- キッチン回りの防水用。
- セロテープ
- メンディングテープ
- ガムテープ
- 荷造り用。
- ビニールテープ
- 電気関係の絶縁に使う。ネチョネチョして外観が良くない。できればビニールテープ仕上げではなく、熱収縮チューブ仕上げとしたいところだ。
- 自己融着テープ
- 屋外配線の防水用。テープの幅が半分ぐらいになるように引っ張りながら巻き付ける。巻き付ける時は、幅の半分ぐらいが重なるように。1週間ほどしたら、テープが融けて固まり、防水性を発揮する。融着したあとは剥がすことはできないので、ハサミで切り開く。耐候性は無いので、屋外で使う時は自己融着テープの上からビニールテープを巻くこと。
接着剤もいろいろな種類がある。特徴を知って使い分けることが必要。
- 木工用接着剤
- アクリルエマルジョン系。乾くと半透明で目立たない。乾かないうちは水拭き取ることが出来る。木や紙など水を吸って表面がざらざらのものを接着できる。吸い込む時は大目に塗るが、厚塗りも不可。木工では、接着後に木ネジを締めると強度を出せる。
- セメダイン C
- 紙工作用。透明なのでちょっとぐらいはみ出しても平気。ボール紙を切り張りする紙飛行機を作るのに最適。
- アロンアルファ
- 瞬間接着剤。開封後、時間が経つと瞬間では接着しなくなるので、新品を使うことが望ましい。硬いものを接着できる。硬化後は硬くなるので衝撃には弱い。
硬くて平らなものの片面に接着剤を塗る。もう片方の接着物と隙間なく押し付けると、物体表面の水分がきっかけで接着を開始する。接着が他方の面に達するように、硬くて平らな物体を隙間無く押し付けるようにすることが必要。
- エポキシ接着剤
- エポキシ系には、UV硬化、熱硬化、2液性などがあるが、日曜大工で使いやすいのは2液性。商標でいえば、アラルダイトが有名。5分硬化、30分硬化、60分硬化、などいろいろなタイプがある。60分硬化ぐらいが使いやすい。2液性の場合は主剤と硬化剤の混合比を可能な限り正確に合わせること。最も強力な接着剤と思っておけばよい。金属、陶器など硬いものを接着するのが得意。硬化後にヒケが無いので、隙間を埋める用途にも使える。
- ゴム系接着剤
- ウェットスーツの修理、パンク修理など。使いこなしには重要なポイントがある。
接着物の両面に薄く塗る。ウェットスーツなどのような吸い込む生地には、吸い込ませて、表面が薄く濡れ光っている状態にまで重ね塗る。そのあと、表面が生乾きになるまで乾燥させる。乾燥したら、接着物を張り合わせて、出来る限り強い力で押し付ける。これで強力に接着できるが、この手順以外では全く接着しない。
- プリット
- 事務用
- アラビアゴムのり
- 事務用。紙をこれで張り付けるとシワになる。スプレー糊かプリットならシワにならない。つまり、アラビアゴムのりには存在価値がない。
- セメダインスーパーX
- 変性シリコーン接着剤。なんでも引っ付く。PPなどの難接着性のプラスチックなども、とてもよくくっつく。硬化後に弾力性を保っているので、引き剥がし時にも応力集中を起こしにくい。とにかくスーパーだ。
- シリコーン接着剤
- 風呂の防水修理などに使う。サクいので硬化後に傷をつけないように注意。(サクい=傷などから応力集中で簡単に裂けやすい)
- ホットメルト
- 配線を固めたり。すぐに融けてすぐに固まるの便利。
- アクリル専用接着剤
- アクリルを溶かす有機溶剤。アクリルをやすりで削って、なるべく平滑な合わせ面を作って、隙間に毛細管現象で流し込むと、アクリルどおしを溶かし、その後くっつく。透明できれいな接着が可能。防水性もバッチリ。ちゃんと流れているか目視確認できる。不要にアクリルに垂らすと表面がデロデロに溶ける。塩ビも同様の溶剤系専用接着剤がある。
売り場に行けば多種のテーブルタップが売っている。テーブルタップの選択要素はいくつかあるのでそれを整理すればどれを買えばよいかは自ずと決まる。
- 電流容量
- とりあえず 15A(1500W)タイプを買っておく。それより弱い容量のものも場合によってはOKだが、15Aタイプでも配線が太くて硬い以外のデメリットはないので、15Aにしとけ。悪いことは言わんから。
- 口数
- 大きさが許容できる限り多口タイプがよい。
- 根本側アングル
- 根本側とは、壁のコンセントに突っ込む側だ。通常(ストレート)タイプ、90度アングルタイプ、フレキシブルタイプ、2階建てタイプなどがある。なるべく、90度アングルタイプかフレキシブルタイプを購入すること。これらのタイプが存在する以上、ストレートタイプのテーブルタップにはほとんど存在価値がない。壁面コンセントの口数が足りない場合は2階建てタイプという選択もありうるが電力的、強度的に不安が残る。
- アース付き
- 家庭用コンセントには、アース付き3線コンセントはほとんど存在しないので、根本側は2線式を選ぶ。端末側(機器のコンセントを差し込む側)は、コンピュータ用などは、スペースに余裕が有る限り、3線式のものがよい。次の理由により、3線式のプラグを備えた機器がコンピュータ機器(特に高クロックのもの)に多いからだ。
一般家庭ではアースを取る手段がほとんど無いにも関わらず、コンピュータ関連機器には、3線式のアース式プラグが付いているものがある。これは、機器内部で、CPUのクロックなどのノイズ発生源がある場合、それが流出して他の機器に悪影響を与えないためのノイズ対策をする必要がある。3線式のACコードの機器の場合、きちんとACコードでアースしてやった場合はこの規格を満足する。裏返すと、アースしない場合は規格を満足しない(アースなしでも規格を満足するならコストダウンのためアース無しのACケーブルを使うのがあたりまえだ)。つまり、3線式のACコードがついている機器は、通常の使用ではノイズ規格を満足しない、と思ってよい。
- ノイズフィルタ
- 気休めだと思う。
- 雷サージフィルタ
- 落雷がAC線に載ってやってきて、機器が全壊れなんていう話も時々聞く。サージフィルタはあった方がいいかもしれない。私は気休めだと思っているが。
- ACアダプタ逃し
- ACアダプタ(黒い箱のようなもの)は、設計の簡略化のために、機器をAC電源で動かすために時々使われる。コンセント付近をガバーっと占有するので非常に使い勝手が悪い。こういうものを添付しているメーカは「顧客本位ではない」。これを逃がす、ブタのシッポみたいなアダプタがあるので便利に使える。ただし、ACアダプタが転がっているのは相変わらず不便だ。最近はスイッチング式の小型ACアダプタもちょくちょく見掛ける。こいつは許せる。
- 対トラッキング火災プラグ
- こいつも気休めだと思う。
- スイッチ
- 節電用とか謳っている。スイッチ付きのテーブルタップを使っていると、重大な作業をさせている時に限ってスイッチをOFFにしてしまう。
タイラップ
配線を束ねるときに使う、一度締めたらハズレないやつ。100均で買ってくる。とても便利。
スパイラルチューブ
複数の配線を束ねる。スマートにまとまるのでおすすめである。
ベルクロテープ
コードを束ねたり、束ねたコードをラックの支柱に結び付けたり。
ねじりっ子
コードを束ねたり。あんまり好きじゃない。
コード巻き取り器
100均で売っているけど、まとめたところがボッテリしててあまり美しくない。巻き癖が強い。ベルクロテープで十分な感じ。
接着式コードホルダ
鴨居に配線を沿わしたりするのに使う。U字ステープラ型コードホルダは、建物に傷を付け、打ち込みにくくハズレやすいのでおすすめできない。
- テーブルタップはなるべく床おきしない。
掃除のじゃま。こどもがイタズラする。ラックの上にあげるかラックの柱にくくりつけると良い。
- 配線もなるべく床おきしない。
- 1箇所に2本のテーブルタップを引いて行かない。
多口のテーブルタップ1本に買い換える。コードが2本這っているとカッコ悪い。
近藤靖浩